1.亀はどんな生き物?
1-1.爬虫類の一種
1-2.水棲と陸棲、半水棲がいる
1-3.寿命が長い
2.自分に合った亀選びのポイント
2-1.どんな見た目の亀が好きか
2-2.エサの違い
2-3.どのくらい大きくなるか
2-4.飼育環境
2-5.水槽の大きさや飼育スペースの広さ
2-6.亀自体の値段
3.初心者向けの飼いやすい亀の種類5選
3-1.①クサガメ(半水棲)
3-2.②ミシシッピニオイガメ(半水棲)
3-3.③ニホンイシガメ(半水棲)
3-4.④ヘルマンリクガメ(完全陸棲)
3-5.⑤ギリシャリクガメ(完全陸棲)
4.亀を飼うときの注意点
4-1.寿命が長い
4-2.大きくなる
4-3.診てくれる動物病院が少ない
4-4.電気代がかかる
4-5.逃がしてはいけない。生涯しっかり面倒を見なければならない
【掲載:2022.06.25 更新:2022.11.25】
亀はどんな生き物?
亀さんたちは、現代の人間の生活の中で最も目にする爬虫類です。子供の頃飼っていた、学校で飼っていた、飼っているのを通学路で毎日のように見かけていた、近所の川や池にいるなど、実際に亀に触れ合った経験のある方も多いのではないでしょうか。
そのユーモラスな表情や動き、つぶらな瞳、ゆっくりとした時間の流れが大きな魅力の亀さんたちを家族に迎えたいと考える方も多く見られます。今回はこの亀さんたちについてお話しさせていただきますね。
それでは、亀さんたちとはどんな生き物なのでしょうか。
◆爬虫類の一種
「カメ」は、ヘビやトカゲと同じ爬虫類の一種で、そのなかでカメ目に分類される生物のことです。
爬虫類は変温動物という、外部の環境の温度によって体温が変化する特徴があります。
亀さんたちの最大の特徴は背中に背負っている甲羅で、この甲羅の中に首や頭、足を収納できる種類が多いことが知られていますね。口はクチバシになっていて、歯はありません。
◆水棲と陸棲、半水棲がいる
亀には大きく水棲と半水棲の亀、そして陸棲の亀がいます。
簡単に言えば、水場に住む亀と、陸に住む亀と、そして水場の環境と陸の環境両方が必要な亀さんがいる、ということです。
日本の自然環境でよく見られる亀さんたちは半水棲です。泳いでいる姿もよく目にしますが、その一方で日光浴をしているところもよくみかけますね。あのように陸に上がる時間も必要な種類のことを『半水棲』と呼びます。この種類のカメさんたちを飼うには、水場だけではなく陸地も作ってあげなければなりません。
陸に上がる必要があまりない亀さんたちが水棲の亀さんたちで、本当に生涯ほとんど水中から出ないものから、産卵時だけは陸上に上がる亀さんなどがいます。
反対に、水浴びをするときくらいしか水に入らず陸地で生活している亀たちが陸生の亀さんたちです。飼うときには水浴び用の浅い容器などが必要となることがありますが、泳ぐような設備は必要ありません。
◆寿命が長い
亀さんはうまく飼うととても長く生きてくれる生き物としても知られています。
亀は千年、鶴は万年と言われるように長生きで、飼育下で十年以上生きることも珍しくなく、ときには30年以上生きることもあります。家庭で飼える種類ではないのですが、ゾウガメなどになると百年以上、二百年ほど生きることもありますよ。
自分に合った亀選びのポイント
このように一口に亀と言ってもいろいろなタイプの亀さんたちがいるため、どんな子が好きなのかをよく検討してから家族になる子を選んであげたいですね。
住む場所のタイプによって泳ぐ、歩く、その両方をするなど見せてくれる行動が違いますし、食べるものによっても違ってきます。皮膚の色、顔、甲羅の模様など、いろいろな亀さんの特徴を知って、この子だ!と思う子をお迎えしていただくのが亀さんにとっても、飼い主さんにとっても幸せになれる近道なのではないかな、と思います。
◆どんな見た目の亀が好きか
亀さんの見た目にも、種によって結構な違いがあります。甲羅だけでもいろいろな種類がありますし、手足の見た目や顔の感じももちろん違いますし、いろいろな子達を調べてみるのも楽しいですよ。
見た目、と言っても生活パターンという意味での見た目、もあります。
亀さんたちが歩いているのが好きなのか、泳いでいるのがいいのか、その両方がいいのか、自分の手で野菜を食べさせてあげたいなど、どんな行動を見たいのかによっても、好きな種類がおおまかに決まってくるのではないかと思います。
◆エサの違い
亀さんたちの食べるものは種類によって違います。雑食性のものから、完全草食のもの、肉食傾向が強いものもいます。
