1.うさぎの「お腹痛いポーズ」とは
1-1.リラックスしている時との違い
1-2.うさぎの体調不良時の姿勢
1-3.不調のサイン
2.「お腹痛いポーズ」の時に考えられる病気
2-1.うっ滞
2-2.尿路結石
3.「お腹痛いポーズ」がみられた時の対処法と注意点
3-1.動物病院の受診
3-2.部屋を適温にする
3-3.腹部マッサージは安易に行わない
うさぎの「お腹痛いポーズ」とは
うさぎはリラックスすると、伏せて床にお腹をぺたんとくっつける姿勢をとることがあります。
本来、うさぎは慣れた飼育環境でも目を開けて寝るくらい警戒心が強い動物なので、このような姿勢をとるのはすっかり安心しきっている証拠といえるでしょう。
うさぎが飼い主さんに気を許してくつろぐ姿は、見ていてほほえましいものです。
ただし、うさぎはおなかが痛い時にもほぼ同じポーズをとるので「お腹が痛いのにリラックスしている」と勘違いしないよう注意しなければなりません。
特にうさぎの体調不良は短時間で急に重症化することがあるため、お腹が痛くて横になっていることが考えられる場合は早急に適切な対処をする必要があります。
◆リラックスしている時との違い
うさぎが床にお腹をぺたんとつけて横たわっている時、ただリラックスしているだけなのか、それとも「お腹痛いポーズ」をとっているのか、一見違いは分かりにくいかもしれません。
しかし、うさぎの表情や仕草を観察してみると、リラックス時とそうでない時の違いに気付くことができます。
まず、うさぎがリラックスしている時は、呼吸がゆったりしていて目は気持ちよさそうに細めていることが多いです。
一方、お腹が痛い時は呼吸が浅くて早く、リラックス時と同様に目を細めていますが、痛みをこらえているからか頬に力が入り、表情は引きつって見えます。
また、リラックス時は呼ぶと耳がぴくっと動いたり好物を見せると飛び起きたりとすぐ反応を示します。しかし、お腹が痛い時は飼い主さんが何かしても反応せず、好物を目の前に見せても食べようとすらしません。お腹が痛くてそれどころではない状況なのでしょう。
いつもならケージから出る時間にアピールするうさぎが静かに横たわって動かない場合も、それは眠いのではなく体調が悪い可能性があります。
体の調子が悪くない場合は、横になっている時に撫でると気持ちよさそうに身をゆだね、そのまま体を撫でさせてくれるでしょう。
ですが、体に痛みのある時は体に触られるのを嫌がります。
また、うさぎは天敵に弱みを見せると襲われやすくなるため、体調が悪い時はそれを隠そうとする習性があります。
具合が悪い時は、ケージの隅、置き物の後ろ、寒くて暗い場所など普段と違う場所でじっとしていることが多くなります。
健康なうさぎは目がキラキラして快活な印象がありますが、体調が悪いうさぎは全体的にどんよりした雰囲気が漂っています。普段のうさぎの様子を知っている飼い主さんなら、違和感で体調不良に気付くことも多いでしょう。
◆うさぎの体調不良時の姿勢
うさぎは体調不良を隠す習性があるため、なるべく元気に振る舞おうとします。
しかし、体に痛みがあると我慢しきれず、それが体勢や仕草に現れます。
まず、うさぎの体調が良くない場合は、動きが鈍くなってじっとうずくまることが多くなります。
そして、お腹が痛い時は横になってお腹をぺたんとくっつける姿勢もとりますが、横たわっていても耳が立っていたり体に力を入れていたりするので、どこか切迫したような雰囲気が漂います。
また、横たわっている間も痛みを逃そうとして足を伸ばしたり縮めたり、横になってみたり起きてみたり、体勢を変える様子もみられます。どんな姿勢をとってもつらくて、身の置き場がないといった感じです。
ただし、目を開けたまま同じ体勢で長時間横たわって動かない場合は、衰弱して動けなくなっている、かなり病状が進行していることも考えられます。
このようにうさぎがいつもと違う姿勢で過ごしていたら体調不良を疑い、同時に表れている不調のサインを探してみましょう。
◆不調のサイン
うさぎが「お腹痛いポーズ」をとっている時は、次に挙げる症状を伴うことがあります。
これらの症状がみられたら、うさぎは対処が必要な状況になっています。すぐ動物病院に連絡しましょう。
「お腹痛いポーズ」の時に考えられる病気
うさぎが「お腹痛いポーズ」をとる時に考えられる主な病気には「消化管うっ滞」「尿路結石」があります。
この二つは、特にうさぎがかかりやすい病気です。「消化管うっ滞」「尿路結石」はどのような病気なのでしょうか。
◆うっ滞
うっ滞(消化管うっ滞)とは、胃腸の動きが鈍くなり、食べ物や飲み込んだ毛が胃の出口をふさいでガスなどが溜まってしまう症状です。
過度なストレスや食物繊維不足、運動不足、不正咬合やほかの疾患による食欲不振が原因となり、症状としては、食欲がない、水を飲まない、糞が小さくなったり数が減る、お腹が硬く張っているなどが挙げられます。
