フクロウの首はどのくらいまで回るの?あんなに回して痛くならないの?

2022.02.23

フクロウの首はどのくらいまで回るの?あんなに回して痛くならないの?

「そんなに回るの!?」とびっくりするほど首が回転するフクロウ。 あんなに回して首の骨や血管が痛くならないのでしょうか…? フクロウの首の構造や人間との違い、可動域が広い理由などを詳しく解説していきます。

【目次】
1.フクロウの首はどのくらいまで回る?とにかく範囲が広いフクロウの首の可動域

2.フクロウの首はどんな構造?人間との違いも比較
 2-1.◆1.眼球が固定されている
 2-2.◆2.頸椎の数が多い
 2-3.◆3.首の血管が特殊構造

3.首を横にかしげる仕草がかわいい!前後だけでなく、上下にも回す首

4.フクロウの狩りの上手さは「首の回転」とも関わりがある
 4-1.◆フクロウの狩猟タイムは静かな夜
 4-2.◆フクロウの顔面は獲物に反応する「アンテナ」

5.ほかの鳥類は?首の動きの特徴やフクロウとの違いはある?
 5-1.◆鳥の頸椎は多い
 5-2.◆白鳥の頸椎はフクロウよりも多い!
 5-3.◆フクロウとほかの鳥類の目の位置が違う
 5-4.◆フクロウの方がほかの鳥類よりも首をよく回す

6.まとめ


フクロウの首はどのくらいまで回る?とにかく範囲が広いフクロウの首の可動域

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フクロウが首を回すところを見かけたことがあるでしょうか?
フクロウは、まるで一回転しているかのような首の動きをしています。

身体を動かさずに、首だけを後ろにぐるり…!
まるで、アニメやマンガのような動きです。
人間では考えられないようなフクロウの首の動きにビックリしますよね。

実は、フクロウの首が一回転しているように見えますが、そんなに回転していません。

しかしながら、その回転具合はかなりのもので、360度まではいきませんが左右に270度ずつ首をぐるりと回すことが可能です。

フクロウは、人間とは比べものにならないくらい首が回りますね。

人間の場合、前を向いていた首を左右のどちらかに回そうとすると、せいぜい横側に顔を向けられる程度です。
可動域は左右それぞれ60度で、身体を動かさず首だけで後ろを向くのは不可能です。

首の可動域は「フクロウは270度」「人間は60度」と比べると5倍近くもの差があり、フクロウの可動範囲は相当広いことが分かりますね。


フクロウの首はどんな構造?人間との違いも比較

フクロウの首がこんなに回る理由は、首の構造に隠されています。

フクロウの首の動きを初めて見ると、とてもビックリするかと思います。
一回転に近い270度も首が回せるのは、そもそもどうしてなのでしょうか?
フクロウの首の構造に迫ってみましょう。

◆1.眼球が固定されている

フクロウの動きをよく観察すると気づくかもしれませんが、首を動かす仕草が多いです。
実は、これはフクロウの“目の動き方”と深く関係しています。

●フクロウの目の位置は“前”
フクロウは、やや平面的な顔立ちをしていて、目の位置は“前”です。
そのため、周囲を見渡すときに首を動かさなければなりません。

多くの鳥類は顔の横側に目がついていますが、同じ鳥の仲間なのにフクロウは前に目がついているのは不思議な感じがしますよね。

フクロウは大きい分類では「鳥類」ですが、猛禽類と呼ばれて肉食です。
敵の位置を“立体的”、そして“正確”にとらえるため、正面に目がついています。

●フクロウの眼球は頭蓋骨に固定されている
私たち人間は眼球が動くため、首を動かさずともある程度の範囲を見ることができます。
上下左右と眼球を動かすことで、はっきり見えなくても周囲の様子を確認することができるでしょう。

人間の眼球は“球状”となっていますが、フクロウは“筒状”です。
フクロウは目をキョロキョロと動かすことができないのです。

しかも、フクロウの眼球は頭蓋骨にしっかり固定されているため、眼球だけを動かすことができません。

フクロウが周囲を見渡すときに「首と頭ごとグルグル回す」のは、首と頭の構造が人間と違うからなのですね。

●フクロウの視野は狭い
人間は170度もの視野がありますが、フクロウはそれよりも狭い110度の範囲です。
しかも、眼球が固定されているため、人間のように“瞳のなか”だけで視線をキョロキョロできません。

