1.ヤドカリとはどんな生物?
1-1.ヤドカリは甲殻類
1-2.小さいサイズから大きなサイズまで
1-3.動きがキュート
2.ペットとして飼えるヤドカリにはどんな種類があるの?
2-1.オカヤドカリ
2-2.ホンヤドカリ
4.ヤドカリの飼育環境、必要なアイテムは?
4-1.「水槽」「ケース」
4-2.「水」
4-3.「砂」
4-4.「ヒーター」「温度計」「湿度計」
4-5.「エサ」
4-6.「貝殻」
4-7.「隠れるところ」
5.ヤドカリを飼うときの注意ポイント
5-1.衝撃を与えないように飼う
5-2.隠れていているところを無理に掴まない
5-2.水の量にも配慮する
5-4.水槽内を衛生的に保つ
ヤドカリとはどんな生物?
海水浴や潮干狩りで、ヤドカリが動く様子を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
でも、「海の生き物」とは知っていても、詳しい特徴まではなかなか分からないですよね。
ヤドカリとは、いったいどんな生物なのでしょうか。
◆ヤドカリは甲殻類
ヤドカリは、背中に貝殻を背負って生きている甲殻類の生き物。
同じ甲殻類である「海老」「かに」の仲間です。
ヤドカリは、「自身の体を傷つけないように」という理由から、背中に貝殻を背負って生活しています。
そのため、どこからともなく貝殻を背中に装着、水中や海辺での危険から身を守っているのです。
「借りた宿(貝殻)」を装着している様子から、ヤドカリという名前になりました。
◆小さいサイズから大きなサイズまで
「ヤドカリ」とひとまとめに言っても、数百にも及ぶ種類があります。
生まれたときのヤドカリは小さく、背中にはまだ貝殻がありません。
本当に小さい体で、脱皮をしたり、背中に貝殻を背負ったり…と、次第に大きく成長していきます。
自身の体のサイズに合う貝殻を見つけながら、「宿=貝殻」の引っ越しを繰り返すライフスタイルです。
成長すると10センチ程度と大きくなるものから、1~2センチ程度と小さいものまでさまざまなヤドカリの種類があります。
◆動きがキュート
ヤドカリは少し独特な歩き方をしています。
体を隠すかのように覆われている貝殻が重いのでしょうか。
小刻みに一生懸命歩いている姿は、とても可愛らしいですね。
しばらく見ていても、飽きない魅力があります。
ペットとして飼えるヤドカリにはどんな種類があるの?
ヤドカリは、最近では観賞用のペットとして注目度を集めている生き物です。
体の大きさや原産地などにより、たくさんの「ヤドカリ」がいますが、なかでもペットとして飼えるものについて代表的な種類を紹介します。
◆オカヤドカリ
日本では、ペットとして飼うヤドカリのなかでも「オカヤドカリ」がメジャーです。
“オカ”と名前に付けられていることから分かるように、オカヤドカリは海よりも陸がお好みです。
オカヤドカリは、日本の沖縄エリアに分布しているので、現地に行くと出会えるかもしれません。
でも、実はオカヤドカリは天然記念物に指定されている生き物。
むやみやたらに捕獲はできず、許可されて採集されたペットショップのオカヤドカリしか飼うことはできません。
また、オカヤドカリは、ムラサキオカヤドカリ、コムラサキオカヤドカリ、オオナキオカヤドカリなど、体の細かな部分の違いでさらに種類分けされています。
◆ホンヤドカリ
主に、海のなかで生きるのがホンヤドカリです。
オカヤドカリよりも生息分布が広めで、日本各地で見ることができます。
ホンヤドカリは、「ヤドカリ」のなかでもかなり小さな体が特徴。
生まれたときにはもちろん小さいですが、成長しても10ミリほどです。
オスの方が、大きく育つでしょう。
ホンヤドカリは、砂浜よりも岩場付近で見かけることが多いヤドカリです。
小さな体で一生懸命動く様子は、とても可愛らしく魅力があります。
ヤドカリってどんな性格をしている?
