珍種!クロハラハムスターの飼育は可能?その魅力と飼育事情をご紹介

2022.07.31

珍種!クロハラハムスターの飼育は可能?その魅力と飼育事情をご紹介

クロハラハムスターという品種のハムスターをご存知ですか?ペットショップでは見ない品種ですよね。クロハラハムスターはレアで私たちが知っているハムスターとは一味違うことから、ハムスターの愛好家が「会ってみたい」「飼ってみたい」と憧れる品種です。このクロハラハムスターとは一体どのようなハムスターなのでしょうか。この記事ではクロハラハムスターの特徴、飼育に関する事情について紹介していきます。


クロハラハムスターってどんなハムスター?

クロハラハムスターイラスト

クロハラハムスターはあまり聞き慣れない名前ですが、どんな特徴を持つハムスターなのでしょう。

クロハラハムスターは、20種類以上存在するハムスターの中で最も体が大きい品種のハムスターです。生物の分類では、げっ歯目キヌゲネズミ科のクロハラハムスター属となります。

クロハラハムスターはユニークな毛色とつぶらな瞳がキュート。ほかのハムスターと違う魅力のとりこになる方も少なくありません。

しかし、クロハラハムスターは非常にレアな動物のため、残念ながら私たちが身近で姿を目にする機会はありません。

◆分布

クロハラハムスターは別名を「ヨーロッパハムスター」といいます。その名の通り原産地はヨーロッパで、ロシア、ルーマニアからベルギーにかけての広範囲に野生種が分布しています。

主に農地や草地、庭などに生息し、ほかの品種のハムスターと同様に地下に巣穴を作って生活しています。

ちなみに、クロハラハムスターの学名は“Cricetus cricetus”で、このcricetusは「ハムスター」そのものを指します。ゴールデンハムスターがペットとして普及してからは、ハムスターという名称が使われるようになりました。
それまではハムスターといえば、ヨーロッパに広く分布するクロハラハムスターを指していたようです。

◆見た目の特徴

クロハラハムスターの特徴はお腹の被毛が黒いところ、ハムスターの中で最も体が大きいところです。

クロハラハムスターの漢字表記は「黒腹倉鼠」です。「倉鼠」はハムスターのことで、まさに名前は「お腹の黒いハムスター」を表しています。
体は「黒腹」と名が付くように、胸からお腹にかけて真っ黒な被毛で覆われ、背中から顔にかけての被毛は栗色、頬や脇腹には白い模様が入っています。

毛色はそのほか、全身が白い「ホワイト」やまだら模様の入る「パイド」もありますが、ほかのハムスターと比べバリエーションは多くありません。

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そして、体長は20~30cm、体重は300g~700g、尾の長さは約5cm、これはモルモットと同じくらいの大きさです。
体の大きいゴールデンハムスターでも体長は20cm、体重は200gくらいなので、私たちが目にするハムスターとは雰囲気の違うことがうかがえます。

また、前脚でものが持てる、後ろ脚だけで立てる、といった特徴もあります。顔だけ見るとゴールデンハムスターのようですが、二本足で立つと真っ黒いお腹がよく目立ち、個性的なハムスターという印象を受けます。

◆性格

クロハラハムスターは、非常に気が荒く好戦的なことでも有名です。ハムスターらしからぬ凶暴な一面を見たときには、皆さんもギャップの大きさに驚くことでしょう。
二本足で立って相手を威嚇する姿は、まさに武闘家のファイティングポーズそのもの。ほかの生き物が近づいただけで立ち上がり、自ら相手に飛びかかっていきます。力も強く、噛まれると流血するほどの傷を負うこともあるそうです。

ただ、クロハラハムスターはほかのハムスターと同様に神経質で臆病な動物です。むしろ臆病すぎるゆえ、自分の身を守るため大きな生き物にも必死で立ち向かうのだといわれています。

◆寿命

クロハラハムスターの寿命は4~8年とされます。野生種は天敵に捕食されやすいため、そこまで長くは生きられないようです。ただ、通常のハムスターは寿命が2~3年なので、ハムスターとしてはかなり長生きすることは確かです。


クロハラハムスターはペットとして飼える?

