【アクア事業部監修】タツノオトシゴの飼い方とは?特徴、種類、設備、寿命など!

2023.12.29

【アクア事業部監修】タツノオトシゴの飼い方とは?特徴、種類、設備、寿命など!

タツノオトシゴを自宅で飼育してみたいと考えている方は多いのではないでしょうか。 タツノオトシゴといえば水族館などで人気の生き物です。そのユニークな生態や、あどけない表情で私たちを魅了するタツノオツシゴですが、実は自宅での飼育も可能です。 本記事では、タツノオトシゴの生態といった基本情報から、飼育方法、難易度、飼育におすすめのタツノオトシゴをご紹介します。 またタツノオトシゴを飼育する上で欠かせない飼育グッズや、おすすめの餌なども記載していますので、ぜひ飼育の参考にしてみてください。

【目次】
1.タツノオトシゴとは
 1-1.タツノオトシゴの特徴
 1-2.タツノオトシゴの寿命
 1-3.タツノオトシゴの飼育難易度

2.タツノオトシゴの種類5選
 2-1.タスマニアンポニー
 2-2.クロウミウマ
 2-3.カリビアンシーホース
 2-4.ピグミーシーホース
 2-5.クラウンポニー

3.タツノオトシゴの飼育について
 3-1.水槽
 3-2.ろ過装置
 3-3.ライブロックや止まり木
 3-4.ヒーター
 3-5.照明
 3-6.砂利を敷く場合

4.タツノオトシゴの飼育水について
 4-1.人工海水が必要
 4-2.水温
 4-3.水換え

5.タツノオトシゴのエサについて
 5-1.活き餌
 5-2.冷凍飼料
 5-3.エサの与え方
 5-4.給餌の頻度

6.タツノオトシゴは混泳に注意が必要

7.まとめ


タツノオトシゴとは

タツノオトシゴ

タツノオトシゴは「ヨウジウオ目ヨウジウオ科」に分類される海水魚の一種です。タツノオトシゴはインド洋から太平洋にかけて浅い海に生息する生きもので、体長は約10センチとちいさく、泳ぐのは苦手とされています。そのため海藻などに尾を巻きつけて体を固定してプランクトンやエビなどの甲殻類、小魚が流れに乗ってくるのを待ちかまえて捕食します。

細く伸びた口に、小さな胸ビレ、長い尾に、退化した尻ビレと、全身をかたい骨板で覆ったタツノオトシゴの容姿はどこか竜を思わせます。

それでいて顔は馬にそっくりなタツノオトシゴは、漢字で表記すると「辰の落とし子」や「海馬(seahorse)」と書きます。

◆タツノオトシゴの特徴

タツノオトシゴは非常におもしろい生き物として知られています。以下にタツノオトシゴの特徴をまとめてみました。

鱗がない魚
タツノオトシゴは魚の仲間ですが、鱗を持っていません。変わりに体は骨板で覆われています。他にも通常の魚が持っているような「腹ビレ」や「尾ビレ」といったものがタツノオトシゴにはありません。

オスが妊娠する
タツノオトシゴは卵胎生(らんたいせい)の魚です。タツノオトシゴのオスは腹部に育児嚢(いくじのう)という袋を持っています。タツノオトシゴのメスは、この育児嚢に受精卵を産みつけてオスが卵を育て、稚魚となったタツノオトシゴを海へ放ちます。

体の色が変化する
タツノオトシゴは周囲の環境にあわせて体の色を変える「擬態」がとても得意な魚です。周囲の環境にあわせて、赤、オレンジ、黄色、茶色、白や黒と自在に体の色を変えることができます。

左右で異なった動きをする目
タツノオトシゴの目は特徴的で左右別に動かすことができます。これは、効率的に餌を探すことが目的といわれています。
ながい吻(口)
タツノオトシゴは細長い吻で流れてきたエサを目にもとまらぬ速さで吸いこみます。

◆タツノオトシゴの寿命

タツノオトシゴの寿命は飼育下で平均2〜4年とされています。

◆タツノオトシゴの飼育難易度

タツノオトシゴを自宅で飼育するのは難易度が高いと言われることがしばしばあります。しかし、飼育初心者であっても事前にタツノオトシゴに関する正しい知識と、飼育環境を整えることができれば難易度はそれほど高くないといえます。

