1.うさぎもマーキングをしている
1-1.においはコミュニケーションツール
1-2.うさぎの臭腺とは
1-3.マーキング行為①スプレー行為
1-4.マーキング行為②フンに臭い付け
1-5.マーキング行為③チンニング
2.マーキング行為はいつから始まる?
2-1.マーキングと男性ホルモンの関係
2-2.メスもマーキングをする
3.マーキング行為で困った時の正しく対処法は?
3-1.スプレー行為の対処法①臭いを残さない
3-2.スプレー行為の対処法②去勢・避妊手術の検討
3-3.スプレー行為の対処法③ケージ外に出す時のスペースを考える
3-4.スプレー行為の対処法④スプレー行為をしても困らない環境づくり
うさぎもマーキングをしている
マーキング(marking)とは目印を付けること。一般には、動物が自分の存在を周囲に知らせるため、自分のにおいを物に付ける行為を指します。
マーキングは動物の本能であり、うさぎが生き抜くために欠かせない習性です。「飼われているうさぎにマーキングは必要ないのでは?」と思う方がいるかもしれませんが、うさぎはにおいを情報源にしておりマーキング行為には重要な役割があるのです。
◆においはコミュニケーションツール
においは、天敵の存在を察知したり食べ物を見つけたりするための重要な情報源になっています。
うさぎの顔を観察すると、よく鼻をひくひく動かしていますよね。うさぎは嗅覚が発達しており、常に鼻を動かして周囲のにおいから情報を収集しているのです。
また、野生のうさぎは群れで暮らす習性を持っており、一緒に暮らす仲間同士がお互いの存在を知らせるため、においをコミュニケーションツールとして使っています。
うさぎは、自分のにおいを残すことで「僕はここにいるよ。」と仲間に存在を知らせ、同時にマーキングした場所が自分の縄張りであることをアピールしているのです。
◆うさぎの臭腺とは
うさぎはマーキングをする時「臭腺」と呼ばれる器官から、特有のにおいを持つ分泌物を出します。うさぎの臭腺は次の3つです。
下顎腺(かがくせん):あごの下にある
肛門腺(こうもんせん):肛門のすぐ近くにある
鼠径腺(そけいせん):肛門の両脇にある
そして「スプレー」「チンニング」などのマーキング行為によって、日常的ににおいを周りの物に付けているのです。
清潔にしているうさぎは体臭がありません。もし、うさぎの体がにおうとしたら、それは臭腺から分泌物を出していることが考えられます。
◆マーキング行為①スプレー行為
マーキング行為のひとつ「スプレー」は、うさぎのオスが飛び回りながらおしっこをまき散らす行為です。
うさぎはトイレで排泄する習性があり、普段はちゃんとトイレでおしっこをします。
ただし、うさぎのオスは自分の縄張りを主張したい時や興奮した時、発情期などに、トイレ以外の場所でわざとおしっこを飛ばすことがあるのです。
スプレーの仕方はうさぎによっても異なり、ピシャーッと広範囲におしっこを振りまく子もいれば、少量のおしっこを飛ばすだけの子もいます。中には嬉しい時に興奮して「うれション」をしてしまう子もいますし、スプレーをしない子もいます。
◆マーキング行為②フンに臭い付け
うさぎはトイレでもフンをしますが、トイレ以外のあちこちでもポロポロとフンを出します。
自分の行動範囲にフンをばらまくことでにおいを付け、そこが自分の縄張りであることをアピールしているのです。
うさぎのフン(柔らかい盲腸糞ではなく乾燥した硬い糞)そのものは、ほとんど臭くありません。ただし、マーキングをするためにばらまくフンには肛門腺から分泌されたにおいが付いているため、特有のにおいがします。
◆マーキング行為③チンニング
うさぎのマーキングで普段よく目にするのが、あごをこすりつける「チンニング」です。
うさぎは、あごの下にある下顎腺からにおいのする液を出し、自分のにおいが付いていない物を見つけては、あごスリスリしてにおいを付けます。「これは僕のものだからね。」と印を付けている感じなのでしょう。
チンニングは、自分の食器やおもちゃ、家具などに「物」に対してすることが多いですが、集団で暮らすうさぎはほかのうさぎの頭にあごをすりつけ、自分のほうが優位であることをアピールすることもあります。
中には、飼い主さんにあごをスリスリする子もいますが、これは愛情表現の1つということもあるようですね。
下顎腺から出る分泌物は、かいでみても人にはほぼ無臭であり、うさぎがチンニングをした場所がにおうこともありません。ですが、うさぎのあごの下を見てみると被毛がべたついて固まっているため、そこから分泌物が出ていることがよく分かります。
マーキング行為はいつから始まる?
