1.うさぎはストレスを感じることがある?
1-1.繊細な性格は敵から身を守るため
1-2.ささいなこともストレスに
2.ストレスの原因
2-1.飼育環境
2-2.環境の変化
2-3.音
2-4.におい
2-5.寂しい
2-6.干渉し過ぎ
2-7.ほかのうさぎや動物
3.ストレスを感じるとどんな行動をする?
3-1.元気がなくなる
3-2.食欲が低下する
3-3.毛づくろいをすることが増える
3-4.物をくわえて投げる
3-5.鼻を鳴らす
3-6.スタンピング(足ダン)する
3-7.噛む
3-8.隅で身体を丸めてうずくまる
4.ストレスが溜まると病気になるの?
4-1.消化管うっ滞・毛球症
4-2.皮膚炎
4-3.感染症
4-4.ソアホック
5.うさぎのストレスの対処法
5-1.快適な飼育環境を提供する
5-2.生活のリズムを整える
5-3.適度に運動させる
5-4.コミュニケーションを心がける
5-5.環境の変化に注意する
5-6.元気がない時は受診を
うさぎはストレスを感じることがある?
うさぎもストレスを感じます。むしろ、うさぎはストレスを感じやすい動物といえるでしょう。
ストレスというのは「外部から受ける刺激によって心身になんらかの反応が起こること」です。精神的なストレスのほか、暑さ、寒さ、不快感や体の痛みなどがストレスになります。
毎日平和に過ごしているように見えるうさぎさんも、さまざまなストレスを抱えているかもしれないのです。
◆繊細な性格は敵から身を守るため
うさぎがストレスを感じやすいのは、繊細で臆病、外部からの刺激に敏感な動物だからです。これは、自然界で捕食される側にあり、常に周りにアンテナを張っておかなければならないことに関係しています。
うさぎを含む動物には、外敵に襲われた時とっさに逃げたり攻撃したりできるよう、危険を察知した時にアドレナリンを分泌させ緊張を高める「防衛反応」が備わっています。
うさぎはこの防衛反応によって、危険を察知し素早く走って逃げることができます。繊細な性格と感覚の過敏さは、うさぎが自然界で生き抜くために欠かせない要素といえるのです。
◆ささいなこともストレスに
捕食される側にあるうさぎは、外敵にすぐ気付けるよう聴覚や嗅覚もとても発達しています。そのためかすかな物音やにおいを敏感にキャッチします。
ただ、うさぎは臆病で物音やにおいにも不安や緊張を感じやすいため、私たち人間にはささいな刺激ですらストレスになってしまうことが多いのです。
ストレスの原因
ペットのうさぎは、野性のうさぎに比べるとかなりリラックスして過ごしています。それでもうさぎの本能から常にアンテナは張りめぐらしているため、日常生活にストレスを感じることがあるのです。
では、うさぎはどのようなストレスを感じやすいのでしょうか。
◆飼育環境
飼育環境に問題があるとストレスを感じやすくなります。ケージの置き場、気温や湿度、不潔な環境などはストレスの原因につながります。
うさぎは静かで落ち着いて過ごせる場所を好むので、ドアの近く、人が頻繁に行き来するような場所にケージを置くと、ストレスが溜まりやすくなります。
また、暑さと寒暖差が苦手で、夏や季節の変わり目は体調を崩しやすくなります。
また、きれい好きで体が濡れることも嫌うので、ジメジメした所も苦手です。ケージやトイレが汚れていると、それだけでうさぎは機嫌が悪くなります。
◆環境の変化
うさぎは、以下に挙げるような環境の変化も苦手です。
◎家に知らない人が来た
◎エサが変わった
◎ケージ内のレイアウトが変わった
◎外出、キャリーでの移動、受診
特に知らない場所や物には不安を覚え、ストレスを感じてしまいます。
◆音
うさぎは耳が大きくて聴覚が発達しているので、周りのいろいろな音が耳に入りやすく、不快な音もストレスになります。
