1.高齢者がペットを迎えてもいいのか?
1-1.高齢者といっても年齢による
1-2.同居家族がいれば安心
1-3.一人暮らしの高齢者にはあまりおすすめできない
2.高齢者がペットを飼うときに考えるべきこと
2-1.長寿な動物は候補から外すべき
2-2.体力が必要なペットは候補から外すべき
2-3.お世話に多大な時間・手間・費用がかかるペットは候補から外したほうがいい
2-4.ペットも高齢になれば介護が必要になる
2-5.もしものときに備えて後見人を考える
高齢者がペットを迎えてもいいのか?
高齢者が生活環境や体力の変化などに伴い、一人の時間が増えてしまったり、刺激の少ない生活になってしまったりします。
その寂しさや孤独感、周りの方々の心配などから、ペットのお迎えを検討される高齢者が増えています。
実際、ペットが高齢者に良い影響を与えることはよく知られていて、話し相手ができる、規則正しい生活が送れる、何より幸せを感じられるなど、脳が活性化し、認知症の予防効果もあるといわれています。その点から考えても、ペットのお迎え自体はおすすめです。
しかしながら、ペットは生きものです。病気やケガもします。
そんなとき、ご自分ですぐに病院に連れて行ってあげることはできますか?
ここでは、そもそも高齢者がペットをお迎えすることは可能なのか?という点について考えていきましょう。
◆高齢者といっても年齢による
ペットのお世話には、体力が必要です。
とはいえ、高齢者といっても70代の方と80代の方では、当然体力的な違いがあります。
普段からお仕事をされていたり、自分や家族のために家事などをこなしていたりする方であれば、あまり心配することはないでしょう。
しかし、日常的なお世話はもちろんのこと、「ペットの餌など、日用品を定期的に購入しに行けるか?」「ペットが体調を崩したとき、すぐに病院に連れていけるか?」など、ペットの飼育には体力とともに、意外に「足」も必要です。
たとえば、「日頃の買い物のついでに餌も買える」とか「歩いて行ける距離に動物病院がある」など、日常生活のなかにペットのお世話の時間を上手く組み込むことができるようであれば、負担は少なくて済むでしょう。
◆同居家族がいれば安心
高齢者に限らず、ペットを一人で面倒をみる場合と、他にも面倒を見てくれる人がいる場合では、その負担は大きく変わってきます。
特に、飼い主さんが高齢者の場合、自身が体調の悪い状態で、無理をしながらペットのお世話をすることは、決してよいこととはいえません。
そのようなとき、もしも同居家族がいるようであれば、相談したり、協力してもらったりすることも可能でしょう。
ペットを飼育する場合、何かあったときのことを考えると、高齢かどうかにかかわらず同居家族がいると安心です。
同居家族がみな、賛成してくれるような環境でのペットのお迎えはおすすめです。
◆一人暮らしの高齢者にはあまりおすすめできない
毎日のペットのお世話を一人ですることは、なかなか大変なことです。
高齢者お一人であれば、さらに重労働でしょう。
もちろん、ペットも体調を崩したり、場合によっては介護が必要になったりすることもあります。そのような場合、すべてのお世話をお一人でできるでしょうか?