見えない範囲を見るには、フクロウは首ごと動かすしかないのです。

◆2.頸椎の数が多い

フクロウの首の動きは、首の骨(頸椎)の数も関係しています。

◎フクロウの首の骨は人間の2倍!
人間をはじめ、哺乳類は頸椎の数が「7個」です。
首が長くダイナミックな動きができるキリンでも、頸椎の数自体は人間と変わりません。

ただし、体が大きく、首が長いキリンの場合、頸椎の「ひとつひとつ」が太く大きいのです。

フクロウの頸椎本数は、哺乳類と比べて2倍、つまり「14個」です。
頸椎がたくさんあるため、その分、細やかな動きをすることができます。

◎あんなに首を回して骨が折れないか…
人間と比べるとかなりの可動域を持つフクロウの首。
可動域が60度の人間からすると骨が折れないのか…と心配になるほどです。

でも、頸椎の数が多く細やかな動きができるため、骨への負担もなく自由自在に動かせるのです。

◆3.首の血管が特殊構造

フクロウの首の動きを見ていると、あまりにも回転するため、「血管が切れないの?」「ねじれて苦しいのでは…」「ねじったところで血管が詰まりそう」など気になりますよね。
実際のところ、大丈夫なのでしょうか。

●フクロウの血管は特殊構造
ある研究チームが「フクロウが首を回したときの血管」の疑問を解明すべく研究し、それを発表しています。

結論から言うと、フクロウが首を後ろに回転させても血管は切れません。
首をグルっと270度も回しても、血管自体に問題はないと言われています。

フクロウの血管は、人間のものとはだいぶ異なります。
人間の血管は、身体に動きを加えたときに筋肉が収縮して血液が送り出される仕組みです。
そのため首に無理な負荷をかけると血管や神経が圧迫される可能性があります。

しかし、フクロウの首の血管は構造が違うため、首を回転させても心配はいりません。
フクロウが首を回したとき、顎骨の下周辺の血管に血液を溜める“袋”のようなものがあると研究チームの調べで分かりました。

つまり、フクロウは首を動かしても血の流れが妨げられることはなく、血管が切れないようになっています。
特殊構造の血管があるので、フクロウがグルグルと首を回しても心配はなさそうですね。


首を横にかしげる仕草がかわいい!前後だけでなく、上下にも回す首

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フクロウは、「前から後ろを振り返る」だけでなく、真横にかしげるように首を回すのも得意です。

「ん?」と言っているかにも見える仕草がかわいいですよね。

首を真横に傾けるフクロウの仕草、いったいどんな理由があるのでしょうか?

これも、首を前後に動かす理由と同じで、獲物との距離を正しく知るために「前・後」「上・下」「左・右」と首を自在に動かし、たくさんの方向から物を見ているのです。

また、物音の聞き取り方とも関係しています。
フクロウは、耳の高さが左右で異なり、左の方が下位置にあります。

そのため、「音の強さ」「音が届く時間」などが左耳・右耳とで異なった聞こえ方をしているようです。

夜間の暗い時間帯での狩りでは、視力だけに頼らず音を聞き取って敵の位置を察知しなければなりません。

高い位置にいるフクロウから、獲物となる地上にいる小動物の音を聞き取る力が必要です。
首をかしげる仕草で音が聞こえてくる位置を察知するため、フクロウは首を傾けながら調整していると言われています。


フクロウの狩りの上手さは「首の回転」とも関わりがある

フクロウは肉食で狩りがとても上手い鳥です。
狩猟のときには、ぐるりと回る柔軟な首を使って獲物を見定めることができます。
首の回転とフクロウの狩猟との関わりを見てみましょう。

