1.ハムスターに人参を与えても大丈夫?
1-1.人参の特徴
1-2.人参に含まれる主な成分
1-3.期待できる効果は?
2.人参の与え方
2-1.生で与える
2-2.茹でる
2-3.小さくカットする
2-4.干し野菜にする
2-5.おやつに挑戦
3.皮や葉は与えても大丈夫?
3-1.人参は皮も食べられる
3-2.葉も栄養豊富
3-3.冷凍食品の人参は?
ハムスターに人参を与えても大丈夫?
人参は小動物に人気の高い野菜です。もちろんハムスターに与えることは問題ありません。
人参は一年中スーパーに並んでいて価格も手頃で、私たちにとってもなじみの深い食材です。手に入りやすく、人参が好きなハムスターも多いので、買った時はぜひハムスターにも分けてあげるといいですね。
また、人参にはハムスターの体調を整える栄養素が含まれているので、間食として食事にプラスすれば健康づくりにも役立ちます。まずは、人参の特徴、含まれる成分、期待できる効果をみてみましょう。
◆人参の特徴
私たちが人参と呼んでいる野菜は、ニンジンの根の部分にあたります。お店で販売されているだいだい色の人参はそのほとんどが「五寸人参」という品種で、甘みとみずみずしさが特徴です。
そのほかに、赤みの強い「金時人参」や「ミニキャロット」と呼ばれる小さな人参、黄色や紫色の人参など、様々な種類がありますが、いずれもハムスターに与えることができます。
◆人参に含まれる主な成分
人参はビタミンやミネラルが多く、健康に良いことでもおなじみですね。ハムスターに与える上で注目したいのは「βカロテン(ベータカロテン)」という成分が豊富に含まれているところです。
βカロテンは、カロテノイドという黄色い色素の一種で、人参やかぼちゃなどの緑黄色野菜に含まれています。このカロテノイドは、体内に取り込まれると「ビタミンA」に変わります。ビタミンAは人や動物の体に欠かせない栄養素です。
もし、ハムスターにビタミンAが不足すると、毛艶が悪くなったり発育に影響が出たりします。そのため、カロテノイドが豊富な食品を与えることがとても重要になってくるのです。
カロテンという名前は人参の英名「キャロット」から付けられたというほどで、人参のβカロテンの含有量は、食品の中でもトップクラスをほこります。人参なら、ごく少量を食べるだけでβカロテンがしっかりとれるので、体の小さなハムスターのビタミンA補給に大変おすすめできます。
そのほか、体内のpHを調節するカリウム、腸の調子を整える食物繊維も多く含まれ、ハムスターの体調管理に役立ちます。
◆期待できる効果は?
ハムスターに人参を与える上で期待できる効果は次の3つです。
◎皮膚や被毛、粘膜が丈夫になる
◎免疫力を高める
◎かじることで歯の伸び過ぎを防ぐ
人参に含まれるβカロテンは体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を丈夫にします。そのため、ハムスターに与えると、毛並みが良くなる、皮膚や粘膜の乾燥を防ぎ皮膚や目を病気から守る効果が期待できます。
また、ビタミンAには免疫力を高める作用があるので、病気の予防にも役立ちます。
そして人参は適度な硬さがあるため、ハムスターがかじることで歯の伸び過ぎを防ぐことにもつながります。
また、葉物野菜は水分が多く含まれているため、ハムスターが食べると下痢を起こす心配があります。葉物野菜の水分含有量が95%前後ですが、人参の水分含有量は約89%とやや控えめです。そのためハムスターの下痢が気になる場合も、人参なら比較的安心して与えることができます。
人参の与え方
人参をハムスターに与える場合、生のままでも加熱したものでもどちらでもOKです。ただ、与え方によって食感や食べやすさは変わってくるので、ハムスターの好みや体調に合わせて工夫されるといいですね。
◆生で与える
一番おすすめしたいのは、生のまま与えることです。切るだけなので手間がかかりませんし、生の人参は歯ごたえがあるので歯の伸び過ぎを防ぐ目的でハムスターに与えることができます。
