たぬきはペットにできる?保護した後は?たぬきの飼育を徹底解説します!

2023.12.20

たぬきはペットにできる?保護した後は?たぬきの飼育を徹底解説します!

たぬきはふわふわとした見た目が愛らしく、人気の高い野生動物です。 ペットとして飼いたいと思う人も少なくないでしょう。 また、なかには怪我をしたたぬきを保護したものの、どうしたらいいか分からないという方もいるかもしれません。 そこで、この記事ではたぬきについて徹底解説します! ぜひ参考にしてくださいね。


たぬきとは?

野生のたぬき

まず、たぬきとはどんな動物なのか詳しくみていきましょう。

たぬきは、哺乳綱ネコ目イヌ科タヌキ属に分類される動物です。
外見は犬や狐に似ていますが、たぬきは独自の特徴を持っていることで知られています。
同じたぬき同士であっても日本固有の亜種である「ニホンタヌキ」と他のアジアに生息するたぬきとは全く性質が異なると言われるほどです。

たぬきは日本各地の森林や山地に生息していますが、まれに餌を求めて農村地帯にも姿を見せます。
雑食性のため、昆虫やミミズ、カエルなどの小動物のほか、果実や木の実も食べることができますが、農村地帯には人間が残したゴミや食べ物もあるため、特に冬場で食料調達しにくいたぬきにとっては恰好の餌場となるのです。

たぬきは体長50〜80cm、体重2〜10kgとずんぐりとした体格に短い足と丸い耳を持っています。
毛皮は茶色がかった灰色で、顔には目の周りだけ黒っぽい模様があり、この模様でたぬきを他の動物と区別できるでしょう。
また、たぬきの毛皮は冬になると冬毛に生え変わってより密になり、寒さにも適応することができます。
冬場でも活動的なのはまさにこの毛皮のおかげですね。

そんな活発なたぬきですが、野生下の寿命は約6〜7年程度とそこまで長くはありません。
人間の飼育下で適切な環境とケアがあれば、10年以上生きることもあるようですが、基本的に短命と言えそうです。


原則、たぬきをペットにはできない

たぬきは非常に愛らしいため、ペットとして飼育したいと考えている方もいるかもしれません。
しかし残念ながら、たぬきをペットとして飼うことは日本の法律によって禁止されています。

【鳥獣保護管理法】
鳥獣保護管理法は、野生動物の適切な保護と管理を目的に作られた法律です。
たぬきはこの法律でで害獣に指定されているため、自治体の許可なしで飼育することはできません。

もし、怪我をしたたぬきを捕獲もしくは保護した場合には、各自治体にある「生涯飼養許可」を申請すれば、一時的になら飼うことはできるようです。
しかし、そもそもたぬきは野生動物であり、その生態や習性は人間の生活環境に適していません。
たぬきは広い生息域と特定の環境が必要で、家庭内での飼育はたぬきの健康に悪影響を及ぼす可能性があることをきちんと認識しておきましょう。

また、たぬきは、イノシシやアライグマなどと同じように、狩猟が認められている動物です。
しかし、たぬきを飼育ではなく駆除または捕獲する場合でも、自治体の許可が必要になるので、むやみに近づかないことが1番と言えます。
鳥獣保護管理法で害獣に指定された動物を許可なく駆除または捕獲した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性がありますので注意してください。

◆たぬきはペットショップでは販売していない

一般的に、日本国内のペットショップはたぬきを販売していません。
したがって、仮にたぬきを飼育している人がいる場合、それは捕獲もしくは保護した野生の個体でしょう。

野生のたぬきを捕獲するためには、狩猟免許の取得や更新など鳥獣保護管理法で定められた基準をクリアして、環境庁から許可を得る必要があります。
狩猟免許の取得には相当な時間と費用が必要なので、簡単におすすめはできません。

また、野生動物であるたぬきは疥癬症(かいせんしょう)という皮膚病に感染していることもあります。
ダニの一種であるヒゼンダニによって引き起こされるこの病気はきちんとした治療を行えば完治するものの、犬や猫、人にも感染する病気です。
行政によっては疥癬症の拡大防止のために、この病気に感染している野生動物を回収してくれるところもあります。
基本的にはたぬきを見かけても自己判断でむやみに近づかないように、やむを得ない場合は手袋を着用することをおすすめします。


怪我をしているたぬきを保護した場合

もし怪我をしたたぬきを見つけた場合、適切な対処法を知っておくことが重要です。
野生動物の保護には特別な配慮が必要であり、たぬきも例外ではありません。

◆生涯飼養許可を申請する

怪我をしたたぬきを保護した場合、長期的な飼育を考えるなら自治体の自然保護局や環境省に生涯飼養許可を申請する必要があります。
生涯飼養許可は、野生動物を人間が飼育する際に必要な公的な許可です。

