飼育崩壊の原因にも?うさぎは繁殖力が強過ぎる!つがいで飼う時の注意点は

2023.02.07

飼育崩壊の原因にも?うさぎは繁殖力が強過ぎる!つがいで飼う時の注意点は

うさぎは非常に繁殖力が高い動物です。古くから、うさぎは多産でどんどん子どもを産み増やしていくことがよく知られ、子孫繁栄や豊穣のシンボルとして扱われてきました。うさぎの繁殖力の強さを知らずにつがいで飼うと、手に負えないくらい子どもが増えてしまう可能性もあります。この記事では、うさぎの繁殖力はどれくらい強いのか、うさぎを飼う場合はどのように繁殖をコントロールすれば良いのかについてまとめました。

【目次】
1.うさぎの繁殖力は非常に強い

2.うさぎが繁殖可能になる時期
 2-1.生後半年ごろから繁殖が可能
 2-2.一年中発情期がやってくる

3.うさぎの発情期にみられる行動
 3-1.オスの場合
 3-2.メスの場合
 3-3.オス・メス共通

4.うさぎを避妊・去勢せずつがいで飼ったらどうなるか
 4-1.あっという間に増えてしまう
 4-2.飼い主さんの負担が大きくなる
 4-3.うさぎ同士がケンカする
 4-4.妊娠・出産がメスに負担をかける
 4-5.近親交配による弊害が起こる

5.避妊・去勢せずにつがいで飼うのは避けるべき
 5-1.オスとメスは別々に飼う
 5-2.つがいで飼う場合は避妊・去勢を
 5-3.うさぎは1匹でも寂しくない

6.まとめ


うさぎの繁殖力は非常に強い

うさぎ2羽

うさぎは、犬や猫に続く第3のペットとして人気が高まっています。しかし、犬や猫に比べると、習性や飼い方はよく知られていない部分がたくさんあります。去勢や避妊についても犬や猫ほど重要視されず、あまり普及していません。

うさぎは非常に繁殖力が強い動物なので、去勢や避妊をしていないオスとメスをつがいで飼うと、あっという間に子どもが増えてしまいます。

うさぎは、一年に6~8回の出産が可能です。また、多産で赤ちゃんを一度に4~8匹生みます。ですから、うさぎが出産を繰り返すと、想定外にうさぎが増えてしまう可能性があります。実際に、2年間で2匹から200匹まで増えて飼育崩壊に至った例もあるのです。

うさぎがこれほど高い繁殖力を持っているのは、野生下で捕食される弱い立場にあるためです。命を落としやすい代わり、なるべくたくさんの子孫を残して種が絶滅するのを防いでいるのです。「命をつなぐ」という使命を持つ彼らは本能的に繁殖を繰り返し、どんどん子どもを産み増やします。

ペットとして飼育されるうさぎは外敵に襲われる心配はなくなりましたが、子孫を増やしたい欲求の強さは変わりません。

うさぎを飼育する際は、うさぎはどれくらい繁殖力が強いのか、オスとメスを一緒に飼う場合はどれくらい気を付けなければならないのか、うさぎの繁殖についてよく知っておくことが大切です。


うさぎが繁殖可能になる時期

動物のオスとメスは、生殖機能が成熟すると繁殖が可能な状態になり、発情するようになります。うさぎはいつ頃から繁殖が可能になり、どのようなタイミングで発情するようになるのでしょうか。

◆生後半年ごろから繁殖が可能

うさぎは性成熟が非常に早く、あっという間に大人になります。個体差もありますが、オスで生後6~10ヶ月ごろ、メスで生後4~8ヶ月ごろに性成熟し、それに伴って発情がみられるようになります。

体の大きさも性成熟の早さに影響し、体が大きな個体ほど成熟が遅めです。一方、体の小さいうさぎだと生後3か月頃には性成熟することもあります。

生後半年にはもう体で繁殖の準備ができているのです。この頃から、男の子と女の子は引き合わせないようにしなければなりません。

◆一年中発情期がやってくる

動物の中には、春や秋に発情期を迎えるものもいますが、うさぎは季節に関係なく一年中発情期が訪れます。一年を通して常に妊娠のチャンスがあるのです。

動物は、体が性成熟すると性ホルモンの影響を受け、周期的に「発情期」が訪れます。そして、発情期に入ったメスにオスが接触して交尾が成立することで、メスが妊娠・出産に至ります。

