ハムスターのうんていは危険!?うんていする理由、防止対策について

2023.11.19

ハムスターのうんていは危険!?うんていする理由、防止対策について

ハムスターがケースの天井からぶら下がって「うんてい」しているのを見たことはありますか?その姿はやんちゃで可愛いのですが、危険なのでやめさせなければなりません。そもそも、うんていはハムスターに必要ない行為です。では、なぜハムスターはわざわざ天井まで登ってうんていをするのでしょうか。この記事では、ハムスターがうんていをする理由、うんていするのが良くない理由とやめさせるための対策について説明します。


ハムスターがうんていする理由は?

ケージの中にいるキンクマハムスター

ハムスターのうんていとは、ハムスターがケージの天井までよじ登り、天井の金網につかまったりぶら下がったりしながら渡っていく様子を指します。ゴールデンハムスター、ジャンガリアンハムスターの品種に関係なく、うんていをする子がみられます。

雲梯(うんてい)は、皆さんもよくご存知の、小学校の校庭などにあるはしご状の遊具です。ハムスターが天井の金網を手でつかんでぶら下がっている様子が遊具のうんていをしている様子に似ているので、ハムスターのうんていと呼ばれているのですね。

うんていのイラスト

ハムスター用のケースが天井まで登れない構造になっていれば、ハムスターのうんていを見ることはありません。

しかし、ケージの壁や天井部分に金網やワイヤーなど手足が引っかけられるパーツがついていると、ハムスターが天井まで登れることに気付き、天井でうんていすることを覚えてしまうのです。

頑張ってうんていする姿はほほえましく見えるかもしれません。ですが、そもそもうんていはハムスターがする必要のない行為なので、しているのを見かけたらやめさせなければなりません。

まずは、なぜハムスターが天井に登ってうんていをするのか、その理由を見ていきましょう。

◆理由①ストレスを感じている

ハムスターがうんていする場合、ストレスを感じて普段と違う行動をとっていることが考えられます。

ハムスターはストレスを感じると、何かしら行動を起こしてストレスを解消しようとします。ストレスが原因で神経が過敏になって、やたらに毛づくろいをしたり物をかじったりする子もいますが、中には隠れる場所や逃げる場所を求めてケース内を探し回り、その結果天井によじ登ってしまう子もいるのです。

楽しんでいるように見えても、もしかしたらイライラしているのかもしれません。頻繁にしていたら注意が必要ですね。

◆理由②運動不足

うんていすることで運動不足を解消している可能性もあります。

ハムスターはもともと運動量の多い動物です。野生下ではエサ探しや縄張りのパトロールをするため一晩中走り回り、その距離は1日数キロになることもあるといわれています。

一方、ケースの中で飼育されているハムスターは動ける範囲がかなり限られているので、どうしても運動不足になりがちです。

ハムスターのケージには運動不足を解消するための回し車を設置するのですが、中には回し車だけでは運動が足りない子もいます。そして、運動不足なハムスターは体力を持て余し、ケース内を動き回るようになります。

ハムスターは好奇心が旺盛な動物なのであちこちを探索したがります。また、足は爪があって物をつかむ機能が発達しているので、少しでもつかめる場所があると上に登ってしまい、そのうち天井でうんていすることを覚えてしまうのですね。

◆理由③脱走を試みている

ハムスターが度々うんていをしているなら、それは脱走するため出口を探そうとしていることも考えられます。

多くのハムスターは脱走したい欲求を持ちます。それは本能的なもので「ここから逃げたい」というよりは「外の様子が気になる」という気持ちからきています。

野生下のハムスターは巣穴の外に広い縄張りを持っていて、毎晩パトロールする習性があります。ペットのハムスターも同様で、日中は寝て過ごし夜中に活発に活動します。夜になると回し車で走り、時々止まってはどこまで来たか辺りを見回すのも、広い所を走り回っているつもりになっているから、といわれます。

このようにハムスターは外に出たい気持ちが強いので、扉や小さなすき間など外に出られそうな場所を見つけると、そこをかじって脱走を試みようとします。天井部分に金網が付いていたら、金網をかじって穴から脱走しようと企むかもしれません。

特に、脱走や「部屋んぽ」などでケージの外に出たことのある子は、ケージの外にほかの世界があることを知っているので、様子が気になって脱走に執着を持つ傾向がみられます。

◆理由④エサがほしい

ハムスターのお腹がすいているためにエサを求め、ケージ内を探し回っていることも考えられます。また、飼い主さんにエサをもらうため、天井に登って金網をかじってアピールしている場合もあります。アピールしていたらエサがもらえた子は、以降もエサをもらうためうんていをするようになるでしょう。


ハムスターがうんていすることの危険性

うんていをするハムスター

ハムスターのうんていは危険です。ハムスターは元々うんていができる動物ではなく、ケージもハムスターが天井によじ登ることを前提にして作られていないので、うんていをするとトラブルが起こる可能性があります。具体的に、どのような危険性があるのでしょうか。

◆手足が挟まりケガをする

ハムスターが壁や天井の金網をよじ登る際、狭いすき間に手足を挟んでケガをする可能性があります。ハムスターの手足はとても細く、ちょっとした衝撃でも骨折や脱臼が起こりやすいのです。

また、金網を歯でかじったり金網を噛んだまま天井からぶら下がったりすると、不正咬合になったり歯が折れたりすることもあります。

◆落下する

一番怖いのは、高い所からの落下事故です。落下は、ハムスターの大ケガの大きな原因となっています。

ハムスターは高い所には登れますが、下に降りるのはそれほど得意ではありません。高い所から無防備にポテッと落ちることもあるので、うんていをするハムスター事故にあいやすいのです。

