ハムスターとネズミは仲間?5つの違い&ネズミが好かれにくい理由

2022.12.12

ハムスターとネズミは仲間?5つの違い&ネズミが好かれにくい理由

ハムスターを観察している時に「ネズミと似ているな」「ハムスターとネズミは同じ生き物なのだろうか」と一度は感じたことがありませんか。ハムスターとネズミは人との関わり方が異なりますが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。この記事ではハムスターとネズミの違い、イメージや人との関わり方に差が生じる理由について説明していきます。

【目次】
1.ハムスターはネズミなの?
 1-1.ハムスターはネズミの仲間
 1-2.生態は異なる

2.ハムスターとネズミの違い5選
 2-1.ハムスターは丸っこく、ネズミは細長い
 2-2.ハムスターはしっぽが短く、ネズミは長い
 2-3.ハムスターは頬袋があり、ネズミはない
 2-4.ハムスターは様々なカラー、ネズミは暗く地味な色
 2-5.ハムスターは穏和で、ネズミが気が荒い

3.ネズミが嫌われがちな理由
 3-1.ハムスターと比べ可愛い生き物のイメージが薄い
 3-2.病気を媒介する不潔なイメージ
 3-3.経済的な被害をもたらす
 3-4.近年はファンシーラットなどペットとしての需要が高まる!

4.ハムスターとネズミは一緒に飼える?

5.まとめ


ハムスターはネズミなの?

ハムスター

ハムスターとネズミは見た目が似ているのに、ハムスターは人気者、かたやネズミは嫌われ者と、イメージには大きな違いがあります。

ハムスターとネズミは、なぜ扱われ方が違うのでしょう。ハムスターとネズミは同じ動物ではないのでしょうか。

◆ハムスターはネズミの仲間

生物の分類上では、「ネズミ」は、げっ歯目(ネズミ目)のネズミ亜目に属す動物全体を指しています。

ネズミ目には2,000種以上と非常に多くの動物が存在しており、ネズミ目に属するネズミ亜目には、さらに複数の科が属しています。その一種である「キヌゲネズミ科」の動物が「ハムスター」と呼ばれています。つまり、広い意味でとらえると「ハムスターはネズミの一種」ということになるのです。

しかしながら、多くの人がイメージするネズミは灰色で人の家にすみつく野生の小さな動物であり、ハムスターをネズミとは呼ぶこともありませんよね。

一般に私たちが「ネズミ」と呼んでいるのは、ネズミ亜目の一種「ネズミ科ネズミ亜科」の動物にあたります。このネズミ亜科には、身の周りに出没する野生のドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミが属しています。

つまり、私たちが普段ネズミと呼んでいる小動物は、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミなどの家ネズミ(ヒトの居住空間で活動する野生のネズミ)を指していることが多いのです。ただし、生物学上では、これらのネズミとハムスターは違う科に分類される別の動物ということになります。

ちなみに、リス、プレーリードッグ、カピバラなどもネズミ目の動物です。広義には彼らもネズミやハムスターの仲間ということになるのですね。

◆生態は異なる

生態については、ハムスターとネズミは仲間ということもあり、共通点も多くなっています。夜行性で雑食性であること、繁殖力が高いところ、見た目や鳴き声などは互いによく似ています。

しかし、原産地、習性などには違いもみられます。

たとえば、ネズミは世界中に分布し日本には20種類以上の野生のネズミが生息しています。一方、ハムスターの原産地は中近東からヨーロッパ、中国と範囲が限られており、日本には野生のハムスターは存在していません。私たちが日ごろ親しんでいるハムスターは、飼育することを目的に繁殖・販売されている「愛玩動物」です。

また、ネズミは群れで暮らしますが、ハムスターは群れを作らず単独で生きるという習性の違いもあります。


ハムスターとネズミの違い5選

ハムスターとネズミ

ハムスターとネズミは一見よく似ていますが、比べてみると様々な違いがあるのです。ハムスターとネズミはどのようなところで判別できるのか、5つの違いを紹介いたします。

◆ハムスターは丸っこく、ネズミは細長い

ハムスター、ネズミとも体形は胴長ですが、ハムスターのほうがずんぐりして丸っこく、ネズミのほうが細長い体形をしています。特に天井裏や壁の中で活動するクマネズミ、小型のハツカネズミはハムスターよりもスマートです。

