スズメを飼育してはいけない?保護するときに必要な対応やお世話について

2022.12.23

スズメを飼育してはいけない?保護するときに必要な対応やお世話について

可愛い鳴き声や跳ねるように歩く姿が可愛いスズメ。私たちの生活の中でもよく目にする鳥類で日本中どこ行っても目撃する鳥ですよね。そんな身近な存在であるスズメを「自宅で飼っても良いのか?」と疑問に思ったことはありませんか?しかし、野生動物のスズメを一般の人がむやみに捕獲したり、ペットとして飼育することはできません。 本記事では、「スズメを飼育する事は何故いけないことなのか?」「ヒナや怪我しているスズメを見つけたらどのように対処したら良いか?」についてご紹介します。

スズメを拾ってもいい?

見た目にも可愛いスズメは人慣れをしているため、自宅のベランダに飛んできたり歩いている時にも足元の近くに寄ってくることも多いですよね。スズメを拾うシチュエーションとして、巣立ち前のヒナが路上に落ちているのを発見することがあるかもしれません。
その場合、ケガをしている様子がなければ拾わないようにすることが大切です。親鳥が探しに来たときに見つけられるよう、発見した場所から近い安全な場所に移動させてあげましょう。


スズメを捕まえて飼ってもいい?

スズメ

私たちが生活している行動範囲内に必ずと言っていいほどよく見かけるスズメは、「ペットとして飼育できないか?」考えたことがある人も少なくないでしょう。しかし、本来は野生で生きるスズメを人が作る飼育下では限界があり、ストレスや運動不足といった体に大きなダメージを与える可能性があります。
人がスズメの命を危険にさらしてしまうリスクは大きいため、ペットのように飼育することは容易なことではないのです。

◆スズメの飼育は禁止されている

そもそも、野生のスズメを捕獲して飼育することは禁止されています。どうして違法に当たるかというと、人の身勝手な気持ちで捕獲や飼育を行うと「自然に成り立っている生態系のバランスが崩れてしまう」ことが大きな要因となっています。

◆鳥獣保護法第8条で決められている

この違反行為に対象となるのは、スズメだけでなく鳥獣、鳥類の卵全てに言えることです。
「鳥獣保護管理法第8条」で禁じられている行為にあたり、守らずに捕獲をして飼育をすると「1年以下の懲役、または100万円以下の罰金」が科せられてしまいます。
それがたとえ、ケガをしているスズメでも、ヒナが路上に落ちていても「かわいそうだから…。」とむやみに拾って飼育することは法律では「鳥獣保護法」に違反してしまう行為となってしまいます。


弱っているスズメを見つけたら・・・

スズメをむやみに捕獲して飼育してはいけないことは分かりますが、実際に目の前にスズメのヒナが落ちていたり、ケガをしている弱ったスズメを見つけたら助けたくなるものです。時には路上に落ちてしまったヒナを見つけて放っておけず、自然に返すまでの間、面倒を見てあげたいと思う場面に遭遇する可能性もあります。
そのような場合はスズメを保護できますが、飼育するうえで必ず必要な申請を行わなければなりません。

◆市区町村の担当部署に相談して判断を仰ぐ

ケガをしていて手当が必要なスズメを見つけたら、すぐに自宅へ連れていくことはせず、まずは「環境局」へ連絡をしましょう。窓口に相談をすると、動物病院に連れていくべきかや病院での治療費について、自宅で一時的に保護する場合についてなどの状況に見合った対処をしてくれます。

ちなみに東京都では、野生鳥獣の保護に関して東京都環境局により以下のように示されています。
『※東京都では、農林水産業、生活環境、生態系へ恒常的に被害を与える野生鳥獣の中で、ニホンジカ、イノシシ、ニホンザル、タヌキ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、スズメ、ヒヨドリ、ムクドリ、カワウについては、いかなる場合においても保護の対象としていません。』
東京都環境局Webサイトより引用

◆都道府県知事の許可が下りれば飼育できる

「鳥獣保護法第8条」では、勝手に飼育することは禁止されていますが、ケガを負っているスズメを手当するといった明確な理由があり、都道府県の知事や環境大臣の許可がある場合は飼育が可能になります。
他にも、スズメを含む鳥獣の捕獲を許可しているのは、以下の理由が認められています。

・定種目の鳥獣を保護する
・狩猟可能区域で狩猟期間内に狩猟と捕獲を行う

スズメが弱っているからといって無許可に捕獲する行為は違法になるため、必ず申請を怠らないようにしましょう。


スズメを保護した場合のお世話

私たちの日常の中でよく見かけるスズメは、いつか保護する機会もあるかもしれませんよね。スズメの保護は、一時的な期間だけの飼育であったとしてもヒナの親代わりになる必要があります。時間環境を整えられる責任を持ってお世話しなければなりません。

