日本の川にいるカメをご紹介!野生のカメは飼ってもいいの?

2023.04.09

日本の川にいるカメをご紹介!野生のカメは飼ってもいいの?

カメは、爬虫類のペットのなかでも日本で最もポピュラーな生きものといえるでしょう。 「子どもの頃に川で捕まえて、飼ったことがある」という方もいらっしゃるのでは? そもそも、捕まえたカメをペットとして飼ってもよいものなのでしょうか? 今回は、日本の川に住むカメについて、そして、カメをペットとしてお迎えするのに必要な知識について解説していきます。


川で見るカメは何の種類?

カメは、公園の池、近所の川、水路など、比較的身近なところで見かけることができる爬虫類です。
カメは健康を保つためにいわゆる「甲羅干し」といわれる日光浴をするため、爬虫類のなかでも見つけやすく、すばしっこさもないため、「子供の頃、近所の川で捕まえたことがある!」という方もいらっしゃるかもしれません。
では、日本の川にはどのような種類のカメが住んでいるのでしょうか?
まずは、日本の川で見かけることができるカメを5種類ご紹介します。

◆ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)

ミシシッピアカミミガメ

ミシシッピアカミミガメは、日本では「ミドリガメ」とも呼ばれているアメリカ原産の国外移入種です。

ペットショップや祭の夜店などで売られていたりすることもあり、日本では最もなじみのあるカメといえるでしょう。
幼体の甲羅は「ミドリガメ」といわれるように鮮やかな緑色をしていますが、成体になると次第にくすみがかった色になっていきます。

ミシシッピアカミミガメは湖沼や流れの緩やかな河川などに生息していますが、本来は日本にはいないはずのカメです。
現在では、河川の既存の生態系悪化の懸念から、ミシシッピアカミミガメ輸入や販売、野外への放出の禁止が検討されています。

※2023年6月1日よりアカミミガメが条件付特定外来生物に指定されることが正式に決定しました。詳しくは環境省のHPより詳細をご確認ください⇒環境省のページはこちら

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◆ニホンスッポン

ニホンスッポンは、北海道以外の湖沼、用水路や流れの緩やかな河川などに生息しています。
スッポンは、基本的に水中で生活する爬虫類で、底砂に潜ることも多く「見たことがない!」という方も多いかもしれません。

ニホンスッポンの甲羅は柔らかく、灰色からかっ色をしていて、模様はありません。
スッポンは、とても臆病な生きもので「噛み付くとなかなか放さない」ことで知られていますが、万が一噛みつかれてしまった場合は、決して無理に離そうとせず、しばらくじっとしているか、スッポンをみずにつけることで自然と離れてくれます。
なお、食用にされているスッポンは、このニホンスッポンで、養殖または輸入されたものです。

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◆ニホンイシガメ

ニホンイシガメ

ニホンイシガメは、水の綺麗な河川や水路などに生息しています。
日本固有のカメですが、水質の悪いところを好まず、最近では首都圏の河川で見かけることは少なくなりました。
ちなみに、ニホンイシガメの幼体は「ゼニガメ」とも呼ばれています。
人気のキャラクターの名前にもなっているくらいですから、こちらの呼び方の方になじみがあるかもしれません。
ニホンイシガメの甲羅は、褐色系の渋めの色合いをしており、その美しく「和風」な色調が人気で、ニホンイシガメの個体数の減少は、ペットとして乱獲されたことにも原因があるといわれています。

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◆クサガメ

クサガメ

クサガメは、湖沼、流れの緩やかな河川、水田などに生息しています。
クサガメは、川や池などで甲羅干し(日光浴)をしている姿を見かけたり、場所によっては道路を歩いている姿を見かけたりすることもあるくらいのおっとりしたカメです。
クサガメという名前は「臭いカメ」という意味で、危険を感じると臭腺から臭いにおいを出すことから、このように呼ばれるようになりました。
ちなみに、クサガメの幼体はニホンイシガメと同様に「ゼニガメ」と呼ばれたり、甲羅が黄色の縁取られていることから「キンセンガメ」と呼ばれたりすることもあります。
クサガメの甲羅は黒く、幼体にある黄色の縁取りも、成体になると次第に黒っぽく変わっていきます。

