世界最大のカブトムシ!ヘラクレスオオカブトの基本情報や飼育方法、その一生について解説

2022.05.30

世界最大のカブトムシ!ヘラクレスオオカブトの基本情報や飼育方法、その一生について解説

大人・子供を問わず人気のカブトムシであるヘラクレスオオカブト。近年ではシーズンに入ると専門店でなくてもホームセンターなどにも売っていることがあります。本記事ではヘラクレスオオカブトの飼育方法やその一生について解説していきます。世界最大のカブトムシを家族と一緒に楽しんでみませんか?


ヘラクレスオオカブトの基本情報

ヘラクレスオオカブト

◆ヘラクレスオオカブトとは

甲虫目コガネムシ科に属するのがヘラクレスオオカブトです。実は甲虫類中でも最も大きい種類になります。さらに分類していくとカブトムシ亜科ヘラクレスオオカブト属に入ります。このヘラクレスオオカブト属には本種を含め8種類のカブトムシが存在しています。

大きな特徴としては、とても長く発達した胸角と黄褐色の前翅です。この角を使い縄張り争いやメスの取り合いを行います。
もう一つの特徴は黄褐色の前翅です。カブトムシをイメージすると赤茶色や黒色のイメージがありますが、ヘラクレスオオカブトは黄褐色です。ヘラクレスオオカブトの前翅は湿度や栄養状態によって色が変化します。湿度が高くなると黒っぽく、下がると黄褐色になります。前翅は私たちが見ている胴体の部分です。飛ぶときはこの前翅と前翅の下にしまっている翅を使って飛びます。

実際に購入した時、嬉しくなって手のひらに乗せたくなりますがヘラクレスに限らずカブトムシのしがみつく力は相当なものです。無理やり引きはがそうとすると手の皮がボロボロになってしまいますので、軍手などをしてから乗せましょう。そのまま乗せてしまった場合は、お尻をつついて移動を促してあげます。

クワガタと同じように攻撃されると非常に痛いので注意してください。また、角以外にも気を付ける必要があります。その部分はカブトムシの前翅と頭部間接続部分です。挟まれると傷つくことも珍しくありませんのでつかむ際は注意してください。

◆ヘラクレスオオカブトのサイズ

オスは全長46mmから181mm、メスは47mmから80mmです。ただしこのサイズは後述する亜種13種類の最小、最大の数値です。
野生サイズのギネス記録は172.7mm、飼育サイズの記録は181mmになります。

◆ヘラクレスオオカブトの分布、種類

サイズの所でも説明した通りヘラクレスオオカブトには13種類存在します。生息地や特徴が違いますが、主に中央アメリカから南アメリカの熱帯雲霧林に分布しています。低地より高山地帯を好み標高1000から2000mに生息しています。

一般的なヘラクレスオオカブトはヘラクレスヘラクレス(D.h. hercules)と呼ばれる種類で本種が基本のヘラクレスオオカブトになります。その名前を略してヘラヘラという愛称でも呼ばれています。流通量、価格ともに安定しており入手も容易です。本種の飼育ギネスは181mmになります。産地はカリブ海に浮かぶ島国、グアドループ産が主流になります。
他に主にエクアドルから輸入されるリッキー、ヘラクレスにしては小柄なレイディ、現在輸入されていない種類のヘラクレスオオカブトもいます。

◆ヘラクレスオオカブトの寿命

オス、メス共に成虫の寿命は1年前後です。日本のカブトムシが1ヶ月か3ヶ月ですので非常に長いことがわかります。上手に飼育していけば1年半ぐらいまで生きることも可能です。
ただし、繁殖のために交尾や産卵をさせると体力を非常に使いますので、酷使させると短命になってしまうので注意してください。

◆ヘラクレスオオカブトの一生

甲虫目に属するヘラクレスオオカブトは完全変態といって卵、幼虫、蛹、成虫といった成長過程になります。
管理温度にもよりますが、卵が孵化するまでに約1ヶ月です。これはオス、メス関係ありません。

幼虫の期間はオスで1年半から2年の間、メスは1年から1年半ぐらいになります。こちらも管理温度で多少前後します。高温で飼育すると早く、低温でだと長くなります。大型になるほど幼虫の期間は長い傾向にあります。

蛹の期間はオス、メス共に1ヶ月から2ヶ月です。
蛹から羽化し成虫になると成熟するまで羽化したところでじっとしています。この期間が3ヶ月になります。
この期間が終わると外に出て活動を開始します。


ヘラクレスオオカブトの飼育難易度は?

