ハムスターに梨はOK!栄養素、与え方や注意したい点をご紹介

2023.08.19

ハムスターに梨はOK!栄養素、与え方や注意したい点をご紹介

さっぱりした甘さとしゃりしゃりした食感が魅力の梨。ハムスターにも食べさせてみたいけど、ハムスターが梨を食べて大丈夫なのか気になる方も多いでしょう。梨は、正しい与え方をすればハムスターも問題なく食べることができます。この記事では、梨に含まれる栄養素や気を付けたい成分、ハムスターに梨を与えるときの注意点などを説明していきます。


ハムスターは梨を食べても大丈夫!

梨

「梨」は、ハムスターが食べても大丈夫な果物です。
実際にペットショップでは、果実をドライフルーツにしたものが小動物用のおやつとして、また、木の枝はうさぎやハムスターのかじり木として販売されています。

梨はりんごと同じバラ科に属す果物で、みずみずしさと爽やかな甘み、しゃりしゃりした独特な食感が特徴。

旬は夏から初秋で、一口かじればさっぱりとした涼が感じられます。そんな旬の味をハムスターと一緒に楽しめるのは、飼い主さんとしても嬉しいことですよね。ハムスターは草食寄りの雑食性動物で甘い果物が好きな子も多いので、梨を与えれば喜んで食べくれるでしょう。

ただ、どの果物にもいえることなのですが、それぞれの果物がハムスターに与えることのメリットとデメリットを持っています。

適量を正しい方法で梨を与えればハムスターの生活や健康に良い効果をもたらしますし、与え方や与える量が正しくないとハムスターが体調を崩す可能性が出てきてしまいます。

梨そのものは、私たち人間が食べる分には安全で全く問題ない果物です。しかし、体がとても小さなハムスターが食べる場合、梨に含まれる成分が体に何らかの影響を与える可能性があります。

ですから、ハムスターに梨を与える際は、まず梨に含まれる成分や特徴を知り、適切な量を正しい形で与えることが必要になってくるのです。

※梨には日本梨、洋梨、中国梨がありますが、一般に「梨」といえば「二十世紀梨」や「豊水」「幸水」などの「日本梨」を指すことが多いので、ここでは日本梨を中心に説明していきます。


梨に含まれる栄養素・成分

梨にはどのような栄養素や成分が含まれているのでしょう。また、ハムスターが食べた場合、どのような影響を受けることが考えられるのでしょうか。

◆梨に含まれる栄養素

梨に多く含まれているのは以下の栄養素です。

  • カリウム
  • 果糖・ソルビトール
  • アスパラギン酸

梨は約9割が水分で構成されており、果物の中でもみずみずしいほうにあたります。梨を食べると水分が補給できるので、給水器で水が飲めない時などに与えると脱水防止に役立つでしょう。

梨に多く含まれるカリウムには利尿作用があります。ハムスターは尿路結石になりやすいので、カリウムを摂取して尿量を増やすと、尿路に生じたカルシウムの結晶を洗い流し、尿路結石を予防する効果も期待できるようになります。

また、梨には天然の甘味料果糖とソルビトールが含まれていて、さっぱりした甘みがハムスターの食欲を亢進させます。夏ばてなどで食欲が低下したハムスターに梨を与えると、それが呼び水になって食欲が湧き、ペレットなども食べてくれるようになるかもしれません。

ソルビトールには便に水分を取り込んで柔らかくする作用があるので、梨は便秘になりやすいハムスターの便秘予防にも役立ちます。一方、軟便や下痢をしやすい子は、さらに糞が水っぽくなってしまうことが考えられるので、控えたほうが安心です。

そして、梨のエネルギーは100gあたり43kcalとりんごやバナナより低カロリーなので、肥満になりやすいハムスターにも安心して与えられます。

アスパラギン酸は、たんぱく質を構成するアミノ酸の一種です。エネルギーの産生を助けるので、ハムスターの体力維持に役立ちます。

なお、カリウム、果糖、ソルビトール、アスパラギン酸は、梨から摂取する程度なら少量なので、過剰摂取や副作用の心配はないと考えられます。ただし、ハムスターが療養中で食べ物の影響が気になる場合は、梨を与えても大丈夫か獣医師に相談されることをおすすめします。

◆梨に含まれる成分

梨に含まれる特徴的な成分には、不溶性植物繊維の「リグニン」「ペントサン」と、種や未熟な果実に含まれる「アミダグリン」があります。

日本梨は、食べた時のしゃりしゃりとした独特な食感が特徴的です。梨の果肉には「石細胞」と呼ばれる硬い細胞が含まれているため、砂が混じったようにしゃりしゃりしています。その石細胞を作っているのがリグニンとペントサンです。

不溶性食物繊維は、消化されずに腸へ送られる繊維質です。腸を刺激してぜん動を促進させるので、梨を食べるとリグニンやペントサンの作用で便秘を予防する効果が期待できます。

ただ、石細胞は硬くて消化しにくいものなので、梨を食べ過ぎると胃腸に負担がかかる可能性もあります。消化機能の未熟な仔ハムスターもを与えるのは控えたほうが良さそうです。

