1.うさぎはほうれん草を食べても大丈夫?
1-1.与えるのは推奨されていない
1-2.ほうれん草の栄養価
2.ほうれん草に含まれるシュウ酸に注意
2-1.うさぎがシュウ酸を摂ると起こるリスク
2-2.うさぎの特殊なカルシウム代謝
3.うさぎにほうれん草を与える時の注意点
3-1.ほうれん草をしっかり洗う
3-2.少量のみ与える
4.まとめ
うさぎはほうれん草を食べても大丈夫?
ほうれん草は緑黄色野菜で栄養価が高く、どんな料理にも合うとても優れた食材です。
皆さんのお家の食卓に並ぶ機会も多いですよね。
そんなほうれん草をうさぎは食べても大丈夫なのでしょうか?
うさぎにほうれん草を与える事については諸説あります。
なぜうさぎにほうれん草を与える事について懸念されているのか、不思議ですよね。
それでは、今回は「うさぎとほうれん草」について解説していきます。
◆与えるのは推奨されていない
既にご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、うさぎにほうれん草を与えることは推奨されていません。
その理由として、ほうれん草に含まれる「シュウ酸」という成分がうさぎの体に良くないとされているからです。
「シュウ酸」とは、食べ物の“アク”の素になる成分です。アクは苦みや渋み・えぐみなどの成分で、植物の多くが外敵から身を守る為に持っている成分です。
特にほうれん草はシュウ酸を多く含む野菜として有名です。
しかし、ほうれん草を食べたからと言って、すぐに体に悪影響が出るわけではありません。
「食べ過ぎや既往歴のある子は注意が必要」という事です。
ほうれん草は元々とても栄養価の高い食材です。ミネラルやビタミンが豊富で、適切に摂取すれば体に良い影響を与えてくれることは間違いないのです。
◆ほうれん草の栄養価
まずは、ほうれん草の主な栄養価をご紹介します。
成分 | 効果 | ◎ | β―カロテン (4200㎍/100g) |
強い抗酸化作用・抗がん作用・免疫力UPや免疫の調整作用があります。 | ◎ | カリウム (690㎎/100g) |
利尿作用があり、血圧の調整をしてくれます。 | ◎ | 鉄 (2㎎/100g) |
貧血予防に必要な成分です。 | ◎ | ビタミンC (35㎎/100g) |
コラーゲン生成に必要不可欠な成分で、抗酸化作用もあります。 | △ | シュウ酸 (770mg/100g |
食べ過ぎると尿路結石の原因になります。 |
ほうれん草は、シュウ酸の含有量は野菜のなかでもトップクラスです。
苦味やえぐみの原因になるので、人間が食べる時は通常アク抜きをしてから食べます。
ただし、シュウ酸は水溶性なので、茹でたり水に浸すことでシュウ酸の摂取量を減らすことができます。
ほうれん草の栄養価について見て頂きましたが、多くのメリットがあることに気づいていただけたかと思います。
特にほうれん草は、β―カロテンの含有量が多いです。第7の栄養素(ファイトケミカル)として近年注目を浴びており、ビタミンCやビタミンEよりも強い抗酸化作用を持ちます。
デメリットとなるシュウ酸の摂取量をうまく減らすことができれば、うさぎにほうれん草を与えても良いのでは?という意見も出てきています。
ほうれん草に含まれるシュウ酸に注意
上記でもお話しましたが、ほうれん草は「シュウ酸」を多く含みます。
このシュウ酸がどのようにしてうさぎに悪影響を及ぼすのか少し詳しく説明していきます。
◆うさぎがシュウ酸を摂ると起こるリスク
ほうれん草に含まれるシュウ酸という成分は、「うさぎの尿路結石」と深く関係しています。
うさぎの尿路結石の主な成分は、「シュウ酸カルシウム」や「炭酸カルシウム」などのカルシウムの結石が大半です。
つまり、結石の構成成分であるシュウ酸の摂りすぎは、尿中のシュウ酸量を増やし、尿路結石を起こすリスクが高くなるという事です。
◆うさぎの特殊なカルシウム代謝
