1.爬虫類の定義とは?
2.爬虫類はみんな脱皮をする!
2-1.トカゲの脱皮
2-2.ヤモリの脱皮
2-3.ヘビの脱皮
2-4.亀の脱皮
5.脱皮不全には注意が必要
5-1.脱皮不全とはどのような状態か
5-2.脱皮不全のリスク
5-3.飼い主が脱皮を手伝った方がいい?
爬虫類の定義とは?
爬虫類の話をする際、よく比較されるのが両生類との違いです。
簡単にいうと、爬虫類は水のないところでも生きることができ、両生類は水のないところでは生きることができない、という違いがあります。
爬虫類は、両生類から進化し、水辺から離れた陸上で生活するため、生まれた時から肺呼吸をするようになり、皮膚から水分が抜けないよう身体が硬いウロコで覆われるように進化しました。
トカゲやヤモリ、ヘビなどは、草むらや森林などに生息し、亀は河川や沼、池など水辺の陸上に生息しています。
さらに、爬虫類の卵は、かたい殻により乾燥に強い性質を持つため、陸上での産卵が可能であるということも大きな特徴のひとつです。
爬虫類はみんな脱皮をする!
爬虫類はみんな脱皮をし、定期的に脱皮をすることで、古いウロコを剥がします。
とはいえ、爬虫類も種類によって脱皮の仕方には違いがあることをご存じですか?
ここでは、さまざまな爬虫類の脱皮の特徴について、ご紹介します。
◆トカゲの脱皮
トカゲの脱皮には、明確な前兆がありません。
カメレオンやイグアナ、フトアゴヒゲトカゲといった大型のトカゲは、全身の皮が浮き、細かく剥がれ落ちる「部分脱皮」なのに対し、ニホントカゲやカナヘビといった小型のトカゲは、全身がきれいに剥がれ落ちる「全身脱皮」をします。
◆ヤモリの脱皮
ヤモリの脱皮には、全身の皮が浮いたような感じになり、全体が白っぽくなるという脱皮の前兆があります。
次第に、浮いた皮に亀裂が入りはじめ、脱皮する皮がめくれ上がってくると、ヤモリは口を使ってめくれた皮を剥がし取ります。剥がした古い皮は、食べてしまうこともあります。
◆ヘビの脱皮
ヘビの脱皮には、目が真っ白になるという脱皮の前兆があります。
ヘビは、口の部分の古い皮から剥がれはじめ、次第に裏返しながら、全身の皮をきれいに剥がす「全身脱皮」を行います。
さらに、ヘビの目も1つの大きなウロコで覆われており、目のウロコも一緒に脱皮します。
◆亀の脱皮
亀は、皮膚の一部である甲羅が脱皮します。
亀の脱皮は知らぬ間に始まり、数日かけながら一枚ずつ剥がれ落ちる「部分脱皮」を行います。
脱皮した部分は色が違うため、脱皮しているかどうかは甲羅を見るか、水槽に落ちている甲羅を見つけることで判断できます。
なぜ爬虫類は脱皮を行うの?
「爬虫類は身体が大きくなるタイミングで脱皮する」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、爬虫類の脱皮は、身体をきれいにするために行っている、という考え方に近いのです。
爬虫類の身体は、硬いウロコで覆うことで、皮膚から水分が抜けないようにする役割をしています。
このウロコは、人間の髪、皮膚や爪と同じ「ケラチン」という物質でできており、新陳代謝を行いながら、定期的に新しい皮膚(ウロコ)に生まれ変わります。
新しいウロコが作られると、古いウロコと入れ替えるために脱皮を行う、というわけです。
脱皮はどのくらいの頻度で行われる?
