1.うさぎにみかんを与えてもいいの?
2.みかんの栄養素
3.うさぎにみかんを与える時の注意点
3-1.与える量に注意が必要
3-2.白い筋や薄皮はむいて与える
4.みかんの皮は与えてもいい?
4-1.みかんの皮は食べられる
4-2.みかんは新鮮なものをよく洗って
5.まとめ
【掲載:2023.01.02 更新:2024.06.06】
うさぎにみかんを与えても大丈夫?
冬の風物詩としておなじみのみかんは、うさぎも食べて良い果物です。うさぎの中にはみかんが好きな子もけっこういます。「食べているみかんをうさぎにも与えてみたら喜んで食べた」という経験をされた方もいるのではないでしょうか。
一般に「みかん」と呼ばれている果物は、温州みかん(ウンシュウミカン)という日本原産の柑橘類です。甘みと酸味のバランスが良く、さっぱりした味わいが特徴。皮がむきやすく手軽に食べられることから、幅広い世代に親しまれています。
みかんは甘酸っぱくて、水分が多く柔らかいので口当たりも良く、私たち人間が食べて「美味しい」と感じるのはもちろん、うさぎにとっても魅力的な食べ物となります。
うさぎにも気軽に与えられますが、酸味があって水分も多いので「みかんはうさぎには刺激が強いのではないか」と気になる点もありますね。
うさぎが好むなら副食に取り入れてあげると、うさぎの食生活が楽しいものになるでしょう。また、食欲が減退しているうさぎに与えると、それがきっかけで食欲を呼び戻す場合もあります。
ただ、みかんはうさぎの主食にはなりません。そもそもうさぎの主食は牧草とペレットであり、果物は与えなくても問題ない食べ物となります。もし与える場合は、少量をたまに与える程度が望ましいです。
ちなみに、うさぎによって食べ物の好みが違うので、みかんが大好物という子もいればみかんには全く見向きしない子もいます。みかんを食べない場合は、無理に食べさせようとしなくても大丈夫です。
一方、みかんが好きな子は「もっとちょうだい」とおねだりしてくるかもしれません。ここはうさぎの健康を考え、おかわりをあげたい気持ちはぐっと我慢しましょう。
◆うさぎに柑橘系はあまり推奨されていない?
柑橘系そのものは、うさぎにとって危険な食べ物ではありません。ただし、食べ方が適切でないと体調不良を招くことから、積極的に与えることは推奨されていません。
うさぎに柑橘類が推奨されない理由には、すっぱいこと、水分や糖分が多いことが挙げられます。
まず、柑橘類は酸味のもと「クエン酸」が多く含まれるので酸味があります。すっぱいと、せっかくうさぎに与えても食べない可能性があります。
次にうさぎは水分の多い野菜や果物を食べ過ぎると下痢をしやすくなりますが、柑橘類は果物の中でも特に水分が多いので注意が必要です。
また、柑橘類はさっぱりしてヘルシーなイメージもありますが、みかんやオレンジなど甘みの強い柑橘類は、意外に糖分も多く含まれています。そのため、うさぎが食べ過ぎると肥満、糖質のとり過ぎによる腸内環境の悪化も心配されます。
そして、果物に含まれる糖分にはショ糖、果糖、ブドウ糖などがありますが、みかんには虫歯の原因になりやすいショ糖が比較的多く含まれています。うさぎは滅多に虫歯にはなりませんが、ショ糖はほかの果物や砂糖にも含まれているので、おやつに甘い物をもらうことの多いうさぎは注意が必要です。
また、はっきりした情報ではありませんが、ネット上ではみかんに含まれるポリフェノールの一種「ヘスペリジン」がうさぎの血管に良くない作用をもたらすという説も目にします。
以上の理由があることからも、うさぎに柑橘類を与えたい場合はたまに少量食べさせる程度にして、副食には野菜やほかの果物をローテーションで与えることをおすすめします。
◆薄皮が消化に悪い
みかんを食べる時、袋状の薄皮をむいて食べる人とむかずに袋ごと食べる人がいます。たしかに薄皮は少し硬くてあまり食感が良くありませんね。
みかんは、外側の皮(外皮)をむくと「砂じょう」と呼ばれる果肉が薄い袋状の薄皮に包まれて房状に集まっています。この袋は「じょうのう」といい、外皮の内側についている白い繊維状の筋は「アルベド」といいます。
実は、このじょうのうとアルベドはあまり消化が良くありません。食物繊維が多く含まれているので硬く、噛んで飲み込んでも形が残ったまま胃腸へ送られるので、消化にも時間がかかります。
みかんの薄皮は、よく噛んで常識的な範囲の量を食べる場合には問題ありません。ただ、うさぎの体はデリケートな構造をしているので、初めから薄皮は食べさせないのが安心です。
みかんの栄養素
みかんはビタミンCが豊富なことで知られ、昔から「冬の風邪予防に良い」と言われてきました。うさぎに与える場合にはどのようなメリットが期待できるのでしょうか。
成分 | 効果 | βクリプトキサンチン | 植物性食品に含まれる黄色い色素「カロテノイド」の一種。体内に取り込まれるとビタミンAに変換される | ビタミンA | 免疫力を向上させ、粘膜や皮膚、骨を丈夫にする | ビタミンC | さまざまな代謝に関与する | ビタミンE | 血管を丈夫にし、体を若々しく保つ |
