今どんな気持ちなの?ハムスターがとる行動の意味、理由について

2021.11.16

今どんな気持ちなの?ハムスターがとる行動の意味、理由について

ハムスターはおっとりした癒し系のルックスで、のんびりした動物のように見えますが、常に周りにアンテナを張り巡らしており、繊細な神経と豊かな感情を持っています。よく観察してみると、ハムスターは体全体を使って、喜び、リラックス、不安、恐怖などの感情を表していることが分かってきますよ。この記事では、ハムスターがとる行動とそのときの気持ちについて紹介していきます。


ハムスターの行動と気持ち

ハムスターの行動

ハムスター体がとても小さくて、犬や猫のような感情表現をしないので、今どのような気持ちになっているのか読み取りにくいと感じることもありますね。ですが、ハムスターの行動にはそれぞれ意味があるので、習性を理解してあげるとハムスターの気持ちが分かるようになってきます。ハムスターがとる行動にはどのような気持ちが隠されているのか、ひとつずつ見ていきましょう。

◆ケージのすみっこにいる

ハムスターがケージのすみっこにいるのはなぜでしょうか。

これは、ハムスターが暗くて狭い所が好きで、どちらかというと広い所よりすみっこのほうが落ち着くためです。トイレもケージのすみっこにします。

野性のハムスターは地下に巣穴を掘り、1日の大半をその中で過ごしています。そのため、飼育下のハムスターも体が隠せて落ち着けるすみっこや狭い所を好みます。

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特に飼い始めて間もないハムスターは、環境に慣れていないため警戒して、すみっこでじっとしていることが多いです。このようなときに人間がじろじろ見ると、緊張して余計に怖がります。ハムスターが慣れて活動し始めるまではスキンシップを避け、そっとしておくのがよいでしょう。

また、すみっこにいることが多くても、食事をするときに出てきたり夜中に回し車で遊んでいたりする子は元気なので問題はありません。

ただ、今までケージ内を動き回っていた子がすみっこでじっとうずくまることが増えた場合は、ストレスを感じている、または体調が悪い可能性が考えられるので、原因を解決する必要があります。

◆回し車を途中でやめて周りを見る

ハムスターが回し車で走っているとき、急に走るのをやめて周りを見ることがあります。このときのハムスターは、どこまで来たのか、外敵はいないか、周りの景色を確認しているのだといわれます。

ハムスターは1日に9~20km、またはそれ以上走ることもあるといわれます。こんなにも長い距離を走るのは、野生のハムスターが広い縄張りを持っていて、その縄張りを毎日パトロールするためです。

飼育されているハムスターは、その名残で毎日回し車を走り続けます。実際には同じ所を走り続けているわけですが、遠くまで移動したようなつもりになっているのかもしれませんね。

また、急に部屋の電気がついたとき、人の気配を感じたときに走るのをやめることもあります。

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◆鼻をひくひくさせる

ハムスターは、よく鼻をひくひくさせています。鼻がひくひくしているのは、においを嗅いでいるからです。ハムスターは嗅覚で周囲の情報を察知し、自分の縄張りに異変がないかこまめにチェックしています。

ハムスターの嗅覚はとても発達していて、人間の40倍以上もあるといわれます。かすかなにおいだけで、飼い主さんの気配や環境の変化を察知しているのです。

◆ケージの金網をよじ登る

ハムスターが金網をよじ登るときは、ストレスを感じているか、ケージの外への脱走を試みている可能性があります。

たいていのハムスターは外へ出たがって、脱走できるすき間をしょっちゅう探します。金網のケージはよじ登りやすいので、天井まで登れてしまうことが多いのです。ふと見ると、ハムスターが金網の天井にぶら下がる「うんてい」をしていることもあります。

ただし高い所まで登ると落下して骨折などの大けがをする可能性があり、とても危険です。ハムスターが金網をよじ登っていたら、ケージやケージ内のレイアウトを変え、上まで登れないようにする必要があります。

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◆フンを食べる

ハムスターは自分のフンを食べます。初めて見るときはびっくりしてしまいますが、これは異常ではありません。ハムスターやうさぎは、普通のフンとは違う「盲腸糞」を食べて栄養を補給する習性があります。これを「食糞」といいます。

盲腸糞は、盲腸で消化しにくい食物繊維などを分解させたもので栄養を豊富に含みます。エサが不足しているためにフンを食べるわけではないので、目撃してもやめさせようとせず、そっとしておいてくださいね。

◆耳が立っている

基本的にハムスターが活動するときには耳が立っていることが多いですが、耳がピン!と垂直に立っているならば、それは周りを警戒しています。何か音がするため、音が聞こえてくるほうに意識を向けているのです。耳を思い切り広げているので、音を聞きとろうとしているのが分かります。

ハムスターは聴覚が発達しており、可超域(聞こえる音域の範囲)は人間よりもずっと広範囲です。そのため、私たちには何も聞こえていなくても、ハムスターはかすかな音を聞きとって耳をそばだてていることがあります。