この発情期がやってくるリズムは動物によって異なり、特定の季節のみ発情期が訪れる「季節繁殖動物」と、季節に関係なく一年中発情期が訪れる「周年繁殖動物」がいます。

ウマ、ロバ、ニホンザルなどは前者の季節繁殖動物、ウサギ、ウシ、ブタ、そして私たちヒトは後者の周年繁殖動物です。

うさぎなど周年繁殖動物のメスには、オスを受け入れる「発情期」と発情しない「休止期」が一年を通して交互に訪れます。うさぎの場合はそのサイクルが短く、発情期は15日間程度、休止期は1~2日程度しかないので、ほぼ一年中発情していることになります。

野生のうさぎは季節の影響も受けるので、子育てしやすい春から夏に繁殖をする傾向がみられます。一方、室内で飼育されるうさぎは日照時間や気温の影響を受けることが少ないので、季節に関係なく年中発情がみられます。

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うさぎの発情期にみられる行動

うさぎのメスは、性ホルモンの分泌によって発情し、オスは日照時間や発情したメスの尿のにおいに影響を受けて発情するようになります。うさぎは発情したら、どのような行動がみられるのでしょうか。

◆オスの場合

発情期を迎えたオスは縄張り意識が強くなり、自分の縄張りを誇示したい欲求が高まります。

特徴的な行動は、身の周りに自分のにおいを付ける「マーキング」です。うさぎはあごの下とお尻に臭腺を持っていて、オスは普段からあちこちにあごをこすりつけてにおいを付ける「チンニング」をするようになります。発情中は、お尻の臭腺からも独特な強いにおいが出ます。

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また、興奮するとジャンプしながらおしっこを振りまく「スプレー」をすることがあります。

オスの中には、ぬいぐるみなどにしがみついて腰を振る「マウンティング」をする子もいます。これはオスがメスと交尾をする時と同じ体勢で、手頃な大きさのぬいぐるみやおもちゃを見ると、刺激されて始めることが多いです。

ただし、発情の度合いには個体差もあり、スプレーやマウンティングをあまりしない男の子もいます。

◆メスの場合

メスも発情すると縄張り意識が強くなり、自分の縄張りを守ろうとする行動がみられるようになります。

そのため、発情中にケージ内に手を入れると、威嚇したり噛んできたりすることもあります。また、オスと同じようにチンニングがみられます。

そして、発情中に背中やお尻を触ると、お尻を高く持ち上げてオスを受け入れるような姿勢を取るようになります。

また、うさぎのメスは、交尾をしなくてもホルモンの影響で「偽妊娠」が起こり、妊娠したかのような兆候がみられることもあります。偽妊娠は15日間ほど続き、メスはむしった自分の毛や牧草で巣を作ったり、乳汁の分泌がみられたりします。

◆オス・メス共通

オスもメスも発情中は興奮しやすくなり、普段とは違う特有の行動がみられるようになります。

発情すると、オスもメスに次に挙げる行動がみられるようになります。

  • 落ち着きがなくなる
  • 攻撃的になり、人を威嚇したりかみついたりする
  • 人の足やぬいぐるみにマウンティングをする
  • すぐにスタンピング(足ダン)をする
  • やたらと人にベタベタしてくる
  • 食欲が減退する

普段は従順な子も、飼い主さんに反抗的な態度をとることが出てきます。


うさぎを避妊・去勢せずつがいで飼ったらどうなるか

繁殖力旺盛なうさぎを避妊も去勢もせずにつがいで飼ったら、具体的にどのような問題が起こり得るのか考えてみましょう。

◆あっという間に増えてしまう

うさぎのメスの体は、効率良く妊娠・出産ができる仕組みになっています。ですから、繁殖を自然に任せているとあっという間に数が増えてしまいます。

動物には、発情に伴って排卵が起こるものもいますが、うさぎは交尾の刺激で排卵が起こります。そのため受精のタイミングが合いやすく、高い確率で妊娠することができます。

また、うさぎは短時間で交尾を済ませてしまうのでで、わずかな時間でも避妊や去勢をしていないオスとメスが居合わせると、メスはすぐに妊娠してしまいます。

うさぎの妊娠期間は約1か月間と短めです。また、通常の動物は赤ちゃんの授乳をしている間は繁殖をしませんが、うさぎは出産するとすぐに次の交尾が可能になります。妊娠・出産のサイクルが短いので、多くて年に8回の繁殖が可能になるのです。

また、生まれた子どもも生後半年で繁殖が可能になります。そうなると、子ども、孫…とネズミ算ならぬウサギ算式に数が増える可能性が出てきてしまいます。

◆飼い主さんの負担が大きくなる

うさぎの数が増えれば増えるほど、飼育用のスペース、お世話にかかる時間、費用など飼い主さんの負担がかさんでいきます。

責任を持って飼う場合は、大規模な飼育環境が必要です。また、生まれた子どもが飼えない場合は、きちんと里親を探し譲渡する必要もあります。無計画な繁殖は「飼育崩壊」につながってしまいます。

