ハムスターを連れてお出かけはできる?
飼い主さんの引越しや帰省、ハムスターを動物病院に受診させる場合など、時にはハムスターを外へ連れて行かなければならないことが出てきます。
ハムスターは犬や猫、うさぎよりも体が小さく、ケージの外の世界もほとんど知りません。そんなハムスターをお出かけに連れ出して大丈夫なのか、飼い主さんはとても気になりますよね。
ハムスターを連れて外出すること自体は問題ありません。ハムスターは専用のケージ(キャリー)に入れて手荷物として持ち運ぶので、それほど負担にはならないことも多いでしょう。
ただ、ハムスターはお出かけを苦手とする動物なので、むやみに連れ出すことはよくありません。どうしてもハムスターを連れて出かけたい場合は、ハムスターが安全で快適に過ごせるよう、細心の注意を払う必要があるのです。
◆ハムスターはお出かけに向いていない
そもそもハムスターは、お出かけすることが向いていない動物です。神経質でとても敏感なので、音やにおい、明るい光、振動、温度の変化といった刺激が大きなストレスになってしまうためです。
ハムスターは肉食動物に捕食される動物なので警戒心が強く、周辺の状況を察知するために聴覚や嗅覚が発達しています。常に音やにおいで安全確認をしていて、知らない音やにおいを警戒します。
そんなハムスターにとって、おうちの外の世界は知らない音やにおいがいっぱい。慣れない場所では常に警戒心がはたらくため、とても疲れやすくなってしまいます。
また、ハムスターは体温調節が苦手で、温度の変化に非常に弱いです。お出かけで移動する際に環境の温度が変わると、ハムスターは体温を調節することができず体調を崩してしまう可能性も出てきます。
体が小さい動物なので体力もなく、環境の変化が引き金となって衰弱してしまうことも珍しくありません。そのため、安易にハムスターをお出かけさせることはよくないのです。
ちなみに個体差もあるので、中にはお出かけをしても平気な子います。気質も関係するのかもしれませんが、飼い主さんが上手にハムスターを管理してあげれば、ハムスターも快適に外出に同伴することができます。
◆脱走させてしまうと見つからない可能性が高い
飼い主さんには、ハムスターの脱走を心配されている方も多いのではないでしょうか。
飼い主さんのおうちの中で脱走した場合はまだ見つけやすいのですが、外出先で脱走した場合は、ハムスターが行方不明になったり事故にあったりする可能性も出てきます。…考えただけでヒヤヒヤしますね。
ハムスターは体が小さく、物陰や狭い所に入り込んでしまうことが多いので、ケージから脱走されると見つけることが難しくなります。
ハムスターは好奇心が強く、今いるケージの外に出てみたい欲求を持つ子が多いのです。また、中にはストレスからケージの外へ逃げたいと感じる子もいるようです。そんなハムスターはケージにちょっとしたすき間を見つけると、そのまま外へ脱走してしまいます。お出かけ時はハムスターの脱走には特に注意が必要です。
◆ハムスターは夜行性
私たち人間とハムスターでは、1日の生活リズムが違います。私たち人間は昼行性で日中に活動することが多いのですが、ハムスターは夜行性です。
つまり、飼い主さんが日中にお出かけをする場合、本来は寝ている時間帯のハムスターを活動させることになります。そしてハムスターは光が苦手なので、日中に外に連れて行かれると、日光や照明の明るさにストレスを感じてしまいます。
動物病院の受診など日中に連れ出すことが必要になる場合もあります。しかし、飼い主さんの都合でハムスターをむやみに連れ出すことはやめましょう。
ハムスターとお出かけする時の注意点
ハムスター自体はお出かけが向いていませんが、しっかりと準備すればスムーズに連れて行けるようになります。では、どのような点に気を付けてお出かけすればよいのでしょうか。
②目隠しを用意する
③ストレスのかからない移動方法で
④できるだけ短時間にする
⑤ケージ内のレイアウトはシンプルに
⑥温湿度に注意
⑦脱走に気を付ける
⑧ハムスターに気を取られ過ぎない
◆専用のケージを用意する
ハムスターとお出かけをする際は、専用のケージの中に入れて運搬するのが安全です。普段ハムスターが過ごしている飼育用のケージごと運搬しても良いのですが、ハムスター専用のコンパクトなキャリーなどを利用するのも便利です。
お出かけ用のキャリーはコンパクトで取っ手が付いているので携帯しやすく、床材も入れられるので、ハムスターも快適に過ごせます。
◆目隠しを用意する
ハムスターのケージは、そのまま運搬するのではなく上からカバーをかける、段ボール箱などで覆うなどして目隠しするのがおすすめです。
お出かけ中、ハムスターは普段と違う環境のにおい、音、振動などの刺激に対してストレスを感じやすくなります。また、明るい光も苦手です。
バスタオルや段ボール箱などで目隠しをしてあげると、外部の刺激は遮断されるので、ハムスターがリラックスしやすくなります。
◆ストレスのかからない移動方法で
お出かけはハムスターに負担をかけます。少しでもハムスターが快適に過ごせるよう配慮してあげましょう。
たとえば、公共機関は乗り換えや手続き、混雑などで時間がかかることがあるので、融通の利きやすいマイカーを利用するほうがペットの運搬がしやすいです。
