1.ギリシャリクガメとは?
1-1.見た目の特徴・色・サイズ
1-2.近縁種との見分け方
1-3.原産国・生息地
1-4.寿命
3.ギリシャリクガメの飼育に必要なグッズ
3-1.ケージ、水槽
3-2.バスキングライト、紫外線ライト
3-3.床材
3-4.シェルター
3-5.エサ皿
3-6.水入れ
3-7.霧吹き
4.ギリシャリクガメの飼育方法
4-1.エサ
4-2.掃除
4-3.散歩
4-4.温浴
4-5.爪切り
ギリシャリクガメとは?
◆見た目の特徴・色・サイズ
ギリシャリクガメは背甲のモザイク模様が特徴的なリクガメです。
「ギリシャ」は地名ではなく、背甲の模様が「ギリシャ織」に似ていることから名づけられました。
甲長は約20~30 cm、体重は2.5~4.0 kgほどになるといわれています。
英語ではGreek tortoise(ギリシャリクガメ)や、Spur-thighed tortoise (トゲモモリクガメ)と呼ばれます。
◆近縁種との見分け方
ギリシャリクガメの属するチチュウカイリクガメ属(Testudo)は、他にもヘルマンリクガメやヨツユビリクガメ、フチゾリリクガメなどがペットとして流通しています。
特にギリシャリクガメとヘルマンリクガメは、一目見ただけでは見分け難いです。
しかし、3つのポイントを抑えれば見分けることができます。
1つ目は、ギリシャリクガメの英名(Spur-thighed turtoise)にもなっている、後ろ肢と尾の間にある突起状の鱗です。
2つ目は、尻尾の先の形状で、ヘルマンリクガメにはカギ爪状の突起があります。
最後の特徴は、尾の真上にある甲板(臀甲板といいます)の形状です。
ギリシャリクガメは甲板が分かれていませんが、ヘルマンリクガメは2つに分かれています。
◆原産国・生息地
ギリシャリクガメは南ヨーロッパから中東、北アフリカにかけて分布しています。
乾燥した草原や低木林、砂漠、荒れ地に生息する、いわゆる「乾燥系リクガメ」に分類されています。
ギリシャリクガメは昼行性のため、日中に活動します。
夜は窪みなどで寝ますが、穴を掘ることもあります。
生息地によって様々な亜種に分類され、流通しています。
代表的な亜種は、アナムール、アルメニア、イベラ、キレナイカ(キレーネ)、シリア、トルコ、レバントなどが存在します。
原産国が異なるため、亜種によって冬眠が可能だったり、最適な環境が異なったりします。
◆寿命
長命で知られるカメ目ですが、ギリシャリクガメも長生きします。
寿命は30~50年といわれており、パートナーとして連れ添うことができます。
ギリシャリクガメの値段
ギリシャリクガメは大体10,000~70,000円程度で販売されています。
飼いこまれたアダルト個体や珍しい亜種は高価になる傾向があります。
また、注意点としてギリシャリクガメのような爬虫類は通信販売が禁止されていますので、ペットショップや爬虫類等の販売イベントで購入する必要があります。
個体ごとに甲羅の模様が異なるギリシャリクガメですので、実際に自分の目で見てお気に入りの一匹を見つけるのも楽しみの一つです。
ギリシャリクガメの飼育に必要なグッズ
ギリシャリクガメの飼育に必要なグッズは、ケージ、バスキングライト、紫外線ライト、床材、シェルター、水入れ、エサ皿、霧吹きなどです。
以下、それぞれのグッズについて必要な事項を解説いたします。
◆ケージ、水槽
ギリシャリクガメを飼育するには、幅60~120 cmのケージまたは水槽が好ましいです。
高さがあるものより底面積の広いものが良いです。
広さがあることで、ギリシャリクガメが運動できることはもちろん、後述のライトなどによってケージ内の温度勾配を作りやすくなります。
ケージ内に温度勾配があることで、ギリシャリクガメが好みの温度域を選んで生活できます。
◆バスキングライト、紫外線ライト
ギリシャリクガメは昼行性で日光浴を好みます。
飼育下ではバスキングライトと紫外線ライトを用意しましょう。
バスキングライトはケージ内の暖かいポイントを作るために設置し、35~40℃となるように設置しましょう。
同時に、ギリシャリクガメが休めるような涼しい場所も作ります。
涼しい、といっても24~27 ℃になるようにし、必要であれば加温しましょう。
また、ギリシャリクガメは甲羅を形成するのに紫外線を浴びる必要があります。
紫外線ランプは強いもの(10.0程度)を選び、1日8時間程度は照射しましょう。
◆床材
ヤシガラやバークチップ、クルミの殻を粉砕したものを敷きます。
床材がない場合や新聞紙、ペットシーツなどは爪が伸びすぎたり、肢を傷めたりする原因となります。
ただし、ケガをしている場合など、一時的に清潔な環境を保ちたい場合は使用するのも良いと思います。
◆シェルター
ギリシャリクガメは野生下では、くぼみなどで隠れて寝ます。
そのため、シェルターを入れてあげることで、ギリシャリクガメが落ち着いて寝ることができます。
シェルターのサイズは、ギリシャリクガメが丁度収まり、中で方向転換できるものを選びましょう。
◆エサ皿
エサをいれるための皿は、ギリシャリクガメが食べやすく、倒しにくいような、浅くて重みのあるものを選びましょう。