また、人参には加熱すると壊れるビタミンB群、ビタミンC、カリウムなどが含まれているので、栄養素を守る意味でも加熱せずに与えることをおすすめします。
◆茹でる
人参は加熱すると柔らかくなるので、歯の調子が悪い子には生ではなく茹でたものを与えるとよいでしょう。
また、人参は果物ほどではありませんが「ショ糖」という糖質が多く含まれ、加熱することでショ糖の甘みが増します。甘いので、ハムスターによっては生より茹でた人参を好むこともあります。
与える際は、ご家族の食事を調理する過程で、茹でた人参の一部をハムスターにお裾分けすると便利です。あるいは、ハムスターが食べる分だけをラップで包んで電子レンジで加熱してもよいでしょう。
なお、人参には加熱によって壊れてしまう栄養素もありますが、βカロテンは茹でても壊れないので、加熱してもβカロテンはしっかり補給できますよ。
◆小さくカットする
人参は、ハムスターが手に持って食べられる大きさにカットしましょう。5㎜角くらいの大きさが食べやすく、1個分として適量といえます。ちなみに、5㎜角の人参(生)で、重さは約0.5gとなります。
◆干し野菜にする
野菜を食べると下痢しやすい子には、人参を干し野菜にして与えるのもおすすめです。人参はせん切りにしてからざるに広げて並べ、風通しの良いところで1~2日干してカラカラにするだけで干し野菜になります。
◆おやつに挑戦
中には人参が嫌いな子、特に興味を示さない子もいますよね。「うちの子にも人参の味を楽しんでもらいたい」と思われる方は、小動物用のおやつを試してみてはいかがでしょうか。
小動物用おやつ こだわりおかし 雪下にんじんたまご入りボーロ 20g(コジマ)
甘味が強いことで知られる雪下人参を贅沢に使った、食べやすいボーロ。ハムちゃんも喜んで食べてくれることでしょう。
皮や葉は与えても大丈夫?
実は、人参は捨てる部位が少なくヘタを除けばほとんど食べられる野菜です。皮や葉っぱの部分もハムスターに与えて問題ありません。
◆人参は皮も食べられる
人参は皮をむかなくても、私たち人間もハムスターもそのまま食べることができますよ。
「表面に農薬や泥が付いているんじゃないの?」と思われる方がいるかもしれませんが、人参は土の中から掘り出したものなので農薬はかかっていません。また、市販の人参は出荷される段階で洗浄してあり、その際に表面の皮が取り除かれているので、家庭では皮をむく必要がないのです。ですから、お店から買ってきた人参は表面をよく洗って、そのまま丸ごと使うことができます。
どうしてもハムスターに与えることに抵抗のある場合は、表面を包丁やピーラーでむいてから、その内側の部分を与えるとよいでしょう。むいた部分は、きんぴらやかき揚げなどにして美味しく召し上がっていただけます。
なお、お店で買ったものではなく畑で収穫してきた人参には皮と土が付いています。皮の部分をハムスターに与える場合は十分に洗ってください。皮の部分には特に栄養が多く含まれているといわれるので、捨てるのはもったいないですね。
◆葉も栄養豊富
葉の部分は「葉にんじん」とも呼ばれ、食用として流通しています。ほろ苦い味と芳香が特徴で、私たち人間はもちろん、ハムスターも食べることができます。
葉は、人参の根の部分に比べてビタミンC・E、葉酸などが多く含まれ、貧血や老化を防止する効果が期待できます。また、根の部分ほどではありませんがβカロテンも含まれるので、βカロテン、ビタミンC・Eの相乗効果で抗酸化作用を高める効果も期待できます。
ただ、葉にはカルシウムとシュウ酸が含まれるため、頻繁に与えていると尿路結石のリスクが高まります。ですから、ハムスターが気に入っているとしても葉ばかり与えることは避けましょう。また、葉には農薬が残っている可能性があるので、十分に洗って水気をキッチンペーパー等で拭いてから与えるようにしてください。
お店で販売される人参は葉を切り落としたものがほとんどです。葉を目にすることは少ないのですが、お店によっては葉が丸ごと付いた人参、または葉にんじを販売していることがあります。興味のある方はチェックしてみてくださいね。
ペット用の葉にんじんもおすすめですよ!
