うさぎのしっぽとは
うさぎのしっぽは短くて小さく、犬や猫などしっぽの長い動物に比べるとあまり目立ちません。そのため、うさぎもしっぽをよく振ることはあまり知られていないようです。
実は、うさぎのしっぽには重要な役割があり、うさぎは日頃からしっぽをよく動かしているのです。
うさぎのしっぽふる動きは素早く、プルプルッと小さく横に振ったり、ブルンブルン!と高速で上下に振ったりと、さまざまなバリエーションがあります。
うさぎはなぜしっぽを振るのか、しっぽの役割、うさぎがしっぽを振る意味について見ていきましょう。
うさぎは、しっぽをコミュニケーションや感情表現に利用しています。
さまざまな動物がしっぽを持っていて、それぞれの動物によってしっぽの役割は異なります。長いしっぽを持つ動物は、空間でバランスを取る、物をつかむ、感情を表現する、といった目的でしっぽを動かすことが多いです。
一方、動物によってはしっぽが退化して短くなっています。うさぎもしっぽは短く、しっぽでバランスを取ったり物をつかんだりすることはありません。
うさぎの場合、トイレで排泄する時にしっぽをピッと上げるほか、上下、左右に素早く振ることができます。
また、しっぽの表側は体の被毛と同じ色になっていますが、裏側は真っ白くてふわふわした毛が生えてるので、しっぽを上げた時には白い部分が遠くからでもはっきりと認識できるようになります。
ですから、しっぽを上げたり左右に振ったりすることで、うさぎはしっぽに視線を集めることができます。つまり、うさぎのしっぽは、仲間にメッセージを伝えるためのコミュニケーションツールの役割を持っているのですね。
うさぎのしっぽについて、構造や特徴に注目してみましょう。
うさぎのしっぽは丸みがあってふわふわふわしています。形は丸いと思われがちですが、まんまるい形ではなく、やや先がとがった小判型になっています。その形は、イチゴ、スプーンの先、植物の穂に似ていますね。
そして、しっぽの中心には「尾椎(びつい)」と呼ばれる骨が通り、その周りを筋肉と皮膚、被毛が覆った構造になっています。
しっぽの見た目は、お尻に小さな毛玉をくっつけたような感じですが、実はしっかりと骨が通ったパーツになっているのですね。
尾椎は、背中を通る1本の太い骨「椎骨」の先端にあたる部位です。お尻からしっぽが生えているのではなく、しっぽはうさぎの背骨とつながった構造になっているのです。
ちなみに、尾椎はブロック状の15~18個の小さな骨が連なった状態で構成されていますが、うさぎのしっぽは比較的もろい状態になっています。とてもデリケートな部位なので、つかんだり引っ張ったりするのは絶対にやめましょう。
うさぎがしっぽふる理由
うさぎは感情やメッセージを知らせたい時にしっぽを振るのですが、状況によって理由は異なります。
うさぎはコミュニケーションの手段としてしっぽを振ることが多いです。
うさぎを飼っている方ならご存じのとおり、うさぎは声帯がなく、鳴き声をあげてコミュニケーションを取ることができません。
また、うさぎは本来、群れをなして仲間と集団生活をする動物です。社会性が発達していて、ペットのうさぎも飼い主さんと積極的にコミュニケーションを取ろうとします。
うさぎが仲間に感情を伝える方法としては、スタンピング(足ダン)をしたり鼻をブウブウ慣らしたりすることがおなじみですが、うさぎはしっぽも使うのです。
たとえば、うさぎは、仲間に危険を知らせたい時、オスが発情した時にメスに対してしっぽを振ってアピールをします。
うさぎがブンブンとしっぽを振る場合は、喜び、または不安を感じている時など、気持ちに連動してしっぽが反応していることが多いでしょう。
個体差もありますが、ペットのうさぎでは、喜んでいる時、楽しい時など、興奮した時にしっぽを振る子がしばしばみられます。
うさぎがしっぽをピンと上げてぶるぶると震わせている時は、怒っている、警戒していることが考えられます。
うさぎのしっぽは、上げると遠くまで白い毛がよく見えるようになります。うさぎは、仲間に危険を知らせたり、怒って威嚇していることを外敵(相手)に知らせたりするために、しっぽをピンと立てて振ります。つまり、危険を回避するためしっぽでサインを送っているのです。
うさぎは好奇心が旺盛で、遊ぶこと、楽しいことをするのが大好きです。また、感情が豊か動物なので、何かに興味を持ってワクワクしている時、楽しい遊びをしている時には、しっぽに感情が表れてフリフリ動いてしまうことがあります。
ただし、感情の表れ方には個体差があるので、しょっちゅうしっぽを振る子もいれば、めったにしっぽを動かさない子もいます。どちらかというと、ネザーランドワーフのように好奇心旺盛といわれる品種、若いうさぎや感受性豊かなうさぎは、遊んでいる時にしっぽを振る傾向がみられるでしょう。
