1.モモンガとムササビ…いったいどこがどう違うの?
1-1.◆違い1.【体の大きさ】モモンガの方が小さい
1-2.◆違い2.【目の大きさと位置】大きな目が横についたモモンガ
1-3.◆違い3.【顔にある白い模様】ムササビにある白い模様は“白門”
1-4.◆違い4.【しっぽの形状】円筒のカタチをしたムササビのしっぽ
1-5.◆違い5.【ライフスタイル】集団行動のモモンガ・単独行動のムササビ
1-6.◆違い6.【生息している地域】世界中に分布するモモンガ・日本にしかいないムササビ
1-7.◆違い7.【滑空できる距離】遠くまで飛べるムササビ
1-8.◆違い8.【飛膜の付き方】飛膜の付き方が広いムササビ
1-9.◆違い9.【寿命】ムササビの方が長生き
1-10.◆違い10.【鳴くときの声】ムササビの方が鳴き声の音量は大きい
1-11.◆違い11.【被毛】濃い茶色のムササビ・さまざまな色合いのモモンガ
2.ペットとして飼えるのはどっち?
2-1.◆ペットとして飼育禁止のムササビ
2-2.◆モモンガはペットショップから迎えることができる
3.モモンガをペットにしたい!飼育時の注意点とは?
3-1.◆モモンガの安全を第一に考えた飼育環境を
3-2.◆ストレスに注意する
3-3.◆いざというときの動物探しをしておく
モモンガとムササビ…いったいどこがどう違うの?
モモンガとムササビは、とても似た雰囲気がありますが、動物としての分類はまったく異なります。
違いについて、ポイントごとにお伝えしていきます。
◆違い1.【体の大きさ】モモンガの方が小さい
モモンガは12~15センチ程度です。
大きさ的には、人間の手のひらに乗るぐらいですから、サイズ感は小さめと言えるでしょう。
一方のムササビは、モモンガよりも一回りは大きく、体長は25~50センチ程度です。
長めのしっぽを含めると70~80センチほどとかなり大きく感じるでしょう。
個体差はあるものの、体重が200グラムもないモモンガに対し、ムササビは1~1.5キロ程度にもなります。
その体の大きさの違いは分かりやすく、両者の飛ぶ姿について、モモンガは“ハンカチ”、ムササビは“座布団”と言われることがあります。
◆違い2.【目の大きさと位置】大きな目が横についたモモンガ
モモンガの顔は、「大きな目」が特徴的です。
リスを彷彿させるような顔立ちをしています。
体のサイズの割に目が大きいので、とても可愛らしい印象です。
ムササビはそれほど目が大きくありません。
また、目の位置も少し異なります。
モモンガは顔の横寄りに目が配置されています。
ムササビは正面についています。
◆違い3.【顔にある白い模様】ムササビにある白い模様は“白門”
ムササビには、顔に“白門”と呼ばれる模様があります。
耳の下から頬にかけて輪郭をなぞるように描かれている白い毛の部分です。
この模様は、モモンガの顔には存在していません。
◆違い4.【しっぽの形状】円筒のカタチをしたムササビのしっぽ
ムササビのしっぽは、「太い・長い・丸い」という円筒形状をしています。
しっぽだけでも、25~40センチと長めです。
滑空するときは体としっぽをすべて広るので、かなりの大きさに感じられるでしょう。
一方のモモンガのしっぽは、10~15センチ程度の長さしかなく、平たい形状をしています。
◆違い5.【ライフスタイル】集団行動のモモンガ・単独行動のムササビ
モモンガは5~10匹以内の集団で行動を共にして暮らしています。
だいたいの場合、5匹前後ですが、多ければ10匹と大家族です。
一方のムササビは、自由気ままなおひとり様行動をする動物です。
◆違い6.【生息している地域】世界中に分布するモモンガ・日本にしかいないムササビ
まず、「モモンガ」と言われている動物ですが、いくつかの種類があります。
●げっ歯目リス科に属する…「アメリカモモンガ」「ニホンモモンガ」「エゾモモンガ」
●有袋目フクロモモンガ科に属する…「フクロモモンガ」
このうち、ペットとして見かけることができるのが「アメリカモモンガ」と「フクロモモンガ」です。
アメリカモモンガやフクロモモンガは、世界中に生息しています。