ヤドカリの性格には、「穏やかでおとなしい」「臆病で攻撃性がある」という2つの相反するものがあります。
基本的には、ヤドカリはおとなしく、攻撃的な動きはすることがないでしょう。
ヤドカリは主に鑑賞用として飼われる生き物です。
ペットとして一緒に暮らすには、性格的な面が問題になることはありません。
ただ、犬や猫のように、一緒に遊んだり、触れ合ったりという飼い方は不向きです。
必要以上に撫でたり触ったりを繰り返すと、「敵だ!身を守らなくちゃ!」と怖さから反撃に出てくることもあります。
ヤドカリの飼育環境、必要なアイテムは?
そもそも自然界で生きているヤドカリを飼うことについて、「難しいのでは?」「自分にも飼える?」と不安を持つ方もいるかもしれません。
でも、ヤドカリが安心できる環境に整えてあげれば、飼い方はそれほど難しくないでしょう。
ヤドカリが好む環境にするため、必要なアイテムをいくつか紹介していきます。
◆「水槽」「ケース」
ヤドカリの住処としての容器が必要です。
犬や猫と比べると、体はかなり小さな生き物なので、放し飼いにはできません。
ヤドカリを守るためにも必ず準備しましょう。
ヤドカリは観賞用として楽しむケースが多いので、透明な水槽やケースが適しています。
どんな水槽にするべきという決まりは特にありませんが、ペットショップで「ヤドカリ飼育用」と謳われているものを購入すると安心です。
ただ、あまりにも簡素なものだと強度的にも不安ですよね。
ヤドカリが水槽のなかで動き回ったときに、カチカチとハサミで傷をつけるかもしれないので素材の特徴をよく理解しながら選びましょう。
プラスチック製は、軽くてお財布にもリーズナブルに購入ができますが、傷がつきやすいでしょう。
一方のガラス製は、長期的に育てることを考えれば「耐久性」がよく安心感がありますが、運ぶときに重いかもしれません。
ヤドカリのサイズ感にも注意して選びましょう。
あまり小さすぎる水槽やケースだと、ヤドカリ的にもストレスを感じてしまうかもしれません。
「何匹も飼う」のであれば、それなりに大きなサイズを準備してくださいね。
また、「蓋」にも着目して選びましょう。
以外にアクティブに動くヤドカリは、小さな水槽を脱走するのも結構得意です。
蓋がない水槽に入れていて、「いつの間にか脱走していた」とならないように、蓋付を準備するといいかもしれませんね。
◆「水」
ヤドカリは、生きるために水が必要です。
オカヤドカリは、陸が好きですが、貝殻のなかに水をしのばせてエラ呼吸をします。
ホンヤドカリは水のなかを好むので、水のある環境が大事です。
水と言っても「水道水」は体に合いません。
真水、もしくは海水を入れてあげるといいでしょう。
ペットショップなどで販売されている「人工海水」を入れてあげる方法もあります。
もし、水道水を使うなら、「水道から汲んだ水を一晩置く」という方法を試してみましょう。
24時間以上経過した水道水は、カルキ抜きされているのでヤドカリの水槽にも使えます。
◆「砂」
ヤドカリには、「砂のなかに潜って脱皮する」という行動パターンがあります。
脱皮はヤドカリが成長するうえで大事なことです。
砂が少ないと「潜れない・脱皮ができない」と成長にも影響が出てしまいます。
それに、砂がなければガラスやプラスチックのツルツルの表面で、ヤドカリが上手く歩けません。
ヤドカリ用の砂を買って、水槽にしいてあげましょう。
砂の量が少ないと、ヤドカリが潜れません。
ヤドカリが砂に身を沈められるように、ヤドカリのサイズ感とバランスのとれた量を入れてくださいね。
◆「ヒーター」「温度計」「湿度計」
オカヤドカリは、暖かい気候の地域に生息している生き物です。
そのため、寒さには弱い特徴があります。
日本の冬は寒いですから、ヤドカリが快適に暮らせるような温度管理が大切です。
15~20度を下回らないようにしなければなりません。
特に10度以下になる環境で長い時間を過ごさせると、命の危機も。
温暖な地域は心配いらないかもしれませんが、冬にはヒーターを使って暖かな環境を作り出してあげることが大事です。
また、ヤドカリは乾燥には弱いです。
湿度が低くなったタイミングを見逃さないように、湿度計も準備しておきましょう。
