1.シナイモリ(チュウゴクイモリ)とはどんな生き物?
1-1.生息地、生態
1-2.特徴
1-3.アカハライモリとの違い
3.シナイモリの飼育に必要なもの
3-1.ケージ、水槽
3-2.敷砂
3-3.フィルター
3-4.水温計
4.シナイモリの飼育方法
4-1.エサの与え方
4-2.温度管理
4-2.水深
4-4.必要なお世話
シナイモリ(チュウゴクイモリ)とはどんな生き物?
チュウゴクイモリとも呼ばれるシナイモリは中国中東部に生息しているイモリの仲間で、日本でポピュラーなアカハライモリと形態や体色の点において非常に似ています。
シナイモリ自体丈夫な上に飼育方法はアカハライモリと非常に似ているので飼いやすいです。しかし日本ではなかなか流通しない珍しい種なので、見つけた時にすぐ購入する事をおすすめします。
◆生息地、生態
中華人民共和国の中東部(江西省や浙江省など)に生息している固有種で、チュウゴクイモリとも呼ばれます。
標高30mから1000mを生息域とし、湿原や池、水田で見かけられます。
また、昆虫や魚類、両生類の幼生など小さな動物を捕食します。繁殖時期は3〜7月頃で、1年で100〜200個程の卵を産みます。折り返した水草の中に1個ずつ産卵していき、卵は2〜3週間程で孵化します。
◆特徴
成体の全長が6.1〜9.8cmで、頭胴長はオスが3.7〜4.1cmなのに対してメスは4.1〜5.4cmなので、オスよりもメスの方が大きくなります。
皮膚の表面には小さな凹凸があり、背側正中線に稜が発達しません。尾部は頭胴長よりも短いです。
体色に関しては、背側は暗褐色もしくは黒色で、喉から尾前半部にかけての腹側は赤色もしくは橙色になります。耳腺は良く発達し、喉にはしっかり横皺が確認出来ます。四肢が短く、後肢の趾は5本あります。オスでは総排泄口後端の肉壁に突起が確認出来ます。
◆アカハライモリとの違い
アカハライモリは日本の固有種なのに対して、シナイモリは中国の固有種なので、棲み分けがなされているのがポイントです。
そのため遺伝子レベルでの系統分類学的差異もあります。見た目はアカハライモリと非常によく似ていますが、シナイモリはアカハライモリよりも赤みが弱くオレンジ色に近いです。また、アカハライモリやシリケンイモリよりも体表の凹凸が少ないのが特徴的です。
シナイモリは陸棲?水棲?
湿原や池、水田など水のあるところに生息しているのですが、幼体期の陸棲時など陸で過ごす時期もある半水棲種になります。個体によって水棲を好むものもいれば陸棲に慣れてしまい水を嫌がるものもいるので、飼育環境下では陸地と水地両方作ってあげる事が好ましいです。
シナイモリの飼育に必要なもの
必要最低限なものはケージと水、陸地そして餌です。しかしそれでは味気ないレイアウトになってしまったり水槽内を清潔に保てなかったりコンディションの良い条件を保てなかったりするので、その他必要なものも記述してみました。
また、ここで紹介したものが絶対手はないので水草や飾り物などご自身の好みのものも適宜入れてみてください。
◆ケージ、水槽
シナイモリを水中オンリーで飼育する(アクアリウム)よりも水地エリアと陸地エリアの両方を設けて飼育する(アクアテラリウム)の方が、陸地面積確保のため用意する水槽が大きくなります。そのためM〜Lサイズの大きめな水槽を選んだ方が良いでしょう。
ただ、陸地を砂利ではなく流木を沈め、水面から出た部分を陸地とすることで十分な陸地面積を確保しつつ水中部分も広くなるため水槽の広さを削減する事が出来ます。流木が調達可能でレイアウトが上手く行けば小型の水棲カメ用水槽でも飼えます。
◆敷砂
敷砂は無くても飼育出来ますが、あった方が自然の状態に近くなりシナイモリも安心して暮らせます。水槽に敷く床材にはソイルや苔などがありますが、お手入れしやすいものは敷砂になります。ソイルのようにボロボロと崩れる事がないので砂の中に溜まった汚れごとポンプで組み上げる事が出来ます。また、苔や水草のように食べられる心配もないのでオイカワなどの淡水魚と混泳させられ、水槽を充実させられます。ただしイモリは小型の魚類も食べてしまうので、イモリと同等の大きさの魚の方が良いでしょう。砂利の場合だとエサを食べる際に一緒に砂利も飲み込んでしまうケースがありますが、フンと一緒に出るので問題ありません。ただし砂利の粒が大きいと消化器官に詰まってしまう危険性があるので、できるだけ細かい砂を選んであげると良いでしょう。
◆フィルター
