1.インコにとって“保温”が大事な理由とは?
1-1.インコは暖かな地域出身で日本の冬はツラい…
1-2.飼育下のインコは寒さに弱い
1-3.赤ちゃんインコは特に注意
1-4.特に保温が大切なインコとは
2.インコの“寒い”サインを見逃さない
2.インコが寒がっている行動とは?
2-1.インコが快適と感じる室温は?
3.インコの保温にはどんな方法がある?
3-1.暖房が効いた部屋で飼う
3-2.ヒーターを取り入れる
3-3.ケージに囲いをする
3-4.アクリルケースで囲う
3-5.寝床タイプの保温グッズ
4.インコの保温をするときの注意点
4-1.ケージの位置への配慮も重要
4-2.温湿度計で正しく室温管理をする
4-3.乾燥には注意する
4-4.保温器具の設置場所・使い方にも注意する
インコにとって“保温”が大事な理由とは?
インコを家族にして初めての冬…。
どんな保温をしたらいいか不安ですよね。
冬に近づくにつれて気温もグッと下がるので、早めに保温対策について知っておきたいところ。
でも、「本当に保温した方がいいの?」と迷っている人もいるのではないでしょうか。
まずは、インコにとって「なぜ保温が大切なのか?」という部分から考えてみましょう。
◆インコは暖かな地域出身で日本の冬はツラい…
インコに保温が欠かせない理由のひとつは「暖かい地域出身だから」ということです。
インコと言ってもたくさんの種類がいますが、その多くが暖かい地域に生息しています。
たとえば、ペットとして人気が高い「セキセイインコ」はオーストラリア出身。
オーストラリアにも四季があるため冬はやってきますが、日本と比べると比較的温暖で過ごしやすい気候をしています。
一方、日本は南北に長い土地。
季節風の影響も受けるため、場所によっては冬になると雪が降るほどの寒さにもなります。
インコはオーストラリアのほか、南アメリカやアフリカなど南半球の暖かい地域などが原産地のため、日本の冬には寒さ対策が欠かせないのです。
◆飼育下のインコは寒さに弱い
野生のインコと比べると、ペットとして人間の家で暮らす寒さに弱くなりがちです。
「暖かい地域・寒い地域」のどちらにしても、野生で生きるインコは自然界の刺激を受けながら、それに順応するようなたくましい体質となっていくのが普通です。
しかし、ペットのインコたちは厳しい環境に慣れないため、体質的に寒さには弱いでしょう。
◆赤ちゃんインコは特に注意
初めての冬を迎える赤ちゃんインコなら、特に保温への配慮が大事です。
体が未熟ということもありますが、まだ「寒さ」を経験していないので、慣れていません。
寒さへの抵抗力もなく、弱ってしまうこともあるので注意しましょう。
◆特に保温が大切なインコとは
高齢のインコも保温が欠かせません。
年齢的に代謝が悪く体調も悪くなりがちなので、保温をするとともに、日頃の健康チェックも行いましょう。
赤ちゃんでもなく高齢でもない成鳥時期なら、冬も経験済みです。
そのため、健康ならそれほど神経質にならなくてもOKでしょう。
ただ、成鳥でも病気で弱っていれば、しっかりと保温の配慮をしてくださいね。
インコの“寒い”サインを見逃さない
人間でも、住む環境や年齢、体質によって「寒い」という感覚の個人差はあります。
でも、人間なら「寒いから洋服をもう1枚重ねよう」「暖房の温度をあげよう」など、自分で何らかの寒さ対策ができるでしょう。
でも、インコは言葉を話せないので、飼い主さんが「寒がっていないだろうか」と気を配ることが大事です。
そこで、インコが寒がっている行動やインコの適温を覚えておくようにしましょう。
◆インコが寒がっている行動とは?
