1.アクアリウムに流木を入れる理由
1-1.魚の隠れ家になる
1-2.レイアウトのため
1-3.水質が弱酸性になる
1-4.魚によっては水草を使用できないため
アクアリウムに流木を入れる理由
アクアリウムを始めると、流木や水草をきれいにレイアウトした水槽に憧れを持つ方も多いと思います。
ですが、流木を水槽に入れる理由やメリットは詳しくは知らない…という方も多いのではないでしょうか。
ここではアクアリウム水槽に流木を入れる理由を詳しくご紹介します!
◆魚の隠れ家になる
アクアリウムに流木を入れる理由の1つめが「魚の隠れ家になる」です。
アクアリウムを始めた当初は1種類だけだった生き物も、その魅力に触れるに連れてどんどん種類が多くなっていった方も多いのではないでしょうか。
とくに、体の大きさが違う生き物や生態が違う生き物と混泳させている場合、小さな生き物はどうしても大きな生き物の存在をストレスに感じてしまいます。
そんな中、流木をアクアリウムに導入すると小さな生き物の隠れ家になり、ストレスを軽減することができます。
また、熱帯魚たちは人間の生活音や照明の変化にも敏感な生き物です。
流木という隠れ家があるだけで、そのようなストレスからも回避することができます。
魚もストレスがたまってくると免疫力が低下し、病気を発症してしまう原因にもなってきますので、流木や他のシェルターのような隠れ家は必要になってきます。
さらにアクアリウム水槽に流木を入れることで、繁殖にも役立ちます。
グッピーやプラティのような繁殖力の強い魚は、いつの間にか稚魚を生んでいることも。
せっかく稚魚が生まれても、隠れる場所がないと親や他の魚たちに食べられてしまうこともしばしば。
流木があれば稚魚の隠れ家にもなりますので、生き残る可能性も増えてきます。
◆レイアウトのため
アクアリウムに流木を入れる理由の2つめが「レイアウトのため」です。
水槽に流木を入れると、奥行きや迫力が出て雰囲気ががらっとかわります。
それまで殺風景だった水槽が、流木ひとつ入れるだけで一気に生命力に満ち溢れた水槽に様変わりする様子を体験した方もいるのではないでしょうか。
水族館などに設置されている、生態系をそのまま水槽に閉じ込めたようなネイチャーアクアリウム水槽の前に多くの人だかりができ、人々を魅了していますよね。
そのように、アクアリウムに流木を入れると自然の美しさを再現することもでき、癒やしをもらえる効果も期待できます。
流木とあわせて水草も導入することで、さらにレイアウトの幅が広がり、美しい水槽のレイアウトをすることが可能になります。
◆水質が弱酸性になる
アクアリウムに流木を入れる理由の3つめが「水質が弱酸性になる」です。
水棲生物は生き物の種類によって好む水質が変わってきます。
弱アルカリ性の水質を好む生き物や、中性を好む生き物。そして、弱酸性を好む生き物など様々。
アクアリウムに導入するような熱帯魚は弱酸性の水質の東南アジアの河川などが原産のものが多いです。
そのため流木を導入することで水槽の水質が弱酸性に傾き、原産地の水質や、その生き物が好む水質を再現することができます。
また、日本で飼育する魚の代表格である金魚は、中性〜弱アルカリ性を好みますので金魚の飼育には流木は向きません。
このように、自分が飼育している生き物たちはどんな水質が好きなのかを知り、流木を導入するかを判断することをおすすめします。
◆魚によっては水草を使用できないため
アクアリウムに流木を入れる理由の4つめが「魚によっては水草を使用できないため」です。
さきほど、流木をアクアリウムに導入することで「魚の隠れ家になる」とご紹介しました。
魚の隠れ家のためなら、後述するアク抜き作業の手間やカビなどの原因になるような注意点も考えると、もう少し気軽に導入できる水草を入れればいいのでは?と思う方もいるのではないでしょうか。
もちろんその通りで、アクアリウム水槽に水草を導入することで、魚やエビたちの立派な隠れ家になります。
しかし、熱帯魚が全部水草に向いているわけではなく、水草との共生が向かない熱帯魚もいるのです。
水草水槽は、水質を弱酸性に傾けるソイルのような床材も導入することもあり、水槽の水質が弱酸性に傾きます。
そのため先ほど触れたような金魚や、熱帯魚でもアフリカンシクリッドのような弱アルカリ性を好む魚には向きません。
また、プレコやミドリフグのような魚は水草を食べたりかじってしまうため、すぐに水草がボロボロになってしまいます。
ヌマエビのような一見水草と相性が良さそうなエビ類、ネオンテトラのような小型の熱帯魚も水草を食べてしまうので注意が必要です。
その他にも古代魚や肉食魚のような力強く泳ぐ魚も、泳ぎ回ることで水草が抜けてしまい、すぐにレアウトが崩れてしまうのであまりおすすめはできません。
