うさぎがケージを噛む理由
うさぎの飼い主さんに多いのが
「ケージを噛む音がうるさい」
という悩みです。
うさぎのケージは金属製のフェンスが使われているため、うさぎが噛むと「ガシャ、ガシャ!」「ガリ、ガリ」と大きな音が響くことがあります。
また、うさぎがケージを常習的に噛むようになると、硬い金属を噛むことで歯がゆがんでしまい、歯が曲がった方向に伸びる「不正咬合」の原因にもつながります。
うさぎがしつこく噛めば、ケージもボロボロに傷んでしまいます。
うさぎがケージを噛んでしまう理由として、以下のようなことが考えられます。
うさぎがケージを噛んで大きな音を鳴らしている時は、飼い主さんに要求を伝えるためアピールをしていることが多いです。「おーい」「呼んでいるぞー、気付いてよー」といった感じで、必死にケージをガシャガシャ鳴らします。
この時、うさぎは何か要求があって飼い主さんにそれを伝えようとしているのです。たとえば、以下に挙げるような要求がある時、ケージを噛んで催促をします。
・おやつがほしい
・外に出たい
・かまってほしい
食事の時間が来たのにまだご飯をもらっていない時、ケージの外に出たい時は、扉の部分を噛んで「開けろ」と言わんばかりに扉をゆさぶって猛アピールすることもあるでしょう。
しかし、うさぎがアピールするために大きな音を出そうとするのは珍しいことではありません。うさぎはコミュニケーション能力が発達していて、仲間に対して何かを伝えたい時には音を鳴らして知らせようとします。うさぎは声帯がなく鳴き声を出すことができないので、ケージを噛むなどの手段をとって音を立てているのです。
また、うさぎは経験から「ケージを噛んで音を鳴らせば、飼い主さんが来てくれるのだ」と条件づけて学習します。そのため、何か飼い主さんに用事があれば、まるでお客さんがベルで店員を呼ぶようにケージの音を鳴らして飼い主さんを呼ぶようになるのです。
うさぎさんによっては、お腹がすいた時に空の食器を振り回したり、トイレが汚れている時にトイレをひっくり返したり、足ダン(スタンピング)をするなど、わざと音を出して飼い主さんに要求を伝えることもあるでしょう。
うさぎがストレスを解消するためにケージを噛んでいることもあります。
ストレスの主な原因には、環境の変化、音やにおいなどの刺激、飼い主さんや他の動物との関係、病気やケガなどが挙げられます。
捕食される立場にあるうさぎは、外敵の気配を感じたらすぐに逃げられるよう、常に周りにアンテナを張り巡らせています。そのため性格は神経質で、些細な刺激にも過敏に反応します。その分ストレスを感じやすく、たまったストレスを解消するために周りにある物を噛んでしいます。
歯が一生伸び続けるうさぎは本能的に何でもかじろうとし、物をかじることで欲求が満たされます。物を噛むことはうさぎにとって心地良いことであり、ストレス発散にもつながっているのです。
うさぎは退屈しのぎにケージを噛むこともあります。うさぎも人間と同じように、単調な生活を続けていると「つまらない」「退屈だ」と感じます。ほかにすることがないので、身の周りにあるケージを噛んで退屈をしのいでいるのです。
本来、うさぎは体を動かすのが好きな動物です。また、好奇心が旺盛で遊ぶことも好みます。ちなみに、うさぎの遊びというのは、走る、土を掘る、かじるといった本能に従った行動です。
ケージの中にいるうさぎはどうしても行動が制限されるため、走る、掘るといった遊びを自由に楽しむことができません。そのため、遊びが不足して退屈し、ケージを噛んでストレスを解消するようになるのです。
ケージを噛むうさぎの対策
うさぎがケージを噛むのは問題行動なので、早めに対処する必要があります。うさぎがケージを噛まないようにするには、どのような対策をとれば良いのでしょうか。
まず、うさぎがケージを噛んでも飼い主さんはすぐに反応しないことです。
