野生のチンチラはどこにいる?野生のチンチラに学ぶ飼育のポイント

2023.10.22

野生のチンチラはどこにいる?野生のチンチラに学ぶ飼育のポイント

ペットして近年注目されているチンチラ。ペットとしての歴史は浅く、飼育の情報が少ないのが現状です。野生のチンチラがどのように生活しているのかわかれば、飼育の参考になるかもしれませんよね。そこで、この記事では、野生のチンチラの特徴や暮らし方を記載し、飼育下にいるチンチラのお世話に生かせるポイントを合わせてご紹介します。チンチラの飼育の参考にしていただけたら幸いです。


チンチラはどんな動物?

チンチラ

チンチラという名前は多くの人が聞いたことがあるでしょう。そんなチンチラですが、ペットとしての歴史は浅く、チンチラの飼育方法についてまだまだ未知なことが多いのです。そのため、ペットとして迎え入れたくても躊躇してしまう方も少なくありません。

まずは、チンチラがどのような動物なのか見ていきましょう。
チンチラは、ネズミと同じ齧歯類です。
大きな耳とふわふわな被毛、つぶらな瞳をしたとても愛くるしい見た目をしています。
見た人の多くは、まず第一声に「かわいい!」といってしまう動物です。

チンチラの被毛には光沢があり、ひとつの毛穴から50~100本の毛が生えていて、毛皮として大変人気がありました。野生のチンチラの被毛は貴重で、高価な価値がつくことがわかると、現地の人々はチンチラの乱獲を始めました。

この乱獲以降、野生のチンチラは数が激減し、絶滅寸前まで追い詰められましたが、現在は絶滅危惧種に指定され、法で守られているため、わずかですが野生のチンチラは生存しています。確認されているのは、現在チリ山中の保護区に、わずか数千頭いるといわれています。

◆チンチラは何科?

チンチラは、リスやネズミと同じ齧歯類の、チンチラ科に属する動物です。

チンチラをより詳しく分類すると、『齧歯目 チンチラ科 チンチラ属』となります。

◆見た目の特徴

チンチラといえば、ふわふわな被毛が特徴的です。分厚い毛皮で、ひとつの毛穴から50~100本の毛が生えるため、密度が高い被毛です。

チンチラの被毛の色も色々あり、
・グレー(一番スタンダード)
・ブラック
・ホワイト
と様々な色味のコがいます。

個体の価格は、
・一番スタンダードなグレーカラーで、2万~3.5万円前後
・ブラックは、4万~6万円前後
・ホワイトは、6万~8万前後
で販売されることが多いです。

ホワイトカラーのチンチラの被毛には、銀色の模様が入っているため、他のカラーのコより高額になっているようです。やはり、カラーによって販売価格にばらつきがありますし、珍しいカラーのコほど高価になります。

ちなみに、なぜチンチラの被毛は光沢を放つのか。それは、チンチラの皮脂腺からラノリンという物質が出ているからです。ラノリンは、光沢だけでなく、汚れもつきにくくする効果があります。

そして、チンチラといえば大きな耳です。耳が大きいのは、外敵から身を守るためや、仲間とのコミュニケーションのために聴覚が発達したからといわれています。聴力が発達しているため、大きな音に敏感です。

足は細長く、指は前後ともに4本あります。チンチラの手足には爪があり、人間の爪のような形をしています。また、前肢にのみ、それぞれ2つの偽指という突出した部分があります。この偽指があることで器用に物を掴むことが出来るのです。

チンチラの顔をよくみると、非常に長いひげがあります。長いひげは、チンチラにとって大切な感覚器官になります。長いひげで、巣穴の中にある障害物を感知したり、岩と岩の隙間の大きさや幅を確認します。風向や風の強さを確かめるためにも活躍しています。

体長は25~35cmほどです。体重は400~600gになります。
どのくらいのサイズ感かというと、モルモットの大きさが20~40cmですので、モルモットと同じくらいと頭に入れておくとイメージしやすいですよ。

◆チンチラの寿命

チンチラの寿命は、10~15年といわれています。5年の差があるのは、持って生まれた病気や、体質が関係しています。確認されているなかで一番長寿のチンチラは、20年以上生きたコがいます。チンチラはペットの中でも長寿の生き物です。

野生のチンチラの場合は、フクロウやキツネ、家畜に捕食される危険があり寿命を全うすることは簡単なことではありません。


野生のチンチラの生息地はどこ?