また梨、りんご、サクランボなどバラ科の果物は、種と未熟な果実にアミダグリンという成分が含まれています。アミダグリンは、ハムスターが食べると中毒を起こす危険があるので、種と未熟な果実は絶対に与えてはいけないことも頭に入れておきましょう。

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ハムスターには果物が大好きな子が多いです。果物を嬉しそうに食べる姿がたまりませんよね。果物は美味しくて栄養もありますが、ハムスターが欲しがるままに与えてはいけません。ハムスターが食べても問題ない果物を選んで、適切な与え方をすることが大切です。この記事では、旬ごとにハムスターに与えても良い果物の種類と与える際の注意点を説明していきます。

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ハムスターに梨を与える適量

梨は、たまに適量を与える程度なら安心してハムスターの副食(おやつ)として食事に取り入れることができます。

1日に与える量は、ゴールデンハムスターなら1cm角程度、ドワーフハムスターなら5㎜程度に切ったもの1個が適量です。ちょうどハムスターが両手に持って食べ切れるサイズ感ですね。

梨を与える頻度は1週間に1回程度にします。毎日おやつに梨ばかり選んでいると、水分の摂り過ぎで下痢をしたり、糖分の摂り過ぎで肥満になったり、食事全体の栄養のバランスが偏ってしまう可能性が出てきてしまいます。

副食は、ハムスターの体調をみながら日替わりで野菜やほかの果物も取り入れるようにしましょう。


ハムスターに梨を与える際の注意点

ハムスターに梨

ハムスターに梨を与える際は、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。

◆水洗いをする

梨はきれいに見えても、表面に農薬や汚れがわずかに付着している可能性があります。梨を切る前には、まず表面を流水でよく洗って水気を拭き取っておきましょう。

梨は病害虫が付きやすいため、栽培には農薬が欠かせません。ただし、農薬は安全性の高い物を使い、果実には袋をかけて栽培することが多いので、私たち人間が食べる分にはあまり神経質になる必要はないのです。

人間と違って体がとても小さいハムスターは、食べ物に残留した微量の化学物質を取り込んだ場合、何らかの影響を受ける可能性も考えられます。ですから、ハムスターに食べさせるものは特に入念に洗っておくことがのぞましいです。

なお、水道の流水で十分にこすり洗いするだけでもよいですが、農薬が気になる方は酢を2倍の水で薄めた酢水で洗ってから流水ですすぐと、より安心できます。

◆細かく切ってから与える

梨は、ハムスターが手に持てるくらいに小さく切ってから与えるようにしましょう。

まず、大きめに切った物を与えることは食べ過ぎにつながります。また、梨のように水分が多い物を与える場合、大きめに切った物だとハムスターの顔やひげに当たり、果汁で濡れてハムスターが嫌がることがあります。

梨が大きいとハムスターが食べ切れずに巣箱に持ち帰り、そのまま巣箱に放置した場合には梨が傷んでしまう可能性もあります。傷んだ物を後でハムスターが食べてお腹をこわしたり、巣箱が汚れたりするのはよくありません。その場で食べ切れる大きさのものをハムスターに渡すようにしましょう。

◆熟していない梨は与えない

熟していない梨には、ハムスターが中毒を起こす危険のあるアミダグリンが含まれます。熟していない物は絶対に与えないようにしましょう。

市販されている梨は食べ頃になっているものがほとんどですが、皮に緑色の部分が残って硬い物は、まだ熟れていない可能性があります。

また「豊水」「新高」などの赤梨は食べ頃ならば皮がつるつるしていますが、熟れていない時は皮がザラザラしています。「二十世紀梨」などの青梨は熟れていれば明るい黄緑に見え、熟れていない物はあおあおとした緑色に見えます。

熟していない物は食べてみても、果肉が硬くて甘みや香りも薄いです。そのような梨にあたった場合は、コンポートやジュースにするなどして人間が食べ、ハムスターには与えないようにしておきましょう。

◆皮や種は与えない

安全性を考え、梨の皮と種はハムスターには与えないようにします。

皮は農薬が微量に残留している可能性があります。また、種にはハムスターが食べると中毒を起こすアミダグリンが含まれています。

皮をむいてから芯を取り除き、種が含まれていないことを確認してからハムスターに与えましょう。

なお、梨の中心にある芯は硬くて酸っぱいです。実は、この部分が梨の本当の果実で、甘くて美味しい部分は「花托」と呼ばれる偽果なのです。芯は酸っぱすぎてハムスターには刺激が強すぎるので、あえてハムスターに与えることは控えましょう。

ちなみに、梨の皮は人間が食べて問題ありません。むしろ、皮にポリフェノールなどの体に良い栄養素がたくさん含まれているので、飼い主さんにはよく洗った梨を皮ごと召し上がることをおすすめします。ハムスターは、その内側の果肉をちょっとお裾分けしてもらうといいですね。


まとめ

梨はハムスターに与えても問題ない果物です。果汁をたっぷり含んだ梨は、ハムスターにとっても嬉しいごほうびになるでしょう。皮と種と取り除き、食べ過ぎに注意すれば、ハムスターにも安心して食べさせることができます。

梨は、りんごやバナナなどと違って出回る時期が限られます。新鮮な梨が手に入ったら、ぜひハムスターにも味見をさせてあげるとよいでしょう。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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