うさぎの鼻がひくひくするのはなぜ?鼻を動かす時の気持ち、体調は?

2022.07.08

うさぎの鼻がひくひくするのはなぜ?鼻を動かす時の気持ち、体調は?

うさぎはよく鼻をひくひく動かしています。可愛らしい仕草ですが、どうして鼻をひくひくさせるのか理由が気になりますよね。鼻のひくひくは、実はうさぎにとってなくてはならない作業なのです。この記事ではうさぎが鼻をひくひく動かす理由、鼻の動きから分かることについて説明していきます。


うさぎが鼻をひくひくスンスンさせる理由

ネザーランドドワーフ

うさぎはよく鼻をひくひく、スンスンと動かします。表情は変えないまま、鼻先だけを上下にひくひく動かすところがかわいいですよね。
海外ではその動きを「鼻ウィンク」と呼ぶそうです。

鼻のひくひくは、うさぎの顔を間近で見ないと分からないような小さな動きですが、うさぎにとってはとても重要な意味を持つ動作でもあるのです。

◆鼻が動くのは情報を収集するため

うさぎが鼻をひくひくさせるのは、においを嗅ぎとろうとしているからです。

うさぎは嗅覚聴覚が発達していて、主に「におい」と「音」から周囲の情報をキャッチしています。特に嗅覚が優れていて、においを頼りに身の周りにあるものを敏感に察知しているのです。
うさぎは肉食動物に捕食される側にあるため、もし天敵が近くにいたらすぐに察知して逃げなければなりません。そのため、天敵の気配を敏感に察知できるように嗅覚や聴覚といった感覚器官が発達しているのです。

嗅覚というのは、空気中に含まれるにおいの成分を感知し、そのにおいの正体を判別する機能のことです。生物の鼻腔にはにおいの成分を感知する「嗅細胞」が分布していて、嗅細胞がキャッチした成分の情報が脳に送られることで、何のにおいかを判別することができています。

においを嗅いだ時、脳はそのにおいの成分は自分が感知したことがあるか、危険なにおいではないか、食べ物のにおいか…など、過去の記憶とも照らし合わせて、瞬時ににおいの正体を判別します。

うさぎはこの嗅覚が優れているうえ、嗅いだにおいと経験を関連づけて覚える学習能力が高いので、天敵、仲間、異性のフェロモン、食べ物など身の周りにあるものを器用に嗅ぎ分けることができるのです。

◆うさぎの嗅覚・聴覚・視覚はどれくらい?

うさぎの嗅覚・聴覚・視覚はどれくらいあるのでしょうか。

まず、視覚はあまり発達していません。うさぎの目は顔の側面に付いていて視野が約340度もあるので、一度に正面、顔の横側、後方を見ることができます。天敵がどの方向にいようと、姿が目に入った瞬間に逃走できるわけですね。
ただ、視力は0.1以下とかなり低いので、ものの形はぼんやりとしか見えません。その弱点を嗅覚聴覚で補っているので、うさぎは天敵から身を守ることができています。

そして、うさぎといえば長い耳がチャームポイントでもありますが、耳は周りの音を効率良く集めるために長くて面積が広く、左右前後に動かせるという特徴があります。
うさぎを見ていると、音のする方に片耳だけ傾けていることがありますよね。こうして音の聞こえるほうに耳をそばだてることで、わずかな音も集音して聞き取ることができるのです。うさぎの聴覚はヒトの約3倍あり、耳は約270度の範囲まで動かせます。遠くのかすかな音も拾えるので、私たちが気付かないようなかすかな物音にも反応して、警戒したり怖がったりもします。

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そして、うさぎの感覚機能のなかで最も発達しているのが嗅覚です。嗅覚はヒトの10倍、嗅覚細胞の数は犬が2億個あるのに対しうさぎは1億個とされ、嗅覚の鋭い犬に近い優れた嗅覚を持っています。ペットのうさぎは天敵に襲われる心配はありませんが、しょっちゅう鼻をひくひく動かして、一緒に暮らしている家族の判別をしたり、食べ物のにおいにいち早く気づいたり、知らないにおいに反応したりしながら過ごしているのです。

このように嗅覚はうさぎが生きるための武器になっているのですが、嗅覚の鋭いゆえのデメリットもあります。

それは、においに過敏なため、濃厚なにおいの漂う場所でストレスを感じてしまう点です。ペットのうさぎだと、お部屋のにおい、香水や芳香剤などの人工的な香りが刺激になる可能性があります。人間には心地良い香りでも、うさぎには強烈な異臭になってしまうかもしれません。うさぎのいるお宅では、香りの取り入れ方も十分に気を付けたいですね。

◆うさぎの鼻の構造

うさぎの鼻のひくひく、すんすんという動きは上唇の動きによって起こっています。

うさぎの顔を正面から見ると、鼻は上唇とつながって、アルファベットの「Y」のように見えます。「Y」の字の形をした鼻と「へ」の字に結んだ小さな口は、うさぎさんの可愛らしさのひとつでもありますよね。