◆耳を後ろに倒している

ハムスターが何かしているときに耳を後ろに倒しているのは、今していることに没頭しているためです。周囲の音が気にならないほど集中しています。

一方、ハムスターが耳を倒して「ジジッ」「ジージー」と鳴くときは怖がって威嚇しています。飼い主さんに対してこのような態度を見せるときは「来ないで!」「触るな」と訴えているので、手を出さないようにしましょう。

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◆耳が寝ている

前から見えないほど耳をペタッと寝かせているのは、リラックスしている証拠です。寝ているときも耳をたたんでいます。周りを警戒する必要がないので、耳を立たせる必要がないのです。

ハムスターの耳が寝ているときは触らず、そのままリラックスタイムを過ごさせてあげるとよいでしょう。

◆フリーズする

ハムスターは時々、動いている最中にピタッと動きが止まって固まり、そのまま動かなくなることがあります。この現象は「フリーズする」とも呼ばれていて、何かに驚いた、何かを見つけて警戒しているときにしていると考えられています。
原因は次の通りです。

  • 大きな音がした
  • ほかの動物が近くに来た
  • 急に部屋の電気がついた
  • 知らないにおいを嗅いだ
  • 未知の味がする食べ物を食べた

ハムスターは立ったままフリーズして数分間動かなくなります。その後自然に戻るので、フリーズすること自体は特に心配いりません。

ただ、フリーズはストレスやショックで起きているので、ひんぱんにフリーズすると体に負担がかかってしまいます。飼育環境を整えるなどして、なるべくハムスターを驚かせないようにしましょう。

◆死んだふりをする

死んだふりは前述した「フリーズ」と似た状況です。ハムスターは嫌なことをされそうになったとき、恐怖を感じたときにはそのまま硬直する、またはひっくり返って完全に動かなくなります。

動かないことで自分の気配を消し、外敵に興味を持たれないようにする、または、周りの景色と同化して天敵に見つからないようにするため硬直するのではないか、と考えられています。

野生のハムスターには必要な護身術ですが、安全な環境で暮らすハムスターも「襲われる!」と思ったときには、死んだふりをしてしまうようです。

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こんな仕草を見せたら室温をチェック

かわいらしい仕草で私たちを癒してくれるハムスターですが、こんな素振りが見られたら暑さ・寒さでストレスを感じている可能性が考えられます。室温をチェックして暑さ・寒さ対策をしてあげてください。

◆暑いときに見せる仕草

暑いときは、次に挙げる行動が増えます。

  • 体を伸ばして寝る
  • 仰向けで寝る
  • ずっと口を開けている

このような仕草をするのは体温を放熱するためです。リラックスして寝ているときも伸びて仰向けになることがありますが、6~9月にすることが増えたなら、暑さが原因とも考えられます。ハムスターの飼育環境は15~25℃くらいが適温なので、室温がなるべく25℃を超えないようクーラーなどで温度を調整しましょう。

◆寒いときに見せる仕草

ハムスターにこのような行動が見られたら、寒がっている可能性が考えられます。

  • 動きが鈍くなる
  • 床材や巣穴にもぐって出てこない
  • 巣穴に床材をため込む

寒すぎるとハムスターは体が冷えて免疫力が低下し、体調を崩しやすくなるので、10~4月頃は寒暖差や冷え込みに注意が必要です。室温がなるべく15℃を切らないよう、床材をたっぷり敷く、人間用の暖房やペット用ヒーターを活用するなどして飼育環境を温かく保ちましょう。

また、ゴールデンハムスターは気温10℃以下、ジャンガリアンハムスターは気温5℃以下で「疑似冬眠」と呼ばれる仮死に近い状態に陥りやすくなります。全く動かない場合は疑似冬眠の可能性も考えられます。そのまま命を落とすことが多いので、疑似冬眠にならないよう注意しましょう。

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いつもと違う行動をするときは動物病院へ

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もしもハムスターがいつもと違う行動をするようになったら、どこか体に異変が起こっている可能性も考えられます。次に挙げる行動がみられるときは、すぐに動物病院を受診しましょう。

◆急に攻撃的になる

今まで穏やかな性格だったハムスターが攻撃的になる場合、様々な理由が考えられますが、急性のけがや病気が原因で体に痛みが生じている可能性があります。

◆しきりにしっぽを追いかける

ハムスターが自分のしっぽを追いかける場合は、平衡感覚が保てなくなって体がぐるぐる回ってしまうことが考えられます。平衡感覚に関係する中耳や内耳、脳などの疾患が原因になっている場合があります。

◆ふらふらして転ぶ

ハムスターがふらふらして転ぶ場合は、いくつかの原因が考えられます。

  • 老化による筋力の低下
  • 足のけが
  • 中耳や内耳、脳の疾患

老化による筋力の低下は自然現象なので、ある程度は仕方がありません。転んだときにけがをしないよう飼育環境を整えると安心です。

後ろ足などにけがをしているためにうまく歩けず、ふらついている場合があります。また、耳や脳の疾患で平衡感覚が取れなくなってふらふらしてしまう可能性もあります。原因を確認して適切な治療を受けましょう。


まとめ

ハムスターの行動と行動をとる理由について説明いたしました。あまり心配しなくてよい仕草もありますが、中にはけがや病気、ストレスが原因になっている行動もあるので、おかしいと思ったらまずは獣医師に相談されることをおすすめします。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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