元々ハムスターは地下にトンネルを掘って巣穴を作る動物なので、足やしっぽが短くトンネルをくぐるのに都合が良い体形になっています。逆にしっぽや手足で空間のバランスをとることができないので、ネズミやリスのように器用に昇り降りすることはできません。

ハムスターが落下した場合には、体を打ち付けて打撲や骨折をしたり、脳や内臓にダメージを受ける可能性があります。また打ち所が悪ければ、死亡したり命が助かっても麻痺などの後遺症が残ったりする可能性も出てきます。

ケージの天井の高さは、私たち人間から見ると低く感じるかもしれませんが、体の小さなハムスターにとっては十分に危険な高さといえます。それに、下にふわふわした床材が敷いてあっても、トイレや巣箱など硬い物の上に落ちた場合は体を強く打ち付けて大ケガをする可能性もあります。ですから、ハムスターの転落事故には気を付けなければならないのです。

◆余計ストレスが溜まる

ハムスターが脱走を試みて天井まで登った場合、外へ出られないことが分かるとそれがストレスになってしまいます。

また、ハムスターが上まで登る行為を何度も試みると、上に登るたび外へ出られないことがストレスになるので、ストレスがさらに溜まってしまいます。

どの動物にもいえることで、ストレスが蓄積するのは健康のためにも良いことではありません。ストレスを受けると自律神経のバランスが乱れるので、さまざまな病気にかかりやすくなってしまいます。

天井まで登ったとしても、ケガをしたりストレスが増えたりするだけでハムスターにメリットはありません。ハムスターにうんていをさせる必要はないのです。


ハムスターのうんてい対策は?

ハムスターのうんていをやめさせるためには、どのような対策をとればよいのでしょうか。

◆ケージを別の物に変える

根本的な解決策は、ハムスターがうんていできない構造のケージに変えることです。

天井や側面に金網やワイヤーが付いているケージは、通気性が良いというメリットがあります。ただし、ハムスターによってはよじ登ることを覚えてしまうので、うんていを防止したい場合は、金網の付いていない水槽タイプのケージ、天井が高いケージに変えることをおすすめします。

水槽タイプは、ケージの壁がアクリルやガラスなどツルツルした材質になっていて、ハムスターが足を引っかけてよじ登ることができないので、上まで登る心配がなくなります。

また、広くて天井が高いケージを使用した場合にもハムスターが上までよじ登れないので、うんていが防止できます。

あわせて回し車、ロフト、トンネルなどの配置に気を付け、ハムスターが物を伝って天井まで登っていくことのないよう、安全なレイアウトを心がけることも大切です。

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ガラスなのでハムスターの様子がよく見えて、お手入れも簡単です。ワイヤーを使用していないので天井に登る心配もありません。

なお、金網やワイヤーが付いているケージでも、天井にアクリルパネルなどを貼って金網やワイヤーを隠せば、ハムスターのうんていを防止する効果が期待できます。ただ、自作したものはハムスターがかじったり怪我をしたりする可能性があるので、設置する際は注意が必要です。

◆エサの管理をしっかりと行う

ハムスターがケージ内をあちこち探索する場合は、エサが足りていない可能性も考えられるので、エサの量が適切か、栄養が偏っていないか、ハムスターの体重が減っていないか確認してみることをおすすめします。

お皿から持ち帰ったペレットが放置されているなど、与えたエサをしっかり食べていない場合は、ペレットをほかのメーカーのものに替えるなどの工夫をしてみましょう。

また、特に肥満体形ではなく、成長期、運動量が多いという場合には、ペレットを少し増やしたり、副食にたんぱく質の多い食べ物を加えたりしてもよいでしょう。

◆運動不足を解消してあげる

運動するために上まで登ってしまう場合は、現在使用しているケージが狭い、または回し車がハムスターに合っておらずしっかり走れていない可能性が考えられます。

ケージをワンサイズ大きめなものに替えてあげるか、回し車を新しいものに替えてみると、ハムスターの運動不足が解消される可能性があります。

または、飼い主さんがハムスターをケージから出して部屋んぽをさせてあげるという手段もあります。ただし、ハムスターがケージの外で行動することは危険が伴います。部屋んぽをさせる場合は、ハムスターが安全に行動できる環境を整えた上で、必ず飼い主さんが見守っている状態で散歩をさせてあげましょう。

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◆ストレスの原因を取り除く

ハムスターが頻繁にうんていをするようならば、ストレスが溜まっていることも十分に考えられます。

ハムスターがどのような原因でストレスを感じているのか知り、その原因を取り除きましょう。

ハムスターは繊細で些細なことにもストレスを感じる動物です。特に音、におい、光、振動、温度の変化には非常に敏感なので、ハムスターが快適に過ごせるよう飼育環境を整えましょう。

また、人間がかまい過ぎるのもストレスになります。ハムスターの生活リズムに合わせ、決まった時間だけ適度に触れ合うようにしてあげるとよいでしょう。

うんていをする以外にも、隠れる、鳴き声を出す、やたらに毛づくろいをする、体調を崩すなどの兆候があればストレスを感じていることが考えられます。日頃からハムスターの様子を観察して、気になる様子がみられたらストレスが原因になっていないか確認するようにしましょう。


まとめ

ハムスターがうんていする理由とうんていが危険な理由、うんていを防止するための対策について紹介しました。

ハムスターのうんていは大ケガの原因になっています。うんていする様子を見ながら「可愛いな」「面白い」と楽しむのはNGですよ。ハムスターに元気で長生きしてもらうためにも、うんていしているところを見かけたら、すぐに対策をとってうんていをやめさせてくださいね。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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