スローロリスってどんな動物?ペットとして飼育は出来る?

2024.01.13

スローロリスってどんな動物?ペットとして飼育は出来る?

まんまるな大きい目をした、小型の霊長類・スローロリス。 SNSやテレビなどで見て、もっと詳しくスローロリスのことを知りたいと思い、このページにたどり着いた人も多いはず。 そんな気になるスローロリスの特徴や、ペットとして飼育できるのかなどを解説します。


スローロリスはどんな動物?

スローロリスという動物をご存知でしょうか?
小さなサルの仲間で、ふさふさの毛皮と大きな目を持ち、まるでぬいぐるみのような可愛い見た目から、近年、テレビやSNSでも注目を集めています。

「スロー」という名の通り、ゆったりとした動きが特徴で、サルの仲間にも関わらず走ることやジャンプすることが苦手。
そのため普段は天敵から見つからないように木の陰でひっそりと暮らしています。

そんなスローロリスのことをもう少し深掘りしていきましょう。

◆スローロリスの生態

スローロリスは霊長目ロリス科の小型のサルの仲間です。
バングラデシュやベトナム、マレー半島、ジャワ島、ボルネオ島などの東南アジアに生息しています。

普段は単独で行動し、生活のほとんどを樹木の上で暮らしています。
また、気配を消して狩りをするのが特徴で、野生では樹液のほか、昆虫やトカゲ、小鳥などを食べる雑食として知られています。

◆スローロリスの寿命

スローロリスの寿命は野生では15〜18年ほど、飼育下では10年〜ほどと言われています。

飼育下のほうが寿命が短いのが意外かもしれませんが、夜行性で臆病な性格のスローロリスは、人間の生活に対応するのが難しく、ストレスで体調を崩してしまうことが多いと言われています。

◆スローロリスの見た目

スローロリスは体長20〜30cm、体重480〜600gほどの小さなサルの仲間です。
他の霊長類同様、5本の指を持ちます。

尻尾もありますが非常に短いため、もふもふとした被毛に隠れているので、ぱっと見は尻尾がないようにも見えます。

また、スローロリスの最大の見た目の特徴は、大きくまんまるとした目ではないでしょうか。
夜行性のスローロリスは、その大きな目で暗闇でも光をあつめ獲物などを捉えることができます。

◆スローロリスの性格

スローロリスは基本的に臆病で神経質な性格の個体が多いです。
野生では単独で静かに生活し、環境の変化にも敏感。ストレスも感じやすく、非常にデリケートな生き物として知られています。

◆スローロリスの特徴

スローロリスの最大の特徴は、霊長類で唯一毒を持つ生き物という点です。

肘の内側から分泌液を出し、それを自身の口の中で唾液と混ぜ合わせて毒を生成します。

その毒を毛づくろいで全身に纏わせ、天敵から身を守っているとされています。
毒の成分は猫アレルギーに近い成分と研究結果が出ており、昆虫や小さい生き物には大きなダメージを与えることがあります。


日本で見られるスローロリスとは

そんな絶滅危惧種に指定されているスローロリスですが、日本の動物園でも見ることができます。
以下では日本で主に見ることのできるスローロリス3種について詳しくご紹介していきます。

◆レッサースローロリス

日本で見ることのできるスローロリスのひとつがレッサースローロリスで、ピグミースローロリスとも呼ばれています。
オレンジ色に近い被毛に覆われており、保護色としても役立っています。
他のスローロリスに比べ小型なのが特徴で、以前はスローロリスと同じ種と考えられていましたが、最近の研究では別の種とされています。

【生息地】
レッサースローロリスの野生の生息地はカンボジア、ラオス、ベトナムなどの限られた森林で生活しています。

【主な食べ物】
樹木の樹液や果実のほか、昆虫や小動物などを狩りで捕まえて食べています。
日本の動物園では果物やバッタなどを与えていることが多いようです。

【レッサースローロリスのレッドリストのランク】
他のスローロリス同様、レッサースローロリスもレッドリストに登録されている一種です。
レッドリストの絶滅危惧種 ENに分類され、近い将来に絶滅の危険性の高い種であるとされています。

【レッサースローロリスを見ることができる施設】

レッサースローロリスは日本の多くの動物園で見ることができます。
代表的な場所は
・アクアマリンふくしま(福島県いわき市)
・埼玉県こども動物自然公園(埼玉県東松山市)
・上野動物園(東京都台東区)
・千葉市動物公園(千葉県千葉市)
・伊豆シャボテン動物公園(静岡県伊東市)
・日本平動物園(静岡県静岡市)
・東山動植物園(愛知県名古屋市)
・日本モンキーセンター(愛知県犬山市)
・京都市動物園(京都府京都市)
・天王寺動物園(大阪府大阪市)
・沖縄こどもの国(沖縄県沖縄市)
などになります。