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レアで野性味あふれるクロハラハムスターは、マニアが「一度は飼ってみたい」と注目する小動物でもあります。

ペットショップでは売っていないようですが、家庭でペットとして飼育することは可能なのでしょうか。

◆基本的な飼育法は通常のハムスターと同じ

クロハラハムスターは、野生種がヨーロッパに生息していますが、ペット用、動物実験用の個体が入手できれば、ほかのハムスターと同様に家庭で飼育することができます。

基本的な飼育法もほかのハムスターと同じです。ケージの中に巣箱や床材を入れてその中で飼育するのですが、体が大きく力が強いため、一般的なハムスター用のケージは破壊して脱走する可能性があります。頑丈で自由に運動できるよう、大きなものを用意しなければなりません。

◆慣れるがなつかない

クロハラハムスターはペット用として販売されている個体でも野生種に近く、警戒心や攻撃性が強く残っています。

そのため、飼育下に置かれても最後まで人になつかないことが多い、といわれています。厳密には「人に慣らすことはできるが、ほとんどなつかない」というのが現状のようです。縄張り意識が強く、クロハラハムスター同士で激しくやり合うので、絶対に複数飼いもできません。

クロハラハムスターとペットショップで販売されている一般的な品種(ゴールデン、ジャンガリアンなど)とは、なつきやすさが全く異なります。

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そもそもハムスターは、どの品種も警戒心と縄張り意識が強いのですが、ゴールデンハムスターをはじめとする数種類の品種は、長年かけて品種改良を繰り返すことで人なつっこい性格が固定されています。

一方、クロハラハムスターは飼育下に置かれるようになってからの歴史が浅く、品種改良があまり行われていません。そのためほかのハムスターよりも野性味が強く、人に対してもなかなか警戒心が解けないのです。
ただし、知能は高いので飼い主さんのことは覚えます。お世話を続けるうちに慣れて、名前を呼ぶと近寄ってくるくらいはできるようです。

通常のハムスターのように撫でたり抱っこしたりする触れ合いは無縁になるかもしれません。どちらかというと、クロハラハムスターは観賞用の小動物であり、野趣あふれる魅力を観察して楽しむのが適切な飼い方になるようです。

◆現在は飼えない

残念ながら、現在はクロハラハムスターそのものがペットショップで販売されていないため、国内での飼育はほぼ不可能となっています。

1997年頃のハムスターブームが起こったときには、国内のペットショップで販売され始め、クロハラハムスターの人気が高まりました。希少な品種のため、価格も数万円と通常のハムスターに比べて破格の値段が付くこともあったようです。

ただし、凶暴で人になつかないクロハラハムスターは家庭での飼育が難しいため、ペットとして普及することはありませんでした。
さらに原産地からの輸入が禁止され、2020年には絶滅危惧種に指定されたため、国内で入手することは実質不可能となりました。こうして国内でのクロハラハムスター人気は、一時のブームとして過ぎ去っていったのです。


動物園などで見ることはできる?

クロハラハムスターは、国内のペットショップで入手することができなくなりましたが、せめて実際に動いている姿だけでも見てみたいですよね。動物園などでクロハラハムスターを見ることはできるのでしょうか。

◆動物園等にもいない

残念ながら、国内の動物園でクロハラハムスターを見ることはできないようです。現在、国内でクロハラハムスターを探すことは困難な状況になっています。
ですが、過去の記録にはなりますが、クロハラハムスターの姿はSNSや動画ならいつでも見ることができます。

また、どうしても本物のクロハラハムスターが見たいという場合は、海外に足を運び、クロハラハムスターの繁殖に力を入れている動物園に行く、原産地のヨーロッパで野生種をウォッチする、という手段もあります。壮大なプランにはなりますが、運が良ければ希少なクロハラハムスターの姿がバッチリ見られるかもしれません。

◆絶滅危惧種としてレッドリスト入りも

クロハラハムスターが絶滅危惧種に指定されたことについても、少し触れておきたいと思います。

クロハラハムスターがレッドリスト入りしたのは、現地で農地を荒らす害獣として駆除されたり毛皮目的で乱獲されたりしたことなどが原因で、生息数が急激に減少したためです。

事態を放置していれば、永久にペットとして飼育できなくなることはもちろん、野生種の姿すら見られなくなるおそれが高い状態が続いています。

ただし、事態を重く見たドイツは国を挙げてプロジェクトを起ち上げ、ボランティアによるクロハラハムスターの保護活動も開始しています。

このような保護活動が功を奏し、クロハラハムスターの生息数が十分に復活すれば、将来的にはクロハラハムスターをペットに迎えることが可能になるのかもしれません。


まとめ

まとめイラスト

クロハラハムスターはその名の通りお腹が黒い、キュートで個性的なハムスターです。

一瞬ペットブームを起こしましたが普及せず、今ではなつかしのペットとなってしまいました。ペットとして定着しなかった理由は、性格が凶暴でなつきにくいこともありますが、絶滅の危機に瀕していることが挙げられます。

まずは、クロハラハムスターが絶滅の危機から脱することを祈るばかりです。またいつかは、動物園やペットショップでクロハラハムスターの姿が見られるのかもしれませんね。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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