流木を導入することで、上記のような問題を解決し、レイアウトの幅を広げたり、魚たちの隠れ家として役立てることが可能です。
流木のアク抜きについて
アクアリウム水槽に流木を導入しようとした際、最初にぶつかる壁のひとつに流木のアク抜きがあるのではないでしょうか。
販売されている流木、とくに安い価格のものはアク抜きをしていないものも多くあります。
アク抜きをしていない流木からは、水槽にいれると水の中にアクが溶け出し、水が茶色く濁ってしまうことがあります。
この水を通称ブラックウォーターと呼びますが、水槽の水がブラックウォーターになることで、水槽全体の見た目が悪くなってしまうため、あまり好まれる現象ではありません。
また、見た目だけでなく、水が濁ることで一緒に水槽に入れている水草に光が届かず、光合成が行われなくなってしまい水草が枯れてしまう原因にもなってしまいます。
そのため、アクアリウム水槽に流木を導入する場合、アク抜きをすることを推奨しています。
アク抜きの方法は大きく分けて
◉水道水に漬ける
◉煮沸する
などの方法があります。
水道水に漬ける
流木が完全に浸かる程度のバケツで流木を漬けておき、アクが出てきたら水を全部取り替えます。
これを何度か繰り返し、水の色が濁らなくなればアク抜き完了。
大体1ヶ月ほどの時間を要します。
さらにこの方法でアク抜き剤を使用すると、1週間ほどでアク抜きが完了し、時間の短縮になります。
煮沸する
流木全体が浸かるほどの鍋に流木を入れ煮沸していきます。
何回か水換えをしながら繰り返すと、1時間ほどで流木から色がでなくなってきますので、アクが溶け出さなくなればアク抜き完了です。
鍋に汚れが付着してしまうため、アク抜き用の鍋を用意することをオススメします。
流木を水槽に入れる際の注意点
流木をアクアリウムに使用する場合、水槽に入れる際に注意点がありますのでそれぞれ詳しくご紹介します。
◆カビないようにする
流木は栄養豊富なため、水槽に入れると最初のうちはその栄養を養分としてカビが発生してしまうことがあります。
白いモヤモヤしたものが流木に急に付着し、焦ってしまうこともあるでしょう。
予防法
まず予防法は、アク抜きをする前に水道水で流木をたわしなどでこすりながらしっかり洗いましょう。
また可能であればアク抜きの方法を煮沸にすることで、殺菌も兼ねるためカビの発生を減らすことができます。
水槽の定期的な水換えの頻度を増やすことで、栄養豊富な水が換水されますので、カビの発生を抑えることに役立ちます。
対処法
そして、カビが生えてしまった場合の対処法ですが、エビなどに食べてもらってもいいですし、ホースなどで吸い出してしまってもいいでしょう。
◆浮かないようにする
流木をアクアリウムに導入した際の悩みのひとつに「浮いてしまう」ということがあるのではないでしょうか。
流木は木の中に空気を含んでいるため、その空気の浮力で水に浮いてしまう場合があります。
煮沸や水に漬けておくアク抜きをしっかりすると、流木の空気が抜けて水に沈むようになりますが、このアク抜きが不十分だと浮いてしまう場合があります。
どうしても浮いてしまう場合は、アクアリウム用のボンドで石に流木を接着させたり、流木の上に直接石をおくなどして対処しましょう。
水槽に数日漬けておくことで、空気が抜けて水が浸透してくるため、流木が沈むようになってきます。
流木の種類
流木には「自然流木」や「枝状流木」、「スタンプウッド」などの種類が存在します。
自然流木
河川に流れ着いているような、太くダイナミックな形状のものです。
そのためアクアリウム水槽に入れるとよりワイルドな世界観を演出することが可能です。
枝状流木
その名前の通り、多くの枝がある流木です。
枝が多い分、ひとつ入れるだけで水槽の雰囲気がガラッと変わり、生き物たちが隠れるスペースも多くなります。
スタンプウッド
切り株上の流木です。
枝状流木に比べて、引っかかる部分が少ないので、グッピーやベタのようなひらひらしたヒレがきれいな熱帯魚でも、ヒレを傷つけずに泳ぐことが可能になります。
水槽に入れる流木の種類によって水槽の表情が変わってきますので、生き物の生態に合った自分好みの形の流木を探してみてくださいね。
まとめ
今回は、アクアリウムの流木についてご紹介してきました。
流木がひとつ水槽内にあることで、水槽の中の雰囲気がガラッと変わり、奥行きのある水中世界を表現することができます。
それだけでなく、魚たちの隠れ家にもなるメリットも。
今回の記事が流木導入の役に立つと幸いです。
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