◆ハムスターはしっぽが短く、ネズミは長い

ハムスターとネズミを見比べた時、多くの人がしっぽの長さが違うことに気付くことでしょう。ハムスターのしっぽはとても短くて丸く、ネズミのしっぽは細くて長い、という特徴があります。

ハムスターとネズミでしっぽの長さが違うのは、それぞれの習性としっぽの持つ役割が関係しています。

長いしっぽには空間のバランスをとる役割があるため、ネズミは運動神経が良くて高い所を昇り降りするのが上手です。ネズミは活発に動き回るので、長いしっぽが必要なのです。

一方、ハムスターは地中に巣穴を掘って過ごすので高い所へ登る必要がなく、しっぽは退化して短くなっています。もっちりしたお尻にしっぽがちょこんとついた「ハムけつ」はチャームポイントでもありますが、彼らはしっぽが短いためバランス感覚はあまり良くありません。高い所の昇り降り、特に降りることはあまり得意ではないのです。

ただし、例外的にハムスターの中にはしっぽが長い「チャイニーズハムスター」という品種がいます。チャイニーズハムスターはしっぽが長くて体型もすらっとしており、ネズミの風貌を思い出させます。

◆ハムスターは頬袋があり、ネズミはない

ハムスターの顔には頬袋がありますが、ネズミにはありません。これもハムスターとネズミの大きな違いといえるでしょう。

ハムスターとネズミは、共にエサを巣に持ち帰る「貯食」という習性を持っていますが、ハムスターは一度にエサを運ぶためエサを見つけると頬袋にどんどん詰め込んでしまいます。

このようにハムスターが合理的にエサを運ぼうとする行動には、ハムスターが生き延びるための知恵が隠されています。野生のハムスターの原産地は寒暖差が厳しく、体の小さなハムスターが生きるには過酷な環境です。また、巣穴と外を往復する回数が増えれば、天敵に捕食される確率が高くなります。安全にエサを確保するため頬袋が発達しているのです。

◆ハムスターは様々なカラー、ネズミは暗く地味な色

ハムスターには様々なカラーがありますが、ネズミの毛色は暗くて地味です。

灰色を「ねずみ色」と呼ぶように、ネズミの毛色といえば青みがかったグレーがよく知られますが、多くのネズミは灰色、茶褐色、黒といった暗い毛色をしています。このように毛色が地味なのは、そのほうが外敵に見つかりにくいからです。

一方、ハムスターは品種改良によって新しい毛色の品種が誕生し続けています。特にジャンガリアンハムスター、キャンベルハムスターはカラーバリエーションが豊富です。

ネズミの被毛は野生色なので地味で野趣にあふれていますが、ハムスターの被毛は人工的に作り出されたものが多いので美しいカラーが存在しているのです。

◆ハムスターは穏和で、ネズミが気が荒い

野生のネズミは臆病かつ攻撃的なものが多く、とても人と仲良くできる状態ではありません。人の気配を感じるとすぐ逃げ、捕獲した時には噛みついてきたりします。

一方、ハムスターは穏和でフレンドリーな個体が多く、野生のネズミのようにどう猛な個体はいません。

これは、ハムスターが飼育しやすいように品種改良されていることが関係しています。そもそもハムスターもネズミも臆病で警戒心が強く、人に慣れやすいタイプの動物ではありません。

ハムスターは野生の個体が発見されてから実験用、ペット用として流通されるようになった動物です。扱いやすくするために品種改良が繰り返されてきた結果、現在の穏和で人に慣れやすいハムスターが固定しているのです。(凶暴でペットに向いていないクロハラハムスターのような例外もいます。)


ネズミが嫌われがちな理由

ネズミ

ネズミはハムスターとよく似ているのに、あまり好かれません。なぜネズミは嫌われてしまうのでしょうか。

◆ハムスターと比べ可愛い生き物のイメージが薄い

小さくてまんまるでおっとりしたハムスターは「小さくて可愛い動物」として愛されています。一方、ネズミもなかなか可愛い外見をしていますが、あまり可愛い生き物として扱われることがありません。

