【掲載:2021.11.9 更新:2023.08.04】
フェレット・イタチ・オコジョは生物学的に近い?
フェレット・イタチ・オコジョは哺乳綱食肉目イタチ科に属する動物であり、生物学的に近いと言えるでしょう。
この3種の動物は「胴長でやや短足の哺乳類」と見た目の特徴がよく似ていますが、イタチ科の仲間はこの他にも、アナグマやカワウソ、ラッコといった個性豊かな動物が含まれます。
イタチ科の動物は基本的に肉食性の動物で、オスよりもメスの方が体が小さい傾向があるようです。
今回はイタチ科の動物のなかでも日本で馴染みのある『フェレット・イタチ・オコジョ』の3種に、それぞれにどんな違いがあるのか見ていきましょう!
フェレットはどんな動物?
フェレットはヨーロッパケナガイタチまたはステップケナガイタチを家畜化したもので、品種改良して生まれた愛玩動物です。
元々は愛玩というよりも、ヨーロッパにて猟師がうさぎやげっ歯類の狩りを行う際に連れていた狩猟の相棒でしたが、今では小動物のペットの代表と言えるほど、様々な国で飼育されています。
そんなフェレットは好奇心が旺盛で遊び好き、とても人懐っこい性格をしています。遊びの延長で芸を覚える芸達者なフェレットもいるようです。
また、フェレットは吠えることも滅多に無いので飼いやすいとされています。
実はフェレットは、発情期になると体臭が強くなったり、野性味のある凶暴な行動を見せることがある為、臭腺除去や避妊手術をしてからペットショップで売られている場合がほとんどです。
臭腺とは同じイタチ科のスカンクが持つことで知られている、強い臭気のある液を分泌する腺のことで、臭いがきついとペット向きではなくなってしまうため、ペットショップで販売されているフェレットの場合、大抵は除去されています。
◆分布
先にも述べたように、フェレットはペット用につくられた動物です。
そのため、逃げ出して野生化してしまったものを除いて、本来「野生のフェレット」は存在しません。
ペットとして世界中で飼育されていることから、フェレットの分布は全世界だと言えるでしょう。
◆歴史
フェレットは約3000年前のエジプトで、既に家畜として人間と共に暮らしていたとされています。
当時の壁画には、フェレットがウサギやネズミを狩って活躍する様子が描かれており、フェレットが長い間人間と一緒に暮らしてきた歴史がわかります。
また、紀元前350年ごろにはアリストテレス著の「動物誌」のなかで、「人間に飼育されているイタチ」と「野生のイタチ」を分類した記載があり、この頃から「フェレット」の概念があったことを感じさせます。
10〜12世紀ごろにフェレットは十字軍によってヨーロッパに普及され、この頃からハーネスがつながれるなど本格的にペットとして飼育されるようになりました。
長い間ヨーロッパで親しまれた後、フェレットは1857年に毛皮商人によってスペインからアメリカに輸入されます。
そして1970年代からやっと全世界へと広まりました。
しかし、フェレットが日本でよく飼育されるようになったのは最近のことです。
1990年代になって飼育書などが出版され始め、フェレットは日本でも人気を集めていったのです。
イタチはどんな動物?
実は『イタチ』というのは〇〇イタチやオコジョ、ミンクといったイタチ属の仲間の総称で、『イタチ』という名前のイタチはいません。
日本でいう『イタチ』は一般的に、日本の固有種である『ニホンイタチ』のことを指しています。
しかし、1930年頃にはニホンイタチに非常によく似た『チョウセンイタチ』(別名:シベリアイタチ、タイチクイタチ)という、本来は中国やタイ、朝鮮半島といった地域に生息するイタチが日本へと侵入し生息範囲を広げたため、今日ではチョウセンイタチを含めてイタチと呼ばれることもしばしばあるようです。
ニホンイタチとチョウセンイタチの違いを見分ける点としては、目周りの毛の色と胴と尻尾の比率が挙げられます。
ニホンイタチは、目の周辺は灰色で、尾の長さは体の40%ほどと言われているのに対し、チョウセンイタチは目の周りも体と同じ色で、尾の長さは体の50%以上と長めです。
この2種を見分ける一手にはなりませんが、種として違う点も一つあります。
それは、ニホンイタチは性的二型がはっきりしていて、オスが頭胴長27~37cmほどなのに対し、雌16~25cmほどと違う種にも思えるほど体格の差がありますが、チョウセンイタチはオスが28~39cmほど、メスが25~31cmほどと雌雄の間に体格差はあまりないということです。
また、イタチの仲間には肉食の動物が多いですが、ニホンイタチは雑食性の動物で、小動物を好んで食べる傾向にはあるものの、昆虫や木の実なども餌とすることができます。
◆分布
ニホンイタチは、はじめは本州・四国・九州を中心に生息していましたが、1930年代からネズミ類を駆除するために八丈島や石垣島などに意図的に持ち込まれました。
ニホンイタチよりも大型なシベリアイタチの勢力が強まり、特に西日本では多く分布していると考えられています。
◆歴史
シベリアイタチは別名の通り朝鮮半島から渡ってきて、2つのルートにより全国に広がったと考えられています。
1つが昭和初期に貨物船に紛れ込んで北九州から広まったという「福岡ルート」で、もう1つが尼崎や明石の業者が毛皮採取目的で繁殖させた後、やはり昭和初期に野外に放ったとされる「兵庫ルート」です。
1935年に大阪、1951年には近畿や四国、中国地方で生息が確認されました。
そして、現在では有害鳥獣として知られています。
固有種のニホンイタチは河川周辺や森林など自然豊かな場所を好んで生活の拠点とするのに対し、シベリアイタチは人家や田畑の近くに多く生息しています。
そのため有害鳥獣とされているイタチのほとんどがシベリアイタチだといえるでしょう。
オコジョはどんな動物?
