【自由研究にピッタリ】生きた化石!カブトエビを育ててみよう!

2023.07.08

【自由研究にピッタリ】生きた化石!カブトエビを育ててみよう!

生きた化石と呼ばれる生きもの「カブトエビ」をご存じですか? 生きた化石といいながら、国内の田んぼなどで見かけることのできる身近な生きものでもあります。 カブトエビは、歴史や生態がとても興味深い生きものでありながら、飼育は難しくなく、夏休みの自由研究などにピッタリです。 今回は、そんな魅力的な生きもの「カブトエビ」について、ご紹介していきます。


〔生きた化石〕カブトエビってどんな生き物?

カブトエビ

カブトエビは、祖先が2億年以上前に生存していた「三葉虫」といわれ、今でもその原始的な姿を変えずに生息する「生きた化石」として知られています。
なお、カブトエビは外来種で、元々日本には生息していませんでした。

しかしながら、現在では田んぼで簡単に見つけられるほど数が増え、すっかり身近な生きものです。
では、そんな〔生きた化石〕カブトエビとは、いったいどのような生きものなのでしょうか?
ここでは、カブトエビの特徴や生態などについてご紹介していきます。

◆特徴

カブトエビは、鰓脚綱(さいきゃくこう)背甲目(はいこうもく)カブトエビ科に分類される甲殻類の仲間です。

カブトエビの硬い甲羅(背甲)で覆われた背中には、大小合わせて3つの目が付いており、これは、原始的な生きもの特有の特徴です。
また、カブトエビの食性は「雑食性」で、田んぼなど泥地にいるプランクトンや小さな昆虫、藻や雑草などを食べています。

そんな、カブトエビの最大の特徴は、数年間水がなくても生き続けることができる「乾燥卵」や「休眠卵」と呼ばれる卵です。

ちなみに、外来種であるカブトエビが現在日本で生息している理由は、その孵ることなく生き続けた卵が、渡り鳥などに付着して日本に運ばれてきたため、と考えられています。
さらに、この乾燥卵に水分を与えると数時間~数日で孵化し、孵化後2週間で繁殖できるようになります。

この卵の生命力の強さと繁殖力の高さが、「生きた化石」といわれるほどカブトエビが長く子孫を残し続けられている理由といえるでしょう。

◆大きさ

日本に生息するカブトエビは、とても小さく、大きさは2~3cmほどです。
それに対し、カブトエビの本来の生息地である北アフリカでは、10cm近くの大きさになるカブトエビが生息しているといわれています。

カブトエビの成長スピードは非常に早く、孵化後2週間で繁殖可能な2cmほどの大きさにまで成長します。
この成長のペース、夏休みの自由研究にピッタリですね!

◆寿命

自然に生きるカブトエビの寿命は、平均30日程度と、とても短いものです。

飼育下の場合、カブトエビにとって良い環境を作り、うまく飼育してあげることで、50~60日くらいまで寿命を延ばすことができるといわれています。
なお、カブトエビは産卵するとすぐに死んでしまうため、長生きを目的として飼育する場合は、繁殖を避けるためにも1つのケースに1匹で飼育するようにしましょう。

◆生息地

カブトエビは東北と北海道を除く、日本全国に生息しています。
国内で見られるカブトエビは、西日本で「アジアカブトエビ」、中部地方以西で「アメリカカブトエビ」、和歌山県で「オーストラリアカブトエビ」、さらに、山形県で「ヨーロッパカブトエビ」の4種が確認されており、主に西日本で多く見かけられるようです。

カブトエビは常に淡水に生息し、陸地で生活したり、飛んで移動したりすることはできません。そのため、国内のカブトエビは、ほぼ、田んぼでのみ生息しています。
なお、そんなカブトエビは、田んぼのなかで絶えず動きまわっており、その結果、水を濁らせて水底に日の光が届きにくくなり、雑草が生えにくい環境を作ることから、農家の間では「田んぼの草取り虫」と呼ばれています。


カブトエビを飼う際に必要な物

カブトエビは、「生きた化石」といわれる割には、とても丈夫で初心者でも飼育しやすく、自由研究で飼育・観察するのにも適しています。
そうとはいえ、生きものの飼育には、環境を整えたり、エサを確保したりするなどの準備が必要です。

では、実際にカブトエビを飼育するには、どのようなものを準備する必要があるのでしょうか?
ここでは、カブトエビを飼う際に必要な物について、ご紹介していきましょう。

◆カブトエビの飼育キットの場合

ペットショップやホームセンターなどに行くと、カブトエビの乾燥卵と小さな水槽がセットになった「自由研究用の飼育キット」が1,000~1,500円くらいの値段で販売されています。

たとえば、一般的なカブトエビ飼育キットの場合、「乾燥卵」「エサ」「栄養」「水槽」「チューブボトル」「説明書」など、飼育に必要なものがすべて含まれます。

これだけあれば、すぐにでもカブトエビの飼育が始められます!
ちなみに、乾燥卵は水を含ませると数日で孵化するため、貴重な瞬間を見逃さないよう、毎日しっかりと観察することをおすすめします。

