1.ハムスターにミルワームを与えても大丈夫?
1-1.与えてもOK
1-2.野生のハムスターは昆虫も食べる
2.ミルワームの栄養について
2-1.栄養
2-2.カロリー
2-3.ハムスターに与えてもいい量
ハムスターにミルワームを与えても大丈夫?
ペットショップの小動物・は虫類コーナーでは必ず見かけるミルワーム。ハリネズミ、モモンガ、リスなどの小動物、は虫類や両生類、熱帯魚のエサとして人気があります。
しかし「ミルワーム」はエサとして売られている以外であまり目にすることはないため、どんな虫なのか、ハムスターに与えてよいのか気になってしまう方も多いのではないでしょうか。
◆与えてもOK
結論から言うと、ハムスターにミルワームを与えるのはOKです。ミルワームは嗜好性が高いので、食欲がない時、ほかのエサの食いつきが悪い時に与えると喜んで食べてくれるでしょう。
ミルワーム(ミールワーム)は、エサ用の虫として流通しているゴミムシダマシ科の幼虫です。
ゴミムシダマシの成虫は黒っぽい楕円形の姿をした甲虫で、貯穀を食い荒らす害虫として知られます。成虫は厄介者ですが、幼虫は簡単に養殖でき一年中安定して供給できることから、動物用のエサ、釣り用のエサとして広く流通しているのです。
日本で主に流通しているのは、チャイロコメノゴミムシダマシの幼虫イエロー・ミールワームで、体長1~2cmほどの黄褐色の姿をしています。
ちなみにゴミムシダマシの幼虫は英語で「mealworm」といいますが、直訳すると「食用のイモムシ」とも読めます。ミルワームは名前のとおりミミズのような細長い姿をしているので、虫が苦手な方はハムスターに食べさせることには抵抗があるかもしれませんね。
◆野生のハムスターは昆虫も食べる
ミルワームの見た目に「これをハムスターが食べるなんて…」と、抵抗を持たれる方もいるでしょう。しかしハムスターにとって昆虫は自然食に近い食餌といえるのです。
ハムスターは雑食性で、植物性・動物性の食べ物をエサにしています。昆虫は、野生の動物にとって貴重なたんぱく源です。野性のハムスターも生きた昆虫を捕食してタンパク質を補給しています。
昆虫は嗜好性が高く、昆虫を食べる小動物にとってはむしろグルメなおやつといえるのです。しかしながらケージで飼われているハムスターには、自分で昆虫を捕獲する機会がありません。
もし飼い主さんがおやつとしてミルワームを提供してあげれば、ハムスターは大喜び食べてくれるでしょう。ハムスターとコミュニケーションをとるためにも役立ちますよ。
ミルワームの栄養について
ミルワームは栄養豊富で、健康な体を作るために役立ちます。また昆虫の中でも消化率が高いため、ハムスターが食べやすく栄養が吸収されやすいというメリットもあります。ミルワームに含まれる栄養の特徴を見てみましょう。
◆栄養
ミルワームは、高たんぱく低脂肪で、銅、マグネシウム、セレンなどのミネラルを豊富に含んでいるところが特徴です。
ミルワームには動物性たんぱく質が20%近く含まれています。これは、高たんぱく質といわれる鶏むね肉やカマンベールチーズに匹敵する含有量です。またミルワームの場合、たんぱく質を構成するアミノ酸のバランスも優れているので、ハムスターが摂取することで血や筋肉を作り毛艶を良くする効果が期待できます。
もしハムスターにたんぱく質が欠乏すると、毛艶が悪くなる、子育て中の母ハムスターが子食い(共食い)をする、飼い主に対して攻撃的になるといった現象が起こりやすくなりますが、ミルワームを与えればこうしたトラブルも防げるようになります。
脂肪は約15%とナッツ類やチーズより大幅に少なく、肥満が気になる子にも安心して与えられる食べ物といえるでしょう。また、体の組織を機能させるために必要なn-6系脂肪酸も効率よく摂取できます。
ミネラルは、銅、マグネシウム、セレン、セレンをはじめハムスターに必要な成分がバランスよく含まれています。これらのミネラルは特に、骨や歯の形成、筋肉や神経の機能を正常に維持するために役立ちます。
カルシウムは乳製品や煮干しより少ないので、カルシウムの過剰摂取による尿路結石が気になるハムスターにもおすすめです。
◆カロリー
ミルワームのカロリーは100gあたり約220kcalです。ほかの食べ物と比べてみると、たんぱく質が多く含まれる分、植物性の食品よりはカロリーが高めです。ただしハムスターのおやつの中では、それほどカロリーが高い食品とはいえないようです。
ペレット…約360kcal
ヒマワリの種…約660kcal
プロセスチーズ・煮干し…約330kcal
りんご…約50kcal
キャベツ…約20kcal
◆ハムスターに与えてもいい量
ハムスターの主食はあくまでもペレットです。必要な栄養はペレットでまかなえるので、ミルワームはおやつの位置づけとなります。栄養価が高いので毎日与える必要はなく、1回に一度に1~3匹程度、週に1回程度与えれば十分です。
ちなみにミルワームは1匹の重さが0.1g程度なので、1匹あたりのカロリーは0.2kcalとなります。間食は1日の食事のカロリーに対し10%以下が理想なのですが、1日にミルワームを1~3匹与える程度なら問題ないでしょう。