また、スタンピング(通称「足ダン」)をして仲間に危険を知らせる習性があるので、スタンピングの音に似た「ダン!」という重低音を聴くと、怯えたりパニックになったりすることがあります。
たとえば、ドアが勢いよく閉まる音、工事の音、人のくしゃみや大声などが聞こえると、それに反応してスタンピングをすることがあります。
◆におい
うさぎの鼻は異変を察知するセンサーでもあり、常に鼻をひくひくさせ、においで周りの様子をうかがっています。
嗅覚が優れていて、香水や柔軟剤などの香りはうさぎには強すぎるためストレスになってしまうことがあります。
◆寂しい
うさぎは群れで暮らす動物なので仲間意識があり、飼い主さんとのコミュニケーションを好みます。そのため、飼い主さんにあまり構ってもらえないと、寂しさや退屈さを感じてストレスが溜まりやすくなります。
うさぎは「寂しいと死ぬ」という俗説も聞きますが、精神的なストレスが直接の原因で死んでしまうことはありません。ただ、甘えん坊で飼い主さんの愛情を求める子が多いのは事実です。
◆干渉し過ぎ
干渉し過ぎも、かえってうさぎのストレスとなります。
個体差もありますが、うさぎは仲間意識を持ちながらも基本的には適度な距離感を好みます。そのため、人が頻繁にケージの中をのぞいたり手を入れたり気乗りしない時に触られたりすると、落ち着けずイライラしてしまいます。
◆ほかのうさぎや動物
うさぎは縄張り意識が強いため、ほかのうさぎや動物の存在がストレスになることもあります。
ストレスを感じるとどんな行動をする?
うさぎは感情表現が乏しいと思われがちですが、毎日観察しているとうさぎの態度からストレスに気付くことができますよ。うさぎはストレスを感じるとどんな行動をするのでしょうか。
◆元気がなくなる
ストレスを感じているうさぎは元気がなくなります。
元気なうさぎは目に輝きがあって活発に動き回り、見るからに楽しそうです。一方で、ストレスを感じているうさぎは表情がぼんやりとして動きも鈍くなり、元気がないように見えます。
◆食欲が低下する
環境が変わった時、気温の寒暖差があった時などはそれがストレスとなり、一時的に食欲が低下することがあります。
◆毛づくろいをすることが増える
うさぎはもともときれい好きなので、こまめに毛づくろいをします。ただし、頻繁に毛づくろいをするようになった場合は、ストレスや病気(違和感のある場所を舐めている)が原因になっていることも考えられます。
◆物をくわえて投げる
うさぎによっては、気に入らないことがあった時、怒っていることを飼い主さんにアピールしたい時に、物をくわえて振り回したり投げたりします。
たとえば、
●エサが気に入らないので皿ごとひっくり返す、
●食事の時間になったのに食器が空っぽなのでイライラして食器を振り回す
●おもちゃやトイレにやつ当たりする
といった行動がとることがあります。
◆鼻を鳴らす
怒った時には「ブッ!」と短く鼻を慣らします。嫌なことをされてストレスを感じた時にすることが多いです。
◆スタンピング(足ダン)する
怒っている時、興奮している時にスタンピングをします。
1回スタンピングする場合は気に入らないことに対して怒りや不満を伝えるため、しばらく繰り返す場合は物音などにおびえて興奮している可能性があります。
◆噛む
うさぎが人の手を噛むのは、強いストレスや恐怖を感じていることが考えられます。臆病なうさぎ、縄張り意識の強いうさぎは、飼い主さんがケージに手を入れた時に抵抗する意味で噛んでくることがあります。
◆隅で身体を丸めてうずくまる
隅でうずくまっている場合は体調不良が考えられます。うさぎはどこか痛みがあると隅に隠れてじっと耐え、体調不良を隠そうとする習性があるので、この場合は受診するなどして早めに対処する必要があります。
ストレスが溜まると病気になるの?