オコジョはイタチやフェレットと比較して、小さな体に大きな目を持つ、とても可愛らしい動物です。
その見た目からキャラクターのモデルになることもあり、親しみのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、実はオコジョも気性が荒く、どう猛な肉食の動物です。
小さなネズミだけではなく、自分よりも体の大きなウサギやライチョウを捕らえることもあり、そうした捕獲動画はYouTubeなどの動画サイトで高い人気を誇っています。
長い後ろ足を生かした跳躍力がオコジョの狩りの特徴ですので、ぜひ注目してみてください。
また、オコジョの最大の特徴は夏と冬に換毛することです。
オコジョと聞くと雪の中に溶け込むような真っ白の毛色を想像する人が大多数ですが、実は夏には毛が茶色になります。
夏と冬の気候に合わせて換毛する動物は他にもいますが、毛色まで変わるというのはオコジョならではと言えるでしょう。
◆分布
オコジョは主に寒い地域に生息し、日本だけでなく北米やヨーロッパなど世界でも広範囲にわたって分布しています。
日本では「ホンドオコジョ」と「エゾオコジョ」の2種類が生息しており、ホンドオコジョは東北から中部地方にかけての山岳・高山地帯を住処とし「山の妖精」や「山神様の使い」として愛されています。
また、エゾオコジョはホンドオコジョよりも一回り体が大きく、冬眠せずに1年中活動することで知られています。
その生息地は北海道の山岳地帯で、やはり寒い気候を好むようです。
◆歴史
イギリスでは真っ白な冬毛のオコジョを「アーミン」と呼び、その毛皮が非常に人気でした。
純白の毛皮は古くから貴族の紋章やタペストリーに使用され、権力の象徴とされていたからです。
日本では1980年代のバブル期に毛皮ブームが到来しました。
イギリス同様、オコジョの真っ白な毛皮は非常に人気となり、オコジョは乱獲されました。
その後、代替品として毛皮の採取を目的に外来種のミンクを大量に輸入しますが、1部の野生化により生態系を壊してしまいました。
現在は乱獲や森林伐採などの影響を受け、オコジョの個体数は激減し、絶滅危惧種に指定されています。
フェレット・イタチ・オコジョの違い
ここからはフェレット・イタチ・オコジョを見分けるためのポイントを2つ紹介します。
ぜひ違いを覚えて、それぞれを区別できるようになりましょう!
大きさ
フェレット・イタチ・オコジョの大きさはそれぞれ異なります。
もちろん性別や年齢などにより個体差はありますが、見分けるポイントとしては十分でしょう。
以下の表にそれぞれの体長をまとめました。
大きさが想像しやすいように、一般的な柴犬の体長も加えてみましたので参考にしてください。
こうしてみると、フェレットの体長は柴犬とほぼ同じで、最も胴長であることがわかります。
「山の妖精」とも呼ばれるオコジョは体が小さく、その呼び名を体現していると言えますね。
鳴き声
フェレット・イタチ・オコジョは鳴き声にも違いがあります。
見た目で判断できない時には、耳を澄ませて鳴き声を聞いてみてはいかがでしょうか。
以下の表にそれぞれの鳴き声をまとめました。
フェレットとイタチの鳴き声は少し似ていますが、オコジョの鳴き声は特徴的ですね。
体が小さめで胴が長く、「ジジジジッ」と鳴く動物に出会ったらオコジョと判断していいいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では、フェレット・イタチ・オコジョの違いについて解説しました。
フェレットを飼っていると話すと「あのイタチみたいなの?」と言われた経験がある方もいるでしょう。
これからそんな場面に遭遇したら、この記事を参考にして、ぜひ違いを解説してみてくださいね!
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