うさぎがケージを噛んで音を鳴らした時に飼い主さんがすぐやって来ると、うさぎは「用事がある時はケージを噛んで音を鳴らせば良いのだ」と学習し、以降はケージを噛んで飼い主さんを呼びつけるようになってしまいます。
ですから、うさぎがケージを噛んでもいったん無視してしばらく様子を見るだけにしておきましょう。うさぎはケージの音を鳴らしても飼い主さんが来ないことをさとると、飼い主さんを呼ぶ目的でケージを噛むことをやめるようになります。
飼い主さんとしては、うさぎの歯への負担や音が気になってすぐケージの所に行きたい気持ちになるかもしれません。しかし、そこで相手をしてしまうと噛む癖は治らないので、ぐっと我慢して無視しましょう。
うさぎがよく噛む所は、フィーダー(牧草入れ)や専用のフェンスガード、木のすのこなどを取り付けてガードしておくと良いでしょう。
うさぎは「噛んじゃダメ」と注意してもしつけが効くわけではないので、周りに物がある限りはどうしても噛んでしまいます。ですから、うさぎが噛もうとしてもフェンスに口が届かないよう、あらかじめフェンスをガードをしておくことが望ましいです。
牧草、木で作られているフェンスガード、すのこなら、うさぎがいくらかじっても大丈夫です。フェンスをカバーすることで、うさぎの不正咬合や口のケガ、フェンスがボロボロになるのを防ぐことができます。
うさぎが退屈しないよう、ケージ内に何か遊べるおもちゃを入れてあげましょう。うさぎはかじること、掘ることが好きなので、ガジガジ、ほりほりできるおもちゃを与えると喜びます。
なお、おもちゃによる事故を防ぐためにも、安全性が保証できない製品は避け、うさぎ・小動物専用のおもちゃを選びましょう。
うさぎがかじりたい欲求をいつでも満たせるよう、ケージ内にはかじり木を入れておくと良いでしょう。
うさぎは普段、主食の牧草やペレットをしっかり食べていれば、自然に歯をすり減らすことができています。ただし、本能で色々な物をかじってしまうので、ケージのほうに気が向かないよう、かじり木を与えておくのです。
なお、うさぎは他の小動物のように前足で物をつかむことができないので、ケージに固定できるタイプや安定感のあるタイプのかじり木を選ぶと、喜んでかじってくれるでしょう。
うさぎは角(かど)やとがっている物を好んでかじるので、かじり木が削れて角がなくなってきたら、新しい物に交換してあげましょう。
うさぎには毎日適度な運動が必要です。運動不足になるとストレスがたまるので、毎日ケージから出して一定時間遊ばせてあげましょう。
毎日決まった時間に部屋んぽをする習慣をつけ、サークルの中などの安全な環境で運動させてあげてください。
うさぎは飼い主さんにかまってほしくて、ケージを噛んでアピールしていることもあります。
うさぎはひとりで過ごす時間も好みますが、飼い主さんとコミュニケーションをとることも楽しみにしています。うさぎと触れ合う時間を設けて、うさぎとの絆を深めましょう。
うさぎがリラックスできていないため、イライラしてケージを噛んでいる場合もあります。何かの刺激によってうさぎがストレスを感じていないか、飼育環境を今一度確認してみましょう。
うさぎは、暑さや寒さ、強いにおい、大きな音、直射日光やすき間風が苦手です。また、知らない人や大きな声や音を出す人、他の動物の気配もストレスになります。
ストレスはうさぎの健康にも影響するので、早めに対処してリラックスさせてあげましょう。
まとめ
うさぎがケージを噛む理由、ケージを噛むのをやめさせるための対策について説明しました。
うさぎが物をかじるのは本能なので、どうしても周りに物があれば噛んでしまいます。ケージを噛むと騒音や不正咬合の原因につながってしまうので、うさぎがケージを噛まなくてすむよう十分な対策をとってあげることが大切です。
また、ケージを噛むということは、うさぎに欲求不満があるか飼育環境に問題のあることが考えられます。なぜケージを噛むのか、うさぎの気持ちを考えて問題を解決してあげることが必要となります