例えば、ナンヨウハギやクマノミといった海水魚に比べると、タツノオトシゴは丈夫で飼育しやすい魚といえます。


タツノオトシゴの種類5選

タツノオトシゴとひと口にいってもその種類は約50種にものぼります。どのタツノオトシゴが飼育に適しているのか、飼育しやすいのか、下記に5種類のタツノオトシゴを抜粋しましたので参考にしてみてください。

◆タスマニアンポニー

タツノオトシゴの一種である「タスマニアンポニー」はオーストラリア南岸に生息する体長約30センチの魚類です。タスマニアンポニーはタツノオトシゴの中でも大型に分類されています。

体色
タスマニアンポニーの基本色は黄色や茶色などバリエーションが豊富です。なお、環境や飼育設備によって色は変化します。

飼育難易度 ★☆☆☆☆(低め~容易)
タスマニアンポニーの飼育はタツノオトシゴの中では比較的容易に飼育が可能といわれています。
混泳
タスマニアンポニーは別種の魚に対して攻撃的になることがあるので、混泳はおすすめできません。もちろんタスマニアンポニー同士の混泳は可能です。

◆クロウミウマ

タツノオトシゴの一種である「クロウミウマ」は、インド洋から西太平洋にかけての熱帯〜温帯の海に生息しています。体長は約10〜15センチとタツノオトシゴの中では中型に部類されています。

体色
クロウミウマは黄色や茶色、黒色などのカラーが基本色です。タツノオトシゴは擬態をしますので飼育環境によって体色が異なります。
飼育難易度 ★★☆☆☆(低め)
クロウミウマは、タツノオトシゴの中でも比較的に飼育しやすいといわれている種類です。
混泳
クロウミウマは混泳が向いているタツノオトシゴです。ただし、同程度サイズの魚との混泳に留め、クロウミウマよりもからだの大きなタツノオトシゴまたは魚との混泳は避けましょう。

◆カリビアンシーホース

タツノオトシゴの仲間である「カリビアンシーホース」はカリブ海やメキシコ湾、西インド諸島のサンゴ礁に生息しています。体長は約10〜13センチです。

また、カリビアンシーホースはワシントン条約により輸入が難しく、流通量が少ない種類でもあります。

体色
カリビアンシーホースはサンゴ礁に生息している種類のため、カラーバリエーションが充実しています。オレンジ、レッド、イエロー、グリーンなど鮮やかな個体が多いです。
飼育難易度 ★★★☆☆(やや高め)
カリビアンシーホースの飼育難易度は一般的に高いとされています。カリビアンシーホースの生息地がサンゴ礁のため、飼育する場合はそれらの環境を再現した水槽が必要です。
混泳
カリビアンシーホースを飼育する場合、同種との混泳が可能です。しかし、活発な魚との混泳は不向きとされています。他の魚を混泳させる場合は比較的温厚な魚との混泳がおすすめです。

◆ピグミーシーホース

「ピグミーシーホース」は太平洋の熱帯、亜熱帯の海に分布、生息しているタツノオトシゴです。体長は約1.5〜3センチと小型サイズに分類されます。

体色
ピグミーシーホースの体色はコブやヤギ類に類似した色で、飼育環境によっては黄色や茶色に擬態します。また、からだの模様もさまざまで非常に擬態の上手なタツノオトシゴです。
飼育難易度 ★★★★☆(高め)
ピグミーシーホースの飼育は比較的高度とされており、正しい知識、技術が必要です。
混泳
ピグミーシーホースを飼育する際は同種との混泳に留めましょう。

◆クラウンポニー

「クラウンポニー」はタツノオトシゴの一種です。ペットショップや専門店で「タツノオトシゴ」と販売表記されている場合、その多くがクラウンポニーを指しています。クラウンポニーは全長10センチほどの小さな種類で、頭が突き出ているのが特徴です。

体色
クラウンポニーは飼育環境により擬態しやすく、カラーバリエーションは黄色、白、黒などさまざまです。
飼育難易度 ★★★☆☆
クラウンポニーは餌付けされているかどうかで飼育の難易度が異なります。冷凍餌に慣れていない場合、食べずに痩せてしまうことがあるので注意が必要です。
混泳
基本的にはクラウンポニー同士での飼育がおすすめです。他の種類のタツノオトシゴまたは魚と混泳させた場合、餌を摂取する機会が減ってしまう可能性があります。