インコの“寒い”というサインにはどんなものがあるのでしょうか。
インコが寒いときに見せる仕草は、
◎羽根を膨らませる
◎片足立ちで静止する
◎小刻みに震える
などです。
羽根を膨らませると空気が入るスペースができ、暖かい空気を閉じ込めて保温ができます。
羽根に片足を隠すようなポーズで静止することもあるようです。
また、「震える」というのは、寒いときに人間にも見られる行動。
動物全般に共通する寒さサインなのかもしれませんね。
インコが寒がっているかは、このようなサインから感じ取ることもできます。
ただ、寒いとき以外にも上記のような仕草を見せるときもあります。
室温の調整をして暖かくしても、これらの仕草が続くようならほかの病気も考えられるでしょう。
◆インコが快適と感じる室温は?
インコが過ごしやすい温度は、年齢と状態によって変わります。
・ヒナ鳥なら「28~30度」くらい
・7歳前後以降の老鳥なら「25~30度」くらい
・健康に問題のない成鳥なら「20~25度」くらい
年齢的に考えると、上記のような温度がだいたいの目安です。
ただ、健康状態はそれぞれ異なるため、インコの体調管理をしながら適温を判断しましょう。
年齢問わず病気で弱っているなら28~30度くらいと少し高めにした方が良さそうです。
インコの保温にはどんな方法がある?
インコに保温が大事ということは分かっても、「保温と言っても何をすれば…」と思う方もいるかもしれません。
それでは、具体的にインコの保温の方法をいくつか見ていきましょう。
◆暖房が効いた部屋で飼う
インコを飼うなら、暖房環境が整った部屋で飼いましょう。
玄関や小屋などは暖房が使えず、寒い時期になると室温管理が難しい場所です。
屋内ではあっても、暖房環境が整っていなければ、冬には凍えるような寒さとなりインコが弱る可能性もあるでしょう。
また、誰もいない部屋で飼うのは、寂しさでインコがストレスを抱える原因にもなるので向いていません。
◆ヒーターを取り入れる
電気の力を使った保温器具もあります。
いくつかのタイプがあるので、それぞれの特徴をよく理解して設置しましょう。
じんわり温まる「パネルヒーター」
パネルタイプのヒーターは、ケージの外側に取り付けて使います。
近づくと「ほんのり温かい」という程度のヒーターで、火傷のリスクもありません。
寒ければ近づく、温かくなったら離れる…など、インコが自分自身で調整もできるでしょう。
薄型タイプなので設置場所も取らないところもメリットです。
ただ、空気全体を暖める効果はなく、単体では完全な保温対策ができないというデメリットも。
ほかの保温方法と併用して使うといいでしょう。
周辺の空気も温まる「保温電球」
インコの保温対策としては定番と言えるのが保温電球です。
スピーディーに周辺の空気まで温まります。
ただ、ワット数にもよりますが、電球自体が高温となり、直接触れて火傷をするリスクもあります。
ケージの外に取り付けると、インコが電球に直接乗ったりすることもないので安全です。
サーモスタットを併用すれば、設定温度と現在温度の状態によって温まり過ぎや冷え過ぎをコントロールすることができます。
また、火傷防止のために専用のカバーもあります。
しかし、使用が長い時間になるとカバーも高熱になるので、取り扱いには注意しながら使うことが大事です。
インコが喜ぶ「止まり木タイプ」
インコにとっては親しみを感じる形状の止まり木タイプのヒーターもあります。
インコが乗ることで足元からじんわりと温まるタイプの保温器です。
電球やパネルヒーターを怖いと感じる性格のインコには、合っているのかもしれませんね。
ただ、パネルヒーターと同じように、空気全体は温まらないため、ほかの保温対策と合わせるといいでしょう。
◆ケージに囲いをする
飼い主さんが在宅のときは、暖房などで室温管理ができますが「留守中はどうしたらいいの?」という疑問もあるかと思います。
出かけるときに暖房を切っている場合は、ケージを囲って保温するという方法もあります。
カゴを覆う専用のカバーを使ってもいいですが、それ以外でも代用は可能です。
毛布や段ボールなどを囲いにするという飼い主さんも多いようです。
ただ、ケージを何かで囲う場合に注意したいのは「密閉しない」という点です。
「隙間風が入ると寒いかも…」との心配から完全密封すると、酸欠になるリスクもあります。