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◆交雑種

ニホンイシガメとクサガメの交雑種は「ウンキュウ」と呼ばれ、自然下でもまれに発生しますが、多くはブリーダーによる交配から生まれたものです。
そのため、ウンキュウは、流れの緩やかな河川などニホンイシガメやクサガメの生息地で見かけられることがありますが、本来は、自然下で見かけることは好ましくありません。
また、ウンキュウの見た目については、当然、ニホンイシガメ近かったり、クサガメに近かったりといったバリエーションがあり、ペットとして飼育されている個体のなかには「クサガメだと思っていたらウンキュウだった!」といことも少なくないようです。
なお、固有のカメたちの本来の生活環境を守るためにも、交雑種の川への放流は絶対に行ってはいけません。


川にいるカメは捕まえていいのか

個体数の少なくなっているカメは、天然記念物に指定されていたり、川を管理する自治体などにより条例などで保護の対象となっていたりする場合があります。

また、カメのなかには、国際的に取引が禁止されている場合もあります。

このようなカメたちは、たとえ川にいたからといって捕まえて飼育することはできません。
特に、自治体ごとで保護の対象となる生きものは異なるため、捕まえる前に確認すると良いでしょう。

また、野生の生物は細菌や寄生虫に感染している場合があるため、その扱いには十分に注意しなければいけません。
たとえば、カメには「サルモネラ菌」を保菌している個体があり、手指などから口の中に入ってしまうと激しい胃腸炎症状を起こす可能性があります。

万が一、子どもや高齢者が感染すると、重症化する恐れもあるため非常に危険です。
野生の生きものは、基本的に捕まえて飼うことは避けるべきだと考えますが、もしも、川などでカメを捕まえたり、お世話をしたりした場合は、必ずしっかりと手を洗うようにしましょう。


カメの飼育に必要なグッズとは

陸地で休むカメ

カメは、川の浅瀬などの水辺に生息する生きものですが、陸地で過ごす時間もあるため、住処には両方の環境を整えてあげる必要があります。
このような、カメが快適に過ごすための環境づくりを含め、カメの飼育にはどのようなものが必要なのでしょうか?
ここでは、カメの飼育に必要なグッズについて、ご紹介していきましょう。

◆水槽

カメが生活する水槽には、川辺のように「陸地」と「水場」が3:7くらいの割合になるような環境を作ってあげる必要があります。
カメ用の水槽も市販されていますが、特にカメ用とされていない場合でもかまいません。できるだけ幅と奥行きが広い水槽を用意してあげましょう。
目安として、体長10cmくらいになるカメで幅60cmくらいのもの、体長20cmくらいのカメで幅90cmくらいの大きさの水槽がおすすめです。

◆フィルター

カメの飼育には、浅い水場を作ってあげる必要があります。
とはいえ、水場は汚れや匂いの原因になりやすく、清潔な環境を維持するためには、こまめな清掃が必要ですが、カメにとって良い環境を維持するためには、水を綺麗にするフィルターの設置が有効です。

フィルターの種類には、投げ込み式、水中式、外部式などがあり、水槽や水槽を置く場所に合わせて選ぶことができます。
また、フィルターは一日中稼働させておくことになるため、ろ過性能が高いのはもちろんのこと、稼働音の静かなタイプのものがおすすめです。

◆砂や陸地

カメは、日光浴をすることで、成長に必要なビタミン類を体内で合成しています。
そのため、カメの甲羅干しには健康維持のための重要な意味があり、陸地となる場所が必要です。

カメの水槽レイアウトは、陸と水の割合を3:7くらいにし、砂や石を使い川の浅瀬のように滑らかに陸上に上がれるようにしてあげると、ケガの防止につながります。
なお、水分があると次第にぬめりが出てきて、カメが滑ってしまう原因になる可能性もあるため、掃除のしやすい形状のものを選ぶようにしましょう。

◆専用フード

カメは、本来雑食性の生きもので、イトミミズやアカムシなどの生きた餌、魚や肉などの生餌、野菜や果物も食べます。
しかし、これらをカメにバランスよく与えていくことは難しいでしょう。