もちろん、しっぽが動かないからといって、そのうさぎが楽しんでいないとは限りません。しっぽだけではなく、足や耳の動き、表情、ほかの仕草にも広く目を向けて、今うさぎがどんな気持ちになっているのか探ってみましょう。
しっぽを振る時のその他の行動
うさぎがしっぽふる時にどんな気持ちになっているのかは、その時に取っている行動によって判断することもできます。
うさぎがしっぽを振る時、ほかにどのような行動がみられるのでしょうか。
うさぎがしっぽを振って足も踏み鳴らしていたら、警戒している、怒っている可能性が考えられます。
うさぎは、後ろ脚を強く地面にたたきつけて「ダン!ダン!」と大きな音を鳴らすことで、怒っていることを伝えたり、仲間に危険を知らせたりする習性があります。いわゆるスタンピング(足ダン)です。
ペットのうさぎは外敵に狙われる危険性が低く、リラックスして過ごしていることが多いので、しっぽを振りながらスタンピングすることはそう多くはないでしょう。
ただし、大きな物音に驚いた時、不快なことをされた時などは、興奮してスタンピングを始めることがあります。
うさぎが耳をピンと立ててしっぽを振っている時は、何かの気配を察知して警戒していることが考えられます。
うさぎは聴覚が発達しており、人には聞こえないくらいかすかな音も大きな耳で収集することができます。そして、うさぎは聴覚で周りの気配を察知し、危険から身を守っています。
そのため、何かの音に気付くと、二本足で立ってその方向に向けて耳をそばだて、音から情報を察知しようとします。
また、うさぎがその音に警戒している時は、連動するようにしっぽもピンと立って震えたり揺れたすることがあります。
もし、おうちのうさぎさんがどこかに向けて耳をピンと立てたりピクピクさせたりしながら、しっぽを振って白い毛を見せていたら「何か危険な気配がするよ」と知らせてくれているのかもしれませんね。
うさぎが何かの作業に夢中になっている時、しっぽを観察すると小刻みに揺れていることがあります。これは、目の前にある物や今おこなっている作業に集中している証拠といえます。
たとえば、へやんぽ中に見つけた物のにおいを嗅いでみたり床を前足で掘ったり、おもちゃで遊んでいる時など、しっぽが軽快にフリフリッと動く様子が見られるでしょう。
個体によっては、ジャンプしてしっぽを振る、走りながらしっぽを振る子もいます。この場合、遊ぶのが楽しくてかなりテンションが高まっていることが考えられます。
また、飼い主さんの足やぬいぐるみなどにマウンティングしながらしっぽを上下にブンブン振る場合は、発情していることが考えられます。また、男の子だけではなく女の子にこの仕草がみられることもあります。
うさぎのしっぽを振る行動への対処法
うさぎがしっぽを振っている時、私たち人間はどう受け止めてあげればよいのでしょう。
まず、うさぎの楽しそうにしているなら、しっぽふることは問題ありません。
うさぎがしっぽふるのは本能によるものです。無意識にしっぽが動いているので、飼い主さんが気になったとしても、注意したりしつけたりしてやめさせる必要はありません。基本的にはそのまま見守っておくのがよいでしょう。
ただ、うさぎがしっぽを振っている時にひどく興奮している場合は、うさぎにストレスがかかってしまうことも考えられます。そのような場合は、飼い主さんが少し手助けをして、しっぽを振るのをやめさせてもよいでしょう。
うさぎが何かに警戒してしっぽを上げる、振る場合は、まず、その原因を探して取り除きましょう。
たとえば、音、光、におい、人や動物の気配などは、うさぎが警戒する要因になります。警戒の対象を取り除けばうさぎが安心して、徐々に落ち着気を取り戻すでしょう。
うさぎを安心させるためには、飼い主さんが優しく声をかけたり、うさぎのいるケージを布などで覆って外部の刺激を遮断するのも有効です。
うさぎが発情や興奮によってしっぽを振る場合は、そのままにしておくとうさぎに負担がかかったり、うさぎがエスカレートして攻撃的になったりすることもあります。
やめさせたい場合は、飼い主さんがうさぎの気をそらしてあげるとよいでしょう。
おやつやかじり木などを用意し、ほかの遊びや作業に意識を向けてあげることで、うさぎの興奮をおさめることができます。
まとめ
うさぎがしっぽふる行動には、感情やメッセージを知らせる役割があることを説明いたしました。うさぎのしっぽの動きには、その時に感じた気持ちや状況が反映されているのです。
ただし、気質、感受性、感情表現の度合いは個体によっても異なるので、しっぽを振る子もいればほとんどしっぽを振らない子もいます。
改めておうちのうさぎさんのしっぽに注目してみてください。「意外にしっぽを振ることが多いな」「こんな時にしっぽふるんだな」など、さまざまな発見があるのではないでしょうか。