1.アライグマはペットにはできない
2.アライグマはどんな動物?
2-1.分類
2-2.大きさ
2-3.生息地
2-4.性格
2-5.特徴
アライグマはペットにはできない
現在、日本ではアライグマを個人的なペットとして飼育することはできません。
購入はもちろんのこと、野生のアライグマを保護したり、誰かから譲り受けたりすることも法律で禁止されています。
平成16年6月に公布された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」の中で、アライグマは「特定外来生物」に指定されました。
※「特定外来生物」とは、生態系、人の生命や身体、農林水産業に被害を与える(恐れがある)として捕獲・駆除の対象となる外来生物のこと
この背景には、70年代に起きたペットブームが大きく関わっています。
その当時放映されていたアニメ「あらいぐまラスカル」に登場するラスカルという名前のアライグマが非情に可愛らしく、ペットとして飼いたいという人が増えたそうです。
今でこそ道端や夜の街などでも見かけることのあるアライグマですが、本来はカナダの南部に生息していて日本にはいない動物です。
そこで、ペットブームに乗っかって多くのアライグマが日本へと輸入され、一時期は1頭5万円ほどで取引されていたこともありました。
しかし、見た目の可愛らしさに惹かれアライグマの生態などについてよく調べずに飼育し始めた人々が、アライグマの気性の荒さに次第に手に負えなくなり、アライグマを野に放ったり、管理不足でアライグマが脱走するようになりました。
そのようなアライグマたちが次第に日本の山などに定着し始め、現在では多くの被害をもたらす害獣として扱われるようになってしまったのです。
ちなみに、アライグマを含む特定外来生物は個人的な目的での飼育は禁止されているものの、学術研究や展示、教育などの目的で大臣の許可を取得すれば飼育可能です。
アライグマはどんな動物?
日本では特定外来生物に指定されてしまったアライグマですが、そもそもどんな動物かご存知でしょうか?
ここでは、アライグマについてより深く解説していきます。
◆分類
アライグマは見た目がタヌキと似ているため混同されやすいですが、実はタヌキとは全く異なる動物です。
タヌキはイヌ科タヌキ属に分類され、趾行性(しこうせい)で指先のみで歩くのに対し、アライグマはアライグマ科アライグマ属に分類され、蹠行性(しょこうせい)でかかとをつけてクマのように歩きます。
また、アライグマの尻尾にはしま模様があるのも特徴的です。
◆大きさ
アライグマの標準的な大きさは体長40-60cmほど、尾の長さが20-40cm、体重は4-10kg程度です。
特に野生のアライグマは生息地によって体の大きさが異なり、その体重は個体によって2~14kgもの差があり、稀に20kgほどまで大きく成長した個体も見られるようです。
また、オスの方がメスよりも体が大きくなる傾向があります。
◆生息地
アライグマはカナダ南部から南アメリカ北部にかけて広く分布していますが、原産国は北アメリカです。
なかでも野生のアライグマは森林や草原地帯、河川地域を好み、岩の窪みや木の洞穴などで暮らしています。
冬場に雪が降るような寒い地域では穴ごもりをすることもありますが、冬眠はせず、特に暖かい地域では1年中活動している活発な動物です。
人間の飼育下では10〜20年と言われるアライグマの寿命ですが、野生下では3〜5年が平均と言われています。
野生のアライグマの寿命は短いものの環境適応能力は高く、近年では森林地帯を飛び出して湿地帯や沿岸部のほか、農地や郊外、都市部などにも住み着くことがあり、世界各地で問題となっています。
◆性格
見た目はとても可愛らしいアライグマですが、犬のようにペットとして改良されている訳ではない為、野生の気質が非常に強いです。
基本的にしつけができないだけでなく、実はアライグマは気性が荒く、凶暴で攻撃的であると言われています。
手足の力や噛む力も強く、ペットとして飼われていた時代には小屋を破壊して脱走してしまうことも珍しくなかったようです。
もちろん熱心にお世話をすることで、アライグマが人間の匂いや声を覚えて仲間と認識してくれることもありますが、野生の世界は厳しいので、些細なきっかけで警戒心を抱かれ攻撃されてしまうことも少なくないでしょう。
◆特徴
アライグマは本来夜行性ですが、昼間に活動することもある非常に活発な動物です。
泳いだり、木に登ったりするのも得意で身体能力は高いですが、視力はあまり良くありません。
また、アライグマは雑食性の為、野生下では木の実や果物を採ったり、小動物や魚を捕獲したりして何でも食べますが、特にカエルやザリガニ、魚や貝といった水辺の食べ物を好むようです。
ちなみに、アライグマという名前ですが、人間のように食材を洗ったりはしません。
魚を獲る時に、水中に前足を入れて様子を探る姿が手を洗っているように見えたことから「アライグマ」と名付けられたと言われています。
それほど器用な指を持っているアライグマですが、穴を掘るのは苦手で自分で巣を作ることはほとんどありません。
その代わり、アライグマには他の動物の巣穴や岩の窪み、木の洞、民家などもともと住むのに適した場所を活用するズル賢さがあります。
アライグマは危険な動物?
アライグマが日本で野生動物として定着した理由の一つとして、日本にはアライグマの天敵となる生き物が居なかったことが挙げられます。
また、動物の中でも繁殖力の高いアライグマは、どんどん数を増やし、やがて果樹園や畑を荒らし、空き家や民家の天井裏や床下に住み着くようになりました。
民家に住み着いたアライグマは、住民の留守を狙って食材を盗む他、ペット用のエサを漁ったり、庭の鯉や金魚を食べたりすることが報告されています。
確かに実害のあるアライグマですが、果たして危険な動物なのでしょうか?
◆野生動物であるため攻撃的なことがある
日本では動物園でよく見るアライグマですが、実はプロでも飼育は難しいと言われています。
なぜなら、野生動物としての本能が強く、攻撃的な個体が多いからです。
可愛らしい見た目に反して、アライグマは鋭い牙を持っており、噛む力も強いです。
動物園では、アライグマが柵を壊したり飛び越えたりして脱走してしまう事例が相次いだことから、今ではアライグマに他の動物以上に強靭な飼育小屋を与えるのが一般的となっています。
「番犬」という言葉があるほど高い運動能力といざという時の攻撃性を兼ね備えた犬ですら、大きさが同じくらいであった場合、アライグマには簡単にやられてしまうようです。
見た目の可愛さに惑わされず、「危険な野生動物である」という認識を持つ必要があるでしょう。
◆野生の個体を見つけても近寄らない
アライグマが危険と考えられるのは、その攻撃性だけではありません。
アライグマには人にも感染する病気を持っている可能性があるのです。
実は、アライグマは狂犬病、噛寄生虫、回虫、レプトスピラ症等といった、感染すれば死に至るような病気を媒介していることで知られています。
アライグマを飼育する動物園や研究機関ではきちんと予防接種を受けさせていますが、野生のアライグマへの接触は非常に危険です。
もし自然の中でアライグマに出会っても、たとえその子が怪我をしていても、自己判断で接触したり保護したりしないようにしてください。
自分だけでなく周りの大切な人やペットまで、病気に感染してしまう恐れがあります。
必ず、専門家に連絡するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか。この記事では、アライグマについて徹底解説しました。
アライグマは見た目は愛らしいものの、日本では法律で飼育が禁止されている特定外来生物
です。
攻撃的な性格や人にも感染する病気を媒介していることから、もし野生の中で出会っても、決して接触してはいけません。
どうしても会いたくなったら、ぜひ、きちんと管理された動物園へ足を運んでくださいね。
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