チンチラの生息地

野生のチンチラの生息地は、「ボリビア」「ペルー」「チリ」の高地で、アンデス山脈の中でも中央アンデスと呼ばれる地帯の西部側、標高約2700mから5000mに生息しています。
日本で一番大きい山、富士山で考えると6合目が標高2390m、頂上で標高3,776mなので、とても過酷な環境に生息していることが分かりますね。

中央アンデスは、降雨量が少なくカラッとした気候が多く、植物が乏しかったり砂漠の様な全く植物がない地域もあります。

・標高4800m~:ハンカ帯と呼ばれ、氷河などもしばしばあるような環境
・標高4000m~4800m:プーナ帯と呼ばれ、寒く乾燥しており、農業は困難
・標高3500m~4000m:スニ帯と呼ばれ、気候は冷涼だが農業は盛ん
・標高2300m~3500m:ケチュア帯と呼ばれ、夏季にまとまった降雨があり、やや冷涼だが比較的過ごしやすい気候
・標高500m~2300m:ユンガ帯と呼ばれ、温暖で乾燥した地域が広がっている

チンチラはそのような寒い地域の崖にできた穴や岩場に巣を作って生活しています。
チンチラの被毛がモフモフとしているのは、このような標高の高い、極寒地帯で暮らしていくためなんですね。

そんなチンチラは現在はチリの一部の保護地域でしか見ることが出来ないとも言われています。

ふわふわの被毛を目的とした人間による狩猟や、生息地にいるワシミミズク、メンフクロウ、コビトフクロウ、ナンベイアカギツネといった天敵により数が減っていき、野生のチンチラはレッドリストにて、『絶滅危惧IB類(EN):IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの』に指定されています。


野生のチンチラとペットのチンチラのごはん

ペットのチンチラの主食は牧草です。牧草だけでは足りない栄養素を補うために、ペレットも与えます。

野生のチンチラは、栄養価の低い草、茎、根、樹皮などを食べていますので、ペットのチンチラに与える牧草は、低カロリーで高繊維の一番刈りのチモシーがおすすめです。牧草は1日50g以上与えて問題ありません。

一方ペレットは、チンチラ専用の固形フードを与えます。なぜチンチラ専用なのか。それは、チンチラは他の動物にはない独特の被毛をもっています。被毛を良い状態に保つために必要な栄養素がチンチラ専用のペレットに含まれているからです。

ペレットの量は、大人のチンチラで体重の1~2%くらいの量が目安です。
生後半年までの赤ちゃんチンチラには、体重の3~5%ほどの量のペレットを与えます。

成長期のチンチラ以外は、ペレットはあくまでも副食なので、大人のチンチラは牧草をメインにします。嗜好性が強くなりすぎると、牧草を食べる量が減ってしまい、チンチラが体調を崩す原因になります。牧草の量が減らないように気をつけましょう。

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生息環境から考えるチンチラの飼育環境

岩陰にいるチンチラ

◆ケージは高さのあるもの

野生のチンチラは、岩と岩の間をジャンプして乗り越えたり、アップダウンの激しい場所を移動して生活しています。

野生のチンチラのようにジャンプや移動ができるよう、ケージは大きいものにしましょう。床面積も広い方が良いですが、高さが十分にあるものが理想的です。

おすすめのケージサイズ
・幅60cm、奥行き45cm、高さ70cm以上

高さがあるケージであれば、ケージの中にステップやハンモックなどを設置することで、上下移動が容易になります。ステップやハンモックを設置する際は、真下まで落ちてしまわないよう落下対策もしっかりしましょう。

