1.アメリカモモンガの基本情報
1-1.特徴
1-2.生息地域
1-3.寿命
1-4.鳴き声
3.アメリカモモンガの飼育方法
3-1.飼育環境の整備
3-2.適切な温度管理
3-3.食事について
4.アメリカモモンガの飼育する際の注意点
4-1.ストレス管理と病気予防をする
4-2.運動不足の解消をする
4-3.定期的な健康チェックと爪切りをする
アメリカモモンガの基本情報
アメリカモモンガはげっ歯目リス科の小動物で、リスによく似た可愛らしい見た目をしています。
体長は22~27cm程度、平均体重は65gほどとアメリカモモンガはかなり小柄な動物と言えるでしょう。
また、アメリカモモンガは雑食性で、木の実などの他、小型の哺乳類や昆虫など動物性のものも食べることで知られています。
◆特徴
アメリカモモンガの最大の特徴は、前足と後ろ足の間に「飛膜」があることです。
アメリカモモンガはこの飛膜を使って、木と木の間を上手に滑空します。
鳥のように自由に空を飛ぶことはできませんが、高い木から飛び降りた時の空気の力を利用して滑空し、なんとそのスピードは秒速10〜15mというから驚きですよね。
長い時には一度の滑空で50m近く移動することもあるそうです。
このような特徴と見た目から、英語圏では「Flying squirrel (空飛ぶリス)」と呼ばれています。
◆生息地域
完全な夜行性で夜にしか活動しないアメリカモモンガですが、なかでも一生のほとんどを木の上で過ごすと言われており、森林地帯が大好きです。
カナダ南東部、アメリカ北東部、メキシコ、ホンジュラス周辺など幅広い地域の森林で生息が確認されています。
◆寿命
アメリカモモンガは野生の場合5〜6年が平均寿命と言われていますが、人間の飼育下では10年以上生きてくれます。
なかには野生の3倍の15歳まで生きた例もあるようです。
◆鳴き声
実は、アメリカモモンガは鳴くことができます。
小鳥がさえずるように「チュ」「キィ」「ピッ」という短く高い鳴き声が特徴です。
声色から気持ちを読み取り、不機嫌そうな時はそっとしておくといった工夫ができるでしょう。
アメリカモモンガの値段・迎え方
かつて、アメリカモモンガは日本国内にたくさん輸入され、ペットとして人気がありました。
しかし、2005年4月に静岡市の動物関連業者でアメリカモモンガを中心として「レプトスピラ症」という感染症の発症がみとめられたことで、事態は一変します。
レプトスピラ症は、動物だけでなく人も発症する 「人畜共通感染症」 ですが、適切な治療により完治可能です。
2005年9月から感染症の原因となりうる海外産のげっ歯類の輸入において、規制が強化されることとなりました。
それから今日まで、アメリカモモンガを国内に輸入することは困難となっています。
そのため、現在でもペットショップやブリーダーでのお迎えが主流ではあるものの、実際にアメリカモモンガを扱っているところはそう多くありません。
アメリカモモンガ1匹の値段は平均10~13万円と言われていますが、入手が難しいことから言い値になってしまう可能性もあるでしょう。
アメリカモモンガの飼育方法
ここからは、実際にアメリカモモンガをお家にお迎えする為に必要なことを解説していきます!
