うさぎは雷を怖がる
多くのうさぎは雷が苦手です。
反応には個体差もありますが、雷の音が聞こえ始めた時、不安そうにしたり落ち着きがなくなったりする様子がみられるでしょう。
雷は、雲にたまった静電気が放電される時に起こる自然現象です。雲から地面に向かって電気が放電される時、大きな雷鳴やピカッという稲光を伴います。
雷鳴などの低い轟音は「低周波音」と呼ばれ、うさぎに限らず私たち人やほかの動物にとって不快に感じやすい音にあたります。また、近くに雷が落ちた場合の音の大きさは120デシベルくらいといわれ、これは飛行機のエンジン音を近くで聞くくらいの爆音とされます。突然にそのような騒音が聞こえるので、私たちが雷の音に恐怖を感じるのは無理もないことなのです。
特に、うさぎは音や振動に敏感でストレスにも弱い動物なので、飼い主さんはうさぎが雷でなるべくストレスを感じないよう気を付けてあげる必要があるのです。
◆うさぎは音に敏感
うさぎは音に敏感で、雷の大きな音は特に強いストレスになります。
うさぎは捕食される側の動物なので、自然界では天敵の気配を感じたらすぐ逃げなければなりません。そのため、耳が長くて大きく、聴覚がとても発達しています。
また、うさぎの耳に入ってくるさまざまな音は周囲の様子を知らせる情報源となっています。知っている音か安全な音かを判断して、身を守りながら生きているのです。
そのようなうさぎにとって、雷の低くて大きな音は「聞きなれない異常な音」にあたります。そのため、雷の音は怖いと感じてしまうのです。
◆天敵から身を守る本能
雷の音や地面に伝わる振動がうさぎの「スタンピング」に似ているため、雷が鳴った時にうさぎが警戒するということも考えられます。
スタンピングは、うさぎが危険を察知した時に後ろ脚で地面を「ドン」と踏み鳴らして警戒音を出す習性のことです。通称「足ダン」と呼ばれています。うさぎの飼い主さんはよくご存知でしょう。
スタンピングは、うさぎが自身や仲間を天敵から守るために備わっている本能です。仲間に危険を知らせる時、不快感や怒りなどの感情を表現する時にスタンピングをします。
雷が鳴った時にうさぎが警戒し始めたら、それは、仲間のスタンピングの音を連想して危険だと感じていることも考えられます。
雷を怖がるうさぎのサイン
雷が鳴った時のうさぎの反応はさまざまです。では、うさぎが雷を怖がっている時には、どのようなサインがみられるのでしょうか。
◆物陰に隠れる
うさぎが雷を怖がっている時に最もよくみられる行動が、物陰に隠れることです。
うさぎは危険を察知すると、身を守るために安全な場所に身を潜めようとします。雷を怖がる時、ケージの奥、部屋の隅、カーテンの後ろ裏など、狭くて安全だと感じる場所に身を潜めようとする様子がみられるでしょう。
◆体を縮める
うさぎが雷に驚いた時、体を縮めて固まることがあります。これは、雷の音を警戒して緊張していることが考えられます。
◆呼吸が早くなる
うさぎの呼吸が速くなっていたら、かなり強いストレスを感じている可能性があります。
私たち人や動物の体は、ストレスを受けると自律神経が反応して心拍数が上昇し呼吸が早くなります。
これは、敵に遭遇した時に速やかに闘ったり逃げたりするために備わっている防衛本能です。うさぎは捕食される側の動物で逃げなければならないので、特にストレスには過敏に反応します。
うさぎの鼻が小刻みにヒクヒク動いている、息が荒くなって体が震えて見えることがあれば、強いストレスを感じて呼吸が早くなっていることが考えられます。
◆落ち着きがなくなる
雷が鳴った時は、うさぎの落ち着きがなくなり、ソワソワしたり、動き回ったりすることもあります。耳をピンと立てて、何の音か聞き取ろうとする子や興奮してスタンピングする子もいるでしょう。
このとき、うさぎは聞きなれない音がしたために不安を感じ、周囲の情報を探ろうとしていることも考えられます。
◆食欲不振
雷が続くと、うさぎはストレスから食欲が減退してしまうこともあります。
ストレスを感じると自律神経が反応し、食欲や胃腸の働きが低下して食べる量が減ってしまうのです。
うさぎは食欲不振が続くと胃腸うっ滞が起こりやすくなるので、食べる量が減るほどストレスを受けている時は特に注意が必要です。
雷を怖がるうさぎにできること
