栄養豊富な小松菜はうさぎにもおすすめ?あげかた、量、注意点は

2021.10.01

栄養豊富な小松菜はうさぎにもおすすめ?あげかた、量、注意点は

小松菜は私たちの食卓になじみ深く、うさぎに与えやすい野菜のひとつです。入手しやすく栄養豊富でメリットいっぱいな小松菜ですが、うさぎが食べる場合はいくつかの注意点もあります。この記事では、小松菜の特徴、栄養、適切な与え方と注意点についてまとめました。


うさぎに小松菜を与えても大丈夫?

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小松菜(こまつな)は、うさぎに与えても大丈夫な野菜です。みずみずしく、しゃきしゃきした食感で嗜好性が高く、小松菜が好物なうさぎさんは多いでしょう。

私たちの食卓でもなじみ深い小松菜ですが、人間とうさぎでは食事の事情が少し異なります。小松菜がどのような野菜なのかよく知ったうえで、うさぎに美味しく食べてもらいましょう。

◆小松菜とは

小松菜はアブラナ科の葉菜です。同じアブラナ科の仲間にはチンゲン菜、キャベツ、ブロッコリーなどがあります。原産地は日本で、江戸川区の小松川付近で栽培が始まったことからその名が付けられています。

旬は冬ですが一年中流通しており、いつでも手ごろな値段で入手できるところが魅力です。

どことなくほうれん草と似ていますが、ほうれん草はアカザ科ほうれん草属の野菜で、小松菜とは全く別ものです。ほうれん草は葉がギザギザしていて、小松菜は葉が丸みを帯びていますね。

ほうれん草はアクの元になる「シュウ酸」が多く含まれます。シュウ酸はうさぎの尿路結石のリスクを高めるので、うさぎのエサには適しません。小松菜はシュウ酸が少ないので、うさぎに与えるのはOKです。

中には小松菜の葉だけ食べて茎は残す子もいます。野菜の好みには個体差があるので、残す場合は無理に茎まで食べさせる必要はありません。

◆小松菜に含まれる主な成分

小松菜は栄養価が高く、副食として与えることでビタミン、ミネラル補給に役立ちます。特筆すべきは、うさぎに与えてよいほかの野菜・果物と比べ、糖質が少なく、カルシウム、カリウム、鉄などのミネラル、βカロテンをはじめとするビタミンが多いところです。うさぎの好きなキャベツ、にんじんと主な栄養素の量を比較したいと思います。

小松菜、及びキャベツ、にんじんに含まれる主な栄養素(100g中の含有量)

エネルギー 13kcal(キャベツ21kcal、にんじん35kcal)
糖質 0.5g(キャベツ3.4g、にんじん6.5g)
カルシウム 170mg(キャベツ43㎎、にんじん28㎎)
鉄 2.8㎎(キャベツ0.3mg、にんじん0.2mg)
食物繊維 1.9g(キャベツ1.8g、にんじん2.8g)

参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)

HP : https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html

小松菜は13kcalと野菜の中でも低カロリーで、糖質の量も果物、キャベツやニンジンと比べるとかなり少なめになっています。うさぎは肥満や糖質のとり過ぎによる「消化管うっ滞」が気になりますが、小松菜は比較的安心して与えられる野菜といえるでしょう。

また、小松菜には葉酸やビオチンをはじめとするビタミンB群、ビタミンCも多く含まれています。(ただ、うさぎは体内でもビタミンBやビタミンCが生成できるので、通常は野菜から積極的にとる必要はありません。

与える時に注意したいのは、野菜の中でも水分、カルシウムが非常に多いという点です。水分やカルシウムのとり過ぎは、健康に良くない影響を与えるので、小松菜ばかり与えないよう注意することが大切です。

なお、茹でると一部の栄養成分と風味が損なわれます。茹でてから与えることは問題ありませんが、基本的には生で与えることをおすすめします。

◆期待できる効果は?

