1.うさぎは相性次第でケンカをします!
1-1.「1匹で寂しそうだから」と多頭飼いするのはちょっと待って!
1-2.仲良く遊んだりくっついたりする姿はレアケースかも
1-3.激しいケンカで大怪我をしてしまうことも珍しくない
2.なぜうさぎのケンカは激しいの?
2-1.非常に縄張り意識が強い動物だから
2-2.ほかのうさぎよりも優位に立ちたいから
3.うさぎの多頭飼いはリスクも多い
3-1.感染症がうつる可能性
3-2.オスメスでの多頭飼いで、望まない繁殖につながるおそれ
4.多頭飼育したい場合はメス同士がおすすめ
4-1.メス同士は比較的相性がいい
4-2.先住うさぎと迎えるうさぎの性別をしっかり確認すること
4-3.メス同士でも仲良くならない可能性もある
5.うさぎの多頭飼育の注意点
5-1.ケージは必ず別々に
5-2.上下関係をはっきりさせる
5-3.先住うさぎのお迎え症候群に注意
5-4.飼育費用が2倍かかることも忘れずに
うさぎは相性次第でケンカをします!
「うさぎはおとなしい草食動物」というイメージを持つ方が多いでしょう。動物園、ペットショップやうさぎカフェなどで見かけるうさぎさん達も、仲良く穏やかに過ごしている印象がありますよね。
たしかにうさぎは好戦的な動物ではないので、むやみにほかの個体を攻撃することはありません。
ただ、うさぎの社会には秩序を保つためのルールのようなものがあり、相性の良いうさぎとのケンカは避けますが、気に入らないうさぎとは激しいケンカをすることが珍しくないのです。
◆「1匹で寂しそうだから」と多頭飼いするのはちょっと待って!
「1匹では寂しそう」という理由で多頭飼いを検討する飼い主さんもいらっしゃることでしょう。ただ、多頭飼育がうさぎのためになるとは限りません。
たしかに、飼い主さんが忙しくてかまってあげられない時などは、うさぎも寂しいと感じることがあるでしょう。ただし、うさぎは1匹だけで飼われていても「寂しい」「仲間がほしい」とまで感じることはありません。
というのも、うさぎは集団生活もできますがひとりで過ごす時間も好み、飼い主さんや同居するうさぎとはある程度の距離感を持って過ごしているからです。
うさぎは単独飼育でもストレスなく暮らせるので、「寂しそう」という人間目線の理由で仲間を増やしてあげる必要は特にないのです。
逆に、自分以外のうさぎと暮らすことになった場合、序列をめぐって互いにマウントを取ろうとするため、1匹でいる時にないストレスを感じるようになってしまいます。
個体差があるので、ほかにうさぎがいることを好ましく思う子もいます。ただ、お互いの相性も関係するので、必ずしも多頭飼育をするのが良いとは限らないのです。
◆仲良く遊んだりくっついたりする姿はレアケースかも
多頭飼いされているうさぎの中には、一緒に遊んだり、べったりくっついて過ごしたりと、仲むつまじい様子を見せる子たちもいます。
親子やきょうだいなど互いによく慣れている場合、個体同士の相性が良い場合は仲良くなる可能性があるようです。
しかしながら、多頭飼いされているうさぎ同士がとても仲良くなれるケースはそう多くはありません。
思うように仲良くならず、結局飼い主さんがうさぎ同士の関係に気を遣いながら飼育を続けるというケースも少なくないのです。
◆激しいケンカで大怪我をしてしまうことも珍しくない
うさぎは、普段のおとなしい様子から想像できないほど攻撃的な一面も持っています。気が立つと体当たりしたり前足でパンチをしたりして相手を攻撃し、気に入らない相手は追いかけ回したりもします。
さらに、うさぎは突発的にケンカを始め、相手が逃げ出すか決着がつくまで激しい取っ組み合いを繰り広げます。鋭い門歯(前歯)で噛みついて相手に大怪我をさせることもあります。とても危険なので、ケンカをする場合はお互いを隔離しなければなりません。
なぜうさぎのケンカは激しいの?