うさぎが子どもの頃はまだマーキングをしません。マーキングはうさぎが思春期を迎える生後5か月頃からみられるようになります。
◆マーキングと男性ホルモンの関係
マーキングは、男性ホルモンのはたらきによってみられる本能的な行動です。
そのため、男性ホルモンの分泌が活発になる思春期からマーキングが始まるようになります。
また、男性ホルモンには縄張り意識を強める作用があるため、メスよりもオスのほうが縄張り意識が強くなり、オスにマーキング行為が頻繁にみられます。
うさぎさんによっては、マーキングが始まると同時に急に攻撃的になり、マウンティングしたり噛みついたりすることがあるでしょう。これも男性ホルモンの影響による行動と考えられます。
◆メスもマーキングをする
マーキングの仕方には個体差もありますが、オスだけでなくメスもマーキングします。
縄張り意識はメスよりオスのほうが強いのですが、メスも縄張り意識からマーキングをします。また、メスの場合はにおいでオスを誘引するため、肛門腺から分泌されたにおいの付いたフンをしたり、おしっこを振りまいたりすることもあります。
マーキング行為で困った時の正しく対処法は?
マーキングはうさぎの習性であり、ごく自然にみられる行為なので、チンニングや糞のばらまきは大目に見てあげましょう。
ただ、うさぎがスプレー行為をすると部屋が汚れてしまうのでこれは困りものです。おうちのうさぎさんが頻繁にスプレー行為をする場合、飼い主さんはどのような対処を取れば良いのでしょう。
◆スプレー行為の対処法①臭いを残さない
うさぎがトイレ以外の場所でスプレー行為をした時には、素早く清掃してにおいをしっかり消しましょう。
おしっこが残っていると、アンモニア臭がしみついて部屋の悪臭の原因になります。また、においが残っていると、うさぎはそこがトイレにして良い場所だと認識して排泄をするようになってしまいます。
もし、汚されると困る場所におしっこをされた場合は、しっかり拭き取ったうえで消臭スプレーなどを使い、においを消しておきましょう。
ただし、完全に消臭してしまうとうさぎが不安になって、逆ににおい付けが激しくなる可能性もあります。掃除をし過ぎるとうさぎがストレスを感じるので、マーキングが許容できる最低限のスペースだけは、ある程度のにおいを残してあげても良いでしょう。
◆スプレー行為の対処法②去勢・避妊手術の検討
去勢・避妊手術は、望まない繁殖を阻止する目的、精巣や子宮・卵巣の病気を予防する目的で行われますが、うさぎのスプレー行為を抑える効果も期待できます。
オスは、男性ホルモンを分泌する精巣を取り除くことで縄張り意識が弱まり、スプレー行為をしたい欲求が抑えられます。また、メスは子宮と卵巣を取り除くことで、発情や偽妊娠によるマーキングをなくす効果が期待できます。
スプレー行為が多い子はホルモンの影響で気性が激しく、マウンティングや威嚇など問題行動を伴うことが多いようです。そのようなうさぎが去勢・避妊手術を受けると性格が穏やかになり、これらの行動が解消される可能性があります。
しかし、カラダの小さなうさぎにとって、麻酔を打っての手術はかなりの負担になります。メリットだけでなくリスクもありますので、動物病院に一度相談されると良いでしょう。
◆スプレー行為の対処法③ケージ外に出す時のスペースを考える
うさぎをケージ外に出す時は、限られたスペースのみで過ごさせるようにしましょう。
行動範囲を広げすぎると、うさぎのマーキング行為を助長させてしまう可能性があるためです。
うさぎには縄張りをどんどん広げたい欲求があります。そのため、まだ自分のにおいが付いていない場所に来ると、そこを自分の縄張りにしたくてマーキング行為がひどくなってしまうことがあります。
部屋んぽをさせる時は、部屋に放しっぱなしにするのではなく、サークル内などの部屋の一角だけで遊ばせるのがおすすめです。
◆スプレー行為の対処法④スプレー行為をしても困らない環境づくり
うさぎのスプレー行為で人間が一番困るのは掃除です。洗えない布製品やおしっこがしみこむ畳などは、スプレーをされると厄介ですよね。
そこで、うさぎのスプレー行為が心配なご家庭では、あらかじめ汚れても困らない環境を用意しておくことをおすすめします。
うさぎが過ごすスペースには洗えるラグや防水性のあるシートを敷いたり、アクリル板などで空間を仕切ったりして、万が一おしっこがかかってもさっと清掃できるようにしておくと安心でしょう。
本能的な行為なので無理やりやめさせられない
飼い主さんに注意していただきたいのは、うさぎがマーキングをしても、「決して叱ってはいけない」「しつけでマーキングをやめさせようとしてはいけない」ということです。
うさぎは本能的にマーキングをしているため、しつけはできませんし、なぜ叱られるのかも理解できません。
むしろ、叱り付けるとうさぎは嫌な気持ちだけが残って、飼い主さんとの信頼関係がゆらぐ可能性が出てきます。マーキングしないようケージに閉じ込めておくことも、ただストレスになるだけなのでやめましょう。
マーキングは若いうさぎに多く、シニア層になると落ち着いてきて自然としなくなっていきます。時期的なものもあるので、あまり神経質にならず、ある程度は見守ってあげるのが良いでしょう。
まとめ
人間にとってはちょっと厄介で、うさぎにとってはとても重要なマーキング行為について説明いたしました。
仔うさぎの頃は素直だったのに、思春期になると態度が変貌してマーキングを始める子も多いようです。飼い主さんは戸惑ってしまうかもしれませんが、それを問題行動と受け止めてはいけません。
まずは、うさぎの習性を理解することが大切です。マーキング行為は自然な現象なのだと受け入れたうえで、上手に共存していくことを心がけましょう。
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