チンチラは活動量が多いですので、吊すタイプのおもちゃも大変喜びます。

◆温度と湿度は徹底的に管理する

野生のチンチラは極寒地帯に生息しているため、高温多湿が苦手な生き物です。ペットのチンチラは野生と比べると、暑さと寒さに弱いです。

日本の環境はチンチラの飼育に適しているとはいえませんが、温度と湿度の管理を徹底することでチンチラは日本の気候の下でも快適に暮らしていけます。

チンチラが快適に過ごせる部屋は、
・温度20~25℃(冬場は15℃くらい)
・湿度は40%未満
です。

温度と湿度を同時に測れる温湿度計をチンチラのケージ付近に設置しておくと、高温多湿になっていないかこまめに確認するのが楽です。

エアコンは一年中稼働することになります。冬場でも、室温が15℃以下にならないように調節が必要です。

こんなにチンチラの飼育に温度と湿度の管理を徹底するのは、チンチラの美しい被毛を保つためでもあります。

チンチラの被毛がよく生えるための最適条件は、
・温度18℃、
・湿度40%未満
です。

ちなみに、チンチラは温度が28~30℃になると熱中症になる恐れがあり危険です。いつでも涼しい場所に移動できるような工夫があると熱中症予防にもなります。

野生のチンチラは日中、巣穴や岩場の割れ目に住み涼をとっていますので、ペットのチンチラにも、木箱のような通気性の良い巣箱を用意してあげ、いつでも涼しい場所で休めるようにしてあげると喜びます。

夏場は、ひんやりシート、冬場はペットヒーターを使用するとより快適に過ごせます。

◆毎日の砂浴びが理想的

チンチラは、ラノリンという分泌物が皮膚から出ています。ラノリンは油分なので被毛のツヤの維持、汚れをつきにくくする役目もありますが、砂浴びをして、余分な油を落とす必要があります。

チンチラをお風呂に入れる必要はありません。ですが、お風呂の代わりに1日1回の砂浴びが理想的です。

砂浴び用の砂は、粒が細かい砂が良いです。密度の高いチンチラの被毛をかき分け、皮膚に砂が到達しないと砂浴びの効果が半減してしまいます。毎回新しい砂に換えてあげましょう。砂浴びをした砂には、チンチラの排泄物や汚れがついていますので、衛生的にも、毎回新しい砂であることが理想的です。

1回の砂浴びは、15分くらいで十分です。あまり長すぎる砂浴びは皮膚炎や、結膜炎のリスクが上がるといわれています。

砂浴び用の容器は、チンチラが砂の上でコロコロとローリングしても十分な余裕のあるサイズがおすすめです。容器の下から2cmくらいまで砂を入れてあげましょう。砂浴びの最中は放置せず、様子を見守ってください。

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まとめ

絶滅危惧種に指定されている野生のチンチラ。

生息地域は、南米のアンデス山脈付近の標高の高い極寒地域にのみ、わずか数千頭のチンチラが生活しています。
極寒、アップダウンの多い暮らしをしていたチンチラのため、飼育下でも、高温多湿は避け、高さのあるケージにステップを設置し、アップダウン移動ができるようにすることで野生に近い動きが再現できます。

食事は、野生のチンチラは低カロリーで高繊維質の草や根を食べ生活しています。
そのため、ペットのチンチラも牧草をメインにします。

おやつばかりで嗜好性が強まり、牧草の量が減ると健康を害す恐れがあります。
そして、毎日のケアとしてチンチラには砂浴びをさせてあげましょう。
チンチラ特有の美しい被毛と健康な皮膚の維持のために欠かせない日課です。

このように、野生のチンチラの衣食住には、チンチラの飼育ポイントがたくさんあります。ぜひ参考にしてみてください。



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kurokoppe

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今まで飼育したペットは、アヒル、ニワトリ、うさぎ、ハムスター、カメ、犬 と多種にわたります。飼育経験を生かしみなさまのペットに役立つ情報を正し く、わかりやすくお伝えしていきます。


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