ケンカに負けたうさぎは、命にかかわるような大怪我を負うことも。なぜこのように激しいケンカをするのでしょうか。
◆非常に縄張り意識が強い動物だから
激しいケンカはオス同士で起こります。
オスは、男性ホルモンの影響でメスよりも強い縄張り意識を持っています。そのため、自分の縄張りにほかのオスが近づくと縄張りを守りたい本能がわき上がり、激しい威嚇や攻撃をしてしまうのです。
一方、オスとメス、メス同士の組み合わせなら、同じ空間にいてもあまりケンカにはなりません。また、赤ちゃんや思春期前の子どもも縄張り意識が芽生えていないため、ほかのうさぎとケンカをすることはありません。
オスは思春期(生後3~4か月頃)を迎えると男性ホルモンの分泌が活発になり、その影響で縄張り意識が強くはたらくようになります。マーキング行為のチンニングやスプレーが始まるのもこの頃からです。
特に思春期に入ったオスは若くて血気が盛んで、男性ホルモンの影響を受けて性格が攻撃的になるので、ほかのオスとケンカが起こりやすくなります。
年齢を重ねると自然に落ち着いてくるものですが、スプレーや威嚇がひどい場合は若いうちに去勢手術をして男性ホルモンの分泌を抑えることも薦められています。
◆ほかのうさぎよりも優位に立ちたいから
オスがケンカをするのは、ほかのオスよりも優位に立ちたい欲求があるからです。基本的にオス同士は皆ライバルで、どのオスもその空間の主導権を握りたいと思っています。
もともとうさぎは群れを作って集団で暮らす動物であり、その中ではっきりした序列を決め、上下関係に添った規律的な暮らしを送る習性を持っています。特にオスは、ほかのオスに縄張りを取られないよう、力関係で上に立ちたい欲求がはたらいています。
弱いオスは序列が下位になり、主導権やメスを強いオスに取られてしまいます。そのため、オスは相手を打ち負かすまで必死で戦い続けるのです。
うさぎの多頭飼いはリスクも多い
多頭飼育ではうさぎ同士のケンカが心配になるだけでなく、単独飼育にはないリスクも伴うことを忘れてはいけません。
◆感染症がうつる可能性
多頭飼育をすると、1匹のうさぎが感染症にかかった時、ほかのうさぎに感染が拡大しやすくなってしまうのです。
うさぎの間でうつりやすい主な感染症、皮膚病には以下があります。
- パスツレラ感染症
- エンセファリトゾーン症
- コクシジウム症
- ダニやノミ、疥癬など
うさぎ同士が直に触れ合った時に感染が起こるだけでなく、ケージや糞尿、唾液などを介して感染が起こることも少なくありません。
感染症を予防するためには、飼育環境を清潔に保つ、お世話をした後はよく手を洗う、うさぎが感染症になったらほかの個体と部屋を隔離する、といった注意が必要になります。
◆オスメスでの多頭飼いで、望まない繁殖につながるおそれ
うさぎは非常に繁殖力の高い動物です。避妊・去勢をしていないオスとメスを一緒に飼育するとすぐ繁殖してしまうので、繁殖を望まない場合は注意する必要があります。
先日も、ウサギの「多頭飼育崩壊」に関するニュースが報道されていました。初めはオスとメス1匹ずつのペアだったのが2年で200匹まで増え、うさぎに住居を占領されてしまったとのこと。
うさぎは生後4か月頃には性成熟し、繁殖が可能になります。また一年中発情しているので、オスとメスが短時間一緒にいただけで交尾にいたる可能性があるのです。
油断するとあっという間に家族が増えてしまいます。今回のニュースのように飼い主さんとうさぎの暮らしを妨げることにつながるので、無計画な繁殖をさせてはいけません。
多頭飼育したい場合はメス同士がおすすめ
うさぎはオス同士だとケンカをし、オスとメスを一緒に飼うと子どもが生まれやすくなります。できれば、うさぎの多頭飼育をするならば、メス同士の組み合わせを選ぶのがよいでしょう。
◆メス同士は比較的相性がいい