新陳代謝の活発な幼体の期間は脱皮の頻度も高く、成体になるにつれて脱皮の間隔が長くなっていきます。
また、気温の高くなる夏場も、陳代謝が活発になるため、脱皮の頻度が高くなります。
このように、脱皮の頻度は、成長、気候、さらに、爬虫類の種類によっても異なります。
たとえば、幼体のヘビは2週間に1回くらいの頻度で脱皮するのに対し、大型のヘビの生態は1年に1回の頻度で脱皮を行います。
さらに、比較的決まった頻度で脱皮するヒョウモントカゲモドキやフトアゴヒゲトカゲは、成体でも2〜3週間に1回くらいの頻度で脱皮を行います。
脱皮不全には注意が必要
通常、爬虫類の脱皮は、自然に始まり、自然に終わります。
しかし、完全に脱皮できず、ウロコの一部が残ってしまうことがあります。これを「脱皮不全」といいます。
脱皮不全は、単に「上手く脱皮ができなかった」で終わらせられるものではなく、そのままにしておくと、その部分が壊死してしまうなど爬虫類の健康に大きく影響する場合があるので注意が必要です。
ここでは、脱皮不全とはどういう状態なのか、脱皮不全と思われるときはどのように対処したら良いのかなどについて、ご紹介します。
◆脱皮不全とはどのような状態か
脱皮不全は、明らかに古いウロコが体表に残った状態になっている場合と、指先や目の周りなどの古いウロコが剥がれ切れていない状態になっている場合があります。
爬虫類の種類により脱皮の仕方が違うため、脱皮不全が起こりやすい部分もそれぞれ異なります。
・トカゲの場合
トカゲの脱皮不全で多いのが、脱皮したウロコが指先に残ってしまっている状態です。
・ヤモリの場合
ヤモリの脱皮不全で多いのが、目の周りや指先に脱皮したウロコが残ってしまっている状態です。
また、体全体を脱皮した皮が体表から浮いたまま、剝がれていない状態が続くこともあります。
・ヘビの場合
ヘビの脱皮不全で多いのが、脱皮したウロコが細かく体表に残っていたり、一部だけがしか脱皮できていなかったりするような状態です。
特に、指先や目の周りなどはとても小さな部分なので、脱皮後はよく観察してあげてください。
◆脱皮不全のリスク
爬虫類が脱皮不全になると、ウロコが残ってしまっている部分で血行不良を起こし、皮膚の状態が悪くなったり、その先の部位が壊死してしまったりすることがあります。
さらに、壊死により欠損が生じると、エサが摂れなくなってしまったり、病気になってしまったりして、命に係わることもあります。
反対に、くる病など病気の症状として脱皮不全が起こっているということも考えられます。
爬虫類にとって、脱皮は健康のバロメーターでもあります。
脱皮不全が気になるときは、速やかに獣医師に相談してください。
◆飼い主が脱皮を手伝った方がいい?
脱皮不全があった場合は、無理のない範囲で飼い主さんが手伝ってあげてください。
すぐに取れそうな場合はピンセットや毛抜きなどで引っ張って剥いてあげます。
範囲が広かったり、反対に指先など細かなところだったりする場合はぬるま湯に入れてあげながらやさしく剥いてあげましょう。
ただし、一気に引っ張ったり、剥がれにくい箇所を無理に引っ張ったりすると、皮膚を傷付けたり、怒って逃げてしまったりすることがあるので、無理に剥いたりはしないでください。
なお、爬虫類の脱皮不全を防止するスプレーなども市販されているので、うまく活用するとよいでしょう。
きれいに脱皮を完了させる方法
爬虫類をきれいに脱皮させてあげるためには、脱皮しやすい環境を整えてあげることが大切です。
たとえば、ヘビは脱皮の際に、浮いたウロコを岩や木などにこすりつけ、引っかけて剥いていきます。そのため、ケージ内にウロコを引っかけやすいようなものを置いておく必要があります。
このように、爬虫類の種類によって、脱皮の方法に合わせた環境が必要です。
ここでは、それぞれの爬虫類たちがきれいに脱皮するために必要な条件について、ご紹介します。
◆トカゲ、ヤモリ
トカゲやヤモリの脱皮で最も重要になるのが「湿度」です。
飼育の際にも、十分な湿度を維持しておく必要がありますが、脱皮の兆候がみられたら、ケージ内に霧吹きをしたり、ウエットシェルターに水を溜めたりするなどして、しっかりと湿度を上げてあげましょう。
また、紫外線不足から脱皮不全を起こす場合もあります。紫外線が必要な爬虫類の場合は、紫外線を十分に当ててあげてください。
◆ヘビ
ヘビの脱皮で重要になるのが、浮いたウロコを引っかけられるような木の枝や岩、そして、湿度です。
ケージのなかには、木の枝や岩、植木鉢の破片、素焼きのシェルターなど、身体をこすりつけることができる大きさがあり、浮いたウロコに引っかかりやすいような素材のものを入れておいてあげます。
さらに、身体全体を浸すことができるくらいの大きさの水入れを置いておいてあげると、ヘビは自分で水に入り、十分に湿度を保った状態で脱皮を始めます。
なかなか水に入ってくれないような場合は、ウエットシェルターに水を溜めておいてあげると良いでしょう。
◆亀
亀の脱皮で重要になるのは、甲羅の乾燥を防ぐことです。
水生の亀の水場が浅いと、甲羅が水に浸からないため、常に乾いた状態になってしまいます。
甲羅は乾燥すると張り付いてしまい、脱皮不全の原因となります。
亀の水場は、常にしっかりと甲羅が浸るくらいの水深を保つようにしましょう。
まとめ
今回は、爬虫類の脱皮についてご紹介してきました。
爬虫類は、人間の髪の毛が周期的に抜け生え変わるのと同じように、脱皮という方法でウロコの新陳代謝を行っています。
脱皮は爬虫類にとって大切な習慣で、万が一、うまくいかない「脱皮不全」の状態になると、皮膚が炎症を起こしたり、壊死して欠損したり、命に係わる病気の原因になったりします。
爬虫類が脱皮不全を起こさないようにするためには、飼い主さんの日々の管理と適切な環境づくりが大切なのです。
脱皮に適した環境さえ整えば、爬虫類たちは自然に、上手に脱皮してくれます。
しかし、環境は万全なはずなのに脱皮が上手くいかない、というような場合は、病気の可能性もあるので、速やかに獣医師さんに相談してください。
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