小松菜をうさぎに与えることで期待できる効果は以下の2点です。

◎食欲を促す
◎体の調子を整える

小松菜をはじめとする葉菜は水分がとても多いので、みずみずしくて嗜好性が良く、うさぎの食欲を促進させます。

食欲が低下して主食の牧草やペレットを食べなくなった時、少量の小松菜を与えると喜んで食べ、食欲や胃腸の動きを促進させる効果が期待できます。

また、体の発育や筋肉を正常に保つカリウム、骨や歯を丈夫にするカルシウム、粘膜を丈夫にするβカロテンが豊富に含まれるので、体の調子を整える効果も期待できます。

「貧血予防には鉄分を多く含むほうれん草がよい」と言われますが、実はほうれん草より小松菜のほうに鉄が多く含まれています。成長期には鉄も必要になるので、野菜を与えるなら小松菜を選ぶとよいでしょう。


小松菜の与え方

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うさぎに小松菜を与える時は、うさぎが食べやすいよう、安全に食べることができるよう、十分に配慮しましょう。

◆新鮮なものを選ぶ

ペットには必ず新鮮な食べ物を与えましょう。新鮮でない食べ物は風味が落ち、栄養も損なわれます。また、生ものは古くなると傷んで雑菌が繁殖するため、それをうさぎが食べると体調を崩してしまいます。

特に小松菜は水分が多くて葉が柔らかいので、傷みには注意が必要です。

お店で小松菜を買う時は、葉が濃い緑色をして全体的にシャキッとしているものを選びましょう。全体的にくたっとして葉の先が黄変している、茎の根元が柔らかくなっているものは古いので、安売りされていてもあまりおすすめできません。

買ってきたら、一束を丸ごと洗ってから茎の根元を濡れたキッチンペーパーで覆い、ポリ袋に入れてから野菜室の中で立てて保存します。こうすることで新鮮な状態が保てますが、うさぎは生のまま食べるので、早めに与えてください。

◆しっかり洗う

小松菜は必ず、よく洗って汚れをしっかりと落としましょう。さっとすすぐのではなく、水道の流水を使って、葉も茎も丁寧に洗います。

野菜や果物は一見きれいでも、農薬やゴミ、土が付着していることが多いのです。小松菜は皮をむかずそのまま与える野菜なので、もし表面に農薬や病原菌が付着していたら一緒に取り込んでしまうことになります。

また、うさぎには無農薬の野菜を食べさせるのが安心ですが、無農薬だと小さな虫や卵が付着している可能性もあるので、茎の根元や葉の裏側まで丁寧に洗うようにしましょう。

◆水気を切る

小松菜を洗ったら水気をよく切って、キッチンペーパーなどで拭いておきましょう。水が付いたままだと葉が傷みやすくなりますし、うさぎが水分のとり過ぎで下痢をしやすくなってしまいます。

◆食べやすい大きさに切る

小松菜は、葉も茎もうさぎが食べやすい一口分の大きさに切りましょう。うさぎは口が小さく、前足で持って食べることもできないので、小さく切らずに与えると食べにくくなる場合があります。

また、うさぎが1日に食べる野菜は体重1kgあたり3g程度が好ましいのですが、小松菜は葉1枚が10gあります。丸ごと1枚与えると、うさぎの大きさによっては食べ過ぎになってしまうことも注意してください。

小松菜の刻んだもの指先一つまみ分で2g程度になります。ほかの野菜や果物を与えることも考えると、1日分の小松菜はこれくらいがちょうどよいでしょう。

◆いつから与えてもいい?