そのほかは野生に分布しているのが、本州や四国、九州に野生している「ニホンモモンガ」、北海道だけに野生している「エゾモモンガ」で、ペットにはできません。
最近では、アメリカモモンガもペットとしては見かける頻度が減り、日本で多く流通しているのはフクロモモンガの方です。
一方、ムササビは日本の固有種で、日本にしか存在しません。
また、日本国内には野生のモモンガとムササビがいますが、生息エリアにも違いがあります。
モモンガの活動範囲は主に山地です。
標高の高い山林で見かけるケースが多い動物と言えるでしょう。
ムササビも山で暮らしますが、人間が暮らすエリアでも大きな木があれば登場します。
神社など大木があるような平地では見かけることもあるでしょう。
◆違い7.【滑空できる距離】遠くまで飛べるムササビ
モモンガは、「木→木へ」というイメージで20~30mも飛ぶことができます。
哺乳類なのにそんなに空中にとどまっていられるのはすごいと感じますが、ムササビはその上をいく滑空距離の持ち主です。
モモンガと比べると3~5倍近くの100mほどを颯爽と空中を舞うことができます。
これだけ滑空距離が異なるのは、体重の差が数倍もあるからです。
体格が大きい分、ムササビの飛行力には勢いがつき、遠くまで飛べるのかもしれませんね。
ムササビは体が大きいので、飛んでいる姿を下から見るとまるで座布団のようです。
モモンガもムササビが空中にいると「飛んでいる!」と思いますが、鳥のように翼が原動力となっているわけではありません。
そのため、地上から木の上…というように、低いところから高いところへの移動は不可能です。
基本的に木のうえで生活する彼らにとって、“飛ぶ”というよりも“移動している”といったイメージとなるでしょう。
また、彼らが空中に浮いていられるのは、両者ともに存在する“飛膜”のおかげです。
まるでハンググライダーや紙飛行機のように広がり、風を受けながら空中を移動できます。
◆違い8.【飛膜の付き方】飛膜の付き方が広いムササビ
モモンガとムササビには、飛膜が体に備わっています。
飛膜とは、鳥以外が持つ滑空のために発達した膜です。
遠くへ飛べるムササビの方が、体に対する飛膜の面積の割合が大きいです。
首から前足、前足から後足、後足からしっぽというように、首やしっぽのあたりにも飛膜がついています。
一方、モモンガの飛膜の範囲はムササビよりも狭く、前足と後足の間にしかないのです。
◆違い9.【寿命】ムササビの方が長生き
アメリカモモンガは5年ほど、フクロモモンガは5~7年ほどです。
しかし、人間に飼育されると10~15年と長寿命のケースもあります。
野生のムササビは10年前後の寿命と言われています。
自然で生きるよりも飼育下の方が長生きできる確率が高まるでしょう。
◆違い10.【鳴くときの声】ムササビの方が鳴き声の音量は大きい
鳴き声は、ムササビの方が大きいです。
可愛らしい姿からは想像できませんが、低く力強い声で「グルルルル!」「キュルルル!」と鳴きます。
機械的なものが動くときの音に似ているかもしれません。
また、モモンガは、ムササビと比べると音量は低いです。
モモンガと言っても、フクロモモンガとアメリカモモンガでは鳴き声に違いがあります。
アメリカモモンガは超音波で鳴きますが、フクロモモンガは気持ちによって鳴き声を使い分けます。
怒っているときには「カチカチ」「ギーギー」、ご機嫌なときには「プシュプシュ」「クック」などです。
◆違い11.【被毛】濃い茶色のムササビ・さまざまな色合いのモモンガ
ムササビの見た目は、濃い茶色をしています。
モモンガは、アメリカモモンガやフクロモモンガなどの種類によって見た目の色合いが異なります。
アメリカモモンガは全体的に褐色で、お腹周辺は白っぽい毛色です。
フクロモモンガは、青みがかったグレーに背中のラインに黒い模様、お腹周りが白い見た目をしています。
近頃は、フクロモモンガはペットとして多く流通していることもあり、人工的な繁殖でカラーバリエーションが多彩です。
白やクリームなどの明るい毛色をしたフクロモモンガもいます。
ペットとして飼えるのはどっち?
