ハムスターの耳はすごい!耳の役割と耳の動きで分かることについて

2023.09.24

ハムスターの耳はすごい!耳の役割と耳の動きで分かることについて

ハムスターはちょこんとした耳も可愛らしいですよね。こんなに小さな耳をしているのに実は優れた機能を持っているのです。また、耳はよく動きますが、ピンと立ったりペタンと倒れたりするのにも理由があります。耳に注目するとハムスターのことがもっとよく分かるようになりますよ。この記事では、ハムスターの耳はどのような機能や役割があり、どのような時に動くのか、耳の状態から分かることについて説明いたします。


ハムスターの耳の役割について

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ハムスターの頭には、丸みを帯びた三角形のような形の耳がちょこんと付いています。

ハムスターのチャームポイントといえば、食べ物がたくさん入る頬袋や丸みを帯びた可愛らしい体形がイメージされることが多く、耳はあまり注目されない部位かもしれません。

実は、ハムスターにとって耳は生きていく上で欠かせない重要な役割を持っており、機能がとても発達しているのです。

ハムスターの耳にはどのような役割があるのでしょうか。

◆ハムスターは音で情報を収集している

ハムスターの五感では聴覚、嗅覚、触覚(ひげ)が優れています。
特に、聴覚が発達しているのが特徴です。

このように聴覚、嗅覚、触覚が発達しているのは、ハムスターが夜行性で視力が発達しておらず、視覚以外の感覚から得た情報で周囲の状況を把握する必要があるためです。

ハムスターは日中の明るい時間帯は巣穴で眠り、夜になって辺りが暗くなると巣穴から出て活動を開始します。ハムスターは人間でいう近視で、目でものを識別するのは苦手ですが、捕食される側の動物であるため、外敵がいないか周囲の状況を把握しなければなりません。

ハムスターはものを見るのが苦手なかわり、遠くのかすかな音が聞き取れるほど耳が良いので、音から危険を察知して身を守ることができているのです。

◆ハムスターはどれくらい聞こえている?

ハムスターの耳はどれくらい音が聞こえるのでしょうか。

ハムスターの耳は、非常に広い周波数の音が聞き取れるという特徴があります。人間とハムスターが聞き取れる音の周波数(可聴音域)を比較してみても、ハムスターの方が聞き取れる音域がかなり広いことか分かります。

人間 20ヘルツ~20,000ヘルツ
ハムスター 1,000ヘルツ~50,000ヘルツ

周波数は数値が小さいほど低音、大きいほど高音を示します。つまり、ハムスターの耳は人間よりも高い音を聴き取るのが得意で、人間が聞き取れないくらいかなり高い音も聞き取れるということになります。

実際に、ハムスターは人間に聴こえないくらいかなり高い周波数(超音波)を出してハムスター同士でコミュニケーションを取っているともいわれます。

◆普段の聞こえ方はどうなの?

人間と同じ生活空間で暮らしているハムスターは、周囲の音をどのように感じているのでしょうか。

ハムスターはとても耳が良いので、人の話し声やテレビの音、家電の音といった生活音はよく聞こえているといわれます。ただ、音は聞こえているけど興味のない音は聞き流して寝ていることも多いようです。

どちらかというと、ハムスターは低い音や低い声より高い音、振動を感知しやすいです。そのため、甲高い声、ドアが閉まる大きな音などが急に聞こえた時は、驚いてストレスを感じることもあります。

また、ハムスターが人の言葉まで覚えるのは難しいですが、人の声は「音」として覚えることができます。ですから、飼い主さんがいつもハムスターに声をかけながらお世話をしてあげれば、飼い主さんの声は安全な音だと認識し、名前を呼んだ時に寄ってきくれるようになります。

ハムスターが音を聞いているかどうかは、耳の動きや姿勢から分かるので、ハムスターの様子を観察してみるとよいでしょう。


ハムスターの耳の動きから分かること

ハムスターの耳は聴覚が優れているだけではなく、感情や体調が現れやすいという特徴もあります。

ハムスターは喜怒哀楽が割とはっきりしている動物です。しかし、鳴き声も少なく表情もあまり変化しないので、ぱっと見ただけでは今の気持ちが分かりにくいことがあります。

そのような時に耳をチェックすると、ハムスターが今どんな気持ちになっているのか判断しやすくなります。

また、体調が良くない時も耳の状態に変化がみられるので、ハムスターの耳を観察する習慣を付けると健康管理に役立ちます。

◆ハムスターが耳を倒している理由

ハムスターの耳は立ったり倒れたりとよく動きますが、耳がたたんである、倒れているように見えるならば、リラックスしている、または何かに集中していることがうかがえます。