シナイモリを長く飼育するのであれば、水質をキレイに保つ必要があります。食べ残したエサやイモリの排泄物が腐るとアンモニアが発生するのですが、それがイモリにとって有害だからです。水質をキレイに保つには水を頻繁に換えるかフィルターを設けるかがあります。ただし頻繁に水を換えるとイモリに負荷をかけてしまいます。そのためフィルターで水質をキレイに保つ事をおすすめします。
◆水温計
シナイモリの水温が適温になっているかを確認する為に小型の水温計があった方が良いでしょう。水槽の壁に貼り付ける吸盤式が一般的です。水槽を横から見たときに水温が確認できて便利です。ただし、何らかの衝撃や吸盤の吸着力が弱くなったなどで外れてしまうとつけ直す面倒が生じます。一方で最近は水面に浮かべるタイプの水温計も登場しました。水槽を真上から覗く事で水温が確認する事ができ、浮かんでいるだけなので取り付ける必要がありません。どちらか好みの方を選んでください。
シナイモリの飼育方法
シナイモリを長い期間飼育するためには、餌の与え方、温度管理、水の深さ、掃除を行う必要があります。これらをきちんと管理することでイモリの体調が悪くなってしまうリスクを防ぐ事が出来ます。また、藻や雑菌などの発生を防ぎ美しい水槽を楽しめます。ペットとして飼われる両生類の中では比較的飼いやすい種類なので是非挑戦してみては如何でしょうか。また、サイズによっては淡水魚の混泳も可能なので魚も投入してアクアリウムを充実させてみては如何でしょうか。
◆エサの与え方
エサは人工飼料、昆虫、冷凍餌、生餌などがあります。ペットショップ出身の子であればヒョウモントカゲモドキ用のレオパゲルで飼育されている子もいます。一般的には赤虫を与えることが多いでしょう。
エサは地面に落としておばシナイモリ自ら近寄っていって捕食します。しかし床材に砂利を利用する場合、一緒に砂も飲み込んでしまう可能性もあるので、そういった事態を防ぎたい場合は、ピンセットで直接イモリの口まで運んであげた方が良いでしょう。
◆温度管理
シナイモリの適温は22〜26℃とされています。これよりも水温が低いと成長が遅くなる為、成長中の若いシナイモリを飼育する場合には注意が必要です。そのため気温が下がりやすい冬場はヒーターを入れてあげると良いでしょう。一方で高温になってしまうとシナイモリの体調が悪くなってしまい、最悪の場合死んでしまう事もあります。そのため夏場など水温が上がってしまった場合には氷水を入れた牛乳パックを水槽に入れると言った対策をとった方が良いでしょう。
◆水深
シナイモリは半水棲種なので、陸地さえ作ってあげれば水槽の7〜8分目まで水を入れてしまっても構いません。しかし水槽の5〜10cm程度しか水を入れて飼育する方もいます。お好みの水量で飼育してみてください。
◆必要なお世話
他の両生類や爬虫類と比べるとお手入れが楽で飼育しやすいのが特徴です。水換えおよびフィルターや隠れ家などの掃除です。急に全ての水を交換すると環境が激変してシナイモリにとってストレスになってしまうので、半分量だけ換えます。新しい水はカルキ抜きを混ぜてイモリにとって有害な物質を分解しておきましょう。また、敷砂の中に餌やフンが埋まっている事があるのでその中もキレイにしておきましょう。
シナイモリ飼育の注意点
イモリは丈夫なため管理さえ間違えなければすくすく育ってくれます。しかしそれでも気をつけなければならないポイントがあります。特に脱走のリスクは高いのでそういったリスクを防ぐ為の対策が必要となります。是非参考にしてみてください。
◆脱走を防ぐ
シナイモリは陸地部分から這い上がって簡単に外へ脱走してしまいます。それを防ぐにはフタをする事が大事になってきます。大抵水槽とフタはセットで販売されていますが、通り穴のようなものが空いているフタもあります。イモリはそういう場所からも抜け出してしまいますので、テープなどを貼って対応しましょう。また、ロック式のフタはカチっと音がなるまで閉めて脱走を防ぎます。
◆エサを与えすぎない
一度餌に慣れてくれるとパクパク食べてくれるので、つい際限無くエサをあげたくなってしまいます。しかし適量を超えてエサを摂取させると消化器官に負担をかけてしまうなどシナイモリの生育を害してしまう恐れがあります。ですので餌のあげ過ぎには注意しましょう。
まとめ
如何だったでしょうか。シナイモリは丈夫な上に生育環境が日本と近い為、特別な温度調整をしたり餌にこだわったりする必要も無く非常に飼いやすい生き物です。慣れてくると手足をもがきながらこちらによってくるのでとても愛嬌のあるペットです。気をつける事は脱走させないこととエサを与えすぎない事くらいなので、興味のある方は是非飼育してみてください。
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