もちろん喜んで食べるからといって与え過ぎると、栄養のとり過ぎになります。
普段はほかのおやつを与え、たんぱく質が必要な成長期、妊娠中や授乳期、病中病後や元気のない時は、ほかのおやつをミルワームに変えるのもおすすめです。
逆にミルワームを与えても食べない場合、無理に食べさせる必要はありません。ハムスターによって好みも違うのです。残ったミルワームはケージから出し、ほかのおやつを与えましょう。
市販のミルワームの種類
ミルワームにはさまざまな種類があります。それぞれメリット・デメリットがあるので、扱いやすさやハムスターの好みに合わせて選ぶとよいでしょう。
◆生餌
生餌(いきえ)は、エサ用の生きているミルワームです。活きエサ、生体とも呼ばれます。ペットショップなどで、おがぐずと一緒に梱包して販売されています。
メリットはなんといっても新鮮で栄養値が高いところ、加工されたミルワームよりも食いつきがよいところです。またミルワームの動きがハムスターの本能を刺激し、食欲をそそります。
デメリットは、生きているため管理が必要になるところ、成長が早いためすぐ成虫になって食べられなくなるところです。しかもゴミムシダマシの成虫は不快なにおいを出して威嚇する習性もあるので、成虫になってしまうとちょっと面倒かもしれませんね。
またミルワームはあごが強く、ハムスターが捕食する際に牙に挟まれてケガをする場合があるので、食べている様子から目を離さないようにするか、頭をつぶしたミルワームを与えるようにすることが望ましいです。
ちなみに、市販のミルワームには「ジャイアントワーム」などサイズの大きな種類もありますが、体の小さなハムスターにはひまわりの種と変わらない大きさのミルワームが食べやすいでしょう。
◆乾燥タイプ
乾燥ミルワームは、ミルワームの形状を残しつつ保存がきくよう乾燥タイプに加工したものです。主食に対し10%以下になるよう調整して与えるとよいでしょう。
デメリットは生に比べると風味が落ち、生餌を与えた時よりも食いつきが悪くなるところです。
ただし、世話をする手間がいらないので手軽に利用でき、成長したり死んだりすることがなく日持ちするところが大きなメリットといえるでしょう。動かないので、生きた虫が怖い方にもおすすめできます。
★おすすめアイテム
ハーティー 乾燥ミルワーム 70g(ナチュラルペットフーズ)
新鮮な生体を乾燥させた栄養価の高い乾燥ミルワーム。チャック付き袋で保管もしやすいです。
◆生タイプ
ウェットタイプのミルワームです。メリットは生体に近い形でミルワームを与えられるところですが、開封したら冷蔵庫で保存する必要があること、においのするところがデメリットといえるでしょう。(冷凍庫で長期保存も可能です。)
◆粉末タイプ
乾燥ミルワームを粉砕して粉末状に加工したものです。
デメリットは、ほかのタイプに比べ嗜好性が低くなりやすいところです。しかし、保存しやすい、原型をとどめていないので虫が苦手な飼い主さんが利用しやすい、といったメリットがあります。ペレットやおやつに振りかけたり混ぜたりできるところは、応用がきいて便利です。
★おすすめアイテム
小動物のためのおいしいパウダー ブオナヴェルメ ミルワームパウダー(コジマ)
新鮮なミルワームを粉末に加工しています。ペレットや野菜の嗜好性を高めるためのトッピングに。
ミルワームに近い小動物用のエサ
ハムスターはミルワーム以外の昆虫も食べます。小動物用のエサには、コオロギ、ハニーワーム、シルクワームなどがあります。ミルワームを食べない子にほかの昆虫を試してみたい時は、入手してみるとよいでしょう。
入手しやすいのは、ペットショップでもよく販売されているコオロギの生体です。コオロギはミルワーム同様に高たんぱく低脂肪で、は虫類の定番のエサとなっています。コオロギがあごが強く、ハムスターが噛みつかれる可能性があるので、冷凍品か生きたコオロギの頭を取り除いて与えるのが無難です。
ハニーワームはハチノスツヅリガの幼虫、シルクワームはカイコのことで、ペットショップや通販で入手することができます。ミルワームより栄養価が高く、滋養を付けたいハムスターに適しています。ただしカロリーや脂肪はミルワームより高いので、与え過ぎには注意が必要です。
ちなみに、ハムスターに昆虫を与える時は屋外でとってきた野性のものではなく、エサとして養殖されたものを用意しましょう。野生の昆虫は、病気の原因になる雑菌が付いている可能性が高いためです。市販されている商品は衛生的な環境で管理されているので、安心してハムスターに与えられます。
まとめ
ミルワームは「虫だから」「何の虫か分からない」という理由で敬遠される飼い主さんもいるでしょう。しかし、特徴や優れた栄養価を知れば、特異なエサではないことがお分かりいただけると思います。実は、ミルワームを含む昆虫食は宇宙食、食糧事情を救うたんぱく源としても注目が高まっているところなんですよ。ハムスターには嬉しいごほうびになるので、興味を持たれた方はぜひ一度試してみてくださいね。
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