◆飼育環境の整備
まずは、アメリカモモンガにとって快適な飼育環境の整備が必要です。
以下の3点は基本の飼育セットなので必ず購入してくださいね。
- ケージ
- 止まり木やコーナーステージ
- 巣箱やポーチ
アメリカモモンガは活発で運動が大好きなので、中でも動き回れるように縦長で大きめのケージを用意しましょう。
ケージ内には複数の止まり木やコーナーステージを設置してください。
高低差をつけて配置すれば、モモンガの気分で食事場所を変更できるのでおすすめです。
また、アメリカモモンガの休憩所として、ケージ内には小動物用や小鳥用として販売されている巣箱やポーチを設置しましょう。
アメリカモモンガは中で排泄をして汚してしまうことが多いので、ローテーションして使えるようにいくつか用意しておくと良いでしょう。
ちなみに、ポーチは洗いやすくて重宝しますが、アメリカモモンガの中には布をかじったり、爪を引っかけたりしてしまう子がいます。
設置する際はお家のアメリカモモンガをよく観察し、安全に使えるか確認してくださいね。
◆適切な温度管理
アメリカモモンガは寒冷地に近い地域にも生息が確認されており、比較的寒さには強いですが暑さと湿気には弱い傾向があります。
そのため飼育する際は、年間を通して18〜23度で室温を保つ必要があります。
特に、日本の夏は高温多湿で、アメリカモモンガが熱中症になってしまう危険性が高いです。
快適に過ごせるようにエアコンでの温度調節を小まめに行いましょう。
◆食事について
先述の通り、アメリカモモンガは雑食性の小動物です。
栄養バランスを考えて、色んなものを与えることをおすすめします。
主食としてはアメリカモモンガ用のペレットが最適ではありますが、入手が難しい為、リス用のペレットで代用しましょう。
そしてペレットの栄養を補う副食として、果物や野菜、穀物類、動物性タンパク質を与えてください。
アメリカモモンガに与えて良い果物としてはバナナ、リンゴ、オレンジなど、野菜としてはコマツナ、キャベツ、ニンジン、カブ葉などが挙げられます。
動物性たんぱく質としては、ミルワームやコオロギなどの昆虫のほか、ゆでたまごも与えることができますよ。
アメリカモモンガは一般的に、一晩で5〜10gの餌を食べると言われています。
ペレットなどの固形フードの場合、大さじ1〜2杯で十分な量ですので、与え過ぎには注意しましょう。
餌は毎晩新しいものと交換して、常に新鮮なものを与えてくださいね。
アメリカモモンガの飼育する際の注意点
アメリカモモンガには更に、飼育する上で気をつけなければならないことがあります。
ここでは代表的な注意点を3つ解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね!
◆ストレス管理と病気予防をする
アメリカモモンガは非常に警戒心が強く、神経質な小動物です。
特にお迎えした直後は環境の変化により神経過敏になっているので、しばらくそっとしておくことが大切です。
直射日光の当たらない静かな場所にケージを設置して、アメリカモモンガにストレスを与えないように配慮しましょう。
また、アメリカモモンガは下痢や風邪の症状、脱毛などの皮膚トラブルを引き起こす可能性がある動物です。
快適な生活環境を用意して病気を予防するのはもちろんのこと、万が一のために動物病院を探しておくことが重要です。
アメリカモモンガは犬や猫のように一般的なペットではないため、通院できる動物病院はそう多くありません。
近所でエキゾチックアニマルの治療ができる動物病院を探し出し、アメリカモモンガも受診可能か事前に確認しておきましょう。
◆運動不足の解消をする
アメリカモモンガは運動が大好きなので、運動不足になると肥満になったりストレスを溜め込んだりしてしまいます。
ケージの中での運動には限りがありますので、時々外に出して部屋の中を自由に動き回らせる「部屋んぽ(お部屋+さんぽ)」を行いましょう。
部屋んぽを行う際は、以下の5点に注意してください。
- 窓やドアの施錠をする
- エアコンの吹き出し口に近づけないようにする
- 齧られないように電源コードを隠す
- 洗濯機や水槽などは蓋を閉める
- 他のペットと接触させない
アメリカモモンガはとても小さいので、お部屋の狭い隙間に入り込むこともあります。
部屋んぽをする際はアメリカモモンガから目を離さないようにしましょう。
リスクを回避する方法として、お部屋に蚊帳を用意して、アメリカモモンガを蚊帳の中で遊ばせる「蚊帳んぽ」をする飼い主さんもいるようです。
また、アメリカモモンガは決まった場所で排泄する習性がありません。
部屋んぽの度にお掃除はちょっと…という飼い主さんには、「お風呂場」をおすすめします。
お風呂場なら排泄物も簡単に洗い流すことができますし、誤飲の原因となる石鹸などを隠して排水口や換気扇をふさげば安全な空間になります。
ただし、水滴があると危険なので、お風呂場の乾燥が完了している時のみの利用としてくださいね。
◆定期的な健康チェックと爪切りをする
アメリカモモンガは自分で体調不良を訴えることはできません。
はっきりとした病状が出るころには、すでに手遅れという場合もあります。
飼い主さんは日頃から以下のようなアメリカモモンガの健康チェックを行ったり、定期的に健康診断を受けさせたりして、病気の早期発見・治療ができるように努めましょう。
【アメリカモモンガの健康チェック】
- 食欲はあるか、飲水量に変化はないか
- フンや尿の色、量に変化はないか
- 皮膚のかぶれや脱毛はないか
- 目ヤニや鼻水は出ていないか
- ふらついたり、変な行動をしたりしていないか
アメリカモモンガに何かいつもと違う様子が見られたら、自己判断せず、すぐに動物病院へ連れて行ってくださいね。
また、アメリカモモンガの爪のチェックも大切です。
爪が伸びたまま放置していると、ポーチや飼い主さんの洋服などに引っかけて、アメリカモモンガが怪我をしてしまう恐れがあります。
先端が丸くなっている小動物用の爪切りを用意して、定期的に爪を切ってあげるようにしてください。
アメリカモモンガの爪を透かすと、ピンク色の血管が見えるはずです。
血管を切ってしまわないように細心の注意を払いながら、爪の先端のみを素早く切りましょう。
ちなみに、ケージ内に爪研ぎバーなどを設置するのも有効ですよ。
アメリカモモンガを懐かせる方法
残念なことにアメリカモモンガは野生味が強く、人に懐きにくい小動物です。
しかし、一般的には、アメリカモモンガを幼い頃から飼えば人がいる環境が当たり前になり、飼い主さんの匂いを覚えてくれると言われています。
もちろん例外はありますが、幼い頃とはどれくらいでしょうか?