タツノオトシゴの飼育について

本章ではタツノオトシゴを家庭で飼育する際に必要なグッズをご紹介します。

◆水槽

タツノオトシゴ自体はそれほど大きくない生きものですが、気温の変化を受けやすいため、大きいサイズの水槽を選ぶようにします。最低でも30センチ以上の水槽を用意しましょう。おすすめは45センチ以上の水槽です。

◆ろ過装置

タツノオトシゴの飼育にろ過装置は必須アイテムです。ろ過装置は水槽の水をきれいに保つ役割を果たしてくれます。必ず「フィルター」か「プロテインスキマー」を設置しましょう。中でもプロテインスキマーは水換えの必要がないといわれているほど、汚れをろ過する性能が高いです。

プロテインスキマーのメリットとしては

  • 高機能
  • 人工海水を溶かす手間を省くことができる

といったことがあげられます。

また、フィルターのメリットとしてあげられるのは比較的安価で手にいれることができることです。

※エアーストーンなど水槽内に空気を送るためだけのものは、短期間で水質を悪化させてしまう可能性があるのでおすすめできません。

◆ライブロックや止まり木

ライブロックや止まり木はタツノオトシゴの飼育になくてはならないアイテムです。上記でご紹介したタツノオトシゴを含め、すべてのタツノオトシゴは尾を巻きつけるものが必要です。

天然の岩である「ライブロック」や人工サンゴ、海藻などの「止まり木」は入手が容易な上、タツノオトシゴが尾を巻きつけやすいグッズとして重宝されています。

また、海藻は天然の物でも問題ありませんが、水質などを維持する必要があるので、特に飼育初心者の方には「ライブロック」や「人工サンゴ」がおすすめです。

※ライブロックを使用する際は最低でも3週間はろ過装置を稼働させた水槽に放置(空回し)しておく必要があります。これは水質の悪化を防止するためです。

◆ヒーター

タツノオトシゴは水温変化の影響を受けやすい魚です。ヒーターはもちろん水温計も用意しておくと安心でしょう。

タツノオトシゴにとって最適な水温はおおよそ22〜28℃です。ただし、種類によって異なる場合があるのでタツノオトシゴをお迎えする際に「何度に保てばいいのか」確認しておくようにしましょう。

※冬季はヒーターで水温を保ちながら水温計でしっかり確認し、夏季は冷却ファンや水槽用クーラーを使用して水温を保ちます。

◆照明

タツノオトシゴは比較的丈夫な魚です。そのため、殺菌灯といった特殊装置は不要です。水槽に照明を取りつけるのはあくまで鑑賞をしやすくするためですが、照明があると万が一タツノオトシゴに異変が現れた際、早めに気が付くことが期待できます。

◆砂利を敷く場合

タツノオトシゴを飼育する水槽に砂を敷く場合は、なるべく細かい砂利を選ぶようにします。


タツノオトシゴの飼育水について

タツノオトシゴ

タツノオトシゴは海水魚です。そのため、水槽の水は「天然海水」に近い状態に保つ必要があります。

◆人工海水が必要

人工海水とは天然の海水成分を人工的に再現したものをいいます。人工海水はペットショップや通販にて入手が可能です。ただし、メーカーなどによっては濃度が異なるので使用量に注意しましょう。