うさぎの鼻が「Y」に見えるのは上唇が縦に割れているからで、その状態を「上唇裂」といいます。上唇は自由に開閉でき、上唇を動かすたびにつながっている鼻が動きます。鼻や唇の周りの筋肉が発達しているので、器用に鼻先だけをひくひくさせることができるのです。


うさぎの鼻を動かす早さから分かること

グレーのうさぎ

うさぎの鼻の動き方はいつも同じではありません。早い時もあれば遅い時もあり、うさぎの気持ちや健康のバロメーターにもなっています。鼻を動かす早さから、どのようなことが読み取れるのでしょうか。

◆うさぎは基本的に鼻呼吸

うさぎは基本的に鼻で呼吸をしています。呼吸に問題がない時は鼻の動かし方もおだやかですが、ストレスや体調不良によって呼吸が乱れると鼻の動かし方もいつもと変わってきます。

◆鼻のひくひくが早い時

鼻の動きが早い時は、一生懸命においを嗅ぎ取ろうとしている、または暑さや体調不良で呼吸が荒くなっていることが考えられます。

うさぎは、危険を察知した時や近くに食べ物がある時、知らないにおいに遭遇した時など、においに強い興味を示した時に鼻のひくひくが早くなります。情報収集に集中するために鼻を早く動かしているのです。

また、うさぎは汗をかくことができず、耳の表面にある毛細血管と呼吸でしか体温調節ができないので、暑くなると呼気と一緒に熱を逃すために鼻で呼吸する回数が増えます。
うさぎは暑さに弱く熱中症になりやすいので、鼻のひくひくが早い時は飼育環境の温度を下げるなどして、しっかり暑さ対策をしてあげることが必要となります。

もし、うさぎがぐったりして鼻の動きも早い時は注意が必要です。体調不良で呼吸が乱れていることが考えられます。

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◆鼻のひくひくが遅い時

鼻の動きが遅い時は、リラックスしている、寝ていることが多いです。情報収集をする必要がないので、鼻の動きもゆっくりになっています。

◆鼻の動きが止まる時はある?

うさぎの鼻は常に動いているわけではないようです。熟睡しているうさぎを見ると、動きが止まっていることもあります。情報収集することすら忘れて、気持ち良く眠っているのでしょう。

また「フレーメン反応」によって鼻の動きが止まることもあるようです。動物はにおいを嗅いだ時、口を開けて一瞬固まってしまうことがあります。この現象は「フレーメン反応」といい、クサいものを嗅いだ動物が思わず凍り付く動画も公開されています。

馬、犬や猫などがすることで知られますが、うさぎも何かのにおいを嗅がせるとフレーメン反応を起こすことがあるようです。ちなみにフレーメン反応は、においを嗅いだ時、そのにおいの情報を感じ取ろうとして反射的に起こる現象で「クサいために変顔になってしまうわけではない」ということです。


うさぎの鼻が開いている?!

うさぎの鼻が開いている、いつもよりも鼻の穴が広がって見える時は要注意。呼吸困難が起きているため、鼻を広げて少しでも多くの空気を取り込もうとしている可能性が考えられます。

うさぎの体は、心臓や肺がおさまっている胸腔というスペースが狭く、鼻でしか呼吸ができないため、呼吸器に問題が起きると呼吸困難が起こりやすくなります。

呼吸器の病気、感染症、腫瘍などが原因で呼吸困難が起こりやすいので、うさぎの鼻が開いていたらすぐ動物病院を受診する必要があります。


うさぎが鼻を使ってすること

グレーのうさぎアップ

うさぎの鼻はにおいを嗅ぐほか、コミュニケーションツールの役割も担っています。うさぎは声帯がなく、犬や猫のように鳴いて気持ちを伝えることができません。代わりに、鼻を鳴らして精いっぱい感情表現をします。これもうさぎならではの仕草といえるでしょう。

◆威嚇している時は「ブーブー」

うさぎは、低い音で「ブッブッ」「ブーブー」と鼻を鳴らすことがあります。これは、威嚇している時、不満を訴えている時にする仕草です。

うさぎの縄張りであるケージの中に手を入れた時、抱っこや爪切りなどうさぎの嫌がることをした時などにすることがあります。

怒っている時は、あわせてスタンピング(足ダン)をしたり、物を振り回したりして怒りをアピールすることもあるでしょう。鼻を鳴らして威嚇している時に手を出すと、うさぎによっては噛むこともあるので注意が必要。そっとしておいたほうが良さそうです。

◆甘えている時は「プウプウ」

うさぎは飼い主さんに甘えている時に、高めの音で「プウプウ」「プップッ」と鼻を鳴らします。大好きな飼い主さんに「一緒にいられて嬉しい」「ねえ遊んで」と伝えているのかもしれません。

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まとめ

ネザーランドドワーフ

うさぎの鼻がひくひく動く理由、うさぎの鼻の機能についてご説明しました。うさぎの鼻は優秀なセンサーです。ひくひく動かすことで、常に危険なものと安全なものを嗅ぎ分けているのですね。

また、鼻はうさぎの感情や健康状態を表すバロメーターにもなっています。「今まで、あまり鼻の動きを意識していなかった」という方も、ぜひ注意深く観察して、今うさぎがどんなことを感じているのか調子は良いのかチェックしてみてくださいね。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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