草食のものでは水草や野菜、果物などを好むものもいますし、肉食のものではエビやザリガニ、貝などを主に食べるもの、昆虫を主に食べて暮らしている亀さんなどもいます。
餌の確保が難しい種類などもありますので注意が必要です。
よく飼われている種類の亀さんであれば、配合飼料やペレットなどが利用できることがありますので、その点も安心ですね。
陸棲種は雑食、完全陸棲種は草食の傾向が強く、半水棲種は肉食から草食までいろいろな食性を持つ亀さんたちがいますよ。
◆どのくらい大きくなるか
よく知られている大きなカメさんにはゾウガメやウミガメなどがいますが、あれほど大きくなってしまうと家庭での飼育は困難です。成長したらどれくらいのサイズになるのかというのをきちんと確認してお迎えするのが良いですね。
一般的に買いやすいと言われているのは大きくなっても30cmを超えない程度のものです。10センチ程度にしかならない種類であれば、マンションなどでも手軽に飼育できますね。
◆飼育環境
亀さんたちの生活パターンは陸棲、水棲、半水棲の三種類です。
これをふまえて、水槽を用意できるのか、水槽の管理は可能か、直射日光が当たらないなど水槽を置くのに適したスペースが確保できるのかなどの飼育条件を検討する必要があります。カメさんたちが大きくなった時のサイズも想定して、飼育できる環境を考えていただけると安心ですね。
水棲、半水棲の亀さんたちについては、水換えなどのお世話作業のしやすさなども問題になってきます。
◆水槽の大きさや飼育スペースの広さ
大きなカメさんであれば大きなスペース、小さなカメさんであってもそのカメさんに必要なスペースを確保する必要がありますので、そのカメさんにはどの程度の広さのスペースが必要なのかなど、飼育場所の設置環境については、ショップの店員さんに相談するなど、詳しく確認して検討してみるといいと思います。
◆亀自体の値段
美しく、希少な亀さんであればそれだけ高価になってきてしまいます。
ときには数十万円で取引されることのある種もあり、そのような場合は飼育数や飼育情報があまり蓄積されていない場合もありますので、最初のうちは避けておいた方がいいと思われます。
手に入りやすい価格で、育てやすく、たくさん飼われているようなカメさんであれば、飼い方情報やグッズなども揃っていますし、ショップなどにも複数入荷していると思われますので、安心して自分に合った子を選び出すことができます。
それでは初心者向けの、飼いやすいといわれているカメさんのご紹介いたしますね。
初心者向けの飼いやすい亀の種類5選
①クサガメ(半水棲)
日本に野生で生息している種の亀さんです。イシガメの子供とともに、子供の時はゼニガメと呼ばれています。
もともと日本に住んでいる亀さんのため、日本の環境が飼育に向いているというのもありますし、雑食性で食べられるものが多く、よく食べる丈夫なカメであるということもお勧めできるポイントです。
オスで20cm弱、メスで30cm程度まで成長します。
②ミシシッピニオイガメ(半水棲)
ニオイガメ、というと臭いのかな?と思ってしまいますが、自分に危険が迫ったときに匂いを出して敵を撃退する習性があるためにこの名前がついています。
飼育環境下でこの習性が発揮されることはあまりないようですので、心配はいらないようです。サイズも小さく、成体の平均的な大きさが15cmほどなのも人気の理由です。
子供時代は日光浴が必要なのですが、成体になってからは日光浴があまり必要なく、水棲傾向が強く陸地が小さくても済むために飼育設備が手軽なことも最近人気が高まっている理由の一つです。
体のわりに頭が大きいところもかわいいポイントですね。
③ニホンイシガメ(半水棲)
日本固有種の亀で、世界的にも人気があります。その美しさや大きくなっても20cm程度であること、雑食性のため食べられるものが多いこと、人懐こい優しい性格の子が多いことなどから人気が出た種類です。水の綺麗な場所を好むため、水質管理には注意が必要です。
④ヘルマンリクガメ(完全陸棲)
元々はヨーロッパの森や草原に暮らしている亀さんで、日本で一番飼育されているリクガメといわれています。大きくなっても30cm程度です。完全陸棲種で、野菜などを主に食べる種類になります。性格も人懐こく、好奇心旺盛なため、飼いやすい亀と言えるでしょう。
寒さには強いのですが、日本の夏や梅雨の湿度には弱いため、湿度管理には注意が必要です。
⑤ギリシャリクガメ(完全陸棲)
環境の変化に強く、飼育が容易なリクガメとして知られています。名前の由来はその甲羅の模様がギリシャの織物に似ていることからついたため、ギリシャ原産ではありません。
