1.ヒメハリテンレックとは?
1-1.見た目
1-2.原産国・生息地
1-3.特徴・性格
1-4.寿命
1-5.ハリネズミとの違いについて
3.ヒメハリテンレックの飼育環境
3-1.必要な基本グッズの一覧
3-2.温度設定
4.ヒメハリテンレックの飼い方
4-1.ご飯について
4-2.トイレについて
4-3.砂浴びについて
4-4.ケージの掃除について
4-5.かかりやすい病気について
ヒメハリテンレックとは?
ヒメハリテンレックは一見するとハリネズミに似ている手のひらサイズの小動物です。即売会のイベントやペットショップでも見かけるようになり、見た目の可愛らしさと飼いやすさから注目を集めています。
◆見た目
ヒメハリテンレックは体長12cm~17cm程度で、大体女性の手のひらくらいの大きさです。顏は鼻先が尖がっており、小さな黒い目が両側面に位置しています。ネズミのような丸っぽい耳をしており尾はほぼ見えません。顏部分は毛が薄く、ちょうど髪の毛が生えるかのように顏周りと腹面を除き特徴的なトゲに覆われています。このトゲは体毛が変化したもので、ハリネズミよりは硬くないです。重さはおよそ150g~250gほど。玉ねぎをひとつ手のひらに載せるのと同じくらいと想像して下さい。現在流通しているヒメハリテンレックは茶色っぽい地毛にクリーム色のトゲのカラーリングが多く、まれに白い個体が流通する事もあります。
◆原産国・生息地
ヒメハリテンレックが生息しているのはマダガスカル島の南部~南西部です。半樹上棲といって樹の上で活動する事もあり、ある程度樹や草の生えている乾燥した地域を好みます。
◆特徴・性格
ヒメハリテンレックは夜行性の動物です。性格はおとなしい個体が多く、自分から攻撃する事はほぼありません。しかし臆病で繊細な一面があるので、プライベートな時間を尊重する事が大切です。飼育時にヒメハリテンレックにとって脅威になりうる猫や他の動物にずっと見つめられていたり、ケージをかき乱したり刺激を与える事はストレスの原因になります。ヒメハリテンレックが人に慣れるかどうかと言えば慣れますが、犬猫のように感情豊かに甘えるというわけではなく触らせてくれるようになる程度です。
◆寿命
ヒメハリテンレックの寿命は野生下ではおよそ3年~8年程度と言われていますが、飼育下では病気(先天性のもの含む)や目立った原因がなければ10年前後の事が多いです。
◆ハリネズミとの違いについて
ヒメハリテンレックを知らない人が見たらハリネズミだと思うでしょう。ぱっと見ると似ていますが、見た目としてはハリネズミの方がはっきりとした顔立ちをしています。大きさも小ぶりなヒメハリテンレックとは異なり、ハリネズミ(ヨツユビハリネズミ)は体長約20cm程度、重さは300g~500g前後とずっしりとしています。ハリネズミのトゲはヒメハリテンレックよりも硬く、実際にハリネズミを持った事がありますが威嚇していなくてもチクチクと立派なトゲを気にせずにはいられませんでした。また生活スタイルも違います。ハリネズミは「ネズミ」とついてはいるものの、生態としてはモグラに近く、穴を掘る事が得意で地面での生活がメインです。一方ヒメハリテンレックは地面でも活動しますが樹の上に登ったりと身軽な生活を送っています。一度の出産における数の多さも異なり、ハリネズミは種類によってまちまちですが1匹~多い種類で10匹程度、ヒメハリテンレックは平均して15匹ほど出産します。
ヒメハリテンレックの値段
ヒメハリテンレックを飼ってみたい!となったらまず気になるのが価格です。店頭での生体価格は2021年1月現在で3万円~8万円程度が多く、店舗や個体、人慣れしているか等の条件によって大きな幅が見られました。通年各所で様々な生体の即売会のイベントもあり、イベント時は店頭より比較的安価に購入できる事もあるようです。しかしヒメハリテンレックはハムスターのようにまだまだメジャーな動物ではないので、購入を検討されている場合は事前に店舗へ取り扱いがあるか確認しましょう。
ヒメハリテンレックの飼育環境
さて、ヒメハリテンレックを実際に飼育する際にはどのような準備が必要でしょうか。ヒメハリテンレックに限った事ではありませんが、飼育の際はなるべく生息環境に近い条件で飼育環境を整えてあげましょう。
◆必要な基本グッズの一覧
・ケージ
小動物用のケージやガラス製の水槽、爬虫類用のケージで飼育可能です。大きさは底辺が60cm程度ある広いものが理想的で、小動物用であればウサギのケージがそれに相当します。またヒメハリテンレックは樹に登る性質がある事から、登り木を設置できるようにある程度高さがあると尚良いでしょう。
・床材
ケージの底に敷く床材はアスペンチップや牧草が好ましく、やや厚めに敷いてあげると落ち着きます。
・水入れ