ヘラクレスオオカブトの飼育難易度は実はそれほど高くありません。外国のカブトムシの中でも比較的飼育が容易で、ポイントを押さえれば日本のカブトムシと同様に飼育することができます。

注意が必要なのは飼育温度です。ヘラクレスオオカブトの分布、種類で説明した生息地であるグアドループは、年間を通して18℃以下、32℃を超えるようなことはなく、標高が高いところに生息しているため25℃前後であると考えられます。そのためヘラクレスオオカブトを飼育する際は、飼育温度を25℃前後で管理することができれば日本のカブトムシと同じように飼育することが可能です。


ヘラクレスオオカブトの価格は?

気になるヘラクレスオオカブトの値段ですが、種類、サイズ、産地で決まり、価格も様々です。

一番わかりやすいサイズ別での値段ですが、130mmまでのペアなら2万円程度で購入できます。もっと安く購入できることもあります。150mmほどの大きさになると価格も大きく上がり、5万円近くするペアも出てきます。

購入する際はなるべく現物を見て購入するのをお勧めします。写真だけど思ってたのと違うといった事の防止にもつながります。


ヘラクレスオオカブトを飼うための必要な準備

◆飼育ケース

日本のカブトムシとは違い非常に大きな種類です。成虫のサイズのあった容器を選んでください。
Sサイズなどの小さい容器では、容器に入らないという事態が起きます。
大体、幅30cm奥行き20cm程度の飼育ケースが必要になります。

普通の飼育ケースで理想的なのが見つからない場合、コンテナボックスを使用することをお勧めします。
コンテナボックスでも通気性は確保できますが、気になる場合は蓋に小さな穴を空けてあげれば大丈夫です。

蓋は必ずしっかりと閉めてください。ヘラクレスオオカブトの持ち上げる力は想像以上に強力です。しっかり蓋をせず適当な置物を置いただけだと、蓋を持ち上げて脱走する可能性があります。

基本的にオスとメスは別々で飼育します。長期間一緒に飼育しているとオスは交尾過多になり寿命が短くなってしまいます。また、メスの場合交尾を拒否するようになり、最悪オスがメスを殺してしまう可能性もあります。

◆飼育マット

産卵用に使用する場合は良く発酵したマットを使用してください。色で表すと黒色です。完熟マットと記載してあれば問題ありません。

産卵用でなく日頃の管理で使用する場合は、ミズゴケや針葉樹のマットを使用するのがお勧めです。
特に針葉樹のマットはコバエやダニの防止となり衛生的に飼育することができます。
針葉樹のマットを使用すると生体への影響が気になりますが、問題はありません。
ダニやコバエといった非常に小さい生物には針葉樹の抗菌作用は有効ですが、ヘラクレスオオカブトのような大きな昆虫には影響がありませんので問題なく使用できます。また、消臭作用もあるため臭いが気になる人にお勧めです。

ハスクチップ 5L

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昆虫・爬虫類などの床材に

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園芸用の腐葉土は使用を控えましょう。園芸用腐葉土は植物を育てるものであり、昆虫に使用するものではありません。いかに大きなヘラクレスオオカブトでも悪影響を及ぼす可能性があります。

◆エサ皿

ヘラクレスオオカブトは角が長く、飼育マットの上に直接エサを置くと食べれるか心配になります。
昆虫ゼリーをエサとして与えている場合、エサが少なくなると前足でエサを掻き出して食べ始めます。そうした場合飼育マットの劣化が早まります。
このような場合エサ皿を使用することによって改善が見込めます。
転倒した時にエサ皿に掴まることにより復帰できるようにもなり、飼育ケースに余裕がある場合導入をお勧めします。
商品によっては登り木にゼリーを入れるための穴が空いているものもあります。登り木を用意していない場合は、そのような商品を導入すると一石二鳥です。

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◆登り木、枯葉など

登り木、枯葉などはヘラクレスオオカブトの飼育にとって必須ではありません。
しかし転倒した時に起き上がれないとそのまま衰弱死してしまうため、ケージ内につかまれるものがない場合、登り木や枯葉などを導入してください。


エサは何を食べる?