できれば、うさぎには怖い目にあわせたくないものですが、残念ながらどの地域に住んでいても雷を完全に避けることはできません。せめて、おうちのうさぎさんが雷でストレスを感じないよう、できる限りの注意を払ってあげましょう。
◆できるだけ静かな環境を作る
雷が鳴ってもなるべくうさぎがストレスを感じないよう、できるだけ静かな環境を用意してあげましょう。
完全な防音は難しいかもしれませんが、窓を閉める、ドアを閉める、ケージをカバーで覆う、などの防音対策をすることで雷の音を聞こえにくくする効果が期待できます。
また、うさぎは地面の振動にも過敏に反応するので、ケージの下やお部屋の床に厚みのある柔らかいマットを敷いておくのもおすすめです。これは、寒い日の底冷えや足の裏のソアホックの予防にもつながります。
特に、天気予報で「雷注意報」の出ている日は気を付けてあげると安心でしょう。夏の午後、日本海側の冬は雷が増えます。
◆隠れられる場所を作る
うさぎが隠れられる場所を用意しておけば、雷が鳴ってもうさぎがそこへ逃げ込むことで安心感を得ることができます。
うさぎにとってはケージの中が一番安心できる場所なので、ケージは部屋の隅の落ち着ける所設置しておきましょう。
さらに、ケージ内や部屋の隅などに、小さなハウスや箱などを設置しておくと、うさぎが危険や不安を感じた時に隠れることができます。
◆一緒にいてあげる
うさぎが怖がっていたら、そばにいて優しく声をかけてあげましょう。うさぎが不安や恐怖を感じている時、飼い主さんが一緒にいれば、それだけで安心することも多いです。
◆音楽などをかける
雷の音を紛らわせるために音楽などをかけると、うさぎが落ち着くこともあります。
音楽をかける場合は、曲調の激しい音楽ではなく、ゆっくりした穏やかな曲調の音楽がおすすめです。大きな音を鳴らすとかえってストレスが強くなるので、音量は控えめにしましょう。
音楽によって雷の音が聞こえなくなるわけではありませんが、うさぎや飼い主さんの気持ちをリラックスさせる高価が期待できます。
うさぎが雷を怖がっている時の注意点
うさぎが怖がっている様子をみると飼い主さんも不安になってしまうかもしれませんね。しかし、対処が適切ではないとうさぎに大きな負担がかかってしまいます。うさぎに接する時には、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。
◆無理に触らない
うさぎが雷で不安になっている時は、撫でたり抱っこしたりしたくなるかもしれません。しかし、無理に触れることが逆効果になる可能性があります。
もともと、うさぎは触れられることに敏感な動物です。無理に触ろうとするとうさぎのストレスが強くなったり、うさぎが暴れてケガを招いたりする原因につながります。
うさぎのほうから寄ってくる素振りがなければ、触らずに見守るだけにしておきましょう。うさぎが飼い主さんに身をゆだねるようなら、優しく頭や背中を撫でてあげてもよさそうです。
◆大きな音を立てない
雷の音でおびえているうさぎに対し、さらに大きな音を立てることは避けましょう。うさぎが余計に怖がります。
飼育環境は、雷や風雨の音がなるべく聞こえてこないように静かに保ち、人の話し声や足音、電化製品等の音も大きくなり過ぎないように気を付けます。
◆飼い主さんがパニックにならない
うさぎが雷を怖がる時、飼い主さん自身が冷静でいることも重要です。
雷が苦手な人は多く、飼い主さんのほうがパニックになってしまう場合もあるかもしれません。しかし、うさぎにその緊張感が伝わってしまうと、うさぎの不安を余計にあおってしまうことにつながります。
雷が鳴る時には、まず飼い主さんが深呼吸をするなどしてリラックスし、うさぎの前では落ち着いた行動をとることも心がけましょう。
まとめ
うさぎが雷に怖がっている時の対処法について説明いたしました。うさぎが雷を怖がるのは、敏感な聴覚や習性に由来します。雷に対する反応は個体差もあるので、おうちのうさぎさんの様子をみながら適切な対処をしてあげましょう。
また、うさぎは雷だけではなくドアの開閉音、花火の音、工事の音などの大きな音もストレスを感じやすいです。私事になりますが、うちのうさぎも子どもの頃は雷と花火の音におびえてスタンピングをしていました。しかし、次第に慣れて全く動じなくなりました。日頃から飼育環境を整え、うさぎがリラックスして過ごせるよう配慮をしておくと安心でしょう。