生後8週を過ぎてしまうと成長しすぎ、また、生後6週よりも小さいと赤ちゃんモモンガ専用の調合乳が必要になり、デリケートでお世話が難しいため、初心者には不向きとされています。
そのため、「生後6〜8週」のアメリカモモンガをお迎えすれば飼い主さんに懐く可能性がグッと高まるでしょう。
アメリカモモンガとフクロモモンガの違い
「アメリカモモンガ」と「フクロモモンガ」は、どちらの名前にもモモンガとつきますが実は全く違う動物だと知っていましたか?
最後に、両者の違いについて解説します
◆特徴や性格の比較
ペットショップなどでよく見かけるモモンガは「フクロモモンガ」です。
見た目は似ていますが、フクロモモンガは有袋類で、なんとあのカンガルーの仲間なのです。
フクロモモンガの大きな特徴は臭腺を持っており、独特の匂いがすることです。
特にオスは大人になるにつれてその匂いを強く放つようになります。
また、フクロモモンガは可愛い見た目に反して糞尿の匂いが強いため、お部屋には脱臭効果のある空気清浄機や天然素材の消臭グッズが欠かせないでしょう。
フクロモモンガは野生下で集団生活をしていることもあり、人に慣れやすいと言われています。
有袋類の習性から、飼い主さんの洋服のポケットや、ウエストポーチの中に入ってリラックスする事もあるようです。
対して、アメリカモモンガには臭腺がなく、糞尿の匂いもあまりしないため「ペットの匂い問題」とは無縁と言って良いでしょう。
その一方、もともと単独性のアメリカモモンガは小動物のなかでも警戒心が特に強く、人に慣れるのは難しいとされています。
◆飼育方法の違い
分類上全く違う動物ではあるものの、アメリカモモンガとフクロモモンガに必要な飼育セットや餌、飼育上の注意点は基本的に同じです。
異なる点としては以下の2点くらいでしょう。
①一緒に飼育する数
繰り返しになりますが、アメリカモモンガは単独性の動物です。
フクロモモンガのように複数飼育をすることも可能ではありますが、ストレスが溜まったり、喧嘩をして怪我をしてしまうリスクがあるので1匹のみでの飼育をおすすめします。
1匹で飼う事で、飼い主さんに懐きやすいというメリットもありますよ。
②歯のお手入れの有無
有袋類のフクロモモンガには必要ありませんが、げっ歯類のアメリカモモンガには歯のお手入れが欠かせません。
げっ歯類の動物は歯が一生伸び続けるという特性を持っています。
歯が伸びすぎると餌が食べられなくなるなど、日常生活に支障が出てきてしまうので、定期的に動物病院へ連れて行って「歯切り」をしてもらいましょう。
また、アメリカモモンガが齧ることで歯が削れるようなおもちゃをケージの中に設置するのも良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか。この記事ではアメリカモモンガについて徹底解説しました。
現状、日本では入手困難になっているアメリカモモンガは「空飛ぶリス」の異名通り滑空が得意で魅力的な小動物です。
フクロモモンガと比較すると野生味が強いですが、取り扱いのあるペットショップやブリーダーを見つけてなるべく幼い頃から飼育すれば、人間に懐く可能性も十分にありますよ。
ぜひ、この記事を参考にしてお家にお迎えしてみてはいかがでしょうか?
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