野生のヘラクレスオオカブトは広葉樹の樹液や果物の果汁をエサにしています。

飼育下では主に昆虫ゼリーを与えます。昔はカブトムシやクワガタにスイカを与えることもありましたが、スイカは水分が多くカブトムシが下痢をしてしまい、寿命が短くなってしまうので与えるのは控えましょう。

果物をエサとして与える場合はバナナがお勧めです。高たんぱくでエサとして非常に優れています。バナナは非常に傷みやすいので、衛生面を気にする場合は与えないようにしましょう。

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ヘラクレスオオカブトのお世話の仕方

ヘラクレスオオカブト

外国のカブトムシであるヘラクレスオオカブトも実は、日本のカブトムシと飼育方法は殆ど変わりません。
直射日光・高温・多湿を避け、飼育ケースの中が乾燥しすぎないよう霧吹きをすれば飼育することが可能です。

日本のカブトムシが耐えられる高温と、ヘラクレスオオカブトが耐えれる高温は、違うというところは注意してください。理想は25℃前後です。

◆マットの交換

ヘラクレスオオカブトは体の大きさ通り非常に良くエサを食べます。そのため飼育マットが良く汚れます。
汚れる原因はエサの食べ散らかしや排泄物です。そういったものが蓄積すると飼育ケース内の湿度上がりマットがヘドロ状になってしまいます。マットの汚れがヘラクレスオオカブトの直接の死因となることはありませんが、不衛生なのは健康上問題です。少なくともヘドロ状になる前にマットの交換を行いましょう。

交換の目安は、見た目、臭いなどで判断します。難しい場合は1週間に1回などと自分でペースを決めるのが良いでしょう。

◆エサの交換

非常に良くエサを食べるヘラクレスオオカブトですが、実は3、4日ぐらいならエサを食べなくても平気です。
エサは与えれば与えるだけ食べますので、毎日エサの交換をしているとかなりの量のエサが必要になります。

餌交換は1週間に2回、大きい昆虫ゼリーを与えましょう。カブトムシ用の30gや60gの昆虫ゼリーを与えるとエサ持ちもいいです。

エサを与えるときはゼリーのフィルムを全てはがすのではなく、カッターナイフなどで十字に切り込みを入れるとエサの食べ散らかしを防ぐことができます。

◆温度管理

ヘラクレスオオカブトの飼育で最も重要なのは温度管理です。ヘラクレスオオカブトは日本の夏と冬を、室内の常温で飼育するのは厳しいです。
最適なのは、エアコンで年中25℃前後で管理するのが望ましいです。

エアコンなどを使わない場合は少し工夫が必要です。夏場の場合はなるべく涼しく風通しの良い所で飼育します。
この時扇風機をかけてあげたり、気化熱を利用した方法で対処可能です。
発泡スチロールの中に飼育ケースを入れ、なかに保冷剤や凍らせたペットボトルを入れるのも効果的です。
30℃を超える高温が避けられない場合は、飼育ケースの中を乾燥気味にしてあげてください。
高温・多湿が一番危ないので注意してください。

冬場の場合は段ボールや発泡スチロールの中にパネルヒーターを入れ、その中に飼育ケースを入れて管理します。

ヘラクレスオオカブトの飼育温度は最低は10℃、最高は30℃と言われています。個体によってはそれ以下、以上にも対応できるかもしれませんが、体力を奪うことになってしまうので短命になってしまいます。
ヘラクレスオオカブトを購入する前に一度温度管理について考えておきましょう。


ヘラクレスオオカブトは家庭で繁殖できる?

ヘラクレスオオカブトの家庭での繁殖は可能です。多くの愛好家達が家庭で繁殖を楽しんでいます。
注意としては、まず家族の理解を得てください。もし家族に外に逃がされたした場合、放虫になってしまい日本の生態系に大きな影響を与える場合があります。ヘラクレスオオカブトが日本の野外で生きられる可能性は0ではありません。放虫は絶対にやめましょう。


まとめ

世界最大のカブトムシ、ヘラクレスオオカブトについてご紹介しました。
日本のカブトムシより高温に弱いですが、寿命も長く丈夫で繁殖も容易なカブトムシです。
初めての外国のカブトムシとしてヘラクレスオオカブトを飼育してみてはいかがでしょうか。



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