人工海水を水道水に溶かすときは必ず濃度を確認します。

タツノオトシゴにとって良好な水質はPH8〜8.4です。
塩分濃度は一般的な海水と同じ3.2%を目安としましょう。

適切な水質を管理するために「デジタル水質測定器」を用意しておくと安心できます。中でも海水濃度を測定できるものがおすすめです。

他にも塩分濃度のみを測定することが可能な「塩分計」などもあります。

タツノオトシゴは水槽内の塩分濃度が低いと、脱水を起こすことがあるので注意してあげてくださいね。

◆水温

タツノオトシゴの種類にもよりますが、一般的な水温はおおよそ22〜28℃とされています。ショップなどでお迎えする際に必ず水温を確認しましょう。

◆水換え

飼育するタツノオトシゴの数、水槽のサイズ、餌の量によっても変動しますが、水換えの目安は2、3週間に一度です。

水換えをおこなう際は水槽内すべての水を変えてしまうのではなく、1/3程度の水換えにとどめます。これは急速な水質変化を避けるためです。

また、タツノオトシゴを飼育している水槽内のPHが7を下回っている場合も水換えが必要です。


タツノオトシゴのエサについて

「タツノオトシゴの飼育は難易度が高い」といわれている理由の多くは給餌にあります。実は、餌を食べずに痩せて弱ってしまうことが多いのです。

本章ではタツノオトシゴに与える餌の種類と、与え方についてお伝えしていきます。

◆活き餌

タツノオトシゴにとって理想の餌であり、もっともよく食べてくれるのが活き餌です。

タ主な活き餌は以下の3つです。

  • ヨコエビ
  • イサザアミ
  • ブラインシュリンプ

活き餌を与えるメリットとして

  • 栄養価が高い
  • 嗜好性が高い

ことがあげられます。反対にデメリットとしては

  • コストが掛かる
  • 病原菌などのリスクがある

ことがあげられます。

◆冷凍飼料

タツノオトシゴに冷凍飼料を与える場合、基本的には「冷凍ブライン(冷凍保存したブラインシュリンプ)」を主とします。小型のタツノオトシゴには「冷凍ブライン/アダルト」や「ベビー」がおすすめです。これら冷凍資料は通販などで購入することが可能な上、比較的安価で入手することができます。ペットショップからお迎えしたタツノオトシゴで冷凍飼料に慣れている個体であれば、おすすめの餌です。

万が一タツノオトシゴが冷凍飼料を食べてくれない場合は活き餌を与えてください。食べていないのに放置してしまうと餓死につながります。

◆エサの与え方

タツノオトシゴが食べる餌は「活き餌」と「冷凍飼料」のどちらかです。飼育下では栄養価の高い餌をしっかり与え続けることが重要となってきます。

タツノオトシゴに冷凍飼料を与える場合はまず、水で餌を溶かします。次に解凍した餌をスポイトで吸いあげ、タツノオトシゴの口元へやさしく吹きかけます。

タツノオトシゴは水槽の底に落ちてしまった餌を食べないことが多いので、餌は少量ずつ、様子を見ながら与えるのがポイントです。

◆給餌の頻度

1日に2.3回朝や昼に与えるようにしてください。その際にしっかり食べられているか確認します。餌の与え過ぎも水質の悪化を招く要因となりますので、タツノオトシゴのお腹が膨れるくらいでしたら1日に1度決まった時間にあげると良いでしょう。

食いつきが悪く、心配な場合は回数を気にせず1日に数回の給餌をおこなってください。ちなみにタツノオトシゴは昼行性ですので、夜の餌やりはNGです。

なお、タツノオトシゴをお迎えする時に、その個体が「餌付けに慣れているかどうか」を確認しておくと安心でしょう。


タツノオトシゴは混泳に注意が必要

飼育する種類にもよりますが、基本的にタツノオトシゴは同種以外との混泳は避けたほうが良いでしょう。他の海水魚が泳いでいる水槽内では、タツノオトシゴが満足に餌を食べることができない可能性があります。混泳を考えている場合はタツノオトシゴをメインにした水槽作りを心がけましょう。


まとめ

ここまでタツノオトシゴの生態や飼育、難易度についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

事前にしっかりポイントを押さえておくことで、飼育が初めてという方でも無理なくタツノオトシゴを飼育することができます。

ぜひ、タツノオトシゴの飼育に挑戦してオリジナルのアクアリウムを楽しんでくださいね。これから飼育を考えているという方も、すでにタツノオトシゴを飼育されている方も、本記事がお役に立てましたら幸いです。

※こちらの記事は、ひごペットフレンドリー アクア事業部監修のもと掲載しております※
●記事監修
higopet  ひごペットフレンドリー アクア事業部

1974年に開業し西日本に42店舗を展開する総合ペットショップチェーンです。専門性にこだわった品揃え、サービスはもちろん、多くのお客様に「ペットとの素敵な生活」を営まれ、充実した日々を過ごしていただけるようにスタッフ一同がペットのアフターケアまでをお手伝いさせていただいています。
http://www.higopet.com/

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