ハムスターが耳を立てていない時は、周囲の音に意識を向けていません。つまり周囲を警戒していない、安全な環境だと認識しているということです。

もしハムスターの耳が倒れていることが多いなら、飼育環境に慣れリラックスして過ごしていることがうかがえます。

また、食事中のように物事に集中している時も、周囲の音に意識が向かないのか耳が後ろに倒れています。同じように寝ている間や寝起きの直後も、周囲の状況に気が向かないのか耳は倒れたままです。24時間常に聴覚を稼働させているわけではないようですね。

◆ハムスターが耳を立てる理由

ハムスターが耳を垂直に立てている時は、周囲の音を聞き取ろうとしています。
周囲を警戒している時、または聞き慣れない音がして音を判別しようとしていることがうかがえます。同時に鼻をヒクヒクさせ、ニオイからも情報を収集しようとしていることが多いでしょう。

また、でもない時にハムスターが二本足で立ち止まり、フリーズしているように見えることがあります。人間には何も聞こえなくてもハムスターはかすかな音も聞き取るので、フリーズしている時は遠くから聞こえる音に聞き耳を立てている可能性もあります。

◆ハムスターが耳を後ろに向ける理由

ハムスターが耳を後ろに反らせるのは警戒しているためです。このような時は、体は正面を向き、口を開けて威嚇するそぶりを見せたり、「ジー、ジー!」と緊迫した声で鳴いたりします。緊迫した雰囲気が漂っているので、ハムスターが怒っている、怖がっていることが分かるでしょう。

ハムスターが耳を後ろに向けて怒っている時に手を出すと噛まれることがあります。なだめようとせず、ハムスターの気がおさまるまでそっとしておきましょう。

◆耳に張りがない理由

耳が倒れているのと様子が似ていますが、体調が悪い時も耳は後ろに倒れ気味になります。個体差もありますが、耳に張りがない、いつもよりよれよれになっているように見えることがあります。

食欲、体重、目の輝きなども含め、普段よりも調子が悪そうだと感じる場合は動物病院で診察を受けることをおすすめします。


ハムスターが耳を触っている理由とは

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ハムスターは時々、自分の体を手足で触ったり舌で舐めたりしていますね。見ていると耳を触ることもありますが、どのような理由で耳を触っているのでしょうか。

◆毛づくろいの最中

ハムスターが手で耳をこすったり後ろ足で耳を掻いたりしているのは、毛づくろいをしているからです。

ハムスターは清潔好きで、よく毛づくろいをします。体が柔らかいので体の隅々まで丁寧に舌で舐めて体をきれいにします。手で顔や耳をくしくしと洗ったり、後ろ足の先を耳の中に突っ込んで耳掃除をしたりと、とても器用にお手入れをします。

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◆炎症が起きている可能性

ハムスターは毛づくろいをするために耳を触ったり掻いたりしますが、以前よりも耳を触る時間が増えた場合は、耳に痛みやかゆみなどの炎症があるために気にして触っている可能性も考えられます。

もしもハムスターが耳を触ることが増えた場合は、耳に炎症が起きていないかよく観察してみましょう。赤み、薄毛や抜け毛、傷や出血、膿やかさぶたがあるならば、動物病院の処置が必要です。

ハムスターの耳の病気で多いのは「外耳炎」です。
耳を掻いた時にできた傷から細菌感染して炎症が起こります。
また、外耳炎の炎症が耳の奥まで進んで「中耳炎」や「内耳炎」を併発することもあります。

ハムスターは1歳半を過ぎて高齢期に入ると、腫瘍、膿瘍などのできものが耳に発症しやすくなります。腫瘍は良性の乳頭腫のほか悪性腫瘍(がん)ができることもあるので、耳のトラブルに気付いたら早めに動物病院を受診しましょう。

◆アレルギー反応

ハムスターがやたらに耳をかゆがって掻く場合は「アレルギー性皮膚炎」を発症していることも考えられます。

ハムスターも私たち人間と同じで、アレルギーの原因になる物質に触れると皮膚がアレルギー反応を起こします。針葉樹を使った床材、食べ物、ダニがアレルギーの原因になることが多いです。

もし耳の後ろ側、お腹や胸の毛が抜け、皮膚に赤みや湿疹ができてハムスターがかゆがるようなら、アレルギー反応を起こしている可能性が高いです。

アレルギーの原因をケージから除去すれば、皮膚炎は改善されるので、アレルギー性皮膚炎が疑われる場合は受診してアレルギーの原因を突き止めましょう。


まとめ

ハムスターの耳は発達していて、音から情報を収集する役割があること、また、耳の動きに感情や体調が現れることをお伝えしました。

ハムスターの耳のことを深く知ると、それまでと見方が変わって耳にもっと注目したくなりますよね。耳を見れば今の気持ちや体調が把握でき、ハムスターのお世話がさらにスムーズになるのではないかと思います。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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