夜行性で滑空できるという共通点はあるモモンガとムササビ。
こうして細かく比較すると違いがよく分かりますが、パッと見たときの雰囲気はかなり似ています。
ムササビの方が一回り大きいサイズ感ですが、全体的な雰囲気はとても似ています。
ペットとして育てることはできるのでしょうか?
◆ペットとして飼育禁止のムササビ
まず、ムササビについてですが、鳥獣保護法に基づき「捕獲や駆除をしてはならない」という“非狩猟鳥獣”です。
日本ではムササビは広く分布していますが、個体数が多いわけではなく、法で保護されているのです。
自治体で認可された動物園などで、「いずれ野生に戻す」という前提で一時的な保護が認められるケースもあります。
◆モモンガはペットショップから迎えることができる
一方、モモンガはペットとして飼うことが可能です。
フクロモモンガは、近年、ペットとしての人気が高まっている動物です。
ただし、鳥獣保護法により、エゾモモンガやニホンモモンガなど、日本固有種のモモンガはペットショップでも販売されておらず、山で生息している場合でも捕獲してペットにすることもできません。
モモンガをペットにしたいときには、ペットショップ経由でフクロモモンガやアメリカモモンガなどを飼うことになるでしょう。
モモンガをペットにしたい!飼育時の注意点とは?
モモンガを飼うとき、どんなことに気をつければいいでしょうか。
◆モモンガの安全を第一に考えた飼育環境を
基本的には、安全なケージのなかで育ててあげましょう。
市販なら、小動物や小鳥などを想定したものがあります。
ときには、ケージから出して遊ばせることもあるかと思いますが、さまざまなリスクを想定しておかなければなりません。
●テレビや洗濯機、家具などの裏の隙間に落下する
●ドアや窓から脱走する
●浴槽やトイレなど水溜まりで溺れる
●電気コードをかじって感電する
●ゴミやタバコの吸い殻を誤飲する
●犬や猫などほかの動物にいたずらされる
など、家のなかには事故の原因となることがさまざまあります。
体が小さいため、目を離したことで行方不明やケガの可能性があるので注意が必要です。
◆ストレスに注意する
ペットとして飼える種類のモモンガは、比較的、人馴れしやすいと言われています。
ただし、初めて会った瞬間から打ち解けられるほどの社交性はありません。
そもそも、臆病で繊細な性格ですから、まずは環境に慣れるところからスタートすべきです。
飼い主さん的には「少しでも早く距離を縮めたい」と思うかもしれませんが、まずは緊張を和らげるようにそっとしておきましょう。
ケージの近くで大きな音を出したり、顔を近づけてのぞき込んだりなど、モモンガが「怖い・いやだ」とストレスに感じることはNGです。
◆いざというときの動物病院探しをしておく
“ペット”という観点で見ると、モモンガはまだまだメジャーとは言えない動物です。
近くに動物病院があっても、モモンガは診察できないケースはあります。
「食欲がない」「下痢をしているみたい」「元気がない」など、病院に連れていくべきか迷うような症状も飼っていくうえで少なからずあるものです。
しかし、様子を見ているうちに急激に症状が悪化するケースも考えられます。
そんなタイミングで動物病院探しをしても、身近に受診できるところがなければ大変です。
体調を崩している段階から早めに受診した方が良いケースもあります。
そのためモモンガを飼うと決まったときから、動物病院探しをしておくことをおすすめします。
まとめ
モモンガとムササビは、一見、とてもよく似ている動物です。
その姿を身近で見たという人は少ないかもしれませんが、「マントのようなものを広げて飛ぶ動物」というイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。
確かに共通点はたくさんありますが、細かなポイントを比較するとまったく違う動物であることがお分かりいただけたかと思います。
また、日本固有種のムササビは、たとえ山で見かけたとしてもペットにはできません。
モモンガは、ペットショップを経由すればペットとして一緒に暮らすことが可能です。
馴れるまでには時間がかかりますが、飼い主さんに心を開いてくれたときには、一層喜びが深まります。
時間をかけて、ゆっくり愛情を育んでくださいね。
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