◆水入れ
ギリシャリクガメは水入れから水を飲んだり、水浴びをしたり、水入れ中で排泄をしたりします。
ギリシャリクガメが入れる、浅くて広い水入れを用意しましょう。
また、水は清潔な状態を保ちましょう。
◆霧吹き
ギリシャリクガメは乾燥系のリクガメですが、湿度が低すぎても調子を崩すことがあります。
湿度50 %前後となるように霧吹きや加湿器で加湿しましょう。
ギリシャリクガメの飼育方法
◆エサ
ギリシャリクガメは草食性で、野性下では草や木の葉、果実などを食べています。
リクガメフードや、野菜や果物を刻んだり、千切ったりして与えましょう。
野菜は複数種類あげること、果物はあげすぎないことが好ましいです。
野草であるヤブガラシやタンポポ、オオバコなども食べます。
排気ガスや農薬の影響がない場所で採取してあげましょう。
エサには必要に応じて爬虫類用の栄養添加剤(カルシウムやビタミン)を振りかけるなどして与えても良いです。
エサ皿を使用する場合は、エサが傷む前に残った分を取り出しましょう。
注意点として、与えてはいけない野菜も存在します。
多くの動物に有害なネギ、タマネギはもちろん与えてはいけません。
キャベツやブロッコリーには甲状腺腫瘍誘発物質であるゴイトロゲンが含まれます。
ほうれん草などのシュウ酸を多く含む食物はカルシウムの吸収を阻害します。
カルシウム不足になると甲羅がうまく形成できなくなることもあるため注意が必要です。
◆掃除
日々の手入れを行えば、特に大がかりな掃除は必要ありません。
水入れやエサ皿などはこまめに回収、掃除し、衛生環境を保ちましょう。
食べこぼしやフンなどで汚れた床材はその部分を取り除きましょう。
◆散歩
必須ではありませんが、暖かい時期には散歩に連れて行っても良いでしょう。
日光浴や運動不足解消、時には野草を食べるおやつタイムになります。
目を離さず、カラスのような鳥や猫、犬などの動物に気を付ける必要があります。
◆温浴
時々38 ℃程度のぬるま湯で、温浴させてあげるのも良いです。
体温をあげたり、水分補給やお通じをよくしたりするのにも役立ちます。
火傷や水深には気を付けましょう。
◆爪切り
野生下ではギリシャリクガメの爪は穴を掘ったり、歩いたりすることで摩耗します。
しかし、飼育下では運動量が足りず伸びてしまうことがあります。
伸びた爪はギリシャリクガメに負担をかけ、最悪の場合骨が変形し、後ろ肢が動かなくなる原因となります。
動物病院で切ってもらうこともできますが、人間用やペット用爪切り、ニッパーを使って自身で切ってもよいでしょう。
切るときは爪の透明な部分を切りましょう。
テーブルの上にギリシャリクガメを置いて切ってもよいです。
切ったときの衝撃を嫌がり、肢をひっこめてしまうこともあるため、肢をつかんで切ってもよいですが、ギリシャリクガメの負担になるため手早くすませましょう。
ギリシャリクガメの飼育時の注意点
◆病気
ギリシャリクガメで注意しなくてはいけない点は病気です。
カルシウムやビタミンなどの栄養素、紫外線が不足することで、脱皮不全や口内炎、甲羅の変形が起きることがあります。
見た目の変化や、甲羅を触った際に軟らかく感じるようなら病気が進行しています。
便秘になることもあり、ご自身でできる処置としては温浴で排泄を促すことです。
気温が低い場合、肺炎になることがあります。
鼻水が垂れている、呼吸音がおかしいといった場合は肺炎が進行している可能性があります。
他にも、床材が滑る材質だったり、爪が伸びたりすることでうまく踏ん張れなくなり、肢が変形し、
前肢でしか歩けなくなったりもします。
大切なことは、小さな違和感でも飼い主が気づいてあげることです。
残念ながら症状が進行してしまった場合は、すぐに爬虫類の診察が可能な獣医に相談しましょう。
◆ギリシャリクガメはなつく?
ギリシャリクガメは飼い主の顔や自分の名前を覚えるといいます。
エサを与える際に名前を呼んであげると覚えてくれるかもしれません。
また、慣れてくれば飼い主の手から直接ご飯を食べてくれるようになります。
「なつく」というよりは、ギリシャリクガメが飼い主に慣れてきた、という感覚にはなりますが、愛情を持って接していればギリシャリクガメも応えてくれるでしょう。
ハンドリングも可能ですが、乱暴につかんだり、高く持ち上げたりすることはやめましょう。
野生下での捕食を想起させ、ギリシャリクガメに大きなストレスを与えます。
やさしく、万が一落としてもケガしないようにあまり持ち上げず、適度にかわいがりましょう。
ギリシャリクガメをはじめとした爬虫類はサルモネラ菌を保菌していることがあるため、触る前後はよく手を洗いましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
個体ごとに異なった美しい甲羅の模様を持つギリシャリクガメ。
あなたもギリシャリクガメがのんびり散歩したり、もりもり餌を食べたりする姿をみて、癒し&元気をもらいませんか?
丈夫で飼いやすく、人生の大半をともに過ごせる大切な家族になってくれることでしょう。
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