なごみ 葉にんじん 30g(アラタ)
国産で安心して与えられる、乾燥タイプの葉にんじんです。うさぎのほか、ハムスターなどの小動物にもおすすめ。
◆冷凍食品の人参は?
冷凍食品の人参は調理をする上ではとても便利なのですが、ハムスターには積極的におすすめしません。
冷凍食品は、人があくまでも食べる前提で原料を選んで加工してあります。ミックスベジタブルの人参などはハムスターが食べやすそうな形状ですが、できればハムスターには新鮮な人参を与えることをおすすめします。
家庭で野菜を冷凍しておいて、解凍した物を与えるのはよいですが、家庭の冷凍室では冷凍している間に品質や栄養価が低下していく可能性があるので、早めに与えるようにしましょう。
人参を与える時の注意点は?
人参はハムスターに安心して与えられる野菜ですが、誤った与え方をすると健康に良くない影響を及ぼします。人参を与える時は、以下の点に注意しましょう。
◆人参ばかりを与えない
スーパーで買いやすく便利な野菜だからといっても、ハムスターの主食にしたり、間食に人参ばかり与えたりすることは避けましょう。人参ばかり食べていると栄養のバランスが偏り、体調を崩しやすくなります。
人参はあくまでも間食の位置づけで、1週間に1~2回くらいの頻度で与える程度にしましょう。
また、人参は糖質がやや多めに含まれ、その分カロリーも高めになっています。ですから、人参を食べ続けると肥満や糖尿病のリスクが高まる可能性があります。もしハムスターに人参を与える場合は、糖質の少ないキャベツや小松菜などとローテーションで与えるとよいでしょう。
◆与え過ぎに注意
人参を一度にたくさん与えることも良くありません。水分過多になって下痢をしたり、お腹いっぱいで主食のペレットが食べられなくなったりします。
1回あたりの人参の量は5㎜角に切ったもの1~2個で十分です。乾燥させたものを与える場合も同等の量にします。葉を与える場合も、カルシウムのとり過ぎが心配されるので一つまみ程度にしてください。
◆新鮮なものを
人参は、必ず新鮮なものを与えましょう。古くなったものは栄養価も落ち、傷みやカビが生じやすくなっているので、ハムスターの健康ためにも良くありません。
全ての食品にいえることですが、買ってきたら早めに使いましょう。人参の表面が黒ずんでいるもの、ぬめりがあるもの、ぶよぶよしてきたものは劣化している証拠なので、ハムスターには与えないことをおすすめします。
体調を崩した場合の対処方法は?
人参はアクや刺激の少ない野菜なので、新鮮なものを適量与えていれば、ハムスターが体調を崩す心配は少ないと考えます。
ただ、体調によっては、人参を食べることで水分が消化器官に負担をかけ、軟便や下痢を引き起こす可能性があります。
もしハムスターが下痢をした場合には、人参、その他の野菜、果物を与えるのを中断してください。そして、下痢をした時は体力が低下しやすくなるので、飼育環境を適温に保ち静かに休めるようにします。下痢が半日以上続く場合は受診をしてください。
まとめ
人参はお店に年中売っていて値段も手頃、私たちの食卓にもハムスターの食事にも非常に使いやすい野菜といえます。βカロテンが豊富で、毛艶を良くしたり免疫力を高めたりする効果が期待できるところも嬉しいですね。ただ、食べすぎると健康に良くない影響を及ぼすので、適量を知って正しい方法で与えることをおすすめします。
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