◆うさぎ同士がケンカする

うさぎの数が増えると、うさぎ同士でケンカが起こりやすくなります。うさぎは群れで暮らすことのできる動物ですが、マウントの取り合い、縄張り争いも起こりやすく、親子間、きょうだい間でも相性が良くないとケンカをしてしまいます。

群れのメンバーと気が合わないと思っても野生下と違って逃げることができないので、互いに強いストレスがかかります。ケガや病気も起こりやすくなり、あまり良い環境とはいえません。

◆妊娠・出産がメスに負担をかける

うさぎのオスとメスが一緒にいる限り、本能のままに繁殖が繰り返されます。しかし、妊娠・出産の繰り返しはメスの体に負担をかけてしまいます。

◆近親交配による弊害が起こる

一組のつがいから生まれた子どもが親やきょうだいと繁殖をすると、近親交配による弊害が起こりやすくなります。奇形や障がいを伴ったうさぎが生まれやすくなるので、近親交配は避けなければなりません。


避妊・去勢せずにつがいで飼うのは避けるべき

ケージに入るうさぎ

うさぎに子どもを産ませたい場合は、計画的に繁殖させる必要があります。

また、繁殖を望まずにオスとメスを飼いたい場合は、繁殖が起こらないよううさぎを適切に管理しなければなりません。基本的には避妊・去勢をするのが確実な対策となります。

◆オスとメスは別々に飼う

うさぎをつがい、多頭飼いする場合は、不要な繁殖を防ぐためにオスとメスを必ず隔離して飼育します。ケージから出て遊んでいる時に短時間でも一緒になったらすぐ交尾することがあるので、うさぎから目を離さないようにしましょう。

生後4か月頃を過ぎたら性成熟している可能性が出てくるので、異性とは接触させないようにします。

◆つがいで飼う場合は避妊・去勢を

うさぎは去勢、避妊を実施することで繁殖の心配がなくなります。生後6か月から1歳くらいの間に手術を受けさせるのがベターです。

うさぎの避妊や去勢は、麻酔や手術のリスクが大きい、太りやすくなるといったデメリットがあります。

一方、発情時にみられる問題行動がおさまり性格が穏やかになる、子宮や卵巣、精巣や前立腺の病気を予防する、といった様々なメリットが得られます。特に、メスは3歳を超えると子宮疾患にかかりやすくなるので、病気を予防する意味でも避妊手術が推奨されています。

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男の子のうさぎを迎えたときに、去勢手術をするかどうか悩む飼い主さんはとても多いのではないでしょうか。 去勢には、繁殖できないようにするためだけでなく、他にもさまざまなメリットがあります。反対に、全身麻酔における手術には、リスクやデメリットもあります。 飼い主さんは、これらのことをよく理解して決断する必要があります。 ここでは、うさぎの去勢手術におけるメリット・デメリットについて、ご紹介します。

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◆うさぎは1匹でも寂しくない

「うさぎが独り身ではかわいそう」「オスもメスも飼ってみたい」という気持ちからつがいの飼育を検討する方もいるでしょう。

基本的にうさぎは縄張り意識が強く、ほかのうさぎとの上下関係に非常に敏感な動物です。異性同士の場合、相性が良ければ仲むつまじく暮らすことも可能ですが、オスとメスの相性が悪ければうまく共存することができなくなります。

うさぎにかかるストレスを考えると、1匹だけで飼育したほうがうさぎと飼い主さんのためになる場合もあります。うさぎは1匹だけでも幸せに暮らせます。よく考えた上でうさぎをお迎えするようにしましょう。


まとめ

うさぎは非常に繁殖力が強いため、油断しているとあっという間に子どもが増えてしまうこと、つがいで飼う場合は繁殖をコントロールする必要があることをお伝えしました。

無計画な繁殖は、うさぎや飼い主さんに大きな負担をかけてしまいます。避妊や去勢には不要な繁殖を防ぐだけでなく、発情による問題行動や病気のリスクを抑える効果も期待できます。デメリットもありますが、うさぎさんの幸せで穏やかな一生のためにも避妊や去勢を検討してみてください。



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うさ北

うさ北

2019年までうさぎを3代飼育、現在はブルーサファイアハムスター(ジャンガリアン)を飼育中。栄養学、人や動物のコミュニケーションを中心にライティングや企画などのお仕事をしています。


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