◆βクリプトキサンチン
みかんの栄養価で注目したいのは、βクリプトキサンチンが豊富に含まれている点です。
βクリプトキサンチンは、植物性食品に含まれる黄色い色素「カロテノイド」の一種。体内に取り込まれるとビタミンAに変換されるので、ビタミンAの前駆体と呼ばれます。ビタミンAは免疫力を向上させ、粘膜や皮膚、骨を丈夫にするはたらきをします。
βクリプトキサンチンは柿、パパイヤ、オレンジなどにも含まれていますが、圧倒的に温州みかんに多く含まれているので、少量を食べるだけでうさぎの健康を維持するために役立ちます。
◆ビタミンA、C、E
みかんはビタミンAの前駆体・βクリプトキサンチンのほか、ビタミンC、ビタミンEが含まれているという特徴もあります。
ビタミンCは、さまざまな代謝に関与し、ストレスに強い体を作ります。生命の維持に欠かせない栄養素です。
うさぎは体内でビタミンCが生成できるため、あえて食事からとる必要はありませんが、みかんはビタミンCが豊富に含まれているので飼い主さんは積極的に召し上がるとよいでしょう。
ビタミンEはみかんにはそれほど多く含まれていませんが、血管を丈夫にし、体を若々しく保つはたらきがあります。
ビタミンA・C・Eはそれぞれが強力な抗酸化作用を持ち、生活習慣病や老化を防ぐはたらきをします。さらにこれらをまとめて摂取すると相乗効果を発揮することもわかっており、合わせてビタミンACE(エース)と呼ばれることもあるのです。
うさぎにみかんを与えると、3つのビタミンがまとめて摂取できるので、うさぎの健康維持に役立てる効果が期待できます。
うさぎにみかんを与える時の注意点
うさぎにみかんはあまり推奨できないという声もありますが、上手に食生活に取り込めばうさぎさんにメリットをもたらします。では、どのような点に注意してみかんを与えればよいのでしょうか。
◆与える量に注意が必要
みかんは、糖分・水分が多いので、うさぎが食べ過ぎないよう注意します。与える場合は数日に1回、1日に袋から出した果肉1個分程度にしておきましょう。
たくさん与えると、お腹をこわす可能性があります。また、うさぎには主食の牧草やペレットをしっかり食べさせる必要がありますが、甘くて美味しい果物を与え過ぎると、主食の牧草やペレットをあまり食べなくなってしまう場合があります。
◆白い筋や薄皮はむいて与える
みかんは、薄皮、白い筋、種は取りのぞき、薄皮をむいた果肉だけをうさぎに与えます。
薄皮や白い筋は硬いので、喉の狭いうさぎが飲み込んだ時にひっかかったり詰まったりする可能性があります。みかんは袋ごと1個与えるのではなく、むいてから果肉を小さくちぎり、食べやすい状態で与えるようにしましょう。
なお、薄皮と白い筋は私たち人間にとっては健康に良い効果が期待できるものです。血管の機能を高めるとされるヘスペリジンや腸内の水分を調整する食物繊維の「ペクチン」が豊富に含まれます。お嫌いでなければ、捨てずに飼い主さんが召し上がるとよいでしょう。
◆みかんの皮には注意が必要
柑橘類の皮自体は食用できるものなので、うさぎが口にすることは問題ありません。
みかんの皮を乾燥させた物は陳皮(チンピ)という生薬として使われ、七味唐辛子の材料にもなっています。また、ほかの柑橘類の皮も砂糖漬け、マーマレード、薬味などに活用されるなど、私たちには身近な食材でもあります。
ただ、みかんの果肉と同じくみかんの外皮もあくまでも副食なので、与える場合はほんの一口にとどめておきます。皮に含まれる香りの成分リモネンは皮膚を刺激することもあるようです。
また、種は与えないようにしましょう。
◆みかんは新鮮なものをよく洗う
もし、うさぎがみかんの外皮を好んで食べる場合は、新鮮で農薬の心配がないものを選んで与えるようにしましょう。
市販されているみかんは、表面に農薬がかかっています。うさぎには無農薬と表示のあるみかんを与えるのが安心です。無農薬ではない場合は、ぬるま湯を流しながらみかんの表面をよくこすり洗いし、水気を拭き取ってから与えるとよいでしょう。
なお、ご存知の通りみかんは腐りやすいので、必ず新鮮かどうかチェックしてからうさぎに与えることも大切です。
ちなみに、みかんは新聞紙を挟んで風通しの良い涼しい所に保管すると、傷みにくいのだそうです。うさぎが見つけて勝手に食べてしまうことがないよう、置き場にも注意してくださいね。
まとめ
みかんは、少量ならうさぎに与えて問題ありません。ビタミン補給に役立ちます。みかんを与える時は、新鮮な物を選んで、薄皮を取り除いた果肉を少量食べさせるようにしましょう。
みかんが大好きなうさぎさんも多いです。ただし、みかんはあくまでも嗜好品で、うさぎが生きていく上で食べる必要はないものです。食べ過ぎは良くないので「うさぎが喜ぶから」と言ってたくさん与えないように気を付けてくださいね。
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