ペットショップやホームセンターなどでは、カメに必要な栄養素をバランスよく配合した「カメ専用のフード」が販売されています。
カメの健康維持に必要なタンパク質やミネラルなどを簡単に接種することができ、カメの年齢やサイズ、健康状態に合わせたものもあります。

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◆その他

野生のカメは、気温が低下する冬になると冬眠をします。
しかしながら、飼育されているカメが冬眠した場合、管理が上手くできていないとそのまま死んでしまうことがあるため、冬眠はさせない方が良いでしょう。

冬眠させないようにするためには、水槽に熱帯魚や爬虫類用に販売されているヒーターを設置して、温度を保ってあげてください。
その他にも、たとえば、水槽やフィルターの清掃や水替えに便利な「水換え用のポンプ」や、水質維持のために必要な「水質調整剤」などを揃えておくと、お世話がとても楽になりますし、安心です。


カメを飼育する際の注意点

カメを飼育する際に注意が必要な点は、水質管理と冬場の温度管理、そして、十分な日光浴です。

◆水質管理

水槽内に水場を作る場合、どうしてもカビや細菌などが繁殖しやすくなります。
そのため、フィルターで水質を管理するとともに、こまめな掃除は必須です。

万が一、細菌の繁殖でぬめりが発生すると、健康上の心配はもちろんのこと、ケガの原因にもなるので注意しましょう。

また、水槽には、そのまま水道水を入れるのではなく、水道水に含まれているを「カルキ」を除去するいわゆる「カルキ抜き」をする必要があります。
一般的には、汲んだ水を1~2日外に置き、日光に当てておくと良いといわれますが、最も確実で安心な方法は、ペットショップやホームセンターなどで市販されている「カメ専用のカルキ抜き剤」を使用することです。

カルキ抜き剤は、単にカルキを抜くだけでなく、臭いや雑菌の繁殖も抑えてくれるので便利です。

◆冬場の温度管理

カメの飼育では、冬場の温度管理も重要です。
冬眠しているカメに適切な環境を作ることはとても難しく、冬眠に入ったカメがそのまま起きることなく死んでしまうということがあります。
そのため、冬場は室温を高くするなどして水槽内の温度を保ったり、ヒーターを設置するなどして水槽だけを温めたりするなどの対応が必要です。

◆1日1回の日光浴

カメの健康維持に最も重要なのが「日光浴」です。
最低でも1日1回、毎日2~3時間くらいは日光に当ててあげましょう。

水槽を日の当たりやすい窓辺に置くなどの対応が必要です。
万が一、こまめに日光浴をさせてあげることが難しい場合は、水槽に「紫外線灯」を設置してあげましょう。


まとめ

今回は、最も身近な爬虫類ともいえる「カメ」についてお話ししてきました。
子どもの頃、近くの川などで見かけてそのまま連れて帰ってペットにしていた、という方も多いのではないでしょうか。

日本固有のカメの数は少なくなっているものの、今でも、近くの川や公園の池などでカメを見かけます。

今回ご紹介したように、日本の川には、さまざまな種類のカメが生息していますが、なかには、本来いるはずのない種類のカメも生息しています。
本来、その川にいるはずのないカメたちは、ペットとして飼われていた子が放流されてしまったためにそこで生態系を築き、繁殖しているのです。

当然、このような状態は、生態系に大きな影響を与えます。
もちろん、捕まえて飼うことができる種類のカメもいますが、数が減ってしまったために保護対象となっているカメもいるため、見つけた川を管轄する自治体のホームページなどで確認しましょう。

また、自然のなかで生活していれば、細菌などを保有していることも考えられます。
これらのことを踏まえると、たとえ可愛くても、むやみに連れて帰るのはおすすめできません。

また、一度連れて帰り飼育し始めた個体を自然に返すのは、亀の為にもよくありませんので、終生飼育ができるのか、よく考えてみましょう。



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こどもの頃から、爬虫類、小動物、ワンコなど、さまざまな動物と共に生活してきました。 今まで出会ってきた動物たちとの経験を活かしながら、新しい情報、役立つ情報をキャッチし、ご紹介していきたいと思います。


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