小松菜などの野菜はうさぎが生後3~4か月を過ぎてから与えるようにしましょう。幼いうさぎは消化器の機能が未熟なので、野菜を食べるとお腹の調子を崩してしまいます。

◆干し野菜もおすすめ

小松菜は水分が多いので、うさぎが食べて下痢しないか心配な飼い主さんも多いでしょう。野菜で下痢をしやすい子には干し野菜(乾燥野菜)にした小松菜を与えるのもおすすめです。

干し野菜はおやつとしてペットショップで販売していることもありますし、家庭で作ったものを与えることもできます。

家庭で作る場合は、よく洗って水気を切り、小松菜をざるの上に1枚ずつ広げ、日陰の風通しが良いところで乾燥させます。1~3日くらい干し、水分が抜けて乾燥したら完成です。

干した小松菜は小さく切って適量をうさぎに与えてください。水分が抜けて小さくなっているため、与える量は少しだけで充分です。(カルシウムのとり過ぎになるので、与え過ぎに注意しましょう。)

ちなみにこの干し野菜は味も凝縮されて旨みが増し、水で戻せば私たちのお惣菜にも使えて便利です。ぜひうさぎさんと一緒に味わってみてください。

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小松菜を与える時の注意点は?

うさぎに小松菜を与える時は以下に挙げる点に注意しましょう。

◆野菜の食べ過ぎによる食事の偏り

小松菜に限ったことではありませんが、野菜の食べ過ぎでお腹がいっぱいになると、主食の牧草やペレットが食べられなくなり、食事が偏りやすくなります。

野菜はあくまでも副食なので、与える際はほんの少量(体重1㎏につき野菜3g程度)だけにとどめるようにしてください。

ちなみに、うさぎが牧草やペレットを食べず野菜ばかり食べると食物繊維が不足し、栄養バランスの乱れ、消化管うっ滞を招いてしまいます。

小松菜は100gあたり1.9gの食物繊維が含まれますが、牧草やペレットと比べると決して多くはありません。うさぎが喜ぶからと言って牧草やペレットの代替に小松菜を与えることは控えましょう。

◆小松菜の食べ過ぎによる下痢、カルシウムの過剰摂取

小松菜は栄養豊富で魅力的な野菜ですが、うさぎが食べる場合は水分とカルシウムの多すぎる点が問題になってしまいます。

小松菜は野菜の中でも水分が特に多いので、与える際はうさぎの糞の状態をチェックしながら与え方を調整していきましょう。軟便や下痢が出る場合は水分のとり過ぎが考えられるので、与える量を減らしたり干し野菜に切り替えたりすることをおすすめします。

同様にチンゲン菜、サラダ菜、セロリ、水菜も水分が多いので注意してください。

また、うさぎはカルシウムが尿中に排出されやすく、カルシウムが結晶化して尿路結石になりやすいので、カルシウムが豊富な小松菜ばかり食べることはおすすめしません。

カルシウムの過剰摂取を防ぐためには、小松菜とカルシウムの少ない野菜(キャベツ、サラダ菜、ブロッコリーなど)と交互に与える、複数の野菜や果物を少しずつ混ぜ栄養が偏らないようにするとよいでしょう。

小松菜のほか春菊、大根の葉、かぶの葉、チンゲン菜、シソもカルシウムを豊富に含むので、与える時は注意してください。

野菜は嗜好性が高いので、うさぎは出された分だけ食べてしまいます。ほかの野菜や果物と合わせて1日分の量を計算し、必ずそのうさぎのサイズに合った量を与えるようにしましょう。


体調を崩した場合の対処方法は?

うさぎが小松菜を食べて軟便や下痢、消化管うっ滞などの体調不良を起こした場合は、いったん小松菜を与えるのを中止し、元気がないようならすぐ動物病院を受診することをおすすめします。

うさぎが砂状に白っぽく濁ったおしっこを頻繁に出すようになった場合は、尿にカルシウムを多く含む「高カルシウム尿症」が考えられます。

カルシウムを含む濁った尿はどのうさぎにも見られますが、トイレに泥上の沈殿物が溜まるほどおしっこが濁る場合は、排尿障害、血尿、尿路結石を引き起こす可能性があります。放置せず受診して検査を受けましょう。


まとめ

小松菜は入手しやすくて栄養があり、うさぎの間食に適しています。家庭菜園でも簡単に栽培できるので、無農薬で育てた新鮮な小松菜をうさぎに食べさせてあげるのもおすすめですよ。うさぎにとってはカルシウムと水分が多いというデメリットもあるので、与え過ぎにはくれぐれも注意してくださいね。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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