ストレスは自律神経や免疫のバランスを乱し、さまざまな体調不良や病気を引き起こします。うさぎは、ストレスを感じると以下の病気にかかりやすくなります。
◆消化管うっ滞・毛球症
「消化管うっ滞」は、胃腸の動きがとどこおって食欲不振、腹痛、糞の量が減る、などが起こる病気です。うさぎにとても多く、ストレスによる食欲低下や胃腸の機能低下が原因で起こります。
「毛球症」は、飲み込んだ毛が毛玉になって胃や腸に詰まってしまう病気です。
通常、うさぎが飲み込んだ毛は糞と一緒に排出されますが、胃腸の動きが悪くなると毛が排出されにくくなります。たまった毛が毛玉になると胃や腸で詰まってしまい、糞が出なくなる、ガスが溜まるといった症状を引き起こします。
換毛期、季節の変わり目、ストレスで体をよく舐めるうさぎに起こりやすいので注意が必要です。
◆皮膚炎
ストレスをまぎらわすために同じ所ばかり毛づくろいをしていると、脱毛や唾液によるかぶれが起こりやすくなります。
◆感染症
ストレスによって免疫力が低下すると、さまざまな感染症にかかりやすくなります。うさぎがかかりやすい感染症では「パスツレラ感染症」「エンセファリトゾーン症」が知られます。
◆ソアホック
「ソアホック」は、足の裏の一部の毛が抜けて、むき出しになった皮膚にただれや潰瘍を伴う病気です。
頻繁にスタンピングをするうさぎは、足の裏の毛がすり減って「ソアホック」を引き起こすことがあります。
うさぎのストレスの対処法
うさぎを取り巻くストレスは、飼い主さんの工夫によって取り除くことができます。うさぎが快適に過ごせるよう、しっかりとストレスに対処していきましょう。
◆快適な飼育環境を提供する
まず、うさぎが快適に過ごせるよう飼育環境を整えることが大切です。
うさぎが快適に過ごせるのは室温15~25℃、湿度40~60%くらいの環境です。暑さ・寒さ対策を取り入れながら、なるべく一年を通して一定の温度を保つよう心がけましょう。
ケージは直射日光や冬のすき間風を避け、風通しの良い場所にケージを設置します。大きな音、強いにおいもうさぎが嫌がるので避けましょう。
ケージ、トイレはこまめに掃除して、清潔な状態を保ちます。清潔な飲み水と牧草は常に十分な量を用意しておきましょう。
◆生活のリズムを整える
うさぎの生活リズムにあわせ、毎日決まった時間帯に食事や運動をさせるよう心がけます。
うさぎは時間に正確で、1日のルーティンが決まっている子が多いようです。飼い主さんの都合で、日によって食事やおやつ、遊ぶ時間がずれると、うさぎはストレスを感じます。
また、お世話がおろそかになるとうさぎは体調を崩します。うさぎを飼っている間は、なるべくうさぎの生活にあわせて飼い主さんのスケジュールを組むようにしてあげてくださいね。
◆適度に運動させる
運動不足はストレスにつながります。1日30分はうさぎをケージの外に出して部屋んぽをさせましょう。サークルの中で飼育して、いつでも遊べるようにしておくのもおすすめです。
◆コミュニケーションを心がける
うさぎは愛情不足でもストレスを感じるので、適度なコミュニケーションを心がけます。
お世話をする時にやさしく声をかけたり、毎日決まった時間におやつを与えたり一緒に遊んだりして、飼い主さんと過ごす楽しい時間を設けましょう。
ただ、干渉し過ぎはかえってストレスになるので、うさぎが寝ている時、寄ってこない時はそっとしておきましょう。
◆環境の変化に注意する
うさぎは環境の変化に弱いので、お迎えしたばかり、引越しや一時預かり、ケージでの移動による体調の変化にも注意します。
うさぎが緊張している時は、ケージにカバーをかけるなどして落ち着ける状況を作ってあげるといいですね。
◆元気がない時は受診を
「昨日まで元気だったのに、ストレスで急に体調が悪くなる」というのはうさぎによくあるパターンです。
元気がなく、エサを食べない、糞が出ない、隅にうずくまって動かない、という場合はすぐ動物病院を受診しましょう。
まとめ
うさぎのストレスは不調や病気の原因になります。しかし、私たちが日常的になにかしらのストレスを感じるように、うさぎも「暑い」「痛い」「寂し」「イヤだ」などさまざまなストレスを感じます。うさぎに元気に長生きしてもらうには、ストレスを減らしてあげることが必要です。日頃からうさぎの様子を観察し、ストレスになりそうな要因があれば取り除いてあげましょう。
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