ただし、どの移動手段を利用するにしても、ハムスターは振動や音などでストレスを感じやすくなるので、なるべく混雑の少ない時間帯を選んで移動し、ケージの下にバスタオルや毛布を敷いて振動をやわらげるなどの工夫をするのがおすすめです。
◆できるだけ短時間にする
長時間のお出かけはハムスターに大きな負担をかけます。お出かけは極力短時間ですませるようにしましょう。
お出かけ前にしっかり計画や準備をしておき、当日は効率よく移動できるようにしてください。
◆ケージ内のレイアウトはシンプルに
移動時はケージが揺れるので、ケージ内に物を置いているとハムスターとぶつかって怪我の原因になる可能性があります。
外出時はケージ内に回し車、巣箱、おもちゃなどの硬くて重い用品は入れず、シンプルなレイアウトを心がけましょう。
水分補給が必要なので給水器は取り付けておいたほうがよいのですが、水漏れが起こりやすいので床材の濡れに注意してください。
◆温湿度に注意
ハムスターの移動時で盲点になりやすいのが、温湿度の変化です。普段いるおうちの中は比較的温度が安定していますが、屋外や乗り物の中はその場所によって温湿度が異なるので、想定外の寒暖差には注意が必要です。
直射日光は避け、室内や車内は冷暖房が効いた状態で過ごさせるようにします。また、夏は冷却剤、冬はカイロなどで部分的に温度調整するのも効果的です。
そして、お出かけ中はハムスターの様子を観察して、暑がっていないか寒がっていないか確認し、体調を崩さないよう気を付けてあげましょう。給水器を入れない場合は、脱水を防ぐためにキャベツなど野菜を入れて水分を取らせましょう。
温湿度の変化を把握するためにも、外出時は温湿度計を携帯するのがおすすめです。
◆脱走に気を付ける
お出かけ中で特に気を付けたいのが、ハムスターの万が一の脱走です。ケースはフタをしっかりと閉め、すき間がないことを確認しておけば、脱走の心配はありません。
ただ、環境が変わるとハムスターはケースの中でソワソワ、ウロウロします。その時に偶然すき間を見つると外へ出てしまう可能性があるので、ふたの閉め忘れなどには十分注意しましょう。
◆ハムスターに気を取られ過ぎない
ペットと一緒にお出かけする時は、どうしてもペットの安全や体調が気になりがちです。しかし、あまりハムスターに気を取られると、ほかのことに注意が行き届きにくくなります。
忘れ物、遅刻、事故等のトラブルが起こってはいけないので、気持ちに余裕を持って行動することも心がけたいです。
ハムスターとお出かけする方法
ペットを連れてお出かけする方法には、徒歩、車、電車、飛行機などがあります。これらの移動手段を使ってハムスターとお出かけする際、どのような準備が必要でしょうか。
◆徒歩
近場のお出かけ、短時間の移動をする時は、飼い主さんが徒歩でケージ(キャリー)を持ち運びます。ケージが大きく揺れないようにしっかり携帯し、速やかに移動しましょう。
直射日光や外気に当たらないよう、ケージは布で覆うかバッグに入れて歩くのもおすすめです。
◆車
お出かけでは車を利用することが多いでしょう。車内ではケージが揺れたり倒れたりしないよう、同乗者の方がひざの上に乗せてしっかり持つか、ベルトで固定するなどしましょう。
また、車内は夏以外でも温度が上昇しやすいので、換気やエアコンの冷房をこまめに使って暑さ対策を徹底してください。
運転手の方は、運転中にハムスターのほうを脇見しないよう注意しましょう。
◆電車・バス
ハムスターなど小動物と電車やバスに乗る場合は、ケースに入れたペットが「手回り品」という扱いになり、手回り品として車内へ持ち込むことが可能となります。
手回り品は有料になるので、飼い主さんの乗車券に加え、手回り品の乗車券を購入する必要があります。
ただし、動物の持ち込みができない場合もあるので、事前に各交通機関のウェブサイト等で確認し、ペット同伴の可否、条件、料金など把握しておくことをおすすめします。
なお、公共の場には、動物が苦手なお客さんもいます。駅や車内ではエチケットとして、ケースはバッグ等に入れるか布等をかけて見えないようにしたほうがスマートでしょう。また、敏感な人は動物のにおいが気になることもあるので、ケージや床材は清潔な状態にしてお出かけをしてください。
◆飛行機
ハムスターなどの小動物は、航空会社が定める条件を満たしていれば、手荷物として飛行機に搭乗させることができます。その際は、事前の予約手続き、手荷物としての料金が必要です。
また、小動物はケースに入れていても飼い主さんと一緒に客席に同乗することはできず、貨物室で預かり品として扱われることが一般的となっています。
利用する航空会社のウェブサイトや窓口等で手続きの詳細を確認し、規定に添って搭乗の手続きをおこないましょう。
まとめ
ハムスターを連れてお出かけする時の注意点について説明いたしました。
個体差もありますが、ハムスターは環境の変化が苦手ですし、お出かけすることの意味や楽しさまでは理解できません。その点をふまえた上で、入念な準備をしてハムスターと快適に外出しましょう。スムーズに外出できれば、飼い主さんにとって有意義な時間になるはずですよ。