水入れはひっくり返されない重量のある陶器製のものを用意します。高さがありすぎると上手く飲む事ができないので注意しましょう。100円ショップ等でも販売されている、ココットと呼ばれる小さな食器が安価で入手しやすく、安定感がありおすすめです。
・餌
ヒメハリテンレックの餌は主にハリネズミフードやフェレットフード、昆虫(コオロギやジャイアントミルワーム等)を与えます。昆虫はペットショップで購入する事ができます。
・巣箱
ヒメハリテンレックの全身が入る大きさで、ある程度余裕があり、難なく出入りできる大きさの物を選びましょう。
・トイレ
ハリネズミ用のトイレと砂を設置しましょう。
・回し車
運動不足を解消する為回し車を設置すると良いです。油断すると肥満になりやすく、寿命を左右します。
・砂浴び場
ヒメハリテンレックは砂地も好きなのでチンチラ用の砂を体が収まるくらいの容器に設置してあげると良いです。
・登木
ヒメハリテンレックが載っても十分な太さの枝で、設置する際は固定しましょう。瓦を立てかけておくのも立体運動に効果的です。
・温度計
ヒメハリテンレックは変温性の動物であり、自分で温度の調節ができず周りの温度に影響される為、温度管理ができるように温度計を用意しましょう。
・保温器具
ペット用のセラミックヒーターや、室内のエアコンで温度調整を行います。
◆温度設定
ヒメハリテンレックは先述した通り変温性の動物であり、自分で体温を調節する事ができません。また極端な温度変化に弱い為、ヒメハリテンレックにとって温度管理は最も大切と言っても過言ではありません。適温は25度前後で、夏場は30度未満、冬場は10度を切らないように特に温度の管理に注意しましょう。ヒメハリテンレックは野生下では夏眠(高すぎる温度の期間を最低限の活動で凌ぐ行為。冬眠の夏版)や冬眠を行いますが、飼育下では温度管理に失敗すると命にかかわるので温度を保ち通年活動状態にしておくと安全です。しかしもし繁殖を考えている場合には、冬眠をさせる事でより効果を見込む事ができます。冬眠させる場合、秋の終わり頃から徐々に温度を下げていくと14度~18度程度で冬眠状態に入り動きが鈍くなります。ヒメハリテンレックの場合、冬眠と言っても全く動かなくなるわけではなく、活動時間が短くなり餌を食べなくなります。この時、水はたくさん飲むので水入れはしっかり管理しましょう。春先になり温度が上がって来ると再度活動を始めます。
ヒメハリテンレックの飼い方
ヒメハリテンレックの基本的な飼育方法や病気について解説します。
◆ご飯について
餌はハリネズミフードやフェレットフードをふやかしたものや、生きた昆虫を与えましょう。昆虫はコオロギやミルワームがペットショップで販売されているので、ピンセットや割りばし等でヒメハリテンレックの口元に近づけて与えるとやりやすいです。まれに偏食が著しく、生餌しか食べない個体もいます。その場合は人工飼料に昆虫を混ぜるようなかたちで少しずつ慣らしていくと管理しやすくなります。
◆トイレについて
設置する場合はハリネズミ用のトイレとトイレ砂を設置します。しかしヒメハリテンレックは個体によってトイレを覚えない事も多いので期待はしない方が良いかも知れません。
◆砂浴びについて
チンチラ用の砂を設置してあげると体にこすりつけるようにして砂浴びをします。容器はなるべく砂が飛び散らないものが良いでしょう。砂が気に入らないと砂浴びをしない個体もいるようです。
◆ケージの掃除について
掃除は毎日食べ残しや糞を取り除き、水が汚れたら交換してあげましょう。月に一度、床材の全取り換えと登り木がある場合は熱湯消毒を行うと清潔です。毎日大規模に掃除をしてしまうとヒメハリテンレックにとってストレスになってしまいます。
◆かかりやすい病気について
ヒメハリテンレックはとにかく肥満になりやすいです。肥満になると体重を落とすのも大変で命にかかわるので、回し車を設置したり立体運動ができるレイアウトにしたり、ヒメハリテンレックがたくさん運動ができる環境を整えてあげましょう。
まとめ
ヒメハリテンレックについていかがでしたでしょうか?ヒメハリテンレックは注目度は上がってきてはいるものの、取り扱いのないペットショップもたくさんあります。今はまだまだハリネズミの方が知名度が高く、飼育者や流通も多く見られますが、ヒメハリテンレックは今後さらなる人気を博す可能性の高い動物だと考えています。しかし現段階では飼育している人がいると言っても詳細な飼育方法等の情報は少なく、実際にヒメハリテンレックを飼うにはどうしたらいいんだろう?と思う方も多いのではないでしょうか。もしそんな状況で悩んでいる方がいたのなら、この記事を読んで少しでも新しい出会いの参考になれば嬉しく思います。
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