◆フクロウの狩猟タイムは静かな夜

猛禽類のフクロウは、さまざまな獲物を捕まえてエサにしますが基本的に活動時間は夜です。

同じ猛禽類のワシやタカが日中に活動しているため、狩猟の成功率を高めるには夜間の方が動きやすいからです。

フクロウ的には、「ライバルは少ない方がいい」という感覚なのかもしれませんね。

そんな生態から、フクロウは夜間に狩猟ができるように身体も発達していきます。

フクロウは「森の番人」や「森の忍者」とも呼ばれることがあり、活動範囲は森のなかが多いです。
夜行性で活動している動物はたくさんいるものの、その多くが警戒心から静かに動きます。

フクロウの狩猟タイムは、日中よりも静けさが増した時間帯です。
捕獲する側の立場のフクロウは気配を消し、捕獲される側の動物たちも見つからないように気配を消します。
お互いに静まりかえった空間では、なるべく静かに「敵を見つける」という技が必要です。
フクロウは身体を動かさず振り返ることが可能なので、気配を消して周囲を見渡せます。

身体を動かさないで首を回転できるのは、フクロウの狩りの上手さと深く関係していたのです。

◆フクロウの顔面は獲物に反応する「アンテナ」

フクロウは、平面的な顔面をしています。
特に、メンフクロウなどはまるでお面をつけた顔立ちが特徴的です。

平面的な顔面は、パラボラアンテナとも称されることがあり、アンテナのように遠くの音をキャッチします。

そのため、目で見ずとも遠くの獲物の位置を立体的に捉えることができるとも言われています。

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ほかの鳥類は?首の動きの特徴やフクロウとの違いはある?

フクロウほどの可動域こそないものの、ほかの鳥類も首がよく回ります。
白鳥や鳩、インコなども首をよく回しています。

フクロウほどではないものの、多くの鳥類が180度くらいは首が回るそうです。

また、鳥類は骨のつくりが独特で人間やほかの哺乳類では見られないような首の動き方をします。

◆鳥の頸椎は多い

そもそも鳥の骨は“飛ぶ”ことに適応するための構造をしています。
ほかの動物と比べると、体全体の骨の数が少なく、骨自体も軽量です。
しかし頸椎の数はかなり多く、「13~25本」で構成されています。

◆白鳥の頸椎はフクロウよりも多い!

フクロウと比べると首が長い白鳥。
後ろを振り返る動作もしなやかです。
白鳥の頸椎は鳥類のなかでもかなり多く、なんと「25本」もあるそうです。
寝るときには、長い首を後ろに回転させて倒すようにしています。

◆フクロウとほかの鳥類の目の位置が違う

フクロウとほかの鳥類の目の位置は異なります。

フクロウの目の位置は人間と同じく、正面です。
ひとつのものを両目でとらえ、立体的に見ることができます。
獲物の姿を明確にキャッチし、両目でしっかりと見ることが可能です。

ほかの鳥類は顔の左右にそれぞれ目があるため、立体に見える範囲はそれほどありません。
ただ、自分が獲物になる確率が高いことから、片目それぞれで見える範囲が広めです。
明瞭ではないですが、広く見えることで敵から身を守ることにもつながっています。

◆フクロウの方がほかの鳥類よりも首をよく回す

前述のように、フクロウとほかの鳥類の目の位置は違います。

ほかの鳥類は左右横側に目があるため、視界は広めです。
「敵から身を守る」だけでいいので、広い視界で敵の気配を察知すれば逃げればいいだけでしょう。

しかし、フクロウは「ぼんやり見える」という程度では獲物を捕まえるという目的が果たせません。
顔や首を動かしながら周囲に意識を集中させているのです。


まとめ

フクロウの“首”の秘密に迫ってみました。

首の可動域の広さは、フクロウが野生で生き抜くために発達したものだったのですね。
身体を動かさずに後ろを振り返る姿には驚きますが、首や眼、耳の構造とも深く関係していると聞くと納得です。

あまりにも回るフクロウの首。
痛さや血管への圧迫が気になりますが、14個という多数の頸椎のおかげで、270度もぐるりと首が回せます。
首を回しても血流を確保できるように袋状の部分もあるので安心です。

フクロウは、姿こそあまり見かけない鳥ですが、幸福のシンボルとしてモチーフとなっているためグッズも多く親近感を感じている人も多いことでしょう。

今回お伝えしたようなフクロウの首の秘密を知ると、これまで可愛いと思っていたものも、どこか凛々しく知的に感じてきますね。



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