この亀さんたちの実際の原産地はフランスやイタリアになります。
成長すると30cmくらいのサイズの亀さんのため、手頃なサイズと言えるでしょう。急激な温度変化には弱いのですが、こちらもヘルマンリクガメと同様に野菜などを食べて暮らす亀さんで、日本でも多く繁殖させており、販売されていますので、比較的低価格で入手できる人気の亀さんになっています。
かつては一番入手しやすい、飼いやすい亀といったら「ミシシッピアカミミガメ」でした。しかし、広く知られているように、元々あった日本の生態系を脅かしてしまう外来生物の代表的存在となってしまっています。現在、ミシシッピアカミミガメは侵略的外来種として近いうちに国の定める「特定外来種」のリストに載せられることが確定しています。これにより新規の飼育や繁殖などが規制されることが予測されます。現在飼われている亀さんたちをどうにかしなければいけないようなことはないようですので、捨てなければならない、飼ってはいけないということにはなりませんので、今飼われている亀さんは決して捨てたりせずに最後まで飼い続けてあげてくださいね。
亀を飼うときの注意点
ここまで、かわいい亀さんたちを紹介してきましたが、ここで、亀さんたちを飼うに当たっての注意点についてお話ししたいと思います。
◆寿命が長い
亀さんの寿命は、長いです。きちんと適正な状況で飼っていただくと20年程度生きるというのはよくあることです。ご自身がその長い時間をともに過ごし最後まで飼われるという覚悟を持てないようであれば、亀さんの飼育には向いていないのかもしれません、
それでも流石に30年は長い……と思われる場合は、体の小さい亀さんはその寿命も短い傾向にありますので、元々の寿命の少し短い、小さいタイプの亀さんを選ぶのも良いかと思います。
◆大きくなる
亀さんたちの中には、大きくなる種類のものもいます。最初は子亀で小さくて可愛くても、体長が2−30cmになってしまうとそれだけの大きさの飼育設備が必要となってしまいますので、大きくなった時の生活空間を確保できるかどうかを十分に検討しなければなりません。
ペットとしてよく売られている亀さんはゾウガメほどおおきくはなりませんが、アカアシリクガメなど、50cmほどになる種類のものもありますので、亀さんとの将来・未来のことをきちんと考えてからお迎えしてくださいね。
◆診てくれる動物病院が少ない
人間とは大きく体の作りが異なる亀さんですが、そんな亀さんたちの健康状態を判断する専門家は日本にはあまり多くないのが現状です。いざ具合が悪くなってしまったときに、亀を診察できる獣医がそれほどたくさんはいないのです。
皆さんのお住まいになっている地域で亀さんたちの診察ができる病院があるのか、ないのか、あるとしても、飼われている種類の亀さんについての診療ができるのかどうかなどを調べておく必要がありますね。
◆電気代がかかる
亀さんを飼うのには、熱帯魚ほどではありませんが、水温や気温の管理をしたり、除湿のためにエアコンの付けっ放しが必要だったりと、何かと電気代がかかり、それが何十年と続きます。買ったら終わりではなく、その後に健康に楽しく暮らしていくためには維持費、というか生活費がかかってきてしまいますね。ご自身の家計や長いスパンの人生設計とも照らし合わせて、無理がないかどうかを検討して見る必要もありますね。
◆逃がしてはいけない。生涯しっかり面倒を見なければならない
亀さんに限らないのですが、もともと日本にいたわけではない動物さんたちを万が一、逃がしてしまったとき、日本の生態系に大きな悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。きちんと管理して、そのような事故が起こらないように気をつけなければならないことを、知っておいてください。
まとめ
今回、ペットとして飼いやすい亀さんの紹介を行いました。いいな、素敵だなと思える亀さんはいましたでしょうか?
爬虫類の中でも圧倒的な人気を誇っている亀さんですが、大きさや寿命の長さなど、飼えるという覚悟をしっかり持って、診てもらえる場所なども確認しなければなりませんでしたね。
外来種の問題もありますので、生涯飼育する、というのはとても大切な最低条件となってきます。しかし、寿命が長いというのは、共に過ごせる時間が長いというメリットでもありますね。幸せな時間を長く共に過ごせるパートナーとして、ぜひ亀さんをお迎えしていただければいいなと思います。
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