◆ジャワスローロリス

ジャワスローロリスも日本で見ることのできるスローロリスの一種です。
やや白っぽい被毛が特徴で、額には目立つダイヤモンド型の模様があります。
体重は550g〜690gほどと、他のスローロリスと似たような大きさです。

【生息地】
インドネシアのジャワ西部および中部に生息しています。
他のスローロリス同様、森林の樹上で1日の大半を過ごしていることが多いです。

【主な食べ物】
他のスローロリス同様、樹液や果実、昆虫やトカゲなどの小動物を狩りで捕まえて食べています。
動物園では果物や昆虫を与えていることが多いようです。

【ジャワスローロリスのレッドリストのランク】
他のスローロリス同様、ジャワスローロリスもレッドリストに登録されている一種です。
レッドリストの絶滅危惧種 CRに分類され、ごく近い将来に野生絶滅の危険が極めて高い種であるとされています。

【ジャワスローロリスを見ることができる施設】
ジャワスローロリスが見られる動物園はとても少なく、現在確認できる施設では
・王子動物園(兵庫県神戸市)
となっています。

◆スンダスローロリス

スンダスローロリスも日本で見ることのできるスローロリスの一種です。
淡い灰褐色から暗赤褐の被毛が特徴で、腹面は白色から灰色です。
後頭から背筋に沿って暗色の縞があります。
他のスローロリスに比べやや大柄で、体重が600〜700gほどとなります。

【生息地】
バングラデシュからベトナム、マレーシア、スマトラ、ジャワを経てボルネオまでの東南アジアに分布し、他のスローロリス同様、樹上で生活をしています。
プランテーションや人の居住地近くで目撃されることもあるようです。

【主な食べ物】
樹液が好物とされており、他にも花の蜜、果実、昆虫、クモ、小鳥の卵や小鳥自体も食します。
まれに人家で鶏卵を盗み、食べているところを目撃されることもあります。

【スンダスローロリスのレッドリストのランク】
他のスローロリス同様、スンダスローロリスもレッドリストに登録されている一種です。
レッドリストの絶滅危惧種 ENに分類され、近い将来に絶滅の危険性の高い種であるとされています。

【スンダスローロリスを見ることができる施設】
スンダスローロリスは比較的日本の動物園でも多くの施設が展示しています。
代表的な場所は
・円山動物園(北海道札幌市)
・上野動物園(東京都台東区)
・日本平動物園(静岡県静岡市)
・伊豆シャボテン動物公園(静岡県伊東市)
・東山動植物園(愛知県名古屋市)
・安佐動物公園(広島県広島市)
・熊本市動植物園(熊本県熊本市)
などの施設になります。


スローロリスはペットとして飼育できるのか

その見た目の可愛さから、スローロリスをペットとして飼育したいと思う方も多いのではないでしょうか。
スローロリスはペットとして飼育することも可能ですが、かなりそのハードルは高いです。

まず、絶滅危惧種であることから国際条約で輸出入が禁止されているため、国内の繁殖個体しか販売がされていませんので、個体の価格が50〜100万円前後と非常に高額です。

また、飼育の面でも多くの配慮が必要です。
本来暖かい場所で生活しているため1年中24時間27℃前後の室温を保つことも絶対条件となりますし、夜行性のため、日中は遮光の布などで覆い静かな環境を作る必要があり、夜も強すぎる光はNGです。
専用のフードも販売されていないので、毎日新鮮な果物や昆虫、野菜などを用意する必要もあるでしょう。

さらに、スローロリスを診ることのできる動物病院があまり存在しないというのもペットとしてのハードルの高さに拍車をかけます。
ストレスに弱く、ちょっとした環境の変化や騒音でも体調を崩す恐れがありますので、動物病院の確保が難しいと飼育も難しくなります。

他には前述もした通り、スローロリスはサルの仲間で唯一毒をもつ生き物として知られています。
健康な人間には大きな影響はないとされていますが、まれにアナフィラキシーショックで呼吸困難などが発症することもあるので、スローロリスに触れた後は必ず手洗いを心がけるようにしましょう。

また、野生のスローロリスは歯の溝に毒を溜め込むとされ、ペット用のスローロリスは噛みつかれても毒が体内に入らないよう、抜歯されて販売されているケースが多いですが、中には抜歯されず販売されている個体もいますので、事前に確認すると良いでしょう。

見た目の可愛さからペットとしての捕獲も後を絶たず、野生の個体数は減少していっています。
スローロリスをペットとしてお迎えをするにはかなりハードルが高いです。

そのため動物園などの施設でスローロリスを見て楽しむことをおすすめします。


まとめ

今回はスローロリスについてご紹介してきました。
絶滅危惧種としてレッドリストに掲載されるスローロリスは、ペットとして飼育するにはかなりハードルが高い生き物です。
もしペットとしてお迎えする際には、飼育環境をしっかり整えられるか十分に検討するようにしましょう。
さまざまな施設で観察することも可能なため、まずは動物園などで観察して楽しむこともおすすめです。



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