また、ペットヒーターをつけてから囲った場合、完全密封で温度が上昇する恐れもあるので注意しましょう。
◆アクリルケースで囲う
透明のアクリルケースでケージを囲って保温する方法もあります。
ヒーターも設置することで、アクリルケース内の空気を外に逃がさずに、インコの周辺を温かく保つことができます。
◆寝床タイプの保温グッズ
三角形の寝床タイプの鳥用のベッドもあります。
ハンモックのように、ケージの上部から吊るすスタイルです。
電気を使わないため、単体では温かくなることはありませんが、ふわふわした素材にインコもリラックスできるでしょう。
インコの保温をするときの注意点
インコを保温してあげるとき、やみくもに温かくすればいいというわけではありません。
保温時の注意点をいくつかお伝えします。
◆ケージの位置への配慮も重要
インコのケージを置く場所への配慮も必要です。
窓の近くの場合、窓から冷気が伝わることがあります。
隙間風が入るようなドアの近くも寒くなりがちでしょう。
また、エアコンの風がダイレクトに届くような場所も不向きです。
室内のなかでも温度が上昇しやすく、ヒーターも併せると高温になり過ぎる可能性もあります。
熱中症の症状を引き起こすかもしれません。
また、暖め過ぎることで免疫が下がり、逆に病気のリスクが高まることも考えられます。
◆温湿度計で正しく室温管理をする
室内に温湿度計を設置して、正しい室温管理をしましょう。
エアコンや暖房器具に表示される設定温度は、その温度の風が出てくるわけではありません。
室内を設定温度に近づけるために機械に働きかけているため、実際の温度は異なります。
そのため、温湿度計を設置して正しく管理することが大事です。
温湿度計には、デジタル表示のものやアナログ表示のものがあります。
また、大切なのはインコのケージの近くに置くことです。
同じ部屋のなかでも、上側と下側では温度も異なります。
インコのための室温管理ですから、インコが過ごす場所の近くに置き、日々チェックしてみてくださいね。
◆乾燥には注意する
インコを保温するときには、湿度にも配慮しましょう。
湿度が低く乾燥した空気中は、ウイルスが活発化して繁殖しやすいと言われています。
人間界でも、乾燥しがちな冬にはウイルス性の病気のリスクが高まるものです。
インコも、空気中で活発化したウイルスから病気を発症しやすいので、乾燥には要注意です。
40~60%ぐらいが冬の理想的な湿度ですから、乾燥状態となる40%以下にならないように加湿対策も考えておきましょう。
◆保温器具の設置場所・使い方にも注意する
ヒーターなどの電気器具を使うときには、使用上の注意をしっかり読みましょう。
電気を使うため、思わぬ事故を誘発するケースもあります。
保温電球が熱くなり過ぎると、燃えやすいものの近くに置けば火災のリスクが高まるでしょう。
ガラス素材の場合、高熱状態で水がかかると割れる恐れがあるので、水入れや水浴びの場所から離して設置しましょう。
また、電気器具のコードが露出していると、インコがコードをかじる可能性もあります。
コードを何かで覆う、もしくはインコから見えないようにする対策も必要です。
まとめ
今回は、インコの保温の大切さ、そして具体的にどんな保温方法があるのかをお伝えしてみました。
冬になると人間でも「寒い」と感じることが増えるものです。
インコも寒くてストレスを感じているかもしれません。
インコの寒いサインを見逃さずに、快適に過ごさせてあげたいものですよね。
一度でも冬を越えている健康的な成鳥のインコの場合、保温に対してそれほど神経質にならなくてもいいでしょう。
ただ、体が未成熟な赤ちゃんインコや、体が衰えてきた老齢インコ、病気で不調を抱えているインコは寒さが特に苦手です。
冬を乗り切るため、さまざまな方法で快適な暮らしを守ってあげたいものです。
ヒーターや電球など電気を使った保温方法は、火災や感電、火傷のリスクも考えられます。
使うときには設置場所や使い方にはじゅうぶん注意してくださいね。
また、急な停電や器具のトラブルを想定して、いくつかの保温方法を兼用で試してみるのもいいかもしれませんね。
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