ハリネズミはどんな生き物?
怒って背中の針を立てて丸まる姿が可愛らしいハリネズミ。つぶらな瞳や、細い手足で部屋中を歩きまわる様子に魅了される方も多いでしょう。そんな魅力的なペットであるハリネズミはどんな生き物なのでしょうか?ハリネズミについて紹介していきます!
名前に“ネズミ”とついていることや、顔立ちもネズミに似ていることから、げっ歯目(リスやハムスターなどのネズミ類)と思われやすいですが、実はモグラに近い種類の動物です。
以前は食虫目としてモグラと同じ分類にされていましたが、現在はハリネズミ目と分かれています。
他に近い仲間として、トガリネズミやテンレックなどが挙げられます。
ハリネズミの最大の特徴は、外敵からの防御方法でしょう。体を丸めて背中のハリを立てると、全身が針のボールのようになってしまい、こうなると外敵も手を出すことができません。
野生のハリネズミは、群れや家族を作らず単独で行動しています。
夜行性で、夜になるとエサを求めて一晩に3~4キロも移動することもあると言われています。
寒い地域に住むハリネズミは「冬眠」、暑い地域に住むハリネズミは「夏民」をするという、爬虫類のような性質も持っています。
ペットとして流通しているハリネズミは温度管理が必要不可欠です。
ハリネズミは、哺乳網ハリネズミ目ハリネズミ科に分類される生き物です。
野生の種類はアフリカ、ヨーロッパ、ユーラシア大陸に生息しています。ハリネズミの代表的な種類は以下です。
・ナミハリネズミ
ハリネズミ属。
生息地:西ヨーロッパ・中央ヨーロッパ
体長:23~28センチ
体重:400~1,200グラム
カラーは、ハリから顔まで全体的に濃い茶色です。
特定外来生物として日本では飼う事ができないですが、野生のナミハリネズミは庭の害虫であるナメクジなどを食べることから、イギリスでは愛されています。
・ヨツユビハリネズミ
アフリカハリネズミ属
生息地:セネガルから中央アフリカ~エチオピアの地域
体長:18~22センチ
体重:300~500グラム
ペットとして流通しているハリネズミはこの種類です。
スタンダードのヨツユビハリネズミは顔やお腹部分は白く、針は白い部分に黒い色が入ります。ペットのヨツユビハリネズミのカラーは豊富で、シナモン、アプリコット、パイドなど全部で90種類以上あると言われています。
・オオミミハリネズミ
オオミミハリネズミ属
生息地:地中海東岸~中央アジア
体長:17~30センチ
体重:240~500グラム
ヨツユビハリネズミと比べると、その名の通り耳が長くて大きいです。以前はペットショップで見かけることも多かった種ですが、現在はほとんど流通していません。
・マンシュウハリネズミ(アムールハリネズミ)
ハリネズミ属
生息地:中国東部~北東部や朝鮮半島
体長:24~28センチ
体重:468~920グラム
ナミハリネズミに比べるとカラーは薄い茶色です。ペットとして飼育されていたマンシュウハリネズミが脱走や、捨てられたりしたことで静岡県や神奈川県に生息するようになりました。日本の生態系に悪影響を与える恐れから現在は、特定外来生物として飼育や販売が禁止されている種でもあります。
基本的には警戒心が強く、臆病な性格をしているため、飼い主にも最初は針を立てて丸まってしまうこともあるでしょう。
しかし、ゆっくりと慣らしていくことで針を立てなくなったり、無防備にお腹を出して寝るようになるヨツユビハリネズミもいるようです!
ヤマアラシはどんな生き物?
ハリネズミと同じく針を持つ動物というと、ヤマアラシが思い浮かびます。
動物園で見かけることが多いヤマアラシですが、一体どんな動物なのでしょうか?以下でヤマアラシについて紹介していきます!