うさぎは、飲み込んだ毛が胃の出口に詰まる「毛球症」や、うっ滞で発生したガスによって胃が大きく膨らむ「急性胃拡張」を引き起こすこともあり、これらの病気は総称して「ウサギ消化器症候群」とも呼ばれます。
特にうさぎがじっとして動かず「お腹痛いポーズ」をしていたら要注意。
お腹が張って、すでに強い痛みを感じている可能性があります。早く治療を受けさせて、痛みを緩和させてあげましょう。
なお、うさぎがうっ滞を起こして物が食べられなくなると、胃腸の動きが止まって急性胃拡張や腸毒素血症などの合併症が起こりやすくなります。
これらは短時間で発症してうさぎの命を奪うこともあるので、うっ滞は早期発見・早期治療が大切です。
また、うっ滞を予防するためにも、日頃から以下の対策を行って胃腸の動きをスムーズにしておくことが重要です。
予防策としては、牧草(繊維質))を十分に摂取させる、おやつを与え過ぎない、飼育環境を整え適度に運動させる、抜け毛を飲み込まないようブラッシングを適宜行う(特に換毛期)などがあります。
また、胃腸に関わっていることですので、うさぎの様子に加えて糞の状態をこまめにチェックするようにしましょう。
元気なうさぎが急にうっ滞を起こすことも多く、発症してから短時間で重症化することがあるので、うさぎを飼ったら年齢や体調に関係なく普段からうっ滞に気を付ける必要があります。
◆尿路結石
「尿路結石」は、尿路で尿中のカルシウムが結晶化して硬い結石ができる病気です。うさぎは尿中にカルシウムが大量に排出されやすいため、尿路結石の発症リスクが高くなっているのです。
尿路結石ができても結石が小さい場合は無症状のことも多いのですが、結石が大きくなると尿路をふさぎ、さまざまな症状がみられるようになります。
血尿、排尿痛、頻尿、トイレ以外での尿漏れ、食欲不振などの他にも、結石の大きさやできる部位によっては強い痛みを伴うこともあり「お腹痛いポーズ」や歯ぎしりがみられることもあります。
もしも尿道や尿管が詰まっておしっこが出なくなると、腎不全、尿毒症、膀胱破裂などの危険な合併症を起こすことがあるので、尿路結石の疑いがある場合は早期の受診と治療が必要です。
尿路結石を予防策としては、水分をしっかり補給させて排尿を促す、カルシウムの少ない牧草や野菜を与えることが挙げられます。
トイレに普段と違う尿や赤い尿がみられた場合には早めに受診するようにしてください。
「お腹痛いポーズ」がみられた時の対処法と注意点
もしうさぎが「お腹痛いポーズ」をしていたら、飼い主さんはどのような対処をとればよいのでしょうか。
◆動物病院の受診
うさぎが「お腹痛いポーズ」をしているなど、目に見えて普段と様子が違う場合は、すぐに動物病院に連絡して受診しましょう。
うさぎはすでにつらい状態になっているので、苦痛を取り除き、原因を見つけて適切な処置を行うためにも、少しでも早い受診がのぞまれます。
特に、うさぎがうっ滞を起こして、何も食べない、糞が出ていないという状況が12時間以上続いている場合は緊急事態なので、一刻も早く動物病院を受診しましょう。
◆部屋を適温にする
うさぎがお腹を痛そうにしている時は、すぐに部屋とうさぎの体を温めて体温を維持しましょう。うさぎは体調が悪くなると体温を調節する機能が低下し、体温が下がってどんどん衰弱してしまうためです。
うさぎの飼育環境は15~25℃くらいが適温とされます。これより暑い、寒い状態はうさぎの体に負担をかけるので、エアコンやヒーターを使って部屋を適温に調節しましょう。なお、体調が悪い時の室温は、少し高めの22~25℃くらいに設定するのがおすすめです。
寒い時期は、さらにうさぎの体をタオルで覆ってその上から湯たんぽを当てたり、ケージにペットヒーターを設置したりして、体温の低下を防ぎましょう。
◆腹部マッサージは安易に行わない
うさぎの腹部をやさしくマッサージすることは、胃腸の血行を促進させ、胃に毛やガスが溜まるのを防ぐ効果が期待できるといわれます。
ただし、すでにうさぎのお腹が張って硬くなっている時、痛みで体に触られるのを嫌がっている時は、マッサージをするのは避けましょう。悪化させてしまう可能性があり危険です。
少しでもできることはしてあげたいという気持ちになりますが、自己判断で安易にマッサージを行うことは避け、受診して医師の指示に従って手当をしましょう。
まとめ
うさぎがリラックスして横になっているポーズとお腹が痛くてお腹をぺたんとくっつけているポーズは一見よく似ていますが、雰囲気やうさぎの仕草でその違いに気付くことができます。
うさぎは体調不良を隠そうとする動物であり、お腹が痛い時はひとりでじっと耐えようとします。しかし、うさぎの体調不良は短時間で急激に悪化することがあるので、異変にすぐ気付いて早く対処する必要があります。
うさぎの「お腹痛いポーズ」にいち早く気付けるよう、普段からうさぎとコミュニケーションをとり、こまめに観察する習慣をつけておきましょう。
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