◆ショップで購入または田んぼで捕まえた場合

田んぼのカブトエビ

カブトエビは、キットなどについている乾燥卵を孵化させるだけでなく、田んぼで捕まえてくることでも入手可能です。

捕まえたカブトエビをそのまま持ち帰った場合には、小さな水槽や金魚鉢のような容器に入れてあげましょう。
ちなみに、カブトエビの飼育には、エアーポンプやライトといった特別なものは必要ありません。

また、エサについても、熱帯魚やメダカ用のエサを代用して食べさせてもOK!

とりあえず、水槽などの容器があれば、捕まえたカブトエビを自宅に連れて帰っても問題ありません。
なお、水槽には、カブトエビと一緒に水草などを入れておいてあげると、カブトエビがさらに安心して過ごせるのでおすすめです。


カブトエビの飼い方と注意点

カブトエビの飼育は、決して難しくはありません。
そうとはいえ、生きものを育てるわけですから、常にカブトエビに適した飼育環境を保つ必要があります。
カブトエビにとっての適した飼育環境とは、どのようなものなのでしょうか?

ここでは、カブトエビの基本的な飼い方と飼育における注意点について、お話ししていきましょう。

◆カブトエビのエサ

本来は、プランクトンや小さな昆虫などをエサにするカブトエビですが、飼育下では熱帯魚やメダカ、金魚用に市販されているエサ(人工飼料)を与えることが可能です。
その他、お米やかつお節なども好んでよく食べますよ。

そもそも、カブトエビは雑食性で、食欲も旺盛。どんなエサを与えても、とてもよく食べます。
むしろ、エサの量が足りていない場合は、カブトエビ同士で共食いしてしまうこともあります。

そうとはいえ、食べきれなかったエサが水のなかに残ってしまうと水質が悪くなってしまうため、与えるエサの量には注意が必要です。
エサは1日1回。与えてから数分程度で食べきれる量を目安にしましょう。
なお、卵から孵化したばかりの赤ちゃんカブトエビに餌を与える場合は、人工飼料をすりつぶして細かくしてからあげてください。

◆水温は20度~25度

カブトエビの飼育に適した水温は、20~25度です。
カブトエビは、水温が適温以上や以下の状態が長く続いてしまうと死んでしまいます。
「できるだけ長生きさせたい!」という場合は、できるだけ大きなの水槽を用意し、水温調整ができるヒーターなどを設置してあげるとよいでしょう。

特に、カブトエビの卵を孵化させたい場合には、水温の維持が重要になります。

◆太陽光にてカルキ抜きする

水のなかに暮らす生きものの飼育で最も重要なのが、水温と水質の維持です。
水槽の水は、食べきれなかったエサや糞などで汚れてしまいます。
2週間に1回程度を目安に、一気にすべての水を交換したりせず、水は半分ずつ交換していきましょう。

なお、水道水に含まれる「塩素」は、カブトエビのような小さな生きものにとっては有害です。
そのため、新たに入れる水は、必ずカルキ抜きをする必要があります。
カルキを抜くには、「汲み置きした水を太陽光に充てる」「カルキ抜きができる薬剤を使用する」「浄水器の水を使用する」などの方法がありますが、>カブトエビの仲間は薬品に弱く、カルキ抜き(薬剤)や浄水器の使用はおすすめできません。 少し面倒にはなってしまいますが、水の交換には、「汲み置きした水を太陽光に充てる」方法でカルキ抜きした水を使用しましょう。


まとめ

今回は、「生きた化石」とも称されるカブトエビの特性と飼育の仕方について、ご紹介していきました。
今更ではありますが、「生きた化石といえば『カブトガニ』じゃないの!?」と思った方もいらっしゃったかもしれません。

実は、カブトエビとカブトガニ、それぞれ数億年前からほとんど姿かたちを変えていない「生きた化石」です。
大きな違いは、カブトエビは「甲殻類」、カブトガニは「侠客類」と全く別の仲間で、体の構造も異なります。ちなみに、カブトガニは海水に暮らす生きものです。

今回ご紹介した「カブトエビ」は、自由研究や学校の教材として用いられており、生きもの飼育の初心者さんにもお世話することができます。
まだ小さなお子さんとともに、生きものの飼育や命の大切さを学ぶペット第1号としてお迎えしてみてはいかがでしょうか。
カブトエビの飼育は、きっと生きものを身近に感じる良い機会になるでしょう。

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kava_2mame

こどもの頃から、爬虫類、小動物、ワンコなど、さまざまな動物と共に生活してきました。 今まで出会ってきた動物たちとの経験を活かしながら、新しい情報、役立つ情報をキャッチし、ご紹介していきたいと思います。


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