可愛い生き物のイメージが薄い理由については以下が考えられます。

  • 不衛生なイメージがある
  • 毛の生えていない長いしっぽに不快感を持つ人が多い
  • 「ドブネズミ」という名前からしてネズミの印象が良くない

ネズミはこのように不快なイメージを持たれやすいため、あまり「可愛い」という目で見てもらえないのです。

◆病気を媒介する不潔なイメージ

野生のネズミは不衛生な環境を徘徊し、感染症の原因となる病原菌や寄生虫を媒介することから、不潔なイメージが持たれています。また実際に、人やペットに感染症や皮膚炎などの健康被害をもたらす害獣として、ネズミ駆除の対象にもなっています。

たとえば、家ネズミが徘徊する場所には床下、壁の裏、天井、そしてゴミ捨て場、下水道、台所や厨房などがあります。ネズミはこのように不衛生な場所を移動するので、目には見えないたくさんの病原菌を持ち運んでしまうのです。

一方、ハムスターは生まれた時から衛生的なケージの中で過ごしているため、ネズミのように不潔になることはありません。

◆経済的な被害をもたらす

野生のネズミは人の居住空間に侵入し、建物を破壊したり食害を起こしたりします。このように経済的な被害をもたらすため、害獣としても嫌われてしまうのです。

そもそもネズミやハムスターはげっ歯類に属していて、硬いものをかじる習性があります。そのため、徘徊するネズミは壁、家具、配線などをかじってボロボロにしてしまいます。

また、ネズミは雑食性で何でも食べるので、倉庫や厨房に保管してある食品をかじってダメにしてしまう食害ももたらします。糞尿の臭いはきつく、ネズミが出没する部屋に悪臭がしみつくことも少なくありません。

ネズミも生き抜くために必死なのですが、見つけたら害獣として駆除をしなければなりません。ケーブルをかじられて漏電や火災などの危険な事故が起きるケースもあるため、ねずみ駆除は仕方がないことなのです。

◆近年はファンシーラットなどペットとしての需要が高まる!

あまり良い印象のないネズミですが、一部のネズミは研究用、ペット用の動物として品種改良され、人の暮らしにも広く貢献しているのです。

たとえば、実験動物で知られるラットはドブネズミを、マウスはハツカネズミを飼育用に改良したものです。また、近年はドブネズミを品種改良した「ファンシーラット」が人なつこくて賢いということで、ペットとしての人気も高まっていますよね。

ネズミが苦手な方はネズミを飼うことに違和感を持つかもしれませんが、そもそも人々がネズミに親しむことはそう珍しいことではないのです。

たとえば、日本にハムスターが伝わる前の江戸時代には、ネズミをペットにすることが流行していました。また、ネズミは商売繁盛、子孫繁栄の象徴であり、縁起の良い動物としても親しまれてきました。ネズミは、害獣として敬遠されているだけではないのです。

*人気の高まるネズミの仲間

ハムスターとネズミは一緒に飼える?

ハムスターとネズミは種が近いですが、一緒に飼っても問題ないのでしょうか。

残念ながら、ハムスターとネズミは一緒に飼うことはできません。理由として、ハムスターが多頭飼いに適していないこと、ハムスターとネズミは種類が違うため縄張り争いをすることが考えられるからです。

ハムスターとネズミはどちらも縄張り意識が強いので、同じ空間で居合わせた場合は命をかけて激しいケンカをする可能性があります。また、ハムスターと野生のネズミが接触した場合には、ネズミの持つ病原菌や寄生虫がハムスターに感染する危険性も考えられます。

彼らが一緒に仲良く暮らすことはありませんし、人も噛まれるなどして感染症を引き起こすおそれがあります。仮に野生のネズミを見つけたとしても、捕まえてハムスターと一緒に飼おうとすることは避けてくださいね。


まとめ

ハムスターとネズミは同じ仲間で外見もよく似ていますが、生物学上では種類の異なる動物であることを紹介いたしました。

ハムスターはペット用に品種改良された愛玩動物、ネズミは野生動物という大きな違いもあります。人に害を与えるネズミは駆除の対象になります。しかし、ネズミの中にはラットやマウス、ファンシーラットのように人と共存できる種類もいます。

ネズミに興味を持たれ方は、ハムスターとの共通点や違いをじっくり比較してみてはいかがでしょうか。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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