ヤマアラシはヤマアラシ科とアメリカヤマアラシ科の2つのグループからなる、哺乳類げっ歯目の動物です。
実はこの2種類は別々に進化しており、同じ“ヤマアラシ”とつきますが別の種類となります。
ヤマアラシはユーラシア大陸やヨーロッパ大陸に一部生息し、地上生の生態です。
警戒すると、体の針毛を立てて威嚇します。この針毛が刺さると容易には抜けません。
アメリカヤマアラシは南北アメリカ大陸に生息し、樹上性の生態です。
日本の動物園でよく見かけるヤマアラシは、大半が地上生のヤマアラシ科のヤマアラシです。
ハリネズミとヤマアラシの違い
ハリネズミもヤマアラシも同じように、毛が固くなったものが針になっています。
針毛という共通点では似たもの同士ですが、この2種類にはどのような違いがあるのでしょうか?次で詳しく解説していきます!
ハリネズミはペットとして流通しているヨツユビハリネズミが有名です。
一方ヤマアラシも、少ないですがペットとして飼育することができます。
ただし、ハリネズミの臆病でおとなしい性格に比べ、ヤマアラシは気性が荒いことと、体が大きく噛む力が強いことから飼育するケージから脱走してしまった例もあり、飼育難易度は高いと言えるでしょう。
ハリネズミとヤマアラシは種類が異なります。
ハリネズミはハリネズミ目でモグラの仲間に近く、ヤマアラシ げっ歯目でモルモットなどに近い仲間です。共通点としては夜行性で、単独行動を好むことが挙げられるでしょう。
ハリネズミは大きめの種類(ナミハリネズミ)でも体重1キロ程度。
ペットのハリネズミであれば500グラムにしかなりませんが、ヤマアラシは30キロくらいになる種類もあり、大型犬ほどのサイズをイメージして頂くとその大きさの違いは歴然としています。
ヤマアラシは植物を食料の主とする草食系です。
野生では強い歯を使って木の皮や木の葉、果実などを食べています。動物園の場合はキャベツやリンゴ、芋、ニンジンなどモルモットやウサギなどと同じ食べ物を食べています。
ハリネズミは動物性たんぱく質を必要とするので肉食です。ハリネズミは昆虫を好んで食べるので、飼育する時もハリネズミフードの他、たまに生餌を与えると良いでしょう。
ヤマアラシは野性下で10~15年、飼育下だと20年と言われています。
国内最高齢のヤマアラシは福山市動物園で飼育されていた雄のヤマアラシ・バイオで、なんと24歳まで生きたそうです。
ハリネズミの場合は野生下で2~5年、飼育下で5年前後です。かなり長生きする個体だと10年生きた例もあります。
ハリネズミは「防御」のために針を使い、危険が迫るとひたすら体を丸めて針を立てます。
一方、ヤマアラシは気性の荒さもあり、針を「攻撃」のために使います。針を逆立てて、後ろ向きのまま外敵に突進します。
ヤマアラシの針毛は長いもので30センチほどにもなり、外敵の体に刺さると抜ける仕組みになっています。また、針毛には“返し”がついていて、なかなか抜けないため、ヤマアラシの外敵は針まみれになってしまいます。
ヤマアラシはヤマアラシ科がユーラシア、アフリカに生息しており、アメリカヤマアラ科が南北アメリカ大陸に生息しています。
ハリネズミは種類によって、ヨーロッパ、アフリカ、中近東、東アジア、ロシア、インドなど、広範囲にわたって分布しています。
似ている名前のハリモグラとは?
ハリモグラも、その名前からハリネズミやヤマアラシと混同されやすい動物です。
ハリネズミと同じように背中を針で覆われていますが、まったく違う種類の生き物です。
ハリモグラは、単孔目ハリモグラ科ハリモグラ属に分類される単孔類で、名前にモグラとついていますがモグラでもなく、オーストラリアに棲息するカモノハシと同じ仲間です。
尖った口先を使ってアリやシロアリを食べて生きています。
原始的な哺乳類グループの生き物なので、子どもを卵で産み、母乳で育てるという特徴があります。
まとめ
ハリネズミとヤマアラシは同じように体に針を持ち、夜行性で単独行動を好みますが、生物分類から体の大きさ、生息地域まで違います。針の使い方も、ハリネズミは針を「防御」に、ヤマアラシは「攻撃」に使うことで性質の違いがありました。また、同じような名前のハリモグラも違う種類です。名前が似ていても全然違う生態を知ると、より動物について興味がわいてきますね!