うさぎはカルシウム濃度の高い、「高カルシウム尿」を出すことがあります。高カルシウム尿とは、白く白濁した尿や白い砂粒状のドロッとした尿の事です。
うさぎは余分に摂取したカルシウムの大半を尿に排出させる動物です。(人や犬猫などの多くの哺乳類は便に排出させるのが主です。)
うさぎはこの特殊なカルシュウム代謝によって、健康体のうさぎでもカルシウム濃度の高い尿をよく出します。それ故に、うさぎはカルシウム由来の尿路結石になりやすいと言われているのです。
上記でうさぎの尿路結石の構成成分について記載しましたが、結石の主な構成成分は、シュウ酸カルシウムや炭酸カルシウムです。
シュウ酸だけでなく、結石の構成成分となるカルシウムも食べ過ぎると結石のリスクが上がります。カルシウムを多く含む食材にも気を付けなければいけません。
①ビタミンDに依存しない
多くの哺乳類は小腸でのカルシウムの吸収に、ビタミンDの介入が必要になります。
しかし、うさぎはビタミンDの介入なしに、カルシウムの吸収を行うことが可能です。よって、食事中のカルシウムの含有量が多ければ多いほど、小腸からの吸収量も増加します。
②特殊なカルシウムの排出経路
多くの哺乳類は、過剰に摂取してしまったカルシウムは便に排出し、尿への排出量は約2%といわれています。
しかし、うさぎの場合はカルシウムの尿への排出量が45~60%と、ほとんどが尿へ排出される特殊な排出方法を取ります。よって、食事中のカルシウムの過剰摂取は尿中のカルシウム排泄量増加に比例します。
①と②の理由から、健康体のうさぎでも尿中のカルシウムの含有量は他の哺乳類に比べると多いです。白っぽい尿や白い砂状の尿がトイレにあるのを見たことがあると思います。これが余分なカルシウムとして尿に排出されたものです。
カルシウムの高濃度な排出(高カルシウム尿)が続くと膀胱炎や飲水量の低下などの様々な要因が重なり、結石が形成されやすくなってしまいます。尿路結石の症状としては、血尿・頻尿・陰部周囲の尿やけなどがあります。
結石が尿路を閉塞してしまうと排尿困難から、激しい痛みがおこり危険な状態になります。高カルシウム尿が続くようであれば、早めに獣医師に相談しましょう!!
うさぎにほうれん草を与える時の注意点
ほうれん草には多くの栄養素が含まれており、与えるメリットもたくさんあります。
しかし、デメリットとなるシュウ酸を多く含むので、ほうれん草を与える時は以下の注意点を守りならが与えると良いでしょう!
②少量のみ与える
◆ほうれん草をしっかり洗う
デメリットとなるシュウ酸は水溶性の成分です。茹でたり、水に浸す事でシュウ酸の摂取量を減らすことができます。
2~3分程度茹でるだけでも含有量の約50%は減らせると言われています。
しかし、うさぎさんによっては茹でると食べない子もいます。その場合は、水に浸すだけでもシュウ酸を減らすことができます。
ほうれん草を与える際はしっかりと洗い、水に浸す事で少しでもシュウ酸の摂取量を減らす努力を行って下さい。
◆少量のみ与える
ほうれん草に限らず生の野菜を与える際は、少量にしましょう。
シュウ酸の摂りすぎも良くないですが、生野菜の食べ過ぎは下痢を引き起こす可能性があります。ペレットや牧草をメインに与え、メインの食事量に影響が出ない程度が理想です。
まとめ
ほうれん草はβ―カロテンやビタミンCなどが豊富に含まれるとても栄養価の高い食材です。
以前は尿路結石のリスクが高くなるので懸念されていた食材でしたが、シュウ酸の摂取量を減らす工夫をすれば、必ずしも与えてはいけない食材ではないのかもしれません。
しかし、尿路結石の既往歴がある子や普段から高カルシウム尿が指摘されている子には、あえて与える必要はないと思います。
ほうれん草のメリット・デメリットをしっかりと理解し、お家のうさぎさんの体調を見ながら適切な量を与えるように注意しましょう。
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