◆「エサ」
ヤドカリは雑食で、いろいろなものを食べます。
ただ、ペットとして飼うならヤドカリの成長や健康のことを考えながらエサを与えた方がいいでしょう。
市販されている「ザリガニ専用」のエサなら安心です。
◆「貝殻」
ヤドカリは大きく育つ過程で、何度も脱皮をします。
体の成長に合わせて「自分の体にフィットする貝殻」を背負います。
成長すると体が大きくなり、貝殻がきつくなってしまうからです。
「この貝殻はイヤだ」と感じると、貝殻を抜け出し次のものを求めます。
自然界で生きるヤドカリなら、周囲に貝殻が選び放題。
「これがいい」「これは…う~ん」というように、たくさんの貝殻候補のなかから好みのものを選ぶことができます。
人間で言えばショッピングをするかのように、選り取りみどりでしょう。
しかし、ペットのヤドカリはそうはいきません。
ヤドカリ自身が選びやすくなるように、たくさんの貝殻を入れておくといいですね。
◆「隠れるところ」
ヤドカリは臆病で、自分の身を守ろうとおとなしい性格をしています。
でも、びっくりすると隠れ場所を求めて、歩き回ります。
ヤドカリのリラックススペースにもなるので、「流木」や「サンゴ」、「小ぶりな石」などを準備しておくといいでしょう。
砂や流木を自然っぽくレイアウトすれば、ヤドカリの鑑賞タイムも楽しくなりそうですね。
ヤドカリを飼うときの注意ポイント
次に、ヤドカリを飼うときに特に注意しておきたいポイントについてです。
◆衝撃を与えないように飼う
水槽を叩いたり、撫でようと思って水槽に手を入れたりなど、臆病なヤドカリは、びっくりする出来事が苦手です。
ヤドカリの飼育スペースに衝撃となることは控えましょう。
◆隠れていているところを無理に掴まない
ヤドカリは臆病なところがあるので、何かの気配にびっくりして隠れることが多々あります。
隠れているからと無理に掴んで引っ張り出すのはNGです。
ヤドカリのストレスになってしまいます。
また、ヤドカリのハサミにも注意が必要です。
飼い主さんが「可愛いから」という気持ちで触ろうとしても、ヤドカリにとっては「敵だ!」とハサミで攻撃してくるかもしれません。
小さい体とは言え、ヤドカリが持つハサミはとても鋭いものです。
ケガを防ぐためにも、ヤドカリがびっくりするような触り方をしないようにしましょう。
◆水の量にも配慮する
深すぎる水量は、ヤドカリが溺れる原因にもなります。
いくら水辺の生き物とは言え、極端に深いと危険です。
ヤドカリの体の大きさも考えつつ、適量の水を水槽に入れてあげましょう。
◆水槽内を衛生的に保つ
ヤドカリが暮らしている水槽は、エサのカスやフンなどにより汚れてしまいます。
・エサの食べ残しを放置しない
・砂場のなかのゴミを取り除く
・汚れた水は交換する
というように、水槽内は定期的に新鮮な環境にしましょう。
あまりにも頻繁に水槽の掃除をすると、ヤドカリにとっては落ち着かない環境になります。
水槽内の掃除のタイミングは、ヤドカリの数、水槽のサイズ、汚れの度合い、季節、飼い方などによって一概に言えません。
水槽内をチェックして、「濁ってきたかな」と思ったら水交換した方がいいでしょう。
特に、夏には温度が高く汚れやすい環境になるかもしれないので、水槽内の衛生面には気を配ってあげてくださいね。
まとめ
天然記念物のヤドカリは、自分で海辺に行って捕獲はできませんが、ペットショップや専門店経由で迎えることができます。
飼育環境さえ整えてあげれば、ヤドカリはとても飼いやすい生き物です。
貝殻を背負って歩く姿を観察するのはとても楽しいものです。
ヤドカリの生態が身近に感じられ、毎日の観察で愛着も沸いてくるのではないでしょうか。
ペットとして迎えるときには、ヤドカリの特徴や飼い方を理解してから迎えましょう。
– おすすめ記事 –
・【アクア事業部監修】ミドリフグは飼いやすい?飼育のポイントや特徴を紹介 |
・ステップレミングってどんな動物?特徴・飼い方を解説! |
・【アクア入門】グッピーにはどんな種類がいる?グッピーの特徴や飼育方法について |
・ヤマトヌマエビの飼育は簡単?ヤマトヌマエビの特徴や飼育のポイントを紹介! |