メス同士は比較的仲良くなりやすい組み合わせといえます。
というのも、うさぎは社会性があり、本質的には仲間うちでの無駄な争いを好まないからです。メスはオスに比べて縄張り意識も弱いため、同じ空間で穏やかに共存することが期待できるようになります。
◆先住うさぎと迎えるうさぎの性別をしっかり確認すること
うさぎの性別は判定が難しく「女の子だと思って購入したら男の子だった」という失敗もあり得ます。多頭飼育をする場合には困ってしまいますよね。
すでにうさぎを飼育している方が新たしい子をお迎えする場合は、それぞれの性別をよく確認することが大切です。
うさぎの子どもは性別の判定が難しいため、異なる性別で販売されていることがあります。生後3か月くらいになると生殖器の位置や形状がわかるようになるので、よく確認したうえでうさぎさんをお迎えしましょう。
◆メス同士でも仲良くならない可能性もある
ちなみに、メス同士なら100%仲良くなる、というわけでもありません。相性の良し悪しがあり、組み合わせによってはメス同士でマウントを取ったりケンカをすることもあります。
うさぎの多頭飼育の注意点
多頭飼育でうさぎ同士が快適に暮らせるようにするためには、飼い主さんがどのようなことに気をつければよいのでしょうか。
◆ケージは必ず別々に
うさぎは一つのケージに1匹ずつ入れて飼育します。うさぎ同士で一緒に遊ばせる時だけ、ケージから共有スペースに出してあげましょう。
ケージはうさぎのメインとなる縄張りで、ほかのうさぎに入ってほしくない領域となります。一つのケージに複数のうさぎを入れることは、うさぎのストレスにつながるので、必ずケージは別々にしましょう。
◆上下関係をはっきりさせる
うさぎは仲間同士の序列にこだわるため、上下関係が定まっていない時には、うさぎ同士が優位に立とうとしてケンカが起こりやすくなります。
この時、飼い主さんがうまく関係を取り持ってやると、うさぎの上下関係がハッキリしてケンカをしなくなります。たとえば、先住うさぎがいるならば、うさぎ達のお世話をする時には常に先住うさぎを優先します。
そうすることで、先住うさぎは「飼い主さんにとって自分が一番」と感じ、新入りのうさぎは「自分はあのうさぎよりも下なのだ」と判断でき、序列が下位にあるうさぎは上位にあるうさぎに素直な態度で接するようになるのです。
◆先住うさぎのお迎え症候群に注意
すでにうさぎを飼育している場合、新入りうさぎを迎える際には先住うさぎの「お迎え症候群」に注意が必要です。
お迎え症候群は、新しいペットが来ることで先住しているペットがストレスや飼い主さんへの嫉妬を感じ、情緒が不安定になったり体調を崩したりしてしまう現象です。
これは、飼い主さんが新入りのペットをかまい過ぎる時に起こりやすくなります。飼い主さんの関心が自分からほかのペットに移ってしまうので、先住しているペットはショックを受けてしまいます。
うさぎは感受性が強く、お迎え症候群になりやすいので、新入りうさぎを迎える時は先住うさぎを優先することを忘れないようにする必要があります。
◆飼育費用が2倍かかることも忘れずに
当然ながら、うさぎが2匹に増えれば飼育費用も2倍になります。ケージ、エサ、動物病院の受診費用など、個体の数が増えるだけ飼育費用がかさみます。
お金をかけたくないからと飼育費用を極端に削ると、適切な管理ができなくなります。ペットの多頭飼育を検討する際は、金銭的な余裕があることを把握したうえで飼育に踏み切ってくださいね。
まとめ
うさぎは多頭飼育をすることもできますが、うさぎ同士のケンカが起こりやすいので、できれば単独飼育がおすすめです。もし多頭飼育する場合は、うさぎが縄張り争いをしたリストレスを感じたりしないよう、飼い主さんが十分にケアしてあげましょう。
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