申請では、たぬきの健康状態や飼育環境に関する詳細な情報が求められます。
そのため、たぬきの適切な飼育方法や環境についての知識が必要です。
野生動物に詳しい獣医師に相談するなど専門家の意見を求めることも有効な手段となるでしょう。

◆たぬきのエサはドッグフードが便利

先述の通り、たぬきは雑食性でさまざまな食物を摂取しますが、なかでもドッグフードは最適解といえます。
ドッグフードは、イヌ科のたぬきにとって必要な栄養素を手軽に摂取することができます。
特に、野生での食生活は高タンパク質なことが多いので、果物や野菜よりもドッグフードを選ぶことが推奨されます。
バランスの良い食事はたぬきの健康維持に不可欠なので、果物や野菜はおやつ感覚で与えるといいでしょう。

ドッグフードを与える際は、たぬきの年齢や健康状態に合わせて量を調整することが重要です。
特に怪我をしているたぬきの場合、適切な栄養摂取が回復の近道となりますよ。
ドッグフードとともに水分補給も忘れないようにしてくださいね。

◆飼育に必要なもの

あまり推奨はしませんが、もしタヌキを飼うとなった場合に必要になる飼育グッズは以下の通りです。

・ケージ:犬用で十分
・エサ:ドッグフードが便利
・食器:エサ入れ、水入れも犬用でOK
・ベッド:ペットベッドや毛布など
・トイレ:ペットシーツはかじられる恐れがあるので、すのこなどの床材だけでもOK
・首輪・リード・ハーネス:外出時に念の為つけておくと安心
・キャリーケース:動物病院受診時や外出時の移動用として必要

たぬきは本来ペットとして飼育できない動物なので、専用のアイテムはありません。
しかしほとんど犬用のもので代用できることから飼育に関してそれほどの費用はかからないと言えます。

ケージは頑丈で錆びにくいステンレス製で、たぬきがストレスなく過ごせるような広さのあるものを用意してください。
また、食器はひっくり返らないようにある程度の重さがあるものにしておくといいでしょう。
必須アイテムではないものの、好奇心が強く遊び好きのたぬきのために、何かおもちゃになるようなものを用意してあげるのもおすすめです。

◆ニオイや鳴き声には注意

野生動物のイメージそのままに、ペットとして人気の高い犬や猫と比較して、たぬきは臭いが非常に強いです。
そのため、ペットとして飼育する場合は近隣への配慮が欠かせません。
トイレを小まめに掃除することはもちろんのこと、ドッグフードを基本として食生活を変えることでだんだん臭いが変わってくるようです。

また、喧嘩や威嚇時には小型犬のような「グー」「ウワン」と言った甲高い鳴き声を発することがあります。
基本的に鳴くことがほとんどない動物なので、これらの鳴き声はたぬきがストレスを感じているサインと言えます。
たぬきは夜行性のため、夜に鳴いてしまう場合は騒音トラブルにならないように注意しながら、飼育環境の見直しを行いましょう。


たぬきは人に懐くのか

たぬきは非常に警戒心が強く臆病な性格の持ち主なので、基本的に人に懐くことはありません。
子犬のような見た目をしていることから、犬のように懐くと思われがちですが、現実は異なります。
餌付けによって人間に慣れる可能性はありますが、「慣れる」のと「懐く」のは全く違います。
懐かせようとあまりにもちょっかいをかけていると、たぬきが威嚇されたと勘違いし、警戒心を強めてしまう可能性がありますので注意しましょう。
また、餌付けによってたぬきが人間の生活圏に侵入し、農地を荒らすなどの問題を引き起こす恐れもありますので、餌付けも控えるのが無難です。

さらにすでに説明した通り、たぬきは鳥獣保護法によりペットとして飼育することが禁止されている動物です。
ペットショップでの販売も認められていないうえに、自治体に無許可で野生のたぬきを捕まえて飼う行為は法律違反となります。
こうした事情を考慮すると、たぬきをペットとして飼うのは非常に難しいといえます。


まとめ

いかがでしたか。この記事ではたぬきの飼育について解説しました。
たぬきは愛らしい外見が特徴的な動物ですが、ペットとして飼育することは日本の法律で禁止されています。
もしも野生のたぬきを捕獲する、あるいは怪我をしたたぬきを保護する場合は、自治体からの許可と適切なケアが必要です。

また、たぬきは警戒心が強く人に懐きにくいほか、餌付けで無理に手懐けようとするとさまざまなリスクを伴います。
これらの点を考慮すると、たぬきをペットとして飼うことは非常に困難であり、自然保護の観点からも推奨されません。

もし、野生のたぬきをペットとして飼育することになった場合には、この記事を参考にして、たぬきの習性をしっかりと理解し、ルールを守って飼育しましょう。



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ゆうな

ゆうな

赤ちゃんの頃から犬、猫、フェレット、ハムスター、インコと一緒に暮らしてきました。 とにかく動物が大好きで、日課は動画の動画を観ることです。 私自身も更に知識を深めながら、動物の為になる記事をご提供します!


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