◆保護する際に必要な物

  • 軍手や手袋
  • 適正サイズの容器
  • 容器に敷くタオル

動物病院や自宅に連れていく際には、ケガをしているスズメが大きく揺さぶられることのないよう、体のサイズに合わせた箱などの容器を用意しましょう。野生のスズメは病原体をもっているため、必ず素手では掴まずに軍手をはめて優しく容器へ移動させます。

POINT

窓やガラスに勢いよくぶつかって意識を失ったスズメを見つけた時、口から血を流していない場合は脳震盪を起こしているケースが考えられます。しばらくすると自然に飛んでいくこともありますので、そういった場合は保護せず見守ってください。

◆飼育環境

スズメを屋内で保護する場合は、飼育するための通気性の良いケージを用意しましょう。ケージの置き場所は、なるべく静かで強い日光がケージに当たらない場所がおすすめです。

外で飛び回る野生のスズメを見ると、日当たりの良い場所の方が良いイメージがありますが、は自分で快適な場所へと移動したり、木陰で休んだりすることができるのは元気なスズメだからこそ。温度変化が激しい窓際にケージを置いてしまうと、直射日光に長時間当たることによって体調を崩してしまうので気をつけましょう。

◆エサやり

スズメの成鳥は基本的に雑食ですが、体が弱っているスズメはエサを消化する力もあまりないため、粉末状の「すり餌」にぬるま湯を加えて混ぜた練りエサを食べさせましょう。
ヒナの主食にも、練り餌と幼虫の生き餌「ミルワーム」を食べさせます。栄養をたくさん与えなければならないため、数時間おきのエサやりが必要です。
また、「水入れ」も用意しますが、大きい器は体が濡れてしまったり溺れてしまうのを防ぐため、スズメの体よりも小さく浅い器を用意します。水量が減っていなくても菌が繁殖して水が腐りやすくなるのでこまめに取り替えてあげて下さい。

◆スズメの砂遊び

野生のスズメは全身に砂を浴びて体を綺麗にする習性があります。砂遊びをすることによって羽などについた寄生虫が落ち、健康を保つ効果があるのでスズメにとってはとても大切な行動のひとつです。自宅で一時的な保護をする場合でもケガの具合が良くなり羽ばたけるようになったら砂場を用意してあげ、いつでも浴びれるようにしてあげましょう。

◆放鳥の時間を作る

スズメのケガの具合が良くなったタイミングで空を飛ぶ練習が必要になります。放鳥はスズメが自然に返った時に生きていけるよう重要な時間ですので、スズメが羽ばたくような様子を見せたら、まずは屋内で飛ばせてあげましょう。最初は上手く飛べなくても、徐々に上達すると外にも飛んでいけるようになります。
屋内で飛ぶ練習をさせる時の注意点としては、家具同士の隙間でスズメが落ちることがないように配慮してあげることです。また、スズメがケガをしてしまわないように、ぶつかりそうな物はどけて安全面をきちんと確保してあげましょう。


元気になったら自然に返そう

ヒナは親鳥から巣立ちの仕方を覚えますので、窓を開けていると夜に飼育していた室内へと戻ってくる可能性もあります。もしもスズメが飛んで行ったまま戻ってこなかったとしても、無事に自然に帰ることができたと思うようにしましょう。
スズメの保護をする際の注意点として、飼育の許可が認められていても飼育する期間は決まっています。お世話をしていく内に情がどんどん芽生えてしまっても、必ず期間内に自然に返してあげなければなりません。


スズメとニュウナイスズメ

ニュウナイスズメ

スズメには、生態の異なる「ニュウナイスズメ」がいることをご存じでしょうか?一般的なスズメとオスのニュウナイスズメの見た目はよく似ていますが、体長は少し小型で頬にスズメのような黒斑がないのが特徴です。メスは灰色に近い体色なので見分けがつくでしょう。
季節によって移り住むニュウナイスズメは、日本では本州中部以北や北海道の山林に生息しています。保護したのがスズメだと思っていたら、実はスズメ科に属するニュウナイスズメだったなんてこともあるかもしれませんね。


まとめ

スズメ

愛らしい見た目と身近な存在の鳥であるスズメは、「ペットとして飼育できないか?」考えたことがある人も少なくありません。しかし、スズメなどの野生の鳥獣の捕獲は法律で禁止されており、許可もなく捕獲することは違法行為です。たとえ、弱ったスズメを見かけても申請もせずに保護した場合、良かれと思って行ったことが罰せられてしまう可能性もありますので、必ず市の環境局に連絡をして適切な指示を受けるようにしましょう。

また、申請をきちんと行えば弱ったスズメを保護することは可能ですが、一時的だったとしても野生のスズメの飼育する事は容易ではありません。自宅で保護すると決めた際は、責任を持ってスズメのケアに努める必要があるでしょう。
野生で生きる鳥たちは外で自由に過ごせることが一番幸せなことです。人の助けが必要な時だけ寄り添うようにし、動物たちの日常を壊さないようにしてあげることが大切です。



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