また、ペットの飼育には、お世話だけでなく、お金もかかります。
ペットのお迎えを検討する際は、これらの負担を高齢者お一人で背負うことができるかどうかを十分に考慮する必要があります。
これらの点が、ご本人のためにも、ペットのためにも、一人暮らしの高齢者がペットをお迎えすることをおすすめできない理由です。
高齢者がペットを飼うときに考えるべきこと
高齢者がペットをお迎えする場合は、そのペットの平均寿命の時期のご自分の年齢や生活状況をイメージする必要があります。
たとえば10年後、お迎えした時と同じようにお世話ができるか、同じ生活環境を維持できるかは、迎えるペットにとっても重要なことです。
ここでは、高齢者がペットを飼うときに考えておくべきことについてまとめてみましょう。
◆長寿な動物は候補から外すべき
ペットして飼育できる動物のなかには、とても寿命の長い種類もいます。
たとえば、亀。お世話も難しくなく、餌を求めて寄ってきてくれたりするので、ペットとしてとても魅力的です。
しかし、なかでも人気のあるミドリガメの寿命は平均で40年、ゼニガメは15~30年といわれています。
また、お話しもでき、コミュニケーションやスキンシップも可能な鳥類。
オカメインコの寿命は平均20年、大型のオウムやインコになると、その寿命は50~60年です。
ペットをお迎えした以上、天寿を全うするまで面倒をみるのが飼い主さんの義務です。
高齢者のペットとして、長寿な動物はおすすめできません。候補から外すべきだといえるでしょう。
お迎えする動物は、最後までお世話ができるかどうか、平均寿命を考慮しながら検討する必要があります。
◆体力が必要なペットは候補から外すべき
毎日散歩が必要だったり、遊んであげないとストレスが溜まってしまったりするような動物は、高齢者の方がお世話をするには、負担が大きいといえます。
特に大型犬は、力も強く、お散歩自体も難しいでしょう。
さらに、お散歩の必要な動物は、たとえ天候が悪くても連れて行かなければいけません。
また、たとえ家のなかで飼育できるとしても、動きの速い動物のお迎えも要検討です。
万が一、ペットがケージなどから脱走してしまった場合、探したり、捕まえたりすることができるかどうかも重要なポイントになります。
毎日のことなので、無理をしないで続けられるお世話の範囲で飼育できる生きもののお迎えをおすすめします。
体力の必要な生きものは、お迎えの候補から外すべきでしょう。
◆お世話に多大な時間・手間・費用がかかるペットは候補から外したほうがいい
ペットとの生活には、とてもお金がかかります。
餌などの日用品の購入だけでなく、保険料や病院代、予防接種、さらに、お迎えする動物によっては、温度管理が必要で電気代も必要経費になる場合があります。
その他、生餌など、特別な餌が必要だったり、特別な生活環境を整える必要がある動物の場合は、お金だけでなく、手間もかかるためおすすめできません。
お迎えする動物の平均寿命を迎えた時、お迎え当時と同じ環境を維持してあげられるのか?体力面、金銭面で難しい状況にならないか?など、十分に考慮し、お世話に多大な時間・手間・費用がかかるペットは候補から外しましょう。
◆ペットも高齢になれば介護が必要になる
どのような生きものも、高齢になれば介護が必要になる場合もあります。
特に大型の動物の介護には、体力、労力、さらに、費用の面でも大きな覚悟が必要です。
もしも、ペットに介護が必要になったとき、十分なお世話はできるでしょうか?
ペットとしてお迎えする動物を検討する際には、介護を迎えるであろうそのときのご自身の年齢も考慮した上で選択する必要があります。
◆もしものときに備えて後見人を考える
ペットをお迎するという選択をした場合、寿命を迎える最期の日まで面倒をみるのが飼い主さんの義務です。
とはいえ、ケガや病気などでお世話ができなくなったり、ペットよりも先にご自身が亡くなってしまったりすることも無いとはいえません。
その場合に備え、以降も可愛いペットを面倒見てくれる「後見人」を見つけておくことをおすすめします。
ご自身のお身内やご近所の方にあらかじめお願いをしておいたり、万が一、該当する方がいらっしゃらない場合は、「民間サービス」などに事前に相談したりしておくとよいでしょう。
万が一のときのために、十分な備えが必要です。
高齢者に向いているペット
ここまで、高齢者がペットを選ぶとき、飼うときなどの注意点についてお話ししてきました。
生きものを飼うということは、高齢か否かにかかわらず大変なことです。
とはいえ、高齢者がペットを飼うことは、お互いの幸せのためにも十分に検討する必要があります。
しかし、ペットとの生活は、喜びも大きく、生活の刺激になります。
今回は、ここまでお話ししてきた条件を考慮したうえで、高齢者におすすめのペットのはどのような生きものか、ご紹介していきましょう。
◆メダカ
メダカは、飼育下での寿命が2~3年。お水換えに注意する必要があるものの、ペットとして比較的飼いやすい生きものです。
メダカは、餌を与えるときに近寄ってきてくれます。そんなところも、可愛くておすすめです!
実際に、メダカをペットとして迎える高齢者も増えています。
メダカのような魚類が水中を泳ぐ姿を見ると、人間の脳にα波が発生することが知られており、精神の安定にもとても良いといわれています。
◆ハムスター
ハムスターも、飼育下での寿命が2~3年。お世話はきちんと餌やお水を与え、常にケージ内を清潔に保ってあげる必要があるくらいという、飼いやすい生きものです。
ハムスターはスキンシップも取れるため、ペットと一緒に生活している実感もあり、おすすめです!
毛の生えた生きものを撫でたときの刺激は、人間の神経にも良い影響を与えることが知られており、高齢者の認知症の予防になるともいわれています。
◆セキセイインコ
セキセイインコは、飼育下での寿命が5~8年。適度な運動と日光浴が必要とはいえ、ペットとして難しいお世話のいらない生きものです。
セキセイインコの最大の特徴は、手乗りができること、言葉でコミュニケーションがとれること。楽しくスキンシップが取れておすすめです!
セキセイインコは「コンパニオンバード」に向いている鳥とされており、アニマルセラピーの現場でも活躍しています。
◆猫
猫は、飼育下での寿命が15年。散歩の必要がなく、餌もその都度必要な分だけ食べる、水も必要な分だけ飲む、と比較的お世話に手のかからない生きものです。
とはいえ、高齢になると介護が必要になる場合もあるため「同居家族がいる場合は」という限定的におすすめのペットです。
ご存じのとおり、生きもののお世話をするということは、頭を使い、身体を動かし、規則正しい生活になるため、脳の活性化や認知症予防など、高齢者の健康にとても有効なことが知られています。
しかしながら、高齢の猫のお世話は、若い猫のお世話とは比較になりません。
お迎えにあたっては、是非、ペットの幸せを最優先に考えてあげてくださいね。
衝動的になるのは厳禁。ペットを迎える前によく考えて。
ここまで、高齢者がペットをお迎えする際、どのようなことが問題になるのか、どのようなことを考えなくてはいけないのか、いろいろとお話ししてきました。
実際、私の両親もペットの迎えを検討していましたが、ペットショップから「年齢的に難しい」「保証人が必要」ということを言われたそうです。
譲る側、販売する側も「この子が生涯幸せに生活できるか」と、購入者の適性を見極めるでしょう。
面倒をみるべき存在がいること、話したり、温もりを感じられたりする存在がいることが、高齢者の生活に活力や潤いを与えることは、間違いありません。
しかし、最も重要なことは、ペットとしてお迎えするその子が「一生幸せに過ごせるか」どうかです。
特に、これまでペットを飼っていた経験が豊富であったり、生きものが好きであったりする高齢者の方は、ペットを飼いたい!とお考えになるでしょう。
でも、衝動的になるのは厳禁です。
お身内も含めて十分に話し合い、さまざまな状況を考慮しながら検討してください。
家庭用ロボットを迎える選択肢もある
高齢者の方々がペットを迎えたいと考えたり、周辺の方々がペットがいたらと考えたりする最大の理由は、孤独感を解消するためではないでしょうか。
孤独感の解消のために生きものを飼育することは、理にかなっているとはいえ、高齢者がお世話をすることを考えるとリスクが大きいともいえます。
孤独感とお世話の負担を解消する解決策として、「ロボットを迎える」という方法があります。
「無機質なロボットで孤独感を解消できるわけがない!」と思われるかもしれませんが、現在販売されている家庭用のペットロボットは、意思の疎通ができたり、AI技術により成長を感じられたりするなど、セラピーとしても期待されるほどになっており、ペットとしておすすめです。
特別なお世話も必要なく、介護の心配もないロボットは、恐らく、考えている以上に良い選択肢だといえるでしょう。
まとめ
今回は、高齢者の方があらたにペットを迎えることは可能か?お迎えするならどのようなペットが良いのか?といったことについて、お話ししてきました。
ペットの存在は、人間の脳や精神、気持ちなどさまざまなところに良い影響を与えてくれることが分かっており、ペットのお迎えそのものはおすすめです。
とはいえ、生きもののお迎えには「命を守る」という大きな責任が伴います。
ペットが最期を迎える日まで、お迎え時と同じ生活環境を維持することは、飼い主さんの義務です。
もしかしたら、今回ご紹介した「おすすめのペット」たちは、必ずしも求めていた生きものたちとは違うかもしれません。
しかしながら、高齢者の場合、ペットをお迎えする「今」と10年後の生活状況や体力には、大きな差があることが考えられます。
